目指せ! マンション管理士・管理業務主任者

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マンション管理士・管理業務主任者試験で良く出る、旧の「瑕疵担保責任」と、改正、「契約内容不適合責任」を比較し、まとめました。

「隠れた瑕疵が存在する時の売主の責任」 → 「売主の契約内容不適合責任」

旧 「瑕疵担保責任」へ

*「隠れた」 改正→ 概念廃止へ...旧概念:通常人の注意を払っても発見できないこと、 
        改正:隠れていなくても、契約内容に不適合であれば、売主に責任を追及できる。

*「瑕疵」 改正 → 「瑕疵(かし)」では意味が分かり難いので使用をやめ、「契約の目的内容に適合しないもの(契約内容不適合)」に変更する
            
不動産なら、対象不動産が、通常有している品質・性能を有していないこと。また、当事者が契約上予定した使用目的に適する性質や、売主が特に保証した品質・性能を有しない場合も含む。
             マンションの売買においては、新築売買と中古の売買では、判断基準が異なる。
             契約責任説の採用。(改正前は、法定責任説だったため、修補の請求が入っていなかった)

*新概念:契約内容不適合」とは...目的物が通常有すべき品質・性能を欠いている場合の買主保護のために「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの」。
           この民法の改正により、「瑕疵」を使用していた
           宅地建物取引業法、
           品確法(住宅の品質確保等の促進等に関する法律)、
           住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)、
           消費者契約法 など関係の法律の条文も改正になった。

           ただし、品確法は、条文(2条5項)中に「瑕疵」の定義を新設して使用する。「隠れた」は、削除。
           「 5 この法律において「瑕疵(かし)」とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。 」

           そして、住宅瑕疵担保履行法は、品確法の「瑕疵」の定義を使用するという、構成にした。

「売主の無過失責任」(改正:完全な売主の無過失責任ではなくなった))...改正前:売主に故意・過失がなくても責任がある(無過失責任)。
  → 改正:570条の削除に伴い、新設の564条により、売主の完全な無過失責任から、415条1項 ただし書きにより、売主は、損害賠責任を負わない場合もあるに変わった。改正民法562条)。

更新記録:2019年 9月21日:改正 民法(2017年 施行:2020年4月1日)に合わせた。

条文 責任者 相手 責任内容 対象建物 時効など。注意事項
旧:民法  

旧:民法
570条→566条準用

特約可能
任意)

売主 買主

買主が事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)にしなければならない。 

*新築、中古を含む       引渡しから10年で時効になる。(民法167条1項 削除へ)

改正:166条(消滅時効)
 1項
 1号:知った時から5年
 2号:権利行使から10年      

*損害賠償請求 可

*契約の解除(目的を達しないときだけ) 可

*修補請求 不可(民法では定めなし)
 改正:民法      改正民法:
旧570条は削除。
それに伴い関係条文を新設した。

・修補の請求も可(追完請求)

特約は可能(任意)。
      
 売主     買主       注:旧562条、563条、564条は削除された
新設:562条 (買主の追完請求権)
 1項:修補請求ができる
 2項:買主に帰責事由がある場合には、追完請求はできない。
新設: 563条 (買主の代金減額請求権)
 1項:催告しても履行の追完がないときは、代金の減額請求ができる。
 2項:無催告で代金減額請求ができる場合もある。
 3項:買主に帰責事由がある場合には、代金の減額請求はできない。
新設:564条 (買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
買主は、追完請求(新設:562条)や代金の減額請求(新設:563条)が行使できる場合でも、損害賠償請求(415条参照)もできるし、契約の解除もできる(541条:催告解除、542条:無催告解除、参照)
・改正:目的を達しないとき→目的物の不適合があるとき
 注:旧565条及び566条は削除された
新設:566条 (目的の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
 買主がその不適合を知った時から、1年以内に通知する。
 ただし、売主が不適合を知っていたり、重大な過失によって知らなかったときは、除く。
 特約(責任内容の修正や免除)は可:572条本文。
 ただし、売主が知りながら告げなかった事実などは、免責されない。
宅地建物取引業法 改正:40条 業者が売主 買主
(業者以外)
引渡しから2年以上の特約なら有効。(他は無効)
*無効の例:
 引渡しの日から1年に限り責任を負う。
*新築、中古を含む 無効になると民法の適用になる
品確法
(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
改正94条 請負人 注文者

