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★★      要約 建築基準法       ★★

第2章 建築物の敷地、構造及び建築設備

V.第19条(敷地の衛生及び安全)  から 第28条の2 (石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)  まで

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、試験にでる建築基準法を条文ごとにイラストなどを入れて解説しました。 

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

条文を勉強することが、合格への道です。

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第2章 

建築物の敷地、構造及び建築設備
説明
第19条 敷地の衛生及び安全
第20条 構造耐力
第21条 大規模の建築物の主要構造部
第22条 屋根
第23条 外壁 
第24条 木造建築物等である特殊建築物の外壁等 (削除へ)
第24条の2 建築物が第二十二条第一項の市街地の区域の内外にわたる場合の措置(第24条の削除に伴い第24条へ)
第25条 大規模の木造建築物等の外壁等
第26条 防火壁
第27条 耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物
第28条  居室の採光及び換気
第28条の2  石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置
凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は条文の下に緑字にて表示

施行:令和元年(2019年)6月25日に対応した。
都市緑地法等の一部を改正する法律(この中に、「田園住居地域」が創設され都市計画法や建築基準法、宅地建物取引業の一部改正も入っている);
施行:平成30年(2018年)4月1日 に対応した。改正箇所をピンク字で表示
建築基準法の最終改正:交付日:平成26年(2014年)6月4日、施行:平成27年(2015年)6月1日
改正箇所をいれた
前回の改正:平成23年(2011年)12月14日


 第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備
(敷地の衛生及び安全)
第十九条

 建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。

2  湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。

3  建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。

4  建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★第2章 建築物の敷地、構造及び建築設備
 

 ここから、第2章に入ります。
 
 第1章の規定は、用語の定義、建築申請、完了の検査、違反建築物に対する措置、等を定めていましたが、第2章は「単体規定」とも呼ばれ、ここに規定される内容は、日本全国で適用されます。

 「単体規定」は、個々の建物に必要とされる構造・設備・防火・衛生などを定めています。

  

 第2章の構成は、第19条から第41条までとなっており、詳細は以下のようになっています。

*建築基準法第2章:単体規定(日本全国で適用される)第19条〜 第41条 
 見出し  条文
 敷地の衛生及び安全  第十九条
 構造耐力  第二十条
 大規模の建築物の主要構造部等  第二十一条
 屋根  第二十二条
 外壁  第二十三条 
 建築物が第二十二条第一項の市街地の区域の内外にわたる場合の措置  第二十四条
 大規模の木造建築物等の外壁等  第二十五条
 防火壁等  第二十六条
 耐火建築物等としなければならない特殊建築物  第二十七条
 居室の採光及び換気  第二十八条
 石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置  第二十八条の二
 地階における住宅等の居室  第二十九条
 長屋又は共同住宅の各戸の界壁  第三十条
 便所  第三十一条
 電気設備  第三十二条
 避雷設備  第三十三条 
 昇降機  第三十四条
 特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準  第三十五条
 特殊建築物等の内装  第三十五条の二
 無窓の居室等の主要構造部  第三十五条の三
 この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準  第三十六条
 建築材料の品質  第三十七条
 特殊の構造方法又は建築材料  第三十八条
 災害危険区域  第三十九条
 地方公共団体の条例による制限の附加  第四十条
 市町村の条例による制限の緩和  第四十一条 


 この第2章の見出しを見るだけでも、敷地、屋根や外壁から始まり、採光、換気、電気設備など実に細かく規定があることに驚くと同時に、家(建築物)を建てるには、大変なことだとわかります。
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★19条:敷地の衛生及び安全

敷地に求められるもの

 「敷地」とは、前に説明しました建築基準法施行令第1条1号にある

 <参照> 建築基準法施行令第1条1号

(用語の定義)

第一条 この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   一 敷地 一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。

 (以下略))

  です。
  「敷地」とは、建築物にとって欠かせない必要な、「土地」です。

  1つの敷地には、1つの建築物しか建てられない原則(一敷地一建物)もあります。
 建築物がある土地ですから、建築物がない山林や農地などは、敷地とは呼びません。

  用途上不可分の関係それぞれが個別では成立しない関係、例:母屋と離れ)があれば、1つの敷地であっても、2つの建築物が可能です。
逆に、、1つの敷地には、2戸の戸建て住宅は、建てられません。
 戸建て住宅を2戸 建てたいなら、その敷地を分割して、それぞれの敷地ごとに、建築基準法に従うことになります。

 そこで、

★建築物の敷地は、周囲より高くすること(1項)
19条1項の
敷地の衛生及び安全は、まず、排水の面から、原則、建築物の敷地は接する道よりも高くし、建築物の「地盤面」はこれに接する周囲の土地より高くなければならないと規定します。(1項)

 この規定は、建築物に接する道(例えば道路、歩道)が浸水したとき、そのまま水が建築物の敷地内に入ることを防ぐためです。
 また、大雨で雨水が浸水したときに備えて、排水をするために敷地を高くします。

地盤面とは
 地盤(地面)は、斜面であったり、凸凹があったりで、必ずしも平(たいら)ではありません。
 そこで、これも敷地と同様に、前も説明しましたが、建築基準法施行令第2条2項では、

<参照> 建築基準法施行令2条 2項

(前略)

2  前項第二号、第六号又は第七号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう

 (以下略


 と規定しています。
 つまり、地面に傾斜がなく平であれば、地盤面はそのままですが、建物が傾斜地に建っているときには、高低差3mごとの平均値を地盤面とします。

★地盤面は、敷地の平均の高さではない

  建築基準法施行令2条2項で規定されているように、「建築物が周囲の地面と接する位置の平均」です。広い傾斜の敷地の一部に建っているときには、地盤面は、敷地の平均の高さではありません。

★同一の敷地でも、建築物の建つ位置によって、平均地盤面の位置が異なる

  傾斜の激しい敷地の一部に建築物が建つ場合には、上の方に建つのか、下の方に建つのかで、平均地盤面が異なります。

★1つの建築物でも、傾斜地の勾配によって、高さが異なることがある

  地面の高低差が3m以上あると、その高低差3m以内ごとに、平均した値が「平均地盤面」となります。
 建築物の高さはその平均地盤面を基準としますから、9mの高低差がある斜面にある建築物なら、3つの平均地盤面があり、高さも部分ごとに3つあります。

★建築物が出水地やごみ埋立地にあるときは、盛土などを講じること(2項) 〜軟弱地盤は地盤改良などが必要〜
 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければなりません。(2項

 

★建築物の敷地に排水施設を設けること(3項)
 敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければなりません。(3項

★がけ崩れなどの被害に備えること(4項)
 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁(ようへき)の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。(4項
 建築物が崖下の場合と、崖上の場合でも必要です。

 なお、擁壁とは、高さが2mを超えるもの(建築基準法施行令第138条5号)で、土圧を受け止めて宅地の安全を担保する鉄筋コンクリートや石造などをいい、建築基準法施行令第142条において、安全性についても、鉄筋コンクリート造、石造等などの構造が明記されています。

<参照> 建築基準法施行令第142条
 
(擁壁)
第百四十二条 第百三十八条第一項に規定する工作物のうち同項第五号に掲げる擁壁(以下この条において単に
「擁壁」という。(注:高さ2m超))に関する法第八十八条第一項において読み替えて準用する法第二十条第一項の政令で定める技術的基準は、次に掲げる基準に適合する構造方法又はこれと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いることとする。
   一 鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること。
   二 石造の擁壁にあつては、コンクリートを用いて裏込めし、石と石とを十分に結合すること。
   三 擁壁の裏面の排水を良くするため、
水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること。
   四 次項において準用する規定(第七章の八(第百三十六条の六を除く。)の規定を除く。)に適合する構造方法を用いること。

五 その用いる構造方法が、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。


(以下略)

 4で求められているのは、建築物の安全性ですが。

  

 19条は、建築物の敷地の衛生と安全から、敷地として、最低限として求められる要件です。

 


(構造耐力)
第二十条 

 建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。
   一 高さが六十メートルを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
   二 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
     イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
     ロ 前号に定める基準に適合すること。
   三 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
     イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
     ロ 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。
   四 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
     イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
     ロ 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。

2 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者 H24年、 H21年、H20年

20条:構造耐力
 
 20条
「構造耐力」は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して建築物に求められる基準を規定します。

