マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。
マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、試験にでる建築基準法を条文ごとにイラストなどを入れて解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
第1章 総則 | 条 | 説明 | |
第2条 | |||
7号 | 耐火構造 | ||
7の2号 | 準耐火構造 | ||
8号 | 防火構造 | ||
9号 | 不燃材料 | ||
9の2号 | 耐火建築物 | ||
9の3号 | 準耐火建築物 | ||
10号 | 設計 | ||
11号 | 工事監理者 | ||
12号 | 設計図書 |
施行:令和元年(2019年) 6月25日に対応した。
建築基準法の最終改正:平成30年(2018年) 4月1日施行に合わせた。
建築基準法の最終改正:平成27年(2015年) 6月1日施行
前回改正:平成23年(2011年)12月14日
★2条7号:定義:耐火構造
定義の次は、耐火構造です。
★耐火構造(7号)とは...
@壁・
A柱・
B床・
Cはり
D屋根・
E階段
などの建築物の「主要構造部」のうち、一定の耐火性能の基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いたもの(仕様規定)か、国土交通大臣の認定を受けたもの(性能規定)をいいます。
一定の「耐火性能」というのは、通常の火災が起きてから30分から3時間以上の間、建物が倒壊したり他に延焼したりしない性能を持っていることです。
一般的には、鉄筋コンクリート造、レンガ造、コンクリートブロック造などの建物で、通常、分譲マンションの構造は、この耐火構造になっています。
耐火性能を有した耐火構造の建物は、隣接する建物の火災で簡単に延焼することがなく、火災後の構造耐力の低下が少なく、修復によって再使用できるものとされています。
高熱に対して強く、鎮火後、補修程度で再使用できるような構造です。
鉄骨造、鉄材で補強したコンクリートブロック造などは、材料の組合せによって耐火構造となりますが、一般の木造は耐火構造とすることはできません。
そして、 あとで出てきます「防火地域」や「準防火地域」内の建築物では、(建築基準法第61条参照)などの規定があります。
★建築基準法では、建築物の構造に、各々の性能が求められます。
この定義条項には、構造や性能など、似たような概念がでてきて、一回読んだだけでは、分かりません。「構造」に対して必要とされるのが「性能」です。
下にまとめました。
No. | 構造 | 対象の部分 | 求められる性能 | 性能の内容 |
1 | 耐火構造 | 柱、はり、壁、床、屋根、階段 | 耐火性能 | 通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能 (注:倒壊と延焼を防止) |
2 | 準耐火構造 | 柱、はり、壁、床、屋根、階段 | 準耐火性能 | 通常の火災による延焼を抑制するために当該建築物の部分に必要とされる性能 (注:延焼を抑制) |
3 | 防火構造 | 外壁または軒裏 | 防火性能 | 建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能 (注:外壁又は軒裏で延焼を抑制) |
4 | 準防火構造 | 外壁 | 準防火性能 | 建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能 (注:外壁で延焼の抑制) |
★「耐火構造」では、対象としている建築物の部分は、@壁、A柱、B床、その他の部分(Cはり、D屋根、E階段)です。
これらの部分が、「耐火性能」...通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能を有しなければなりません。
★耐火性能の技術的基準は → 倒壊防止
1. 通常の火災による火熱がそれぞれ下の表に掲げる時間が加えられた場合に、構造耐力上支障のある「変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないもの」であること(非損傷性)が求められています。(建築基準法施行令第107条)倒壊防止です。
各建築物の部位と階数によって、以下のように定められています。
下の階に行くほど耐火性能は厳しい値(大きな時間数)になります。
これは、下の階の柱やはりほど、受ける荷重が大きく、壊れたときの影響が大きいための予防です。
建築物の部分 | 建築物の階 | 最上階及び最上階から数えた階数が二以上で四以内の階 | 最上階から数えた階数が五以上で十四以内の階 | 最上階から数えた階数が十五以上の階 |
壁 | 間仕切壁(耐力壁に限る。) | 一時間 | 二時間 | 二時間 |
外壁(耐力壁に限る。) | 一時間 | 二時間 | 二時間 | |
柱 | 一時間 | 二時間 | 三時間 | |
床 | 一時間 | 二時間 | 二時間 | |
はり | 一時間 | 二時間 | 三時間 | |
屋根 | 三十分間 | |||
階段 | 三十分間 | |||
一 この表において、第二条第一項第八号の規定により階数に算入されない屋上部分がある建築物の部分の最上階は、当該屋上部分の直下階とする。 二 前号の屋上部分については、この表中最上階の部分の時間と同一の時間によるものとする。 三 この表における階数の算定については、第二条第一項第八号の規定にかかわらず、地階の部分の階数は、すべて算入するものとする。 |
2.壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。(遮熱性)
なお、可燃物燃焼温度とは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める温度のいずれか高い方の温度とする。(平成12年5月31日建設省告示第1432号)
イ. 加熱面以外の面のうち最も温度が高い部分の温度 摂氏200度
ロ. 加熱面以外の面の全体について平均した場合の温度 摂氏160度
3.外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。(遮炎性)
が求められています。
非損傷性は、火災による建築物の倒壊防止で、これは、主要構造部が対象で、遮熱性と遮炎性は延焼防止です。
遮熱性は、壁と柱を対象とし、遮炎性は外壁と屋根を対象にしています。
性能
|
具体的意味
|
要求される部位
|
||
非損傷性
|
構造耐力上、支障のある損傷を生じないこと。
|
耐力壁・柱・床はり・屋根・階段
|
||
遮熱性
|
加熱面以外の面(非加熱面)の温度が当該面(非加熱面)に接する可燃物の燃焼のおそれのある温度以上に上昇しないこと。
|
壁・床
|
||
遮炎性
|
加熱面(火災)以外の面に火災を出すおそれのある損傷を生じないこと。
|
外壁・屋根
|
★これらをまとめますと、
耐火構造とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段などの建物の主要な構造部分が、損傷や熱などに対して一定の耐火性能を持った構造
のものです。
そして、一定の耐火性能というのは、通常の火災が起きてから30分から3時間以上の間、建物が倒壊や他に延焼しない性能を持っていることです。
建物の部位や階数ごとに耐火の時間が決められています。
一般的な耐火構造の建物としては、鉄筋コンクリート造、レンガ造、コンクリートブロック造などの建物です。
★一般の木造は耐火構造とすることはできません。
そして、防火地域内での3階建て以上の建物や、準防火地域内での4階建て以上の建物などは、耐火構造の耐火建築物にしなければなりません。
また、鎮火後、補修程度で再使用できるような構造と考えることもできます。
★具体的な、壁、柱、床、はり、屋根、階段の耐火構造の適合仕様は、平成12年5月30日 建設省告示第1399号 、平成16年9月29日 国土交通省告示第1177号による改正(石綿スレートが削除された)により、定められています。
<参照> 平成12年5月30日 建設省告示第1399号 、平成16年9月29日 国土交通省告示第1177号による改正
建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第7号の規定に基づき、耐火構造の構造方法を次のように定める。
第1 壁の構造方法は、次に定めるものとする。この場合において、かぶり厚さ又は厚さは、それぞれモルタル、プラスターその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。