引渡しから10年間。買主に不利な特約は無効。

*無効の例:
 引渡しから5年に限り責任を負う。

(20年以内の伸長 可。 97条)

*損害賠償請求 可

*契約の解除(目的を達しないときだけ) 可

*修補請求 可 (これが、旧の民法と違うところだったが、改正で、民法を準用となった。)

 

*新築、または1年間人が住んだことのない、居住用のみ

マンションも入る

構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分に限る。
 住宅のあらゆる部分ではない。

構造耐力上主要な部分:
 住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものとする。

雨水の浸入を防止する部分:
 一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
 二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分

注:下の解説図など参考に。
改正95条 売主 買主
消費者契約法 改正8条 事業者 消費者  事業者の損害賠償の責任を免除する条項等(特約)の無効(1項)
旧1項5号は削除。
   
改正8条の2 消費者の解除権を放棄させる条項等(特約)の無効
改正10条 民法の規定よりも消費者にとって信義誠実の原則に反して一方的に不利益な特約は無効
アフターサービス 任意契約 請負人・売主 注文者・買主

隠れた瑕疵(→契約内容不適合)に限らない。無料での補修

*部位や欠陥の種類で異なる(1年〜10年間)

契約による アフターサービスと瑕疵担保(契約内容不適合)責任は並存している。 

*民法での契約不適合責任について 〜旧瑕疵担保責任の廃止〜
  2017年(平成29年)の民法改正(2020年 4月1日施行) に伴い、 
   ・「定型約款に関する規律」、
   ・「瑕疵担保責任の廃止・契約不適合性の重視」、
   ・「消滅時効制度の見直し」、
   ・「法定利率の見直し」、
   ・「保証制度の見直し」、
   ・「不動産賃貸借契約における敷金の返還や原状回復義務の明確化」
  などの改正が行われますので、2020年以降にマンション管理士・管理業務主任者試験を受ける人は、改正内容に注意が必要です。

  そこで、このホームページにおいては、改正の対象となった「瑕疵担保責任の廃止・契約不適合性の重視」から、改正前は、「売主の瑕疵担保責任」と呼ばれていた内容と、「売主の契約不適合責任」の違いをとりあげました。

◎旧民法の考え方
  基本的に不動産は取替えができないので、隠れた瑕疵(きず)があっても、売主が修補する余地がなく、現状でその物を買主に渡せば債務不履行にはならない。
 しかし、それでは、買った者に対して余りにも不公平となるので、債務不履行責任とは別に「瑕疵担保責任」を設けて、買主に、
 @損害賠償請求 と
 A契約の解除
 を認めていました。
 
 まず、旧民法570条
 「(売主の瑕疵担保責任)
  第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」

 とあり、準用されている、
 旧民法566条は
 「(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
  第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」

 でした。

◎改正になった理由は、
 しかし、不動産売買でも、買主は、当然に物件には「きず」のない状態での引渡しを望んでいるので、旧民法の考え方は当事者の意思や常識から改正が必要となりました。

 この旧民570条が、改正され、基本となるのは、改正民法562条  
 「(買主の追完請求権)
 第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、
買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
 2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。」  

 となりました。

 改正においては、以前「売買の目的物に”隠れた瑕疵”があったとき」が「引き渡された目的物が”種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの”であるとき」と変更になり、改正前の「瑕疵」を含めて「契約内容不適合」という概念に置き換えられました。
 使用される言葉は、「(隠れた)瑕疵」から「契約内容不適合」となっても、実際の判断においては、瑕疵も契約内容に応じてなされていましたから、判断基準において違いはありません。

◎改正民法の特徴は
 1.買主に、目的物の修補請求権が認められた 〜追完請求ができる
   旧民法の「瑕疵担保責任」では、
   @買主は常に損賠賠償の請求ができる
   A売買の目的を達することができない場合は、契約を解除をして損害賠償請求ができる
  だけであり、
   ・修補請求はできないと考えられていました(法律で特別に定められた責任だけを負う=法定責任説)が 改正民法では、562条1項により、「目的物の修補」もできるようになりました(契約責任説の採用)