  建築物が垂直方向の力を支え、水平方向の力による変形に対抗することができるということを「構造耐力」と呼んでいます。

 建築物に作用する主な荷重と外力に力学的に耐えられる基準です。

 その、基本は、
  1.柱・梁・床・壁等を有効に配置して、建築物全体が安全なものとする
  2.水平カに耐えるよう、構造上の主要構造部を釣り合い良く配置する
  3.構造部材には、変形や震動が生じないように剛性をもたせ、瞬間的破壊が生じないよう靭性(じんせい)をもたせる
  ことです。

自重とは...建築物自体の重さです。固定荷重ともいいます。
   屋根、天井、床、壁など建築物の部分ごとに、単位面積当たりの荷重(N/u)に各部分の面積をかけて計算します。(建築基準法施行令84条 参照)

積載荷重とは...床の上にある荷物や家具、人間の重さです。
   原則は、建築物の実況に合わせて計算しますが、室の種類(居室、事務室、教室、売り場劇場の各席、廊下など)ごとの数値を使って計算してもかまいません。(建築基準法施行令85条 参照)

積雪荷重とは...屋根に積もる雪の重さです。
  式は、 積雪荷重(N)=積雪単位荷重(N/u)x屋根の水平投影面積(u)x
その地方の垂直積雪量(cm) です。(建築基準法施行令86条 参照)

風圧とは...風の強さです。風圧力として計算します。
   風圧力(N/u)=速度圧(N/u)x風力係数
   風力係数は、別途定められています。(建築基準法施行令87条 参照)

土圧とは...構造物に作用する土の圧力です。例えば土中に設けられた壁面が、土の圧力で移動・変形することなどがあげられます。

水圧とは...水の運動エネルギーにより物体に対して与える圧力の大きさです。水圧の大きさは速度に比例します。

地震... 地震によって建物等の構造物が受ける地震力として規定されています。
  地震力=(固定荷重+積載荷重+あれば積雪荷重)x地震層せん断係数
  (建築基準法施行令88条 参照)

★これらの内、水平方向の力による変形に対抗することができるということを「水平耐力」といい、水平耐力に備えるようにするには通常「筋かい」を入れます。
  また、構造用合板などを張った壁は「
耐力壁」と呼ばれています。

★1項1号:建築物の高さが60mを超える場合(超高層建築)・・・必ずその構造方法について国土交通大臣の認定を受けなければなりません。

1項2号:建築物の高さが60m以下の場合は面倒です。
  適用されるのは、
  @第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)
   つまり、
     ・木造の建築物なら
     ・三以上の階数を有し、又は
     ・延べ面積が五百平方メートル、
     ・高さが十三メートル 又は
     ・軒の高さが九メートルを超えるもの
  
   A又は第六条第一項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。)
  つまり、
    ・木造以外(非木造)の建築物なら
      ・地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、
      ・高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造
      ・又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるもの で
    ・二以上の階数を有し、又は
    ・延べ面積が二百平方メートルを超えるもの


  に分かれていて、各々政令で定める基準に適合することです。

1項3号:また、高さが60m以下の建築物の構造が、
  第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 
 つまり、
   ・木造の建築物なら
     ・三以上の階数を有し、又は
     ・延べ面積が五百平方メートル、
     ・高さが十三メートル 又は
     ・軒の高さが九メートルを超えるもの

   ・木造以外(非木造)の建築物なら
      ・地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、
      ・高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造
      ・又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるもの で
    ・二以上の階数を有し、又は
    ・延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
 
 の主要構造部の構造が、
   ・石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物 で
   ・高さが十三メートル 又は
   ・軒の高さが九メートルを超えるもの

 に該当すると、
  .安全上必要な「構造方法」に関して政令で定める技術的基準(保有水平耐力、剛性率・偏心率など)に適合すること(構造計算適合性判定)が求められます。

1項4号
1号から3号以外の建築物なら、構造計算書を提出することを省略する代わりに構造の仕様規定を満たす必要があります。
 

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20条2項

 2項の規定は、平成27年6月1日施行で新規に追加されました。
 エクスパンジョン・ジョイント(外観は1つの建物でも、構造的に切り離れている建物をつなげている物。下図を参照)などで構造上分離されている建築物の各部分は、分離されている部分ごとに異なる構造計算の方法が適用となりました。
 これにより、建物全体での認定、部分ごとの認定ができます。


 


(大規模の建築物の主要構造部等)
第二十一条 (改正有:、平成30年6月27日公布)

 次の各号のいずれかに該当する建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
 ただし、その周囲に延焼防止上有効な空地で政令で定める技術的基準に適合するものを有する建築物については、この限りでない。
   一 地階を除く階数が四以上である建築物
   二 高さが十六メートルを超える建築物
   三 別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供する特殊建築物で、高さが十三メートルを超えるもの


  高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、第二条第九号の二イに掲げる基準に適合するものとしなければならない。ただし、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物(政令で定める用途に供するものを除く。)は、この限りでない。

2  延べ面積が三千平方メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、 次の各号のいずれか (旧:第二条第九号の二イに掲げる基準) に適合するものとしなければならない。

  一 第二条第九号の二イに掲げる基準に適合するものであること。
  二 壁、柱、床その他の建築物の部分又は防火戸その他の政令で定める防火設備(以下この号において「壁等」という。)のうち、通常の火災による延焼を防止するために当該壁等に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものによつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ三千平方メートル以内としたものであること。


過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★21条:大規模の建築物の主要構造部等
 木造でもかなり大規模な建築ができるように改正された

 21条は、主要構造部の一部(壁・柱・はり)に木材やプラスチックなどの可燃材料を用いた建築物に火災時に倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能が規定の技術的基準に適合することを求めています。

 これは、大規模の木造建築物で火災が発生し、火災の最中に当該建築物が倒壊することで、周囲へ延焼することの防止です。

★大規模な木造建築物の主要構造部(床、屋根及び階段を除く) (平成30年6月27日公布により変更)

  以下のいずれかに該当する木造建築物等で、
   ア.地階を除く階数が4以上である建築物
   イ.高さが16メートルを超える建築物
   ウ.倉庫又は自動車車庫等の用途に供する特殊建築物で、高さが13メートルを超えるもの
 は、主要構造部を「
通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)」が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するものにしなければなりません。

  この改正で、高さ:16m以下かつ3階以下なら(旧:高さ:13m超、又は軒高:9m超)耐火構造等にしなくてもいい木造建築物等の範囲が広がり、一定の基準を満たせば、耐火構造としなくてもいいことになりました。そこで、壁・柱など主要構造部材の木材を石膏ボードのような耐火被覆で覆わなくて、そのまま見せること「あらわし」もできます。
 木材をそのままむき出しにして「和風」を感じる建物ができます。

  

  今回の改正で、高さが 16m 13m を超えたり、地階を除いて階数が4以上だと、耐火構造などにしなければなりません。

★延焼防止に有効な空地の確保があれば、木造建築物でも耐火構造としなくていい

  高さが16m以下かつ3階以下の他に改正の目玉は、「延焼防止上有効な空地が確保できれば」、木造建築物でも、耐火構造等としなくても構わなくなったということです。
  なお、空地があるということは、火災で該当の建物が倒壊しても、周囲への延焼が防止されるためです。
  その空地は具体的には、当該の建築物の各部分から当該空地の反対側の境界線の水平距離が、当該各部分の高さに相当する距離以上であることです。


★21条1項の「国土交通大臣が定めた構造方法」とは、
  
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★2項
  2項で引用されています「2条(用語の定義) 九号の二 イ」 とは、「耐火建築物」のことです。

<参照> 建築基準法第2条 (用語の定義) 9号の2 イ

九号の二
 耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
  イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
   (1) 耐火構造であること。
   (2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
    (i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
    (ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。

◎2項に、1号及び2号が、平成27年6月1日施行で、新しく追加されました。

  これは、木造建築での見直しで、大断面木材の活用を図り耐火性の高い材料で被覆しなくても準耐火構造等にできるようにしたものです。

 木造建築物等で、
  ・延べ面積が、3,000u(約900坪)超なら、以下のどちらかにすること
    ア.耐火構造にすること(1号)
    イ.3,000u以内ごとに、壁・柱・床などに通常の火災の延焼防止をすること。

  延べ面積が3,000uを超える大規模な木造建築物でも、火災の拡大を3,000u以内に抑える防火壁等を設ければ、準耐火構造にできます。

(屋根)
第二十二条

 特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

2 特定行政庁は、前項の規定による指定をする場合においては、あらかじめ、都市計画区域内にある区域については都道府県都市計画審議会(市町村都市計画審議会が置かれている市町村の長たる特定行政庁が行う場合にあつては、当該市町村都市計画審議会。第五十一条を除き、以下同じ。)の意見を聴き、その他の区域については関係市町村の同意を得なければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★木造建築物は燃えやすい!

