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平成18年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説


ページ2(問26より問50まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には対応していません。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

【問 26】マンションの屋上の露出アスファルト防水層の改修に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 既存の平場防水層は、すべて撤去しなければならない。

→×適切でない。  平成27年マンション管理士試験 「問38」
 まず、ふだん、ビルの屋上を歩いても気づかないが、屋上表面のコンクリート層の下には、アスファルト防水層があって、室内へ水が漏れるのを防いでいる。アスファルト防水層は、寒暖差、地震、雨水の浸入などによって劣化し、最後は破断してしまう。その寿命は、押さえのコンクリート層がある場合で約20年、防水層の露出している場合は15年ほど。修理方法には、既存の層をすべて排除して新しく敷きなおす撤去工法と、これまでの部分はそのまま残し、その上から新たな防水層を重ねていくかぶせ工法の2種類がある。
屋上の防水は、大別すると次の4つに分けることが出来ます。
    @アスファルト押え防水工法、
    Aアスファルト露出防水工法、
    Bシート防水工法、
    C塗膜防水工法  の4つです。それぞれの工法の中にも色んな仕様や種類、材料の違いがあります。
  そして、設問のアスファルト露出防水工法は、ごく簡単に説明しますと@の押え防水工法のようにコンクリートなどの押え層を設けず、おもに砂付きルーフィングと呼ばれるシート状の防水層を露出させた工法です。屋上に人の出入りが無い(または少ない)ケース、いわゆる非歩行や軽歩行の屋上の場合に採用されるケースが多い工法です。構造的には、押え工法の押え層のかわりに1層目のアスファルト防水層を砂付きルーフィングで保護し、劣化の進行を防ぐと言うのが基本的な考え方ですので、表面のルーフィングはあくまでも保護層であり、本来の防水の役目はその下にある防水層が担うと言う考え方が正しい。
  屋上防水の改修には、旧防水層を全面取り除く撤去方式と一部撤去方式や、旧防水層の上から施工するかぶせ方式がある。すべて撤去とはいえない。

2 改修工法として、断熱防水工法を選定した場合には、積載荷重増加に対する構造的な検討が必要である。

→○最も適切。  そのとおり。なお、断熱防水工法には、断熱材と建物の構造物であるコンクリートスラブとの位置関係による断熱工法(外断熱工法・内断熱工法)の分類と、断熱材と防水層との位置関係による分類(露出断熱防水工法・押さえ断熱防水工法)の2種類の分類方法がある。断熱材(FRPパネルなど)を使用するため、重くなるので、積載荷重が増加することを検討しなければいけない。

3 改修工法としては、溶融アスファルトを用いた熱工法によるアスファルト防水が最も簡便な工法といえる。

→×適切でない。 シート防水等が簡便。塩ビシート防水の特徴は、彩の豊かさを生かした美しい仕上がりにあります。密着仕様では軽歩行もできますので屋上利用が可能です。施工面では、工期が短く大がかりな施工器具も必要ないといった特徴があります。

また、 露出アスファルトのかぶせ方式ではアスファルトをトーチで溶かす工法もある。

4 既存のパラペット部の立ち上り防水層はすべて撤去し、新たな防水層を施工しなければならない。

→×適切でない。 パラペットとは、建造物の先端を保護するために、建築物の屋上などに設けられた低い壁のことで、劣化部だけの部分撤去もある。かぶせ方式では立ち上がり防水層の劣化の程度による。

答え:2

問27

【問 27】外壁に生じる劣化現象についての次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 エフロレッセンスとは、外壁に貼られたタイルの成分が雨水の浸入により溶け出して生じるものである。