一 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第107条第1号及び第2号に掲げる技術的基準(第1号にあっては、通常の火災による火熱が2時間加えられた場合のものに限る。)に適合する耐力壁である間仕切壁の構造方法にあっては、次のイからチまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造(鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが3センチメートル未満のものを除く。)で厚さが10センチメートル以上のもの
ロ 軸組を鉄骨造とし、その両面を塗厚さが4センチメートル以上の鉄網モルタルで覆ったもの(塗下地が不燃材料で造られていないものを除く。)
ハ 軸組を鉄骨造とし、その両面を厚さが5センチメートル以上のコンクリートブロック、れんが又は石で覆ったもの
ニ 鉄材によって補強されたコンクリートブロック造、れんが造又は石造で、肉厚及び仕上材料の厚さの合計が8センチメートル以上であり、かつ、鉄材に対するコンクリートブロック、れんが又は石のかぶり厚さが5センチメートル以上のもの
ホ 軸組を鉄骨造とし、その両面を塗厚さが3.5センチメートル以上の鉄網パーライトモルタルで覆ったもの(塗下地が不燃材料で造られていないものを除く。)
ヘ 木片セメント板の両面に厚さ1センチメートル以上モルタルを塗ったものでその厚さの合計が8センチメートル以上のもの
ト 高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート製パネルで厚さが7.5センチメートル以上のもの
チ 中空鉄筋コンクリート製パネルで中空部分にパーライト又は気泡コンクリートを充填したもので、厚さが12センチメートル以上であり、かつ、肉厚が5センチメートル以上のもの
二 令第107条第1号及び第2号に掲げる技術的基準(第1号にあっては、通常の火災による火熱が1時間加えられた場合のものに限る。)に適合する耐力壁である間仕切壁の構造方法にあっては、前号に定める構造とするか、又は次のイからホまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造で厚さが7センチメートル以上のもの
ロ 軸組を鉄骨造とし、その両面を塗厚さが3センチメートル以上の鉄網モルタルで覆ったもの(塗下地が不燃材料で造られていないものを除く。)
ハ 軸組を鉄骨造とし、その両面を厚さが4センチメートル以上のコンクリートブロック、れんが又は石で覆ったもの
ニ 鉄材によって補強されたコンクリートブロック造、れんが造又は石造で、肉厚が5センチメートル以上であり、かつ、鉄材に対するコンクリートブロック、れんが又は石のかぶり厚さが4センチメートル以上のもの
ホ コンクリートブロック造、無筋コンクリート造、れんが造又は石造で肉厚及び仕上材料の厚さの合計が7センチメートル以上のもの
三 令第107条第2号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁である間仕切壁の構造方法にあっては、前号に定める構造とすることとする。
四 令第107条に掲げる技術的基準(第1号にあっては、通常の火災による火熱が2時間加えられた場合のものに限る。)に適合する耐力壁である外壁の構造方法にあっては、第1号に定める構造とすることとする、
五 令第107条に掲げる技術的基準(第1号にあっては、通常の火災による火熱が1時間加えられた場合のものに限る。)に適合する耐力壁である外壁の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 前号に定める構造とすること。
ロ 第2号に定める構造とすること。
六 令第107条第二号及び第三号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法にあっては、前号に定める構造とする。
七 令第107条第二号及び第三号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分の構造方法にあっては、前号に定める構造とすることとする。
第2 柱の構造方法は、次に定めるものとする。この場合において、かぶり厚さ又は厚さは、それぞれモルタル、プラスターその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。
一 令第107条第一号に掲げる技術的基準(通常の火災による火熱が3時間加えられた場合のものに限る。)に適合する柱の構造方法は、小径を40cm以上とし、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造(鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが6cm未満のものを除く。)
ロ 鉄骨を塗厚さが8cm(軽量骨材を用いたものについては7cm)以上の鉄網モルタル、厚さが9cm(軽量骨材を用いたものについては8cm)以上のコンクリートブロック又は厚さが9cm以上のれんが若しくは石で覆ったもの
二 令第107条第一号に掲げる技術的基準(通常の火災による火熱が2時間加えられた場合のものに限る。)に適合する柱の構造方法は、次に定めるものとする。
イ 前号に定める構造とすること。
ロ 小径を25cm以上とし、かつ、次の(1)から(3)までのいずれかに該当する構造とすること。
(1) 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造(鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが5cm未満のものを除く。)
(2) 鉄骨を塗厚さが6cm(軽量骨材を用いたものについては5cm)以上の鉄網モルタル、厚さが7cm(軽量骨材を用いたものについては6cm)以上のコンクリートブロック又は厚さが7cm以上のれんが若しくは石で覆ったもの
(3) 鉄骨を塗厚さが4cm以上の鉄網パーライトモルタルで覆ったもの
三 令第107条第一号に掲げる技術的基準(通常の火災による火熱が1時間加えられた場合のものに限る。)に適合する柱の構造方法は、次に定めるものとする。
イ 前号に定める構造とすること。
ロ 次の(1)から(3)までのいずれかに該当する構造とすること。
(1) 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造
(2) 鉄骨を塗厚さが4cm(軽量骨材を用いたものについては3cm)以上の鉄網モルタル、厚さが5cm(軽量骨材を用いたものについては4cm)以上のコンクリートブロック又は厚さが5cm以上のれんが若しくは石で覆ったもの
(3) 鉄材によって補強されたコンクリートブロック造、れんが造又は石造で鉄材に対するコンクリートブロック、れんが又は石のかぶり厚さが5cm以上のもの
第3 床の構造方法は、次に定めるものとする。この場合において、かぶり厚さ又は厚さは、それぞれモルタル、プラスターその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。
一 令第107条第一号及び第二号に掲げる技術的基準(第一号にあっては、通常の火災による火熱が2時間加えられた場合のものに限る。)に適合する床の構造方法は、次のイからハまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造で厚さが10cm以上のもの
ロ 鉄材によって補強されたコンクリートブロック造、れんが造又は石造で、肉厚及び仕上材料の厚さの合計が8cm以上であり、かつ、鉄材に対するコンクリートブロック、れんが又は石のかぶり厚さが5cm以上のもの
ハ 鉄材の両面を塗厚さが5cm以上の鉄網モルタル又はコンクリートで覆ったもの(塗下地が不燃材料で造られていないものを除く。)
二 令第107条第一号及び第二号に掲げる技術的基準(第一号にあっては、通常の火災による火熱が1時間加えられた場合のものに限る。)に適合する床の構造方法は、次のイからハまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造で厚さが7cm以上のもの
ロ 鉄材によって補強されたコンクリートブロック造、れんが造又は石造で、肉厚が5cm以上であり、かつ、鉄材に村するコンクリートブロック、れんが又は石のかぶり厚さが4cm以上のもの
ハ 鉄材の両面を塗厚さが4cm以上の鉄網モルタル又はコンクリートで覆ったもの(塗下地が不燃材料で造られていないものを除く。)
第4 はりの溝造方法は、次に定めるものとする。この場合において、かぶり厚さ又は厚さは、それぞれモルタル、プラスターその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。