★22条:屋根


 22条は、いわゆる「法22条区域」または「屋根不燃区域」と呼ばれる規定です。

 都市計画法で規定される「防火地域及び準防火地域”
”にある屋根の構造」は、後で出てきます 62条 (旧63条) により規定され、それ以外の市街地でも、特定行政庁が指定する区域内にある建築物の屋根(22条)にも、不燃材料等の性能が要求されます。

  防火地域は、商業地や官公庁街などで指定され、準防火地域は、防火地域を取り囲んで指定され、法22条区域は、またそれらを取り囲んで指定されます。

 多くの場合、木造建築物の多い市街地での屋根の防火上の規定をします。
 また、同じく22条区域では、次の23条により外壁にも準防火構造が要求されます。

★都市計画区域の内外を問わずに、特定行政庁(建築主事がいるところ)は指定できます。
 具体的な指定区域は、特定行政庁(地方自治体)から、公表されていますからみてください。

  

<参照> 建築基準法 第62条 (旧:第63条)

(屋根)
第六十二条 防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

  

屋根(22条)と外壁(23条)が対象 〜燃えにくい建材の使用〜

 22条と62条により、
  @防火地域、
  A準防火地域、
  B法22条区域
 では、建築物は飛び火に対して燃え広がらないことや抜け落ちないことが必要です。

 一般的に、屋根には瓦・亜鉛鉄板等の不燃材料を葺きますが、燃えにくい加工をした木材でも、火の粉により燃え広がらないこと、燃え抜けないことが確かめられれば使用できます。

★例外もあるので注意
  ただし、
  ・茶室、あずまやその他これらに類する建築物 又は
  ・延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋 
  ・その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分
  については、この限りではありません。

  


(外壁)
第二十三条 (改正あり:平成30年9月25日施行)

 前条第一項の市街地の区域内にある建築物(その主要構造部の第二十一条第一項の政令で定める部分が木材、プラスチックその他の可燃材料で造られたもの(第二十五条及び第六十一条において「木造建築物等」という。)に限る。)は、その外壁で延焼のおそれのある部分の構造を、準防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する土塗壁その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★23条:外壁
  外壁の構造も規制される
 〜22条区域内の木造建築物〜

前の22条で特定行政庁が指定した防火地域及び準防火地域”外”にある市街地(22条地区内)では、次に「外壁で延焼のおそれのある部分」の構造は、「準防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能をいう。)」が求められます。

 注:延焼のおそれのある部分(建築基準法2条6号)...隣家の火災により火災を直接うけたり、火災の輻射により延焼を受けるおそれのある部分で、外壁、軒裏、屋根または窓など開口部等に防火上の制限を加えるときに用いられるもので、(1)隣地境界線、(2)道路の中心線、(3)同一敷地内の2つ以上の建築物(延べ面積の合計が500u以下の建築物は、1つの建築物とみなします。)相互の外壁間の中心線のそれぞれから、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の部分をいいます。
 ただし、
  @防火上有効な公園、広場、川等の空地、水面、耐火構造の壁に面している部分と
  A建築物の外壁面と隣地境界線等との角度に応じて、当該建築物の周囲において発生する通常の火災時における火熱により燃焼するおそれのないものとして国土交通大臣が定める部分
  は除かれます。


 

★法22条区域内の「木造建築物等」は、外壁で延焼のおそれのある部分を、「準防火性能」を有する土塗壁等の構造としなければなりません。
 延焼のおそれのある部分以外であれば、防火上の制限はないので外装を木材にすることができます。


(木造建築物等である特殊建築物の外壁等) (平成30年9月25日施行で廃止へ)
第二十四条 (削除へ)

 第二十二条第一項の市街地の区域内にある木造建築物等である特殊建築物で、次の各号の一に該当するものは、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければならない。
  一  学校、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、マーケット又は公衆浴場の用途に供するもの
  二  自動車車庫の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が五十平方メートルを超えるもの
  三  百貨店、共同住宅、寄宿舎、病院又は倉庫の用途に供するもので、階数が二であり、かつ、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★削除の理由
 24条が規定された昭和36年と比べれば、消防力は格段に向上しており、23条に規定する「20分の非損傷性・遮熱性を有すれば、延焼の抑制という24条の目的は達成されるので、削除するとのこと。

★以下は、過去の解説です。
*********************************

★特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物で、木造の特殊建築物の外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければなりません。(22条区域)


(建築物が第二十二条第一項の市街地の区域の内外にわたる場合の措置)
第二十四条 の二 (平成30年9月25日施行で 繰り上げ 第24条へ)

 建築物が第二十二条第一項の市街地の区域の内外にわたる場合においては、その全部について同項の市街地の区域内の建築物に関する規定を適用する。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★24条:建築物が第二十二条第一項の市街地の区域の内外にわたる場合の措置

 建築物が特定行政庁が指定した市街地と、指定していない区域にまたがって建てられるときには、建物全部について、「指定区域」としての規定が適用になります。

  

 
★2つ以上の地域や地区にまたがる場合の扱い方
 1.厳しい方が適用される場合
   防火地域、準防火地域そして、法22条区域のように防火上の規制は、厳しい方が適用されます。(65条 旧:67条参照)

<参照> 建築基準法 第65条 (旧:67条)

(建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置)
第六十五条 建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。

2 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

 2.按分される場合もある
   容積率の制限や建ぺい率の制限では、各々異なる制限をうける部分の計算で按分されます。(52条7項、53条2項 参照)

 <参照> 建築基準法 第52条 7項

52条7項
7 建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない

<参照> 建築基準法 第53条 2項
 
53条2項
2 建築物の敷地が前項の規定による建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。

  3.基本原則は、過半主義である
    2つ以上の地域・地区にまたがる場合に、どうするかは、出題傾向が高いので、厳しい方だとか、按分の方に注意がいくが、本来は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する禁止又は制限を受ける区域、地域又は地区の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律の規定又はこの法律に基づく命令の規定を適用することになっている。(91条 参照)

 <参照> 建築基準法 第91条

(建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置)
第九十一条 建築物の敷地がこの法律の規定(第五十二条、第五十三条、第五十四条から第五十六条の二まで、第五十七条の二、第五十七条の三、第六十七条第一項及び第二項並びに別表第三の規定を除く。以下この条において同じ。)による建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する禁止又は制限を受ける区域(第二十二条第一項の市街地の区域を除く。以下この条において同じ。)、地域(防火地域及び準防火地域を除く。以下この条において同じ。)又は地区(高度地区を除く。以下この条において同じ。)の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律の規定又はこの法律に基づく命令の規定を適用する

  4.それぞれの部分ごとに指定されている地域・地区の規制に従う(属地主義)もある
    それは、
    ア.54条(第一種低層住居専用地域、二種低層住居専用地域
又は田園住居地域内における外壁の後退距離)
    イ.55条(第一種低層住居専用地域、二種低層住居専用地域又は田園住居地域内内における建築物の高さの限度)
    ウ.56条 (建築物の各部分の高さ) 傾斜制限
  です。


(大規模の木造建築物等の外壁等)
第二十五条

 延べ面積(同一敷地内に二以上の木造建築物等がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルを超える木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、その屋根の構造を第二十二条第一項に規定する構造としなければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★25条:大規模の木造建築物等の外壁等

 延べ面積(同一敷地内に二以上の木造建築物等がある場合においては、その延べ面積の合計)が1,000uを超える木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、その屋根の構造を第二十二条第一項に規定する構造(通常の火災の火の粉による建築物の火災の発生を防止する構造)としなければなりません。

 対象となるのは、
  ・木造建築物等(木造とプラスチック材など) で
  ・延べ面積・・・1,000u超
  なら、
  ・外壁と軒裏で「延焼のおそれのある部分(建築基準法第2条6号)は、→ 防火構造にする。

  


(防火壁
第二十六条 

 延べ面積が千平方メートルを超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ千平方メートル以内としなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない
  一  耐火建築物又は準耐火建築物
  二  卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、次の イ又はロのいずれかに該当するもの
   イ 主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの
   ロ 構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合するもの
  三  畜舎その他の政令で定める用途に供する建築物で、その周辺地域が農業上の利用に供され、又はこれと同様の状況にあつて、その構造及び用途並びに周囲の状況に関し避難上及び延焼防止上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するもの