 2.買主が「代金の減額」も請求できるようになった
   改正前の民法では、規定はないものの、判例では、「目的物の瑕疵に相応する代金減額の請求」はできないと解されていましたが、現実では、損害賠償をする形で事実上の代金減額がなされていました。そこで、今回の改正民法563条が新設され、買主の代金減額請求権が認められています。
 なお、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合には、買主は、原則として、相当の期間を定めて「履行の追完の催告」は、必要です。

 「(買主の代金減額請求権)
  第五百六十三条 前条(注:上の562条)第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。  
 2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる
   一 履行の追完が不能であるとき。
   二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
   三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
   四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
 3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。」


 なお、改正前にも認められていた、買主の @損害賠償請求 及び A解除権 も、改正民法564条に新設されています。
 「(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
  第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。」

 
 引用されています。改正415条も全部新しくなり
 「(債務不履行による損害賠償)
  第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
 ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
 2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
   一 債務の履行が不能であるとき。
   二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
   三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。」

  です。

  改正前は、債務不履行の1つ履行不能については、債務者の責めに帰す事由(帰責事由)がないと、債権者は損害賠償の請求ができないことになっていましたが、実務では、履行不能だけでなく、他の債務不履行でも、債務者に帰責事由を求めていましたから、改正により、全ての債務不履行に”債務者の帰責事由があること”が明文化されました。
 なお、帰責事由の主張・立証の責任は、以前から、債権者が行うのか、債務者が行うのか争いがあったものを、債務者にあると明確にしました(改正民法415条1項、但し書き)

 また、引用されています、一部改正の541条(催告による解除権)と全面改正の542条(催告によらない解除)は、
 「(催告による解除)
  第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
 ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。」

  改正前に必要とされた、債務者の帰責事由は、不要です。

 「(催告によらない解除)
  第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
   一 債務の全部の履行が不能であるとき。
   二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
   三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
   四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
   五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
 2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
   一 債務の一部の履行が不能であるとき。
   二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。 」

  です。

 この改正542条でも、債務者の帰責事由は、不要です。また、催告しても意味がない場合(1項2号、5号)などが新しく、規定されています。
  
 これらを、纏めますと、改正民法により、契約内容不適合があれば、
 買主には、
  @目的物の修補・追完
  A代金減額
  B損害賠償
  C契約解除

 が認められたということです。


 


*買主は、不適合を知った時から、1年以内に通知すること 〜通知でよく、権利の行使ではない〜
  旧民法570条で準用されていました 旧民法566条3項
 「3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」
 の規定では、売主に請求をするのは、内容か、損害額かなど明確ではない論争がありました。

 そこで、改正民法566条を新設し
 「(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
  第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。 」

 とし、
 買主は、ただ、契約に不適合であることだけを、知ってから1年以内にすれば、通知をすれば良いことになりました。逆に、買主は、この期間を過ぎると、追完請求権や代金減額請求権等を失います。

◎特約は有効
 以上の民法上の「売主の契約不適合責任」を追及する場合においても、これらを修正したり、免除する特約は改正民法572条
 「(担保責任を負わない旨の特約)
  第五百七十二条  売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」

 により、
 特約は、改正前と同様に、条件付きながら有効です。


*宅地建物取引業での業者の 契約内容不適合 瑕疵 担保責任について
  土地・建物の売買を扱う宅地建物取引業者(マンションの分譲会社)は、民法に従っているのですが、買主の無知に付け込み、民法で許されている、売買の際に自分たち宅地建物取引業者に都合のいい”特約”を結んでいて、買主とトラブルが多く発生していました。
 そこで、宅地建物取引業者の特約を規制するため、 改正宅地建物取引業法第40条
 「(瑕疵 担保責任についての特約の制限)
 第四十条  宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、
その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合 瑕疵 を 担保すべき責任に関し、民法 (明治二十九年法律第八十九号) 第五百六十六条 第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第三項  に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない
 2  前項の規定に反する特約は、無効とする。」 