一 令第107条第一号に掲げる技術的基準(通常の火災による火熱が3時間加えられた場合のものに限る。)に適合するはりの構造方法は、次のイからハまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造(鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが6cm未満のものを除く。)
ロ 鉄骨を塗厚さが8cm(軽量骨材を用いたものについては7cm)以上の鉄網モルタル、厚さが9cm(軽量骨材を用いたものについては8cm)以上のコンクリートブロック又は厚さが9cm以上のれんが若しくは石で覆ったもの
ハ 鉄骨を塗厚さが5cm以上の鉄網パーライトモルタルで覆ったもの
二 令第107条第一号に掲げる技術的基準(通常の火災による火熱が2時間加えられた場合のものに限る。)に適合するはりの構造方法は、次のイからハまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造(鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが5cm未満のものを除く。)
ロ 鉄骨を塗厚さが6cm(軽量骨材を用いたものについては5cm)以上の鉄網モルタル、厚さが7cm(軽量骨材を用いたものについては6cm)以上のコンクリートブロック又は厚さが7cm以上のれんが若しくは石で覆ったもの
ハ 鉄骨を塗厚さが4cm以上の鉄網パーライトモルタルで覆ったもの
三 令第107条第一号に掲げる技術的基準(通常の火災による火熱が1時間加えられた場合のものに限る。)に適合するはりの構造方法は、次のイからニまでのいずれかに該当する構造とすることとする。
イ 前号に定める構造
ロ 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造
ハ 鉄骨を塗厚さが4cm(軽量骨材を用いたものについては3cm)以上の鉄網モルタル、厚さが5cm(軽量骨材を用いたものについては4cm)以上のコンクリートブロック又は厚さが5cm以上のれんが若しくは石で覆ったもの
ニ 床面からはりの下端までの高さが4m以上の鉄骨造の小屋組で、その直下に天井がないもの又は直下に不燃材料又は準不燃材料で造られた天井があるもの
第5 令第107条第一号及び第三号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、次の各号のいずれかに該当する構造とすることとする。
一 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造
二 鉄材によって補強されたコンクリートブロック造、れんが造又は石造
三 鉄網コンクリート若しくは鉄網モルタルでふいたもの又は鉄網コンクリート、鉄網モルタル、鉄材で補強されたガラスブロック若しくは網入ガラスで造られたもの
四 鉄筋コンクリート製パネルで厚さ4cm以上のもの
五 高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート製パネル
第6 令第107条第一号に掲げる技術的基準に適合する階段の構造方法は、次の各号のいずれかに該当する構造とすることとする。
一 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造
二 無筋コンクリート造、れんが造、石造又はコンクリートブロック造
三 鉄材によって補強されたれんが造、石造又はコンクリートブロック造
四 鉄造
★今後、勉強していくと、次の「準耐火構造」との違い、「防火構造」との違いがはっきりしないので、纏めると
耐火性能 | 火災が終了するまで建築物が燃えないようにする性能 |
準耐火性能 | 建築物が燃え広がらないようにする性能 |
防火・準防火性能 | 建築物が火災をもらわないようにする性能 |
★★2条7の2号:定義:準耐火構造
定義の次は、準耐火構造です。
★準耐火構造(7の2号)とは...耐火構造に準ずる耐火性能をもっている構造のことです。@壁・A柱・B床・Cはり・D屋根・E階段などの建築物の主要構造部のうち、準耐火の基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いたものか、国土交通大臣の認定を受けたものです。
都市計画区域内に設けられた防火地域や準防火地域では、準耐火構造になった準耐火建築物以上にしなければならない地域もあります。(建築基準法第61条、建築基準法第62条参照)
★「耐火構造」と「準耐火構造」の違い 〜鎮火後再利用できるか〜
耐火構造と準耐火構造の大きな違いは、
・耐火構造は、鎮火後、補修程度で再使用できるような構造をいい倒壊防止も入っていますが、
・準耐火構造は延焼抑制を目的として、倒壊防止や鎮火後の再使用は想定していないところです。
ある建築物の構造が準耐火構造かどうかは、主要構造部のそれぞれが、火災が終わるまでの間、延焼を防止するのに必要な性能をもっているかによります。
★木造でも、準耐火構造にできることもある
一般の木造住宅はそのままでは準耐火構造となりませんが、木材の表面を石膏ボードで覆ったり、防火構造の外壁材を用い、内装下地に石膏ボードを使用するなどして準耐火性能をもつことができます。
★準耐火構造が、対象としている建築物の部分は、耐火構造と同じように、@壁、A柱、B床、その他の部分(Cはり、D屋根、E階段)です。
これらの部分が、「準耐火性能」...通常の火災による延焼を抑制するために当該建築物の部分に必要とされる性能を有しなければなりません。
★準耐火性能の技術的基準は、
1. 通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること(非損傷性)が求められています。(建築基準法施行令第107条の2)
建築物の部分によって、以下のように定められています。(耐火性能のような階数は規定がありません。)
壁 | 間仕切壁(耐力壁に限る。) | 四十五分間 |
外壁(耐力壁に限る。) | 四十五分間 | |
柱 | 四十五分間 | |
床 | 四十五分間 | |
はり | 四十五分間 | |
屋根(軒裏を除く。) | 三十分間 | |
階段 | 三十分間 |
2. 壁、床及び軒裏(外壁によつて小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除き、延焼のおそれのある部分に限る。)にあつては、これらに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後四十五分間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び軒裏(外壁によつて小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除き、延焼のおそれのある部分以外の部分に限る。)にあつては、三十分間)当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。(遮熱性)
3. 外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後四十五分間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。(遮炎性)
★具体的な、壁、柱、床、はり、屋根、階段の耐火構造の適合仕様は、平成12年5月24日 建設省告示第1358号、平成16年3月22日 国土交通省告示第334号による改正、平成16年7月7日 国土交通省告示第789号による改正、平成16年9月29日 国土交通省告示第1172号による改正(石綿スレートが削除された)により、定められています。
<参照> 平成12年5月24日 建設省告示第1358号、平成16年3月22日 国土交通省告示第334号による改正、平成16年7月7日 国土交通省告示第789号による改正、平成16年9月29日 国土交通省告示第1172号による改正
建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第7号の2の規定に基づき、準耐火構造の構造方法を次のように定める。
第1 壁の構造方法は、次に定めるもの(第1号ロ、第3号ロ及び第5号ハに定める構造方法にあっては、防火被覆の取合いの部分、目地の部分その他これらに類する部分(以下「取合い等の部分」という。)を、当該取合い等の部分の裏面に当て木を設ける等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とするものに限る。)とする。