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★26条:防火壁等

 延べ面積が1,000u((約300坪)を超える建築物(大規模建築物)で、「耐火建築物又は準耐火建築物でない」建築物(多くの場合木造が該当する)は、床面積を1,000u以内ごとに区画する防火壁
又は防火床をつけることです。
 これにより、火災が急速度で建物全体に及ばないようにします。

 改正により、防火壁に加えて「防火床」が採用されています。

防火壁の構造(建築基準法施行令113条)

<参照> 建築基準法施行令113条

木造等の建築物の防火壁及び防火床

第百十三条 防火壁及び防火床は、次に定める構造としなければならない
   一 耐火構造とすること
   二 通常の火災による当該防火壁又は防火床以外の建築物の部分の倒壊によつて生ずる応力が伝えられた場合に倒壊しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
   三 通常の火災時において、当該防火壁又は防火床で区画された部分(当該防火壁又は防火床の部分を除く。)から屋外に出た火炎による当該防火壁又は防火床で区画された他の部分(当該防火壁又は防火床の部分を除く。)への延焼を有効に防止できるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
   四 防火壁に設ける開口部の幅及び高さ又は防火床に設ける開口部の幅及び長さは、それぞれ二・五メートル以下とし、かつ、これに特定防火設備で前条第十九項第一号に規定する構造であるものを設けること。

2 前条第二十項の規定は給水管、配電管その他の管が防火壁又は防火床を貫通する場合に、同条第二十一項の規定は換気、暖房又は冷房の設備の風道が防火壁又は防火床を貫通する場合について準用する。

3 第百九条の七に規定する技術的基準に適合する壁等で、法第二十一条第二項第二号に規定する構造方法を用いるもの又は同号の規定による認定を受けたものは、第一項の規定に適合する防火壁又は防火床とみなす。


★防火床(改正点)について  
 今までは、大規模な延焼を防ぐために、建物を左右に仕切る「防火壁」により、延べ面積が1,000uを超えると区画していましたが、改正により、上下階を仕切る「防火床」も採用出来ます。

 この改正により、1階を鉄筋コンクリート造、2階を木造とする等の計画が可能となっています。また、防火壁が不要となることで、1フロアを広く計画することも可能になります。 

 *耐火構造の防火床材・・・無筋コンクリート造か組積造(そせきぞう:れんが・石材・ブロックなどを積み重ねてつくる構造)で、防火床を支持する壁(耐力壁に限る。)、柱及びはりを耐火構造とすることだそうです。(国土交通省告示第百九十七号 令和元年六月二十一日)

 


(耐火建築物等 (旧:又は準耐火建築物) としなければならない特殊建築物) 
第二十七条 (改正:平成30年6月27日公布)

 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
   一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)

   二 別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(一)項の場合にあつては客席、同表(二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの
   三 別表第一(い)欄(四)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートル以上のもの
   四 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が一階にないもの(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満のものを除く。)

2 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。
   一 別表第一(い)欄(五)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する三階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(五)項に該当するもの
   二 別表第一(ろ)欄(六)項に掲げる階を同表(い)欄(六)項に掲げる用途に供するもの

3 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(六)項に掲げる用途に供するものにあつては、第二条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。
   一 別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
   二 別表第二(と)項第四号に規定する危険物(安全上及び防火上支障がないものとして政令で定めるものを除く。以下この号において同じ。)の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの(貯蔵又は処理に係る危険物の数量が政令で定める限度を超えないものを除く。)

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  R02年、

★27条:耐火建築物等としなければならない特殊建築物

27条は、「耐火建築物」又は「準耐火建築物」としなければならない「特殊建築物」を規定しています。

◎27条も平成27年6月1日施行で大幅に改正がありました。
  改正前は「耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物」というタイトルでしたが、改正後は「耐火建築物
としなければならない特殊建築物」に変更されました。

 これは改正前において、建築物の用途、階数又は面積等によって、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないと一律に規定されていましたが、劇場・ホテル・病院などの特殊建築物の在館者の全てがその建築物から地上までの避難を終了するまでの間、火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するという主要構造部に求める性能(特定避難時間)を明確化し、性能規定化を行うこととしたものです。
 また外壁の開口部についても在館者の避難安全の確保という観点から、火災による火熱が加えられた場合に、屋内への遮炎性能を求めるようになりました(片面20分の防火設備)。

 特定避難時間とは・・・特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間をいいます。
この時間まで当該建築物の主要構造部が倒壊等しなければよいということになります。

 以前は、別表第一に規定する一定規模以上の劇場、病院、共同住宅、学校などは、今までの何時間耐火構造などではなく、「特定避難時間」という考え方に変更されています(建築基準法施行令110条)。

 なお、すべての特殊建築物がこのような考え方に基づくものではなく、倉庫や自動車車庫及び自動車修理工場などは、従来どおりの規制(耐火建築物又は準耐火建築物)となっています。

 この改正も、21条と同様に、木造建築での見直しで、大断面木材の活用を図り耐火性の高い材料で被覆しなくても準耐火構造等にできるようにしたものです。
 
  3階建ての学校等について、天井の不燃化又は庇・バルコニーの設置など、区画を超えた早期の延焼を防止する措置を講じた場合には、準耐火構造等にできます。

★劇場・ホテル・百貨店・共同住宅などの特殊建築物の規定は、防災上からみての分類です。大きさや規模は関係していません。

再度の説明ですが、

耐火建築物とは、(2条 9の2号 参照)...主要構造部が耐火構造であるもの又は耐火性能検証法等により火災が終了するまで耐えられることが確認されたもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物のことをいいます。
周辺で起こった火災の際にも、また室内で火災が発生した場合でも、それに耐えて崩落したり炎上したりしないだけの性能を持った建築物のこと。

準耐火建築物とは、(2条 9の3号 参照)...耐火建築物以外の建築物で、主要構造部が準耐火構造(法2 条9 の3号 イ)又はそれと同等の準耐火性能を有するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物のことをいいます。
 なお、準耐火構造と同等の準耐火性能を有するものとして、外壁耐火構造(令109条の3第1号)と主要構造部不燃材料(令109条の3第2号)があります。
火災が発生したところが周辺であろうが室内であろうが関係なく、それらに対して強い抵抗力をもっている建物。

別表第一とは、6条でも使用されている表です。この27条や後の28条、35条などでも使用される「耐火建築物」「準耐火建築物」としなければならない特殊建築物を定めています。

別表第一 耐火建築物としなければならない特殊建築物(第六条、第二十一条、第二十七条、第二十八条、第三十五条―第三十五条の三、第九十条の三関係)

   (い) (ろ) (は) (に)
  用途 (い)欄の用途に供する階 (い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限る。)の床面積の合計 (い)欄の用途に供する部分((二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計
(一) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 二百平方メートル(屋外観覧席にあつては、千平方メートル)以上   
(二) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 三百平方メートル以上
(三) 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 二千平方メートル以上
(四) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 五百平方メートル以上
(五) 倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの   二百平方メートル以上 千五百平方メートル以上
(六) 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階    百五十平方メートル以上

★復習になりますが、マンションは、共同住宅ですから「特殊建築物」に該当します。(2条2号参照)

<参照> 建築基準法第2条2号 

2条 二  特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

★原則、マンションが3階以上なら、耐火建築物とし、床面積の合計が、300u以上なら、耐火建築物または準耐火建築物にしなければなりません。

★27条は、特殊建築物の耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない場合を定めていますが、一般の建築物でも、防火地域、準防火地域となると耐火建築物又は準耐火建築物としなければなりません。(61条62条参照)
  防火地域内の3階以上または延べ面積が100uを超える建築物は耐火建築物としなければならないこととなっており、準防火地域内では地階を除く階数が4以上の建築物または延べ面積が1,500uを超える建築物は耐火建築物としなければならないとされています。

★平成30年6月27日公布の改正
  原則として、耐火建築物等としなければならない特殊建築物の対象から、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、一定の建築物を除外しました。
  ・劇場、映画館、演芸場、公会堂、病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、学校、体育館、百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、ダンスホール、遊技場、倉庫、自動車車庫その他これらに類するもので一定のもので、
  ・階数が3以下で延べ面積が200u未満のもので
  ・3階を一定の用途に供するものは、
 一定の警報設備(自動火災報知機など)を設ければ、壁・柱等を耐火構造とする改修は不要。

  また、戸建て住宅から多用途への転用の際に、200u以下なら、建築確認(建築基準法6条参照)は、不要と改正されています。

   