→×適切でない。 このあたりもよく出題される。平成20年 管理業務主任者 試験 「問26」 など。
   エフロレッセンス(白華現象)とは、コンクリート中の可溶性物質やコンクリート周辺に存在する可溶性物質が、水分の逸散や空気中の炭酸ガスとの反応によってコンクリート表面に析出したもので、コンクリートのアルカリ分が減少し、中性化していることを示す。タイルの成分が溶けたものではない。コンクリートの中性化が進むと徐々にアルカリ成分で守られていた中の鉄筋が腐食して、耐力が低下する。

2 コンクリートにひび割れを生じさせる主要な原因の一つに、鉄筋の膨張収縮がある。

→×適切でない。 適当に読み流さないこと。コンクリートにひび割れを生じさせる主要な原因としては、コンクリートの乾燥収縮と鉄筋の腐食による膨張はある。鉄筋は腐食により膨張するが、収縮はない

3 アルカリ骨材反応とは、アルカリ反応性骨材とセメントなどのアルカリ分が長期にわたって反応し、コンクリートにひび割れや崩壊を生じさせる現象である。

→○ 最も適切。 アルカリ骨材反応とは、セメントに含有される水酸化アルカリ(NaOHおよびKOH)とある種の骨材が反応し、水分を吸収して、コンクリートに異常な膨張が生じ、ひび割れが発生する現象。

4 コンクリートの中性化を生じさせる主な要因は、酸性雨である。

→×適切でない。 コンクリートの中性化とは、大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入し、水酸化カルシウムなどのセメント水和物と炭酸化反応を起こすことによりコンクリートのアルカリ性(pH)を低下させる現象で酸性雨も1つの原因ではあるが、主な原因ではない。主な原因は炭酸ガスである。

答え:3

問28

【問 28】次に掲げるマンションの各住戸の性能向上策のうち、専有部分の改修のみで行うことができないものはどれか。

1 外断熱工法による外壁面の断熱性能の向上

→× できない。 マンションのどの部位が専有部分なのか、共用部分かを明確にしておくこと。  
   外断熱工法は、共用部分である建物の外壁に断熱材を設置する工法であり、共用部分の工事も伴う。

2 室内側二重窓の設置による断熱・防音性能の向上

→○ できる。 室内側での二重窓の工事は、専有部分内工事ですむ。

3 住戸内給湯方式における給湯器の交換による能力向上

→○ できる。 住戸内給湯器の交換は、専有設備であるので専有部分だけの改修で可能。

4 換気方式における24時間換気の導入

→○ できる。 これは、住戸内の換気装置であるので、専有設備として専有部分の改修で可能。

答え:1

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 29】次に掲げる総会の決議が必要な事項と理事会の決議で行うことができる事項の組合せのうち、マンション標準管理規約の定めによれば、誤っているものはどれか。

*分かりにくい表と設問だけど、理事会の決議でできることと、総会の決議がなければできないことの出題は多い。平成20年 管理業務主任者 試験 「問37」 など。
1→○ ア ○.役員の選任は、マンション標準管理規約(単棟型)35条2項「理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」、そして同48条13号「役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法」の規定により、総会の決議が必要な事項。
    イ ○. 管理費滞納者に対する支払請求訴訟の提起は、同60条3項「理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。」の規定により、理事会の決議で行うことができる事項。

2→× ア ○.屋上防水工事の実施は、経常的な補修費とは言えず計画的に行う修繕又は特別の事由により必要となる修繕で積立金の取り崩し対象工事となり、マンション標準管理規約(単棟型)48条6号「第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し」の規定により、総会の決議が必要な事項。また、コメント47条関係Dオ)により普通決議でいい。
    
イ X役員活動費の支払方法の制定は、同48条13号の規定により、総会の決議が必要な事項。理事会の決議ではできない。

3→○ ア ○.管理委託契約の締結は、同48条14号「組合管理部分に関する管理委託契約の締結」の規定により、総会の決議が必要な事項。
    イ ○. 専有部分の修繕等の工事の承認は、区分所有者が専有部分の修繕等を行おうとするときは、同17条1項により「あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面による承認をうける」ことになっており、同17条3項「理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。」の規定により、理事会の決議で行うことができる事項。