一 建築基準法施行令(以下「令」という。)第107条の2第1号及び第2号に掲げる技術的基準に適合する耐力壁である間仕切壁の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造(耐力壁である間仕切壁に係るものに限る。)とすること。 ロ 次の(1)から(3)までのいずれかに該当するもの
(1) 間柱及び下地を木材又は鉄材で造り、かつ、その両側にそれぞれ次の(@)から(C)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられたものとすること。
(@) 厚さが15ミリメートル以上のせっこうボード(強化せっこうボードを含む。以下同じ。)
(A) 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボードの上に厚さが9ミリメートル以上のせっこうボード又は難燃合板を張ったもの
(B) 厚さが9ミリメートル以上のせっこうボード又は難燃合板の上に厚さが12ミリメートル以上のせっこうボードを張ったもの
(C) 厚さが7ミリメートル以上のせっこうラスボードの上に厚さ8ミリメートル以上せっこうプラスターを塗ったもの
(2) 間柱及び下地を不燃材料で造り、かつ、その両側にそれぞれ次の(@)から(B)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられた構造とすること。
(@) 鉄網モルタル塗で塗厚さが1.5センチメートル以上のもの
(A) 木毛セメント板張又はせっこうボード張の上に厚さ1センチメートル以上モルタル又はしっくいを塗ったもの
(B) 木毛セメント板の上にモルタル又はしっくいを塗り、その上に金属板を張ったもの
(3) 間柱若しくは下地を不燃材料以外の材料で造り、かつ、その両側にそれぞれ次の(@)から (G)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられた構造とすること。
(@) 鉄網モルタル塗又は木ずりしっくい塗で塗厚さが2センチメートル以上のもの
(A) 木毛セメント板張又はせっこうボード張の上に厚さ1.5センチメートル以上モルタル又はしっくいを塗ったもの (B) モルタル塗の上にタイルを張ったものでその厚さの合計が2.5センチメートル以上のもの
(C) セメント板張又は瓦張りの上にモルタルを塗ったものでその厚さの合計が2.5センチメートル以上のもの
(D) 土蔵造
(E) 土塗真壁造で裏返塗りをしたもの
(F) 厚さが1.2センチメートル以上のせっこうボード張の上に亜鉛鉄板を張ったもの
(G) 厚さが2.5センチメートル以上の岩綿保温板張の上に亜鉛鉄板を張ったもの
二 令第107条の2第2号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁である間仕切壁の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造とすること。
ロ 前号ロに定める構造とすること。
三 令第107条の2に掲げる技術的基準に適合する耐力壁である外壁の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造(耐力壁である外壁に係るものに限る。)とすること。
ロ 間柱及び下地を木材又は鉄材で造り、その屋外側の部分に次の(1)から(5)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられ、かつ、その屋内側の部分に第一第1号ロ(1)
(@)から(F)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられた構造とすること。
(1) 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボードの上に金属板を張ったもの
(2) 木毛セメント板又はせっこうボードの上に厚さ15ミリメートル以上モルタル又はしっくいを塗ったもの
(3) モルタルの上にタイルを張ったものでその厚さの合計が25ミリメートル以上のもの
(4) セメント板又は瓦の上にモルタルを塗ったものでその厚さの合計が25ミリメートル以上のもの
(5) 厚さが25ミリメートル以上のロックウール保温板の上に金属板を張ったもの
四 令第107条の2第2号及び第3号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造とすること。
ロ 前号ロに定める構造とすること。
五 令第107条の2第2号及び第3号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 耐火構造とすること。
ロ 第3号ロに定める構造とすること。
ハ 間柱及び下地を木材又は鉄材で造り、その屋外側の部分に第3号(1)から(7)(5)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられ、かつ、その屋内側の部分に次の(1)又は(2)に該当する防火被覆が設けられた構造とすること。 (1) 厚さが8ミリメートル以上のスラグせっこう系セメント板
(2) 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード
第2 令第107条の2第1号に掲げる技術的基準に適合する柱の構造方法は、次に定めるものとする。
一 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造とすること。
二 第1第1号ロ(1)(@)から(C)までのいずれかに該当する防火被覆を設けるか、又は次に掲げる基準に適合する構造とすること。
イ 令第46条第2項第1号イ及びロに掲げる基準に適合していること。
ロ 当該柱を接合する継手又は仕口が、昭和62年建設省告示第1901号に定める基準に従って、通常の火災時の加熱に対して耐力の低下を有効に防止することができる構造であること。この場合において、同告示第一号イ中「2.5センチメートル」とあるのは「3.5センチメートル」と、同号ロ中「3センチメートル」とあるのは「4.5センチメートル」と読み替えるものとする。第4第2号ロにおいて同じ。
ハ 当該柱を有する建築物全体が、昭和62年建設省告示第1902号に定める基準に従った構造計算によって通常の火災により容易に倒壊するおそれのないことが確かめられた構造であること。この場合において、同告示第二号イ中「2.5センチメートル」とあるのは「3.5センチメートル」と、同号ロ中「3センチメートル」とあるのは「4.5センチメートル」と読み替えるものとする。第4第2号ハにおいて同じ。
ニ 防火被覆の取合い等の部分を、当該取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること。
第3 令第107条の2第1号及び第2号に掲げる技術的基準に適合する床の構造方法は、次に定めるものとする。
一 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造とすること。
二 根太及び下地を木材又は鉄材で造り、かつ、次に掲げる基準に適合する構造とすること。
イ 表側の部分に次の(1)から(4)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられていること。
(1) 厚さが12ミリメートル以上の構造用合板、構造用パネル、パーティクルボード、デッキプレートその他これらに類するもの(以下「合板等」という。)の上に厚さが9ミリメートル以上のせっこうボード若しくは軽量気泡コンクリート又は厚さが8ミリメートル以上の硬質木片セメント板を張ったもの
(2) 厚さが12ミリメートル以上の合板等の上に厚さ12ミリメートル以上モルタル、コンクリート(軽量コンクリート及びシリンダーコンクリートを含む。以下同じ)又はせっこうを塗ったもの。
(3) 厚さが30ミリメートル以上の木材
(4) 畳(ポリスチレンフォームの畳床を用いたものを除く。)
ロ 裏側の部分又は直下の天井に次の(1)又は(2)に該当する防火被覆が設けられていること。
(1) 厚さが15ミリメートル以上の強化せっこうボード
(2) 厚さが12ミリメートル以上の強化せっこうボードの上に厚さが50ミリメートル以上のロックウール(かさ比重が0.04以上のものに限る。以下同じ。)又はグラスウール(かさ比重0.024以上のものに限る。以下同じ。)を張ったもの
ハ 防火被覆の取合い等の部分が、当該取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること。
第4 令第107条の2第1号に掲げる技術的基準に適合するはりの構造方法は、次に定めるものとする。
一 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造とすること。