(居室の採光及び換気)
第二十八条

 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。

2  居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。

3  別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。

4  ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。

過去出題 マンション管理士 R02年、H29年、H27年、H22年、H16年、H14年、
管理業務主任者 R03年、 R02年、H29年、H28年、H25年、H19年、H17年、H14年、

★28条:居室の採光及び換気

 28条は、居室に必要な「光(採光)」と「空気の入れ変え(換気)」を規定しています。

★この条文は、出題傾向が高いので注意が必要です。

★居室には採光と換気が必要。
 まず、居室とは、人が継続的に使用する部屋です(2条4号参照)。人が快適に使用するためには、明かりときれいな空気が必要です。


 ★居室とは・・・建築基準法第2条四号によると、
  「居室(とは)  居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。」とあります。
 具体的には、居間、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、応接室、書斎等 継続的に使用する部屋で人が継続的に使用するので採光・換気その他環境衛生についての決まりがあります。
  玄関、廊下や階段は居室ではありません。便所、浴室も利用時間が一時的なので居室ではありません。
 ★居室に求められる室内居住環境...良好な室内居住環境を実現するために、採光、換気、防湿、遮音、温度調整、有害な化学物質の規制があります。
 ★換気も必要です。...室内で人が呼吸をすると、酸素を消費し二酸化炭素が排出され空気が汚染されます。そこで、この規定があります。
  また、台所のガスコンロなどの燃焼器具からの排ガスは人体に有害です。トイレの臭気も室内にこもると嫌な気分になりますので、屋外に排出します。

★採光について(1項)・・・住宅では、採光に有効な部分の面積/居室の床面積 が 1/7以上でなければなりません。(1項)
  例えば、8帖の部屋(4坪x3.3u)の場合床面積は13.2uになり、採光に必要な有効面積は 13.2u×1/7=1.88u 以上必要になります。

 採光に有効な面積を計算しますが、窓と天窓とは別に計算します。

 窓の採光面積は 窓の開口面積×採光補正係数  を各居室の採光面積とします。 (施行令20条1項 参照)
 採光補正係数は地域・区域により計算の方法が異なっていてます。(施行令20条2項 参照)

 *天窓の有効面積
 天窓からは、通常の窓よりも多くの自然採光が採れるため、採光上有効な面積は実際の面積の3倍して算定しても良いことになっています。

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★換気について(2項)
  建材などから発生する化学物質などでの室内空気汚染による、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹などいわゆる「シックハウス(症候群)」対策としての建築基準法の改正により、原則として「機械換気設備」の設置が義務付けられました。 換気によって室内の化学物質の濃度を低減させるため、一部の気密性が低い住宅を除き、原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられたというわけです。
 具体的には、たとえば住宅の場合であれば、換気回数 0.5回/h以上 の機械換気設備の設置が必要なのです。

居室の換気は、換気に有効な開口部の面積が床面積の 1/20以上必要ですが、1/20未満の場合は換気設備を取り付けなければなりません。(2項)
 居室以外にも、酸欠や一酸化炭素中毒等の事故を防ぐため、「火を使う室」にも換気設備を取り付ける必要があります。
 便所については水洗便所で換気設備を設けたもの以外は外気に接する窓が必要となります。

★換気設備の種類(施行令20条の2)
  換気設備には、
  1.自然換気設備...換気口によって換気すること。自然の風や温度差などにより換気量が変動します。
  2.機械換気設備...換気ファンなどによって換気すること。機械によって強制的に給排気を行うもの。換気量を確実に確保できるメリットがあります。
  3.中央管理方式の空気調和設備  
  があります。

  1.自然換気設備で要求される技術的基準(施行令129条の2の5 ,1項)

<参照> 建築基準法 施行令第129条の2の5  1項(換気設備)

(換気設備)
第百二十九条の二の五 建築物(換気設備を設けるべき調理室等を除く。以下この条において同じ。)に設ける自然換気設備は、次に定める構造としなければならない。
   一 換気上有効な給気口及び排気筒を有すること。
   二 給気口は、居室の天井の高さの二分の一以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造とすること。
   三 排気口(排気筒の居室に面する開口部をいう。以下この項において同じ。)は、給気口より高い位置に設け、常時開放された構造とし、かつ、排気筒の立上り部分に直結すること。
   四 排気筒は、排気上有効な立上り部分を有し、その頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とし、かつ、直接外気に開放すること。
   五 排気筒には、その頂部及び排気口を除き、開口部を設けないこと。
   六 給気口及び排気口並びに排気筒の頂部には、雨水又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。

 (以下略)

    

   2.機械換気設備には、3種があります。
     ア.第一種(給気機 + 排気機)

       

       給排気ともに換気ファンを用いるもの。給排気量を確実に確保するには適しています。
       給気、排気のそれぞれのファンの設置位置によって、室内の内部の圧力を、周辺より高くしたり、低くしたりすることも可能です。
       熱交換型という換気方法もこれにあたります。

       *熱交換型...熱交換とは、室内の汚れた空気を排出する時に、熱の一部を回収して室内に入る外気に移すことです。
        そのため室温がほとんど変わらず、熱ロスが少ないというメリットがあるわけです。
        全熱交換型と顕熱交換型があります。これらは、外気を熱交換ユニットを通して各部屋に分配し循環させたあと、汚れた空気を排気口から排出するため、建物が完成してからの工事は難しいので設計段階からのプランニングが必要です。

         a.全熱交換型... 熱交換の際に、熱だけでなく湿気も交換するのが特徴です。室内の湿度を一定の状態に保ちやすいタイプ。
         b.顕熱交換型... 熱のみを交換するタイプ。全熱交換型に比べて、顕熱交換型は外部の湿度に影響されがちで、調湿対策が必要になります。

     イ.第2種(給気機 + 自然の排気(口)

       

       給気は換気ファンで、排気は排気口。ファンで強制的に給気し、押し込まれた空気によって室内にある空気が排気口から自然に排出されます。外気を入れにくくするクリーンルームなどで用いられ、一般住宅ではあまりみられません。

     ウ.第3種(自然の 給気口 + 排気機)

       

      排気は換気ファンで強制的に行い、給気に換気口を用いるもの。
      トイレやキッチンなど、臭気や熱気、汚れた空気が発生する場所に排気ファンを設置します。給気は個室や寝室などの新鮮な空気を必要とする場所に設けます。
      各居室につけた給気口から取り込んだ外気を、アンダーカットやルーバー(ガラリ)など通気口を設けたドアや襖などを介して家全体に流通させ、ホールやサニタリーの換気ファンから排出するというわけです。

     機械換気設備の構造は、(施行令129条の2の5 、2項)

<参照> 建築基準法 施行令第129条の2の5  2項 

(換気設備)
2 建築物に設ける機械換気設備は、次に定める構造としなければならない。
   一 換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。
   二 給気口及び排気口の位置及び構造は、当該居室内の人が通常活動することが想定される空間における空気の分布を均等にし、かつ、著しく局部的な空気の流れを生じないようにすること。
   三 給気機の外気取り入れ口並びに直接外気に開放された給気口及び排気口には、雨水又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。
   四 直接外気に開放された給気口又は排気口に換気扇を設ける場合には、外気の流れによつて著しく換気能力が低下しない構造とすること。
  五 風道は、空気を汚染するおそれのない材料で造ること。

(以下略)

  3.中央管理方式の空気調和設備は、(施行令129条の2の5 、3項)
    *中央管理室...管理事務所、守衛所その他常時当該建築物を管理する者が勤務する場所で避難階又はその直上階若しくは直下階に設けたもので防災センターなどとも呼ばれます。(施行令20条の2、2項)

    *中央管理室を設けなければいけないのは、高さ31mを超える建築物(これは、非常用昇降機も設けなければならない)、床面積 1,000uを超える地下街(施行令20条の2、2項) 

 中央管理方式の空気調和設備は、(施行令129条の2の5 、3項)

<参照> 建築基準法 施行令第129条の2の5  3項 

(換気設備)
3 建築物に設ける中央管理方式の空気調和設備は、前項に定める構造とするほか、国土交通大臣が居室における次の表の各項の上欄に掲げる事項がおおむね当該各項の下欄に掲げる基準に適合するように空気を浄化し、その温度、湿度又は流量を調節して供給することができる性能を有し、かつ、安全上、防火上及び衛生上支障がない構造として国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。