 として、
  宅地建物取引業者であれば、契約内容不適合 瑕疵 担保責任を負う期間を「目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合」なら、有効ですが、その他の買主にとって不利となる特約は無効としています。
 ここは、民法の改正を受け「瑕疵」を「その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合(契約内容不適合)」に変更したものです。
 つまり、
 *引渡しから2年以上の特約なら有効。
   他は無効。無効の場合は、民法の適用となる。

 *無効の例:
  ア.”引渡しの日から1年に限り” 契約内容不適合 瑕疵 担保責任を負う。
  イ.”売買契約締結の日”から2年間は契約内容不適合 瑕疵 担保責任を負う。
  



*住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)について
  品確法でも、新築住宅の瑕疵担保責任の特例を規定しています。
 品確法では、民法の特例として、請負人と売主の瑕疵担保責任を強化し、全ての「新築住宅」の
 @構造耐力上主要な部分 又は
 A雨水の浸入を防止する部分
 に限って、(住宅のあらゆる部分ではない)、その責任期間は、建築請負会社から売主に引き渡されたものである場合は売主に引き渡された時から1O年間であり、それ以外の場合は買主又は注文者に引き渡した時から10年間としています。
 そして、改正前の民法と大きく異なる点は、その責任内容として損害賠償や契約の解除のほかに修補の請求もできるとされていることです。
 修補請求は、改正民法でも、認められるようになりました。

 さらに、新築住宅の売買契約において、特約により構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分だけでなくその他の部分も含め、瑕疵担保(契約内容不適合)責任の期間を引き渡した時から20年以内とすることもできます。

 

*住宅の品質確保等の促進等に関する法律(品確法)の、「瑕疵担保責任」から「契約内容不適合責任」に伴う改正

◎「瑕疵」の用語を使う。

 品確法においては、第2条で新たに「瑕疵」の用語の定義を置き、「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態」としており、引き続き「瑕疵」を民法改正に合わせて定義した上で用いることとしています。

 「(定義)
  2条 (一部略)
  
5 この法律において「瑕疵(かし)」とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。
 新設。

 「(住宅の新築工事の請負人の瑕疵(かし)担保責任)
 第九十四条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の
瑕疵(かし)(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治29年法律第89号)第415条、第541条及び第542条並びに同法第559条において準用する同法第562条及び第563条に規定する担保の責任を負う。
 2 (略)
 3 第1項の場合における民法第637条の規定の適用については、同条第1項中「前条本文に規定する」とあるのは「請負人が住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)第94条第1項に規定する
瑕疵がある目的物を注文者に引き渡した」と、同項及び同条第2項中「不適合」とあるのは「瑕疵」とする」

 (新築住宅の売主の瑕疵(かし)担保責任)
 第九十五条 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の
瑕疵(かし)について、民法第415条、第541条、第542条、第562条及び第563条に規定する担保の責任を負う。
 2 (略)
 3 第一項の場合における民法第五百六十六条の規定の適用については、同条中「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)第95条第1項に規定する瑕疵がある」と、「不適合」とあるのは「瑕疵」とする。」

 

*売主に賠償能力がない場合の救済措置 〜特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の制定〜
  皆さんは、平成17年(2005年)11月に発覚した姉歯一級建築士による耐震強度偽装事件を憶えていますか。
 この事件では、買主は売主である分譲会社に瑕疵担保責任を追及できましたが、売主の会社が倒産しており、賠償責任が果たせない状況になりました。 
 この事態を踏まえ、住宅(マンション)の購入者の利益保護を目的として、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が制定されました。
この法律により、宅地建物取引業者等が平成21年(2009年)10月1日以降に引き渡す新築住宅について、
  @「保険の加入」 または
  A「保証金の供託」の資力確保
 が義務付けられました。

 

  ・資力確保を義務付けられる対象者について
   平成21年(2009年)10月1日以降に新築住宅を引き渡す場合、請負人となる建設業者(建設業の許可を受けた建設業者)と売主となる宅地建物取引業者(宅地建物取引業法の免許を受けた宅建業者)には、資力確保措置の義務が課されます。
    ただし、宅建業者が発注者となり、建設業者から新築住宅の引き渡しを受ける場合、建設業者には資力確保措置の義務はありません。