二 第3第2号ロ(1)又は(2)に該当する防火被覆を設けるか、又は次に掲げる基準に適合する構造とすること。
イ 令第46条第2項第1号イ及びロに掲げる基準に適合していること。
ロ 当該はりを接合する継手又は仕口が、昭和62年建設省告示第1901号に定める基準に従って、通常の火災時の加熱に対して耐力の低下を有効に防止することができる構造であること。
ハ 当該はりを有する建築物全体が、昭和62年建設省告示第1902号に定める基準に従った構造計算によって、通常の火災により容易に倒壊するおそれのないことが確かめられた構造であること。
ニ 防火被覆の取合い等の部分が、当該取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること。
第5 屋根の構造方法は、次に定めるものとする。
一 令第107条の2第1号及び第3号に掲げる技術的基準に適合する屋根(軒裏を除く。)の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 耐火構造とすること。
ロ 次に定める構造とすること。
(1) 不燃材料で造るか、又はふいたもの
(2) 屋内側の部分又は直下の天井及び軒裏に次の(@)から(F)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられたもの
(@) 厚さが12ミリメートル以上の強化せっこうボード
(A) 厚さが9ミリメートル以上のせっこうボードの上に厚さが9ミリメートル以上のせっこうボードを張ったもの
(B) 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボードの上に厚さが50ミリメートル以上のロックウール又はグラスウールを張ったもの
(C) 厚さが12ミリメートル以上の硬質木片セメント板
(D) 第1第3号ロ(1)から(5)までのいずれかに該当するもの
(E) 塗厚さが20ミリメートル以上の鉄網モルタル
(F) 繊維混入ケイ酸カルシウム板を2枚以上張ったもので、その厚さの合計が16ミリメートル以上のもの
(3) 防火被覆の取合い等の部分が、当該取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができるもの
二 令第107条の2第2号及び第3号に掲げる技術的基準に適合する軒裏(外壁によって小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除く。)の構造方法にあっては、次に定めるものとする。
イ 令第115条の2の2第1項第1号に規定する構造とすること。
ロ 前号ロ(2)(C)又は(D)に該当する防火被覆が設けられ、かつ、防火被覆の取合い等の部分を、当該取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること。
ハ 野地板(厚さが30ミリメートル以上のものに限る。)及びたるきを木材で造り、これらと外壁(軒桁を含む。)とのすき間に厚さが45ミリメートル以上の木材の面戸板を設け、かつ、たるきと軒桁との取合い等の部分を、当該取合い等の部分にたるき欠きを設ける等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること。
第6 令第107条の2第1号に掲げる技術的基準に適合する階段の構造方法は、次に定めるものとする。
一 耐火構造とすること。
二 段板及び段板を支えるけたが木材で造られたもので、当該木材の厚さが6センチメートル以上のもの又は次のイ又はロのいずれかに該当する構造とすること。
イ 当該木材の厚さが3.5センチメートル以上のもので、段板の裏面に第5第1号ロ(2)(@)から(D)までのいずれかに該当する防火被覆が施され、かつ、けたの外側の部分に第1第5号ハ(1)又は(2)(屋外側にあっては、第1第3号ロ(1)から(7)までのいずれか)に該当する防火被覆が設けられたもの
ロ 段板の裏面に第3第2号ロ(1)又は(2)に該当する防火被覆が設けられ、かつ、けたの外側の部分に第1第1号ロ(1)(@)から(C)までのいずれか(屋外側にあっては、第1第3号ロ(1)から(5)
までのいずれか)に該当する防火被覆が設けられたもの
★2条8号:定義:防火構造
定義のつぎは、「防火構造」と条文の中で規定されています「防火性能」です。
★防火構造(8号)とは... 建築物の周囲で発生した火災から、延焼を防止するために必要な防火性能を有する
@外壁
A軒裏
の構造を定めています。
いいかえますと、建物の外壁や屋根の軒裏の仕上げが、一定の防火性能を持った構造のことです。
一定の防火性能というのは、周囲で起きた火災からの延焼を30分以上防ぐことができる性能を意味しています。
具体的には、外壁の屋外側を鉄網(ラス)モルタル塗りやサイディング貼りなどにしたり、壁内の間柱や下地に石膏ボードを貼ったり、または準耐火構造などにすることです。
防火構造の建築物は、準防火地域内の木造建築物(3階建ては準耐火建築物)に要求される構造で、延焼のおそれのある部分の外壁・軒裏・開口部に防火性能が要求され、延焼のおそれのない部分は適用されません。また、屋根は不燃材料で葺く必要があります。(建築基準法第62条2項)
★耐火構造、準耐火構造と防火構造の違い
耐火構造、準耐火構造では、通常の火災が対象で、建築物の内部から発生する火災の延焼防止の遮炎性が要求されていましたが、防火構造は、建築物の周囲で発生した火災からの守りです。
防火構造には、遮炎性が要求されていません。
耐火性能 | 火災が終了するまで建築物が燃えないようにする性能 |
準耐火性能 | 建築物が燃え広がらないようにする性能 |
防火・準防火性能 | 建築物が火災をもらわないようにする性能 |
★防火性能とは...建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能のことです。(建築基準法第2条8号)
建築基準法での、防火構造が対象としているのは、
@外壁 と
A軒裏
だけです。
壁の場合は、屋内側と屋内側の両面が対象となり、軒裏は壁の屋外側と同じ規制となります。
ここで、規定されている外壁・軒裏に必要とされる「防火性能」は、(建築基準法施行令第108条)
<参照> 建築基準法施行令第108条
(防火性能に関する技術的基準)
第百八条 法第二条第八号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
一 耐力壁である外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(注:非損傷性)
二 外壁及び軒裏にあつては、これらに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
(注:遮熱性)
ということで、耐力壁を兼ねる外壁は、30分間の変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないも性能が求められています。
耐力壁でない外壁と軒裏は、共に30分間の可燃物燃焼温度以上に上昇しない遮熱性が必要です。
耐火構造、準耐火構造で要求されていた、遮炎性がないことに注意のこと。
これも、具体的には、
<参照> (平成12年5月24日 建設省告示第1359号、平成16年7月7日国土交通省告示第788号による改正、平成16年9月29日国土交通省告示第1173号による改正。石綿スレートが削除された。)
@耐火構造・準耐火構造(耐力壁である外壁に係るものに限る。)
A土蔵造
B土塗真壁造で、塗厚さが40ミリメートル以上のもの
C外壁の屋内側にあっては、
(@) 厚さ9.5ミリメートル以上のせっこうボードを張ったもの、
(A) 厚さ75ミリメートル以上のグラスウール若しくはロックウールを充填した上に厚さ4ミリメートル以上の合板、構造用パネル、パーティクルボード若しくは木材を張ったもの
D外壁の屋外側または軒裏は、次の(i)から(vii)までのいずれかに該当するもの(間柱及び下地を不燃材料で造くる場合)
(@) 鉄網モルタル塗で塗厚さが 15ミリメートル以上のもの
(A) 木毛(もくもう)セメント板張又はせっこうボード張の上に厚さ10ミリメートル以上モルタル又はしっくいを塗ったもの
(B) 木毛セメント板の上にモルタル又はしっくいを塗り、その上に金属板を張ったもの
(C) モルタル塗の上にタイルを張ったもので、その厚さの合計が25ミリメートル以上のもの
(D) セメント板張又は瓦張りの上にモルタルを塗ったもので、その厚さの合計が25ミリメートル以上のもの
(E) 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード張の上に亜鉛鉄板を張ったもの