4→○ ア ○.修繕積立金の保管及び運用方法を普通預金からマンションすまい・る債に変更することは、同48条8号「修繕積立金の保管及び運用方法」の規定により、総会の決議が必要な事項。
    イ ○. 理事会の招集手続きの制定は、同52条3項「理事会の招集手続については、第43条(建替え決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第7項までを除く。)の規定を準用する。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。」の規定により、理事会の決議で行うことができる事項。

答え:2

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 30】あるマンションの総会に関する次の理事会の措置のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 駐車場増設工事の議題につき、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要な特別決議事項である旨を記載せずに議案書を作成配布した。

→○ 適切である。 引っかけに注意。駐車場増設工事は、敷地及び共用部分等の重大変更(区分所有法第17条、標準管理規約(単棟型)47条3項2号)に該当し、議案の通知とともに、議案の要領の通知も必要(区分所有法第35条5項、標準管理規約(単棟型)43条4項)でまた区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要な特別決議事項ではあるが、議案書に「特別決議事項であるか否か」の記載は、区分所有法及びマンション標準管理規約では規定がない。

2 管理組合の法人格取得の議題につき、法人格取得のメリットや理由を記載せずに議案書を作成配布した。

→○ 適切である。 管理組合の法人格取得は区分所有法第47条1項「第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。」 により、特別決議を経て、登記をして法人となるが、法人格取得のメリットや理由を議案書へ記載せよとの規定は、区分所有法及びマンション標準管理規約にはない。総会の招集通知要件ではない。

3 管理規約改正の議題につき議案の要領を通知せず、会議の日時、場所及び目的のみ記載した総会案内を作成配布した。

→× 最も不適切。 管理規約改正の議題は、区分所有法第35条5項「第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。 」、同法第31条1項「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。 」及びマンション標準管理規約(単棟型)47条3項1号、同43条4項の規定により、議案の要領の通知が招集の要件である。なお、議案の要領とは決議内容を示すことです。

4 外壁タイルの一部落下の復旧工事の議題につき、工事業者の名称、工事金額の概算及び同工事に要する費用は修繕積立金の取り崩しによることを記載し、他の事項は理事会に一任する旨の議案書を作成配布した。

→○ 適切である。 外壁タイルの一部落下の復旧工事は、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)と解され(区分所有法第17条1項「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」 、同法第18条1項参照)、復旧工事と費用の修繕積立金からの取り崩しは、総会の決議となる。(マンション標準管理規約(単棟型)48条6号、同28条1項参照。)しかし、議案の要領の通知が招集の要件ではない(同43条4項参照)。また、理事会は、総会から付託された事項を決議することが出来るので「理事会に一任する旨の議案書」も可能(同54条7号)。

答え:3

問31

【問 31】集会の決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 集会において決議をすべき場合において、区分所有者が1人でも反対するときは、書面による決議をすることができない。

→○ 正しい。 集会での決議方法は、普通集会に出席して挙手等で行うが、区分所有法では、集会に出席しないで、書面と、コンピューター(電磁的方法)での議決権行使ができる。しかし、それには、区分所有法第45条1項「この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる」の規定により、区分所有者が1人でも反対するときは、書面による決議をすることができない。これはコンピューター(電磁的方法)でも、全員の承諾が必要。

2 集会の決議事項について、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成があったときは、書面による決議があったものとみなされる。

→× 誤りである。 区分所有法第45条2項「この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす」の規定により、区分所有者全員の書面による合意がなければ、集会の決議があったとはみなされない。

3 集会において決議をすべき場合において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の承諾があるときは、電磁的方法によってのみ決議をする旨の管理規約を定めることができる。

→× 誤りである。 選択肢1のように、区分所有法第45条1項の規定により、電磁的方法の採用も区分所有者全員の承諾が必要。(区分所有者の全員がコンピューターを扱え、またインターネットを利用できる状態にないことを想定すれば、当然です。)