(一) 浮遊粉じんの量 空気一立方メートルにつき〇・一五ミリグラム以下
(二) 一酸化炭素の含有率 百万分の十以下
(三) 炭酸ガスの含有率 百万分の千以下
(四) 温度 一 十七度以上二十八度以下
二 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
(五) 相対湿度 四十パーセント以上七十パーセント以下
(六) 気流 一秒間につき〇・五メートル以下
 この表の各項の下欄に掲げる基準を適用する場合における当該各項の上欄に掲げる事項についての測定方法は、国土交通省令で定める。

  *なお、中央管理室で、集中管理する設備は、
    1.機械換気設備
    2.空気調和設備(中央管理方式)
    3.排煙設備
    4.非常用エレベーターのかごの呼び戻し装置
    5.非常用エレベーターのかごの連絡電話装置
    6.消防機関へ通報する火災報知設備(消防法)
    7.スプリンクラー設備(消防法)
    8.泡消火設備等の消火設備(消防法)
    9.自動火災報知設備(消防法)
   10.ガス漏れ火災警報装置(消防法)
   11.非常警報設備(消防法)

     です。

★火を使用する、調理室やカマド、コンロを規定する、3項に関しては、施行令20条の3が規定されています。

<参照> 建築基準法施行令 第20条の3

火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
第二十条の三  法第二十八条第三項 の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
  一  火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
  二  床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
  三  発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの

 2  建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
  一  換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
   イ 次に掲げる基準に適合すること。
    (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
    (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
    (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
    (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
    (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
    (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
    (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
    (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
   ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
  二  給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
  三  排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
  四  火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。

  

★ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、採光や換気の規定の適用については、一室とみなされます。(4項)

居室の天井の高さは、2.1m以上なければいけない。
  居室内の明かりや空気の容量を確保するために、天井の高さは、室の床面から測り、2.1m以上とされています。(施行令21条1項)

  一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとなります。
   

   *天井の高さが異なっているときは
    平均の高さが採用されます。(施行令21条2項)

<参照> 建築基準法施行令第21条

 (居室の天井の高さ)
第二十一条  居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない

  2  前項の天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。

  ★平均天井の高さの求め方

    平均天井高さ=室の容積/室の床面積


{設問-1} 平成16年 マンション管理士 「問20」

{問 20} 共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 共同住宅の居室の天井の高さは、2.1メートル以上でなければならず、その高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その一番低い部分の高さによるものとする。

→× 建築基準法施行令21条「1項 居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない。
2項  前項の天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。 」とあり、
2項によると、 一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする、とされている 。

2 共同住宅の居室に換気設備を設けない場合、その居室の床面積に対して20分の1以上の換気のための窓その他の開口部を設けなければならない。

→○ この換気、採光は出題傾向が高いので、注意のこと。
  建築基準法28条2項「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。」とある。

3 共同住宅の2階以上にあるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

→○ 建築基準法施行令126条1項「屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが一・一メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。 」とある。

4 共同住宅の居室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置その他の事項について、からぼりその他の空地に面する開口部を設ける等衛生必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。

→○ 建築基準法29条「住宅の居室、学校の教室、病院の病室又は寄宿舎の寝室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」とあり、
同施行令22条の2「法第二十九条 (法第八十七条第三項 において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
  一  居室が、次のイからハまでのいずれかに該当すること。
    イ 国土交通大臣が定めるところにより、からぼりその他の空地に面する開口部が設けられていること。
    ロ 第二十条の二に規定する技術的基準に適合する換気設備が設けられていること。
    ハ 居室内の湿度を調節する設備が設けられていること。」
によりからぼり(ドライエリアともよばれる)その他の空地に面する開口部を設けるとある。

  正解 1


{設問-2} 平成25年 管理業務主任者試験 「問20」

【問20】換気設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 居室には、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合を除いて、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上とすること。

○ 正しい。  平成19年 管理業務主任者試験 「問24」 。
 こんな出題は、記憶にないと思っていたら、平成19年 管理業務主任者試験 「問24」が近い。
 換気設備は、まず、建築基準法第28条
 「(居室の採光及び換気)
 第二十八条
 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
   2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
   3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
   4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。」とあり、
 第28条2項により、正しい



2 換気設備を設けるべき調理室等に煙突、排気フードなどを設けず、排気口又は排気筒に換気扇を設ける場合にあっては、その有効換気量を、(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)の40倍以上とすること。

○ 正しい。
 これは、建築基準法施行令第20条の3 
 「(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
 第二十条の三  法第二十八条第三項 の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
     一  火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
     二  床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
     三  発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
   2  建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一  換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
       イ 次に掲げる基準に適合すること。
         (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
         (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
         (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
         (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
         (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
        (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
       ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
     二  給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
     三  排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     四  火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。」とあり、
 設問は、第20条の3 2項4号に該当します。

  そこで、建設省告示第1826 号
   換気設備の構造方法を定める件 昭和45 年12 月28 日 建設省告示第1826 号 最終改正 平成12 年12 月26 日 建設省告示第2465 号

とあり、
 
効換気量を、(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)の40倍以上とするのは、正しい。


3 機械換気設備の構造は、換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。

○ 正しい。
 これは、建築基準法施行令第129条の2の6 2項
 「(換気設備)
 第百二十九条の二の六
    2 建築物に設ける機械換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一 換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。
     二 給気口及び排気口の位置及び構造は、当該居室内の人が通常活動することが想定される空間における空気の分布を均等にし、かつ、著しく局部的な空気の流れを生じないようにすること。
     三 給気機の外気取り入れ口並びに直接外気に開放された給気口及び排気口には、雨水又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。
     四 直接外気に開放された給気口又は排気口に換気扇を設ける場合には、外気の流れによつて著しく換気能力が低下しない構造とすること。
     五 風道は、空気を汚染するおそれのない材料で造ること。」とあり、
 第129条の2の6 2項1号に該当し、正しい。



4 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、換気設備は、当該室内の酸素の含有率をおおむね15.0%以上に保つことができるものとして、国士交通大臣の認定を受けたものも認められる。

X 誤っている。 室内の酸素の含有率は、おおむね 15.0% ではなく 20.5%。
 詳細は、選択肢2でも引用しました、建築基準法施行令第20条の3 
 「(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
 第二十条の三
 法第二十八条第三項の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
     一 火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
     二 床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
     三 発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
   2 建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一 換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
       イ 次に掲げる基準に適合すること。
        (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
        (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
        (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
        (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
      ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること
     二 給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
     三 排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     四 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。」とあり、

 第20条の3 2項1号ロ によれば、当該室内の酸素の含有率は、おおむね20.5%以上に保つ換気ができないといけませんから、設問の15.0%は、誤りです。



答え:4 


(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
第二十八条の二

 建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
  一  建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと。
  二  石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
  三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。

過去出題 マンション管理士 H21年、H19年、H18年、H15年、
管理業務主任者 R02年、H27年、H23年、H18年、H16年、H15年、

★28条の2:石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置

★この28条の2 も、よく出題があるので、説明も細かくします。

★この28条の2は、平成14年にシックハウス対策として、接着剤から発生する「ホルムアルデヒド」を使用制限し、毒性の強い白蟻駆除剤の「クロルピリホス」を使用制限した規定でしたが、さらに、平成18年10月から石綿(アスベスト)の害にも注目が集まり改正されました。
 しかし、シックハウス対策がなくなったわけではなく、衛生上の支障を生ずるおそれがあるもの(3項)として、ホルムアルデヒトとクロルピリホスは以前のまま入っています。石綿が追加されたと考えればいいようです。

石綿(アスベスト)とは
  石綿(アスベスト)は ,天然に存在する繊維状の鉱物です。 素材としては「強い・安い・軟らかい」そして耐熱・耐磨耗性にすぐれているため,以前より建材以外にも広く利用されていました。しかし,その細かい繊維(髪の毛の5000分の1程度)が肺に突き刺さったりすると,数十年の長い潜伏期間を経て,肺がんや中皮腫の原因になることが明らかになりました。
 大気汚染防止法により,1989年に「特定粉じん」に指定/使用制限または一部禁止されたものの,その危険性について社会的な共通認識とまでは至りませんでした。 ILO(国際労働機関)では,1986年に石綿条約を採択し,1989年より職業上の石綿暴露による健康被害の防止と抑制などを定めることになりましたが,日本は2005年8月に批准し,ようやく石綿による健康被害の救済に関する法整備が本格的に始まりました。
 また,建築業界が直面している問題に,1970年代の高度成長期に建設された建築物の建て替えに伴う「解体工事」により,大量のアスベストが大気中に飛散するのを規制しなければならないという大命題があります。