(F) 厚さが25ミリメートル以上の岩綿保温板張の上に亜鉛鉄板を張ったもの
★木毛(もくもう)セメント板とは...こんな建築材料のあることは知りませんでした。読み方も(きもう)と読んでいました。正式には、もくもう(木毛)セメント板とのことです。これは、木とセメントと水からできている建築材料です。木材を10cm〜30cmの長さのリボン状に切削し、セメントと混入し練り混ぜ圧縮成型し板状にしたものを言います。住宅のモルタルの下地やホールなどの屋根下地、壁下地として使用され、特長として、防火性、遮音性、に優れています。
◎準防火性能もある
★準防火性能について...防火地域・準防火地域の指定が無い場合の市街地で、特定行政庁が指定した区域(法22条地域という)においては、延焼の恐れのある外壁部分に準防火性能が必要です。(建築基準法第23条)。準防火性能は、軒裏には適用されません。
<参照> 建築基準法第23条
(外壁)
第二十三条 前条第一項の市街地の区域内にある建築物(その主要構造部の第二十一条第一項の政令で定める部分が木材、プラスチックその他の可燃材料で造られたもの(次条、第二十五条及び第六十二条第二項において「木造建築物等」という。)に限る。)は、その外壁で延焼のおそれのある部分の構造を、準防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する土塗壁その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
そして、準防火性能の技術的基準は、建築基準法施行令第109条の9 6 により、
<参照> 建築基準法施行令第109条の9 6
(準防火性能に関する技術的基準)
第百九条の九 法第二十三条の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
一 耐力壁である外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
二 外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
とあり、耐力壁を兼ねる外壁は、20分間の変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないも性能が求められています。
耐力壁でない外壁は、共に20分間の可燃物燃焼温度以上に上昇しない遮熱性が必要です。
★再度、構造と性能のまとめです。
No. | 構造 | 対象の部分 | 求められる性能 | 性能の内容 |
1 | 耐火構造 | 柱、はり、壁、床、、屋根、階段 | 耐火性能 | 通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能 |
2 | 準耐火構造 | 柱、はり、壁、床、、屋根、階段 | 準耐火性能 | 通常の火災による延焼を抑制するために当該建築物の部分に必要とされる性能 |
3 | 防火構造 | 外壁または軒裏 | 防火性能 | 建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能 |
4 | 準防火構造 | 外壁 | 準防火性能 | 建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能 |
第二条 (続き) |
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 九 不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。 (続く) |
★2条9号:定義:不燃材料
定義の次は、不燃材料です。構造に対する建築材料です。
★不燃材料(9号)は、防火材料の一部で、防火材料は、その不燃性能に応じて、建築基準法と、建築基準法施行令により、
@不燃材料 (建築基準法第2条9号)
A準不燃材料(建築基準法施行令第第1条5号)
B難燃材料 (建築基準法施行令第1条6号)
に分けられます。
★防火材料の3つの要件
これらの、不燃性能と技術的基準は、建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、次に掲げる要件を満たしていることです。
一 燃焼しないものであること(非燃焼性)
二 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること(非損傷性)
三 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること(非発煙性)
★防火材料の不燃性能
そして、これらの要件に対して、求められる性能は、通常の火災による火熱が加えられた場合に
@不燃材料... 加熱開始後 20分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令第108条の2)
A準不燃材料...加熱開始後 10分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令1条5号)
B難燃材料... 加熱開始後 5分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令1条6号)
となっています。
★具体的な、不燃材料には、 コンクリート 、れんが 、瓦 、陶磁器質タイル 、繊維強化セメント板 、厚さが3ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板 、厚さが5ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板 、鉄鋼 、アルミニウム、金属板、ガラス、モルタル、しっくい、石 、厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6ミリメートル以下のものに限る。) 、ロックウール、グラスウール板 、その他に国土交通大臣が認定したもの があります。(平成12年5月30日 建設省告示第1400号、平成16年9月29日 国土交通省告示第1178号による改正。石綿スレートがなくなった。)
★準不燃材料には、不燃材料のほかに、 厚さが9mm以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のものに限る。)、厚さが15mm以上の木毛セメント板、厚さが9mm以上の硬質木片セメント板(かさ比重が0.9以上のものに限る。、厚さが30mm以上の木片セメント板(かさ比重が0.5以上のものに限る。)、厚さが6mm以上のパルプセメント板、その他に国土交通大臣が認定したものがあります。(平成12年5月30日建設省告示第1401号)
★難燃材料には、不燃材料、準不燃材料のほかに、難燃合板で厚さが5.5mm以上のもの、厚さが7mm以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.5mm以下のものに限る。)、その他に国土交通大臣が認定したもの があります。(平成12年5月30日建設省告示第1402号)
★せっこうボードは、厚さによって、防火材料の名称が異なる
上の材料の告示によると、
1.厚さ12mm以上のせっこうボード...不燃材料
2.厚さ 9mm以上のせっこうボード...準不燃材料
3.厚さ 7mm以上のせっこうボード...難燃材料
です。
各防火材料は、それより性能の優れた材料を含む関係にあります。
★因みに、せっこうボードとは、
せっこうボードは、せっこうを芯材として両面をボード用原紙で被覆し、板状に成形したものです。
原料のせっこうには、 天然に産出するせっこうと、 火力発電所などから発生する排煙脱硫せっこう等が使用されています。
せっこうを被覆しているボード用原紙は、新聞・雑誌などの回収故紙から製造されており、森林資源の枯渇防止にも役立っています。
現在、 せっこうボードは建築物の壁、 天井の下地材として最も多く使われている材料で、 アメリカではジプサムウォールボード、
イギリスではプラスターボードともいわれています。
★せっこうボードの特徴
◎火に強い...せっこうボードの芯材は無機質のせっこうですので、燃えることはありません。せっこうには、約21%の結晶水が安定した形で含まれています。これは、ボード1枚に、1升ビン約1本分の水を含んでいる計算になります。火災時にせっこうボードが高温にさらされるとこの結晶水が熱分解し、水蒸気となって徐々に放出され、温度の上昇を遅らせる働きをします。また、せっこうそのものが、伝熱を防止するバリアの役割を果たします。
◎音を通しにくい...せっこうボードには音を通しにくい性質があります。 せっこうボードを1枚で用いるほか、 厚手品の使用や複数枚の重ね張り、さらには吸音材との併用により、たいへん優れた遮音性能を得ることができます。