4 集会の決議事項について、電磁的方法により決議をする場合は、区分所有者全員の賛成がなければ、集会の決議と同一の効力を有することはない。

→× 誤りである。 区分所有法第45条3項「この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する」の規定により、決議要件は集会の決議と同一。 書面や電磁的方法での決議が認められている場合には、その後の議決の方法は、普通決議、特別決議の規定により効力をもつ。

答え:1  (かなり、設問が分かりにくく曖昧である。)

問32

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 32】あるマンションにおける次の管理規約の定めのうち、区分所有法の規定によれば、無効とされるものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 共用部分の変更は、区分所有者の過半数及び議決権の4分の3以上の多数による集会の決議で決する。

→○ 有効。 このあたりの出題も多い。 平成23年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問6」 など。
   規約でも別段の定めができ、また加重だけか、軽減か、短縮できるかどうかを聞いている。この辺りの数字は、もう暗記しかない。
   区分所有法での共用部分の変更については、区分所有法第17条1項「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」の規定があり、また、軽微な変更については、規約で別段の定めをすることができる(同法第18条1項、2項)ので、重大変更と軽微変更を一括した共用部分の変更の規約として有効。

2 管理者の選任又は解任は、区分所有者及び議決権の各3分の2以上の多数による集会の決議で決する。

→○ 有効。 管理者の選任又は解任は、区分所有法第25条1項「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる」の規定により総会の普通決議事項であり、普通決議事項は、同法第39条1項「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する」の規定により、規約で要件を加重したり軽減することができる

3 区分所有者の4分の1以上で議決権の4分の1以上を有するものに限り、管理者に対し、会議の目的を示して、集会の招集を請求することができる。

→× 無効。 このような、数字についての出題は、出題者にとって問題が作り易いので、各規定を明確に区分して覚えること。平成22年 管理業務主任者試験 「問31」 選択肢3 など。
   集会は通常管理者が招集するが、区分所有法第34条3項「区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる」の規定により、少数招集権は規約で要件を軽減はできるが加重はできない。(なお、1/5=20%、1/4=25%で1/4が多い。)

4 集会の招集の通知は、会日より少なくとも10日前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。

→○ 有効。 区分所有法第35条1項「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる」の規定により、招集期間は一週間前から10日前に伸ばせる。(当然、短くもできます。)

答え:3

問33

【問 33】区分所有者又は共有者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 各共有者は、共用部分の保存行為をすることができる。

→○ 正しい。 区分所有法第18条1項「共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為(修理程度)は、各共有者がすることができる」の規定のとおり。

2 各区分所有者は、管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、その解任を裁判所に請求することができる。

→○ 正しい。 区分所有法第25条2項「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる」の規定のとおり。

3 各区分所有者は、建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときは、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。

→○ 正しい。 建物の滅失による復旧については、建物の価格の2分の1以下(小規模滅失という)と建物の価格の2分の1超(大規模滅失という)でその扱いがことなるので注意のこと。
   区分所有法第61条1項「建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。」の規定のとおり。

4 専有部分の各共有者は、集会においてそれぞれ持分に応じて議決権を行使することができる。

→X 誤りである。  区分所有法第40条「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」の規定により、共有の場合の議決権は代表者を一人決めて行使する。それぞれでの議決権行使は認められていない。

答え:4

問34

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 34】住戸数が100戸のAマンションの所有形態が、単独名義で1住戸を所有している者が95名、単独名義で2住戸を所有している者が1名、2名で共有名義の住戸が3戸(区分所有者6名は各々異なる者とする。)となっている場合において、次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、Aマンションでは、管理規約において議決権割合を1住戸1議決権と定めているが、他の定めはマンション標準管理規約と同一であるものとする。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 議決権総数は100、議決権行使についての組合員総数は99である。