  ・住宅瑕疵担保履行法の対象となるのは、建築物のうち「新築住宅」です。
   「新築住宅」とは、新たに建設された「住宅」であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものをさします(住宅の品質確保の推進に関する法律第2条第2項)。
   また、「住宅」とは、住宅の品質確保の推進に関する法律でいう「人の居住の用に供する家屋または家屋の部分」をさします(住宅の品質確保の推進に関する法律第2条第1項)。
   したがって、戸建住宅や分譲マンションはもちろん、賃貸住宅(公営住宅、社宅等も含む)も対象となります。
   一方、事務所、倉庫、物置、車庫は「住宅」でないため、対象となりません。また、一時使用目的の住宅(仮設住宅等)も対象外です。

*特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)と民法改正による「瑕疵担保責任」から、「契約内容不適合」に伴う条文の改正

 2条(定義)に
 「(定義)
 第 二条 (略)
 2 この法律において「瑕疵」とは、住宅品質確保法第2条第5項に規定する瑕疵をいう。 」

 を新設して、「瑕疵」の用語を使用する。


*アフターサービスについて
 アフターサービスは、売主や請負人が営業政策としてあくまでもサービスとして買主や注文主と結ぶ任意の契約ですから、契約自由の原則により、公序良俗に反しないことなどの制限はありますが、その内容は、自由ですから、アフターサービスの内容として、民法と関係なく、契約内容不適合 瑕疵  又は欠陥の補修のみを定め、損害賠償の請求はできない旨を定めることもできます。
 また、対象部位や種類ごとに、そのサービス期間と起算日を定めていることが多くあります。

 アフターサービスは、新築分譲マンションの購入時に物件の欠陥箇所を無償で直すという、あくまでも、法律での強制的な内容ではなく、建築・販売業者のサービスとして行うものです。基本的な内容は、(財)不動産協会が作っているが、各販売業者によって異なっています。
 各部位(外装、内装、配管など)ごとに、状況により直しますが、年数により期限切れもあります。


契約内容不適合(瑕疵)の例
 *パンフレットやモデルルーム等で示された事項や保証した性能がない。
  この場合品質が同等以上への変更なら、瑕疵でない。品質が劣る物への変更があれば瑕疵になる。

 *建築上の契約内容不適合 瑕疵 (建築基準法に適さない建築工事は、契約内容不適合 瑕疵 に該当します)
  ・コンクリートの強度不足
  ・コンクリート材料の不良...コンクリートの細骨材に塩分のある浜砂を使用したために鉄筋に錆が異常に発生した
  ・コンクリート床板の厚さ不足
  ・柱の防火被覆不足
  ・受水槽、貯水槽に防塵、防錆処理がない
  ・排水管に通気管がない
  ・排水トラップがない
  ・耐震強度が偽装されていた

★マンションの共用部分の契約内容不適合 瑕疵 責任の開始時期は、いつになるのか?
  例えば、共用部分の契約内容不適合 瑕疵 の責任期間は、引き渡し後2年間とする契約があった場合、どの買主を基準とするのかの問題があります。
  1.共用部分の契約内容不適合 瑕疵 責任期間の起算点は、最初の買主が引き渡しを受けた時点から起算する説
  2.契約内容不適合 瑕疵 責任を請求する区分所有者の引渡し時から起算する説
  がありますが、2の方が有力です。

★建築会社と分譲会社が異なっていた場合、分譲会社が倒産したら、買主は分譲会社に代わって請負契約上の契約内容不適合 瑕疵 責任の修補や損害賠償の請求ができる。
  最近、マンションの分譲会社の倒産が多くなっています。
  この場合、マンションの買主は、建築会社と直接の契約はしていませんが、債権者代位権(民法第423条)により、請負契約上の契約内容不適合 瑕疵 責任の修補や損害賠償の請求ができます。


最終更新日:
2021年 1月31日:見直した。
2019年 9月21日:民法改正(2020年4月1日施行)の内容に合わせた。
2016年 1月21日:作成


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