アパートの住戸間の界壁や、ホテル・病院の壁など、 プライバシーや静けさが要求される場所でもよく使われています。
◎ 気密性・断熱性が得られる ...せっこうボードは、十分な気密性を持った材料ですが、建物の下地材や仕上げ材として使ったときの目地や隅・角などの継ぎ目の部分でも専用の材料や部品を用いてすき間なく処理することができ、気密性が保たれます。
さらに断熱材と複合使用することにより、優れた断熱効果が得られ、暖房や冷房の効果を最大限に発揮することができます。
◎狂わない ...せっこうボードは、 温度や湿度の変化に影響されず、 伸び縮みや歪みがほとんどありません。したがって、 高い精度の施工が可能ですし、また長期間の使用に際しても狂いが出てくることがありません。
さらに、せっこうボードの狂わない性質が、建物の気密性や遮音性能を十分に発揮しています。
●弱点...せっこうボードは水に弱く、水を含むと強度が落ち、 また、強い衝撃を受けると凹むなどの欠点があります。
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★防火試験があり、証明が必要です。この試験を誤魔化して、パスさせた事件があります。
参考までに、不燃材料認定試験は、試験体を720度にて20分間保持し、試験体に亀裂の発生や有害ガスが発生しないか確認し、不燃材かどうかの判定をしています。粘土瓦以外のセメント瓦や化粧スレートが不燃材の認定を製品毎に取得しているのは、表面に塗装した塗料が燃焼し、有害ガスが発生する可能性や試験体に亀裂が発生する可能性があるからです。ちなみに釉薬瓦の表面着色層は、釉薬というガラス状の層であり焼成によって形成されます。そのため釉薬自体も不燃性です。
<2008年1月の記事> ニチアスと東洋ゴム工業は1月8日、建材の大臣認定を不正取得した問題で、調査報告書を公表した。国土交通省が両社に対し、問題となった建材を使用した建築物の特定と改修などの対策、不正受験の原因究明や再発防止策について報告を求めていた。国交省も同日、両社の報告に加え、不正を見逃した指定性能評価機関の報告の内容を公表した。
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★2条9の2号:定義:耐火建築物
定義のつぎは、耐火建築物です。
★耐火建築物(9の2号)とは...主要構造部が耐火構造であるもの又は耐火性能検証法等により火災が終了するまで耐えられることが確認されたもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物のことをいいます。
火災にあっても、崩れ落ちたりすることがなく、また火が燃え広がることのない性能を持っている建築物です。
それには火災をくい止めるために必要な、防火設備などもついていなくてはいけませんし、主要である構造の部分において耐火構造であることも上げられるます。
これらの規定を備えることにより、従来より火災に対して耐えることができる建築物であるといえます。またその外壁においても火に対して強くなくてはいけません。
★ 耐火建築物であるためには、
もう一度、定義に戻りますが、
◎主要構造部とは...壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。(建築基準法第2条5号)
◎防火設備とは...その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。具体的には、防火戸やドレンチャー(水幕で炎をさえぎる。スプリンクラーと似ているが、スプリンクラーは炎を消すので、消火設備である。主に、文化財などを周囲の火災からの延焼を防止する。)等を設けること。
(建築基準法第2条9の2 ロ)
炎を遮る構造をもっているのが、防火設備です。
★耐火建築物には、2種類がある。
ア.一般には、
1.主要構造部が、耐火構造(7号参照)であること
2.外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設ける
イ.耐火性能検証法による耐火建築物もある。
1.政令で定める技術的基準に適合(耐火性能検証法)すれば、主要構造部が、耐火構造でなくてもいい。
2.この場合でも、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設ける。
単に、主要構造部を、鉄筋コンクリート造などの耐火構造としただけでは、耐火建築物ではありません。
さらに、延焼のおそれのある外壁の開口部に防火設備が必要です。
★技術的基準に求められる耐火に関する性能は、建築基準法施行令第108条の3
<参照> 建築基準法施行令第108条の3
(耐火建築物の主要構造部に関する技術的基準)
第百八条の三 法第二条第九号の二 イ(2)の政令で定める技術的基準は、主要構造部が、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 主要構造部が、次のイ及びロ(外壁以外の主要構造部にあつては、イ)に掲げる基準に適合するものであることについて耐火性能検証法により確かめられたものであること。
イ 主要構造部ごとに当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該主要構造部が次に掲げる要件を満たしていること。
(1) 耐力壁である壁、柱、床、はり、屋根及び階段にあつては、当該建築物の自重及び積載荷重(第八十六条第二項ただし書の規定によつて特定行政庁が指定する多雪区域における建築物の主要構造部にあつては、自重、積載荷重及び積雪荷重。以下この条において同じ。)により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2) 壁及び床にあつては、当該壁及び床の加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
(3) 外壁及び屋根にあつては、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。
ロ 外壁が、当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が一時間(延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、次に掲げる要件を満たしていること。
(1) 耐力壁である外壁にあつては、当該外壁に当該建築物の自重及び積載荷重により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2) 外壁の当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
二 前号イ及びロ(外壁以外の主要構造部にあつては、同号イ)に掲げる基準に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
2 前項の「耐火性能検証法」とは、次に定めるところにより、当該建築物の主要構造部の耐火に関する性能を検証する方法をいう。
(以下、略)
★耐火性能検証法とは、技術的基準に基づき、建築物での火災を予測し、主要構造部が、部屋内で発生が予測される火災及び周囲において、通常の火災による火熱に、火災が終了するまで耐えることを検証する方法です。
主要構造部は屋内の火災に耐えることであり、外壁は屋外からの火災にも耐えなければいけません。
★耐火性能検証法の詳細は、平成12年建設省告示第1433号にあります。(省略)
★防火設備に求められる遮炎性能 (建築基準法施行令第109条の2)
20分間の遮炎性能が求められています。
<参照> 建築基準法施行令第109条の2
(遮炎性能に関する技術的基準)
第百九条の二 法第二条第九号の二 ロの政令で定める技術的基準は、防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであることとする。
★防火設備の適合仕様
鉄製防火戸は厚さが0.8mm〜1.5mmとか、網入りガラスが規定されています。(平成12年5月24日建設省告示第1360号)
<参照> 建設省告示第1360号 防火設備の構造方法を定める件
建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第九号の二ロの規定に基づき、防火設備の構造方法を次のように定める。
第1 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第109条の2に定める技術的基準に適合する防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。
一 建築基準法施行令第114条第5項において準用する建築基準法施行令第112条第16項に規定する構造とすること。