→○ 最も適切である。 
*全体の説明
       議決権総数は1住戸1議決権と定めているので、100戸の議決権総数は、100。
       組合員総数は、単独が 95
                   +    1 (1人で2住戸を所有)
                   +    3 (共有者はあわせて1の組合員になるため) 
              −−−−−−−−−−−
                 計    99

議決権割合を1住戸1議決権としているため議決権総数は100、議決権行使についての組合員数は単独名義95、2住戸を所有1、共有名義3で計99である。

2 議決権数にして51以上を有する組合員が出席しなければ、総会は成立しない。

→×適切でない。  マンション標準管理規約(単棟型)47条1項「総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない」の規定により議決権の半数以上が総会の定数であり、議決権総数100の半数は51でなく50で成立する。

3 普通決議事項は、議決権数にして25以上を有する組合員の賛成があれば可決する。

→×適切でない。  マンション標準管理規約(単棟型47条2項「総会の議事は、出席組合員の議決権 の過半数で決する」の規定により、最も少ない50人の出席があった場合、可決要件は過半数の26以上となり、半数の25以上では可決できない。

4 特別決議事項は、議決権数にして75、組合員数にして74の賛成があれば可決する。

→×適切でない。  マンション標準管理規約(単棟型)47条3項により「特別決議要件は組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上」であり、議決権数の 100×3/4=75はいいが、組合員数は 99×3/4=74.25<75 となり、74では可決されない。

答え:1

問35

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 35】あるマンションの総会の議長が行った次の行為のうち、マンション標準管理規約によれば、最も適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 1住戸が2名の共有の場合、あらかじめ議決権行使者としての届出のなかった共有者1名に議決権を行使させた。

→×適切でない。 議決権については、マンション標準管理規約(単棟型)46条に、
   1項 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
   2項  住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
   
3項 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
   4項 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
   5項 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。
   6項 代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」とあり、
共有の場合は、3項「前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない」の規定により、あらかじめ議決権行使者として届出の共有者1名に議決権を行使させる。届出のない共有者は議決権を行使できない。(代理人となっていれば可能。)

2 普通決議事項につき、自分の賛成票を加えて可否同数になったので、議案が否決されたものとした。

→○ 最も適切である。 マンション標準管理規約(単棟型)47条2項「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する」の規定により、過半数には議長を含む出席組合員であるので(同コメント47条関係:第2項は、議長を含む出席組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数で決議し、過半数の賛成を得られなかった議事は否決とすることを意味するものである。)」とあり、可否同数の場合は否決となる。(改正前には、可否同数のときは、議長決済の項目があったのが、変更になった。)

3 あらかじめ通知した議案ではないが緊急動議が出たため、これを取り上げ採決した。

→×適切でない。 マンション標準管理規約(単棟型) 47条9項「総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」の規定により、通知した議案に関連する議案以外は緊急動議でも採決できない。これは、総会に出席していない組合員(区分所有者)を保護するためと考えればいい。

4 総会の議事録に、議長の指名する3名の総会出席者に署名押印をさせたが、議長本人は、署名押印をしなかった。

→×適切でない。 マンション標準管理規約(単棟型) 49条2項「議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない」の規定により、議長本人の署名捺印が必要。

答え:2 選択肢1の共有の場合の議決権行使の扱い方は、かなり粗い設問で、ここの解説は、あくまでも、標準管理規約という、国土交通省の役人が作成した参考書での限定したものです。

問36

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 36】総会の決議が必要なものは、マンション標準管理規約の定めによれば、次のうちどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 理事会の責任と権限の範囲における専門委員会を設置すること。

→× 総会決議は不要。 マンション標準管理規約(単棟型)55条1項「理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる」の規定により、理事会の決議で行うことができる

2 開口部の改良工事の実施について細則を定めること。

→○ 総会の決議が必要。 総会の決議が必要な事項は、マンション標準管理規約(単棟型)48条によると、
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
   七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
   八 修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
   十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
   十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、
4号「規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止」の規定により、総会の決議が必要。