★石綿や著しく衛生上有害なものとは...これは現在のところ「石綿」だけです。(施行令20条の4)

<参照> 建築基準法施行令第20条の4 

第一節の三 石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置

(著しく衛生上有害な物質)
第二十条の四 法第二十八条の二第一号(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、石綿とする

石綿は、原則として、建築材料に添加、使用が出来なくなりました。(2号、3号)
  また、飛散についても規制があります。

 (1)建築資材に石綿等を添加しないこと。
 (2)石綿等をあらかじめ添加した建築材料を使用しないこと。
 (3)石綿等の以外の物質でも衛生上の支障を生じるおそれがあるものは建築材料及び換気設備について一定の技術的基準に適合すること

★石綿等以外で、居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとは...クロルピリホス及びホルムアルデヒドです。(施行令20条の5)

<参照> 建築基準法施行令第20条の5

(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
第二十条の五  法第二十八条の二第三号 の政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする

クロルピリホス(Chlorpyrifos)とは...シックハウス症候群の汚染源となる化学物質のひとつ。
  もともと、白アリ駆除などを目的とした有機リン系殺虫剤として広く使われていた。常温では無色または白色の結晶。
  住宅では、土台や柱などの木部に吹付けたり、床下土壌の全面に散布するといった方法で使用されてきた。めまいや吐き気、視力低下や頭痛などを引き起こす可能性があり、毒性が強く、使用禁止とする

ホルムアルデヒド(Formaldehyde)とは...常温で刺激臭のある無色の気体。メタノールを酸化してつくる。その水溶液はホルマリンとして合成樹脂や殺虫・防虫・防腐剤などとして広く利用されている。
   また、合板などの接着剤としても使用される。接着剤とするとその表面から発散される。使用を制限する

シックハウス症候群...新築住宅に入居すると、眼・鼻・のどの痛みや、頭痛、吐き気、喘息、皮膚のかさつきを訴える人が出てきました。
  これらの症状をシックハウス症候群といいます。
  原因は、合板や壁紙、塗料、接着剤、防腐剤などの「
揮発性有機化合物(VOC)」です。
  また、最近は省エルルギー対策で、換気量の少ない部屋を造ったことも原因と考えられています。
  そこで、クロルピリホスは使用禁止。ホルムアルデヒドは使用制限となりました。

★居室でのホルムアルデヒドの使用制限内容(施行令20条の7)

<参照> 建築基準法施行令第20条の7

(居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
第二十条の七  建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
  一  居室(常時開放された開口部を通じてこれと相互に通気が確保される廊下その他の建築物の部分を含む。以下この節において同じ。)の壁、床及び天井(天井のない場合においては、屋根)並びにこれらの開口部に設ける戸その他の建具の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において「内装」という。)の仕上げには、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・一二ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第一種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)を使用しないこと。
  二  居室の内装の仕上げに、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇二ミリグラムを超え〇・一二ミリグラム以下の量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第二種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)又は夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇〇五ミリグラムを超え〇・〇二ミリグラム以下の量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第三種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)を使用するときは、それぞれ、第二種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用する内装の仕上げの部分の面積に次の表(一)の項に定める数値を乗じて得た面積又は第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用する内装の仕上げの部分の面積に同表(二)の項に定める数値を乗じて得た面積(居室の内装の仕上げに第二種ホルムアルデヒド発散建築材料及び第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用するときは、これらの面積の合計)が、当該居室の床面積を超えないこと。

  住宅等の居室 住宅等の居室以外の居室
換気回数が〇・七以上の機械換気設備を設け、又はこれに相当する換気が確保されるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用い、若しくは国土交通大臣の認定を受けた居室 その他の居室 換気回数が〇・七以上の機械換気設備を設け、又はこれに相当する換気が確保されるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用い、若しくは国土交通大臣の認定を受けた居室 換気回数が〇・五以上〇・七未満の機械換気設備を設け、又はこれに相当する換気が確保されるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用い、若しくは国土交通大臣の認定を受けた居室 その他の居室
(一) 一・二 二・八 〇・八八 一・四 三・〇
(二) 〇・二〇 〇・五〇 〇・一五 〇・二五 〇・五〇
備考
  一 この表において、住宅等の居室とは、住宅の居室並びに下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室及び家具その他これに類する物品の販売業を営む店舗の売場(常時開放された開口部を通じてこれらと相互に通気が確保される廊下その他の建築物の部分を含む。)をいうものとする。
  二 この表において、換気回数とは、次の式によつて計算した数値をいうものとする。
   n=V/Ah
  (この式において、n、V、A及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。
  n 一時間当たりの換気回数
  V 機械換気設備の有効換気量(次条第一項第一号ロに規定する方式を用いる機械換気設備で同号ロ(1)から(3)までに掲げる構造とするものにあつては、同号ロ(1)に規定する有効換気換算量)(単位 一時間につき立方メートル)
  A 居室の床面積(単位 平方メートル)
  h 居室の天井の高さ(単位 メートル))

2  第一種ホルムアルデヒド発散建築材料のうち、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・一二ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させないものとして国土交通大臣の認定を受けたもの(次項及び第四項の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)については、第二種ホルムアルデヒド発散建築材料に該当するものとみなす。

3  第一種ホルムアルデヒド発散建築材料又は第二種ホルムアルデヒド発散建築材料のうち、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇二ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させないものとして国土交通大臣の認定を受けたもの(次項の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)については、第三種ホルムアルデヒド発散建築材料に該当するものとみなす。

4  第一種ホルムアルデヒド発散建築材料、第二種ホルムアルデヒド発散建築材料又は第三種ホルムアルデヒド発散建築材料のうち、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇〇五ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させないものとして国土交通大臣の認定を受けたものについては、これらの建築材料に該当しないものとみなす。

5  次条第一項第一号ハに掲げる基準に適合する中央管理方式の空気調和設備を設ける建築物の居室については、第一項の規定は、適用しない。

★改正に伴い、農林水産省(JAS記号)及び経済産業省(JIS記号)も変更した

  国土交通省は、シックハウス対策を強化するため建築基準法の改正を行うこととし、平成13年来検討を進め平成14年改正案を国会に提出、承認され、同改正法は平成15年7月1日に施行されました。
 国土交通省で具体的な基準等の検討がなされ、改正建築基準法の施行に伴い、使用規制が実施に移されました。

  この間、規制の方法について関係各省と協議がなされ、とくに建築材料を供給する側にある、農林水産省、経済産業省との間で、それぞれが主管する日本農林規格(JAS)及び日本工業規格(JIS)に定められたホルムアルデヒド放散量基準と規制の方法について検討が進められました。
 その結果、規制対象から除外する建築材料は既往の基準値では十分でなく、新たに上位に位置する(放散量のより少ない)基準値を設ける必要があるとされました。
 農林水産省及び経済産業省はそれぞれJAS,JISの基準改定に着手し、それぞれの所管する建築材料についてホルムアルデヒド放散量の上位の基準値を制定することとなりました。
 あわせて、両省はこれまで表示方法が異なっていたもの(JASはFco等,JISはEo等)を統一した方法とすることとなりました。(F☆☆☆☆等)
 農林水産省は、平成15年2月27日、関係の建築材料(合板、集成材、フローリング、単板積層材、構造用パネル)のJAS改正(合板は制定)について告示を行い、告示後30日を経て施行されました。
 経済産業省は、平成15年3月20日に関係の建築材料(MDF,パーチクルボード、塗料、接着剤等)のJIS改正を告示し同日施行しました。

★規制内容が分かりにくいので、纏めると、

 発散量 区分 ホルムアルデヒド発散量(表面積 1u当)

JAS、JIS

表示記号

説明
 大 第一種ホルムアルデヒド発散建築材料 0.12mg超 F☆ 内装材として使用禁止
  第二種ホルムアルデヒド発散建築材料 0.02mg超〜1.2mg以下 F☆☆ 使用量は厳しく制限
第三種ホルムアルデヒド発散建築材料 0.005mg超〜0.02mg以下 F☆☆☆ 使用量は緩やかに制限
 小 第4種 0.005mg以下 F☆☆☆☆ 制限なし

 第一種よりも、第三種の方が発散量は少ないことに注意。

★さらに、居室には、原則として換気設備も設けること(施行令第20条の8)