二 次のイからホまでのいずれかに該当する構造とすること。
イ 鉄製で鉄板の厚さが0.8mm以上1.5mm未満のもの
ロ 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが3.5cm未満のもの
ハ 土蔵造の戸で厚さが15cm未満のもの
ニ 鉄及び網入ガラスで造られたもの
ホ 骨組を防火塗料を塗布した木材製とし、屋内面に厚さが1.2cm以上の木毛セメント板又は厚さが0.9cm以上のせっこうボードを張り、屋外面に亜鉛鉄板を張ったもの
三 前号イ又はニに該当するものは、周囲の部分(防火戸から内側に15cm以内の間に設けられた建具がある場合においては、その建具を含む。)が不燃材料で造られた開口部に取り付けなければならない。
四 開口面積が0.5m2以内の開口部に設ける戸で、防火塗料を塗布した木材及び網入りガラスで造られたもの
第2 第1に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。
★注意:網入りガラスは、防火用であって、「防犯用」ではありません!(試験にでた。)
★おまけ。特定防火設備もある
<参照> 平成12年5月25日建設省告示第1369号
特定防火設備の構造方法を定める件
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第1項の規定に基づき、特定防火設備の構造方法を次のように定める。
第1 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間加熱面以外の面に火炎を出さない防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。
一 骨組を鉄製とし、両面にそれぞれ厚さが0.5mm以上の鉄板を張った防火戸とすること。
二 鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上の防火戸又は防火ダンパーとすること。
三 前二号に該当する防火設備は、周囲の部分(防火戸から内側に15cm以内の間に設けられた建具がある場合においては、その建具を含む。)が不燃材料で造られた開口部に取り付けなければならない。
四 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが3.5cm以上の戸とすること。
五 土蔵造で厚さが15cm以上の防火戸とすること。
六 建築基準法施行令第109条第2項に規定する防火設備とみなされる外壁、そで壁、塀その他これらに類するものにあっては、防火構造とすること。
七 開口面積が100cm2以内の換気孔に設ける鉄板、モルタル板その他これらに類する材料で造られた防火覆い又は地面からの高さが1m以下の換気孔に設ける網目2mm以下の金網とすること。
第2 (第六号及び第七号を除く。)に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。
★2条9の3号:定義:準耐火建築物
定義の次は、準耐火建築物です。
★準耐火建築物(9の3号)とは...耐火建築物(9の2号)外の建築物で、主要構造部が準耐火構造又はそれと同等の準耐火性能を有するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物のことをいいます。
火災が発生したところが周辺であろうが室内であろうが関係なく、それらに対して強い抵抗力をもっている建物で、この準耐火建築物は、耐火建築物に準ずるものです。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造で耐火被覆を行う耐火建築物より、耐火性能は幾分低くなっていますが、防火構造よりは耐火性能が高く、準防火地域で木造3階建てを建てる場合に要求される性能の建築物です。
★準耐火建築物にも2種類がある
ア.一般には、イ準耐(2条1項9号の3、イ の規定に該当)
1.主要構造部が、準耐火構造(7の2号参照)であること
2.外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設ける
イ.旧簡易耐火建築物、ロ準耐( 2条1項9号の3、ロ の規定に該当)
1.外壁が耐火構造のものや、鉄骨造などのように軸組み不燃材料でできているもの
2.外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設ける
ただし、これらに該当しても「耐火建築物」に該当するものは含まない。つまり、準耐火建築物とは、耐火建築物以外の建築物に限る。
★技術的基準に求められる準耐火に関する性能は、建築基準法施行令第109条の3
<参照> 建築基準法施行令第109条の3
(主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準)
第百九条の三 法第二条第九号の三 ロの政令で定める技術的基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 外壁が耐火構造であり、かつ、屋根の構造が法第二十二条第一項 に規定する構造であるほか、法第八十六条の四 の場合を除き、屋根の延焼のおそれのある部分の構造が、当該部分に屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
二 主要構造部である柱及びはりが不燃材料で、その他の主要構造部が準不燃材料で造られ、外壁の延焼のおそれのある部分、屋根及び床が次に掲げる構造であること。
イ 外壁の延焼のおそれのある部分にあつては、防火構造としたもの
ロ 屋根にあつては、法第二十二条第一項 に規定する構造としたもの
ハ 床にあつては、準不燃材料で造るほか、三階以上の階における床又はその直下の天井の構造を、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間構造耐力上支障のある変形、溶融、き裂その他の損傷を生じず、かつ、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしたもの
★2条10号:定義:設計
定義の 「設計」(10号)とは...「建築士法 第二条第六 五項 に規定する設計をいう」とあります。
では、建築士法第2条6 5項は、
<参照> 建築士法第2条6 5項
6 5 この法律で「設計図書」とは建築物の建築工事実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書を、「設計」とはその者の責任において設計図書を作成することをいう。
その者の責任で、設計図書を作成することです。
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★★2条11号:定義:工事監理者設計
定義の工事監理者(11号)とは...「建築士法第二条第八 七項 に規定する工事監理をする者をいう」とあります。
では、建築士法第2条8 7項の、「工事監理」とは、
<参照> 建築士法第2条8 7項
8 7 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
*紛らわしい「工事”管理者”」がある...こちらの字は、建設業法の主任技術者または監理技術者で、施行技術に関する”管理”をする者です。間違えないように。
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★2条12号:定義:設計図書
定義の設計図書(12号)とは...「建築物、その敷地又は第八十八条第一項から第三項までに規定する工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう」です。
引用されています、建築基準法第88条からは、煙突、広告塔、高架水槽、擁壁、昇降機などを規定しています。
ページ終わり |
最終更新日:
2022年 3月11日:再度、見直した。
2022年 2月21日:関係法を更新した。見直した。
2021年 2月 5日:ドレンチャーの画像入れた。
2019年 8月12日:施行:令和元年6月25日に対応した。
2018年 3月19日:「田園住居地域」を入れた。
2018年 3月17日:平成29年と平成28年の出題年を入れた。
2016年 3月 5日:平成27年の出題年を入れた。
2015年 4月15日:平成27年6月1日施行の法改正と、平成25年の出題年を入れた。
2013年 3月24日:平成24年の出題年を入。
2011年 5月 8日:改正2条11号を改正した。
2008年10月26日
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