3 法令違反の区分所有者の同居人に警告を行うこと。

→× 総会決議は不要。  マンション標準管理規約(単棟型)67条1項「区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる」の規定により、理事会の決議で行うことができる。

4 規約違反の組合員に対して法的措置をとること。

→× 総会決議は不要。  規約違反は、マンション標準管理規約(単棟型)67条3項「区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置(一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること)を講ずることができる。」の規定により、理事会の決議で行うことができる。(注:標準管理規約では、規約違反についてこのように規定しているが、法的な根拠について争いがあるようだ。)

答え:2 (少し、難問。選択肢4が悩むか?)

問37

【問 37】マンションの敷地内駐車場に、マンションとは無関係の第三者Aの車両が継続して違法に駐車されている場合における次の組合員の意見のうち、最も適切なものはどれか。

1 違法駐車なのだから、理事長は保存行為として、レッカー車による強制移動をすることができる。

→×適切でない。 理事長ができる保存行為は、緊急を要するか、比較的軽度の維持行為と解される。第三者の車両をレッカー車で強制移動することは保存行為の範囲を越えている。理事長や管理組合の業務でない。(近代法治国家の原則として、このような自力救済は、認められない。)

2 規約を改正して違法駐車について違約金の定めを置き、それに基づき違約金を徴収することができる。

→×適切でない。 規約は区分所有法第30条1項にあるように、「区分所有者相互間の事項」を定めるもので、区分所有法第30条4項「第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない」の規定どおり、規約で第三者に関する規定は設けられない

3 理事長は、Aに対し、違法駐車による損害賠償金の請求をすることができる。

→○ 最も適切。 区分所有法第26条2項「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。...(中略)共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする」の規定により、理事長は区分所有法に定める管理者なので(マンション標準管理規約(単棟型)38条2項)、違法駐車による損害賠償の請求をすることができる

4 Aに対する車両の撤去請求の訴訟は、Aが行方不明の場合にはできない。

→×適切でない。 民事訴訟法第110条「次に掲げる場合(一  当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合)には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。」の規定により、行方不明でも訴状の公示送達ができる

答え:3

問38

【問 38】マンションの共用部分及び敷地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、共用部分の変更をすることができる。

→× 誤りである。 規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、その共用部分の管理義務は負う(区分所有法第20条1項)が、同法第20条2項「前項の共用部分の所有者は、第十七条第一項に規定する共用部分の変更をすることができない」の規定により、共用部分の変更はできない。注:通常、登記ができない共用部分には、所有者がいないはずだけど、この規定は「管理所有」と呼ばれ、出題傾向が高い。

2 規約による建物の敷地は、建物及び建物が所在する土地に隣接した土地でなければならない。

→× 誤りである。 設問は、規約敷地と呼ばれる。区分所有法第5条1項「建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。」の規定により、管理・使用の一体性は必要だが、土地・建物が隣接していることは必要ではない。(*よくでる問題*



3 専有部分となりうる部分及び附属の建物は、その旨の登記をしなければ、規約による共用部分とすることができない。

→× 誤りである。 区分所有法第4条2項「第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない」の規定により、規約だけで共用部分にでき、登記は必要ない。第三者に対抗するためには登記が必要なだけ。

4 敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

→○ 正しい。 こんな規定があったのかと驚かない事。区分所有法第10条「敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる」 の規定のとおり。なお、敷地利用権とは、区分所有法第2条6項「この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう」。具体的には、敷地を目的とする所有権・地上権・賃借権・使用賃借による権利等である。

答え:4 (区分所有法での管理所有などの例外的な規定も注意のこと。)

問39

【問 39】マンションの管理組合が、組合員である区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費に係る債権(総会の決議によって年額が決定され、毎月一定額を支払うこととなっているもの)の消滅時効に関する次の記述のうち、判例によれば、最も適切なものはどれか