<参照> 建築基準法施行令第20条の8

(居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
第二十条の八  換気設備についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
  一  居室には、次のいずれかに適合する構造の換気設備を設けること。
   イ 機械換気設備(ロに規定する方式を用いるものでロ(1)から(3)までに掲げる構造とするものを除く。)にあつては、第百二十九条の二の六第二項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。
    (1) 有効換気量(立方メートル毎時で表した量とする。(2)において同じ。)が、次の式によつて計算した必要有効換気量以上であること。

      Vr=nAh

     この式において、Vr、n、A及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。
     Vr 必要有効換気量(単位 一時間につき立方メートル)
     n 前条第一項第二号の表備考一の号に規定する住宅等の居室(次項において単に「住宅等の居室」という。)にあつては〇・五、その他の居室にあつては〇・三
     A 居室の床面積(単位 平方メートル)
     h 居室の天井の高さ(単位 メートル)

    (2) 一の機械換気設備が二以上の居室に係る場合にあつては、当該換気設備の有効換気量が、当該二以上の居室のそれぞれの必要有効換気量の合計以上であること。
   (3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、ホルムアルデヒドの発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。
  ロ 居室内の空気を浄化して供給する方式を用いる機械換気設備にあつては、第百二十九条の二の六第二項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。
    (1) 次の式によつて計算した有効換気換算量がイ(1)の式によつて計算した必要有効換気量以上であるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
      Vq=Q(C―Cp)÷C+V
      この式において、Vq 、Q、C、Cp及びVは、それぞれ次の数値を表すものとする。
      Vq 有効換気換算量(単位 一時間につき立方メートル)
      Q 浄化して供給する空気の量(単位 一時間につき立方メートル)
      C 浄化前の空気に含まれるホルムアルデヒドの量(単位 一立方メートルにつきミリグラム)
      Cp 浄化して供給する空気に含まれるホルムアルデヒドの量(単位 一立方メートルにつきミリグラム)
      V 有効換気量(単位 一時間につき立方メートル)

    (2) 一の機械換気設備が二以上の居室に係る場合にあつては、当該換気設備の有効換気換算量が、当該二以上の居室のそれぞれの必要有効換気量の合計以上であること。

   (3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、ホルムアルデヒドの発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。

  ハ 中央管理方式の空気調和設備にあつては、第百二十九条の二の六第三項の規定によるほか、ホルムアルデヒドの発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる構造又は国土交通大臣の認定を受けた構造とすること。

   二  法第三十四条第二項 に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が千平方メートルを超える地下街に設ける機械換気設備(一の居室のみに係るものを除く。)又は中央管理方式の空気調和設備にあつては、これらの制御及び作動状態の監視を中央管理室において行うことができるものとすること。

  2  前項の規定は、同項に規定する基準に適合する換気設備を設ける住宅等の居室又はその他の居室とそれぞれ同等以上にホルムアルデヒドの発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる住宅等の居室若しくはその他の居室又は国土交通大臣の認定を受けた住宅等の居室若しくはその他の居室については、適用しない。

<参照> 建築基準法施行令第20条の9

(居室を有する建築物のホルムアルデヒドに関する技術的基準の特例)
第二十条の九  前二条の規定は、一年を通じて、当該居室内の人が通常活動することが想定される空間のホルムアルデヒドの量を空気一立方メートルにつきおおむね〇・一ミリグラム以下に保つことができるものとして、国土交通大臣の認定を受けた居室については、適用しない。

 


{設問}平成23年 管理業務主任者試験 「問18」

【問 18】 建築基準法第28条の2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 著しく衛生上有害なものとして建築材料に添加してはならない物質としては、石綿のみが指定されている。

○ 正しい。 似たような出題は、 平成16年 管理業務主任者試験 「問24」 や 平成15年 管理業務主任者試験 「問24」 。
  まず、建築基準法第28条の2
 「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
  第二十八条の二  建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
     一  建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと。
     二  石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
     三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。」とあり、
政令は建築基準法施行令20条の4
 「(著しく衛生上有害な物質)
  第二十条の四  法第二十八条の二第一号 (法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、石綿とする。 」とあり、
「石綿や著しく衛生上有害なものとは」これは現在のところ「石綿」だけです。
 なお、石綿はアスベストともよばれ、天然に存在する繊維状の鉱物です。 素材としては「強い・安い・軟らかい」そして耐熱・耐磨耗性にすぐれているため、以前より建材以外にも広く利用されていました。しかし、その細かい繊維(髪の毛の5000分の1程度)が肺に突き刺さったりすると、数十年の長い潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫の原因になることが明らかになりました。


2 石綿以外の物質で、居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質として指定されているのは、ホルムアルデヒドのみである。

X 誤っている。 建築基準法施行令第25条の5
 「(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
  第二十条の五  法第二十八条の二第三号 の政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。」とあり、
クロルピリホスとホルムアルデヒドです。


3 吹付けロックウールで、その含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の1%以下のものは、建築材料として使用することができる。

X 誤っている。 まず、ロックウールとは、工場で製造された人造の鉱物繊維 で一方、アスベストは、天然に産出する鉱物繊維 の違いがあります。
吹き付けロックウールは、ロックウールをセメント、アスベストなどと混合し、機械で噴出させ天井などに付着させたものです。
ここで、危険な石綿が使われていますので、国土交通省告示 第1172号 平成18 年9月29日より、
 「石綿等をあらかじめ添加した建築材料で石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものを定める件では、
  「吹付け石綿」と「吹付けロックウールで石綿の重量含有率が0.1%を超えるもの」以外の石綿等を予め添加した建築材料 となっています。
1%ではだめです。石綿の重量含有率が0.1%以下です。


4 第3種ホルムアルデヒド発散建築材料は、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料より夏季においてホルムアルデヒドの毎時の発散量が多い。

X 誤っている。 ここは、過去も出ている。
 建築基準法施行令
 「(居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
   第二十条の七  建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
     一  居室(常時開放された開口部を通じてこれと相互に通気が確保される廊下その他の建築物の部分を含む。以下この節において同じ。)の壁、床及び天井(天井のない場合においては、屋根)並びにこれらの開口部に設ける戸その他の建具の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において「内装」という。)の仕上げには、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・一二ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第一種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)を使用しないこと。
     二  居室の内装の仕上げに、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇二ミリグラムを超え〇・一二ミリグラム以下の量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第二種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)又は夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇〇五ミリグラムを超え〇・〇二ミリグラム以下の量のホルムアルデヒドを発散させるものとして国土交通大臣が定める建築材料(以下この条において「第三種ホルムアルデヒド発散建築材料」という。)を使用するときは、それぞれ、第二種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用する内装の仕上げの部分の面積に次の表(一)の項に定める数値を乗じて得た面積又は第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用する内装の仕上げの部分の面積に同表(二)の項に定める数値を乗じて得た面積(居室の内装の仕上げに第二種ホルムアルデヒド発散建築材料及び第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用するときは、これらの面積の合計)が、当該居室の床面積を超えないこと。」とあり、
第一種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量は、毎時〇・一二ミリグラムを超える量
第二種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量は、毎時〇・〇二ミリグラムを超え〇・一二ミリグラム以下の量
第三種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量は、毎時〇・〇〇五ミリグラムを超え〇・〇二ミリグラム以下の量
で、第三種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量の方が、第一種ホルムアルデヒド発散建築材料の発散量よりも少ない。
なお、第一種ホルムアルデヒド発散建築材料は使用できないと覚えればいいでしょう。


答え:1 (選択肢3 は、まったく知らなかった。 国土交通省の告示とは! 調べるのに時間がかかった!)


ページ終わり

最終更新日:
2022年 3月22日:再度見直した。
2022年 3月 6日:第20条を詳細に解説した。
施行:令和元年6月25日に対応した。
2019年 8月 8日:第21条の改正。
2019年 8月 8日:第26条に「又は防火床」を追加。
2019年 8月 8日:第27条1項に追加。
2018年 3月22日:「田園住居地域」で第54条など追加した。
2018年 3月19日:「田園住居地域」を入れた。
2018年 3月17日:平成29年と平成28年の出題年を入れた。
2016年 3月 5日:平成27年の出題年を入れた。
2015年 4月16日:平成27年 6月1日施行に合わせた。
また、平成25年の出題年も入れた。
2014年 2月23日:平成25年の出題年と第28条に「問20」を入れた。
2013年 3月24日:平成24年の出題年を入。
2012年 3月21日:平成23年の出題年記入。
2011年 5月 8日:改正を確認。
2011年 1月30日:H22年の出題年を入れた。
2010年1月24日:H21年の出題年記入
開始:2008年10月24日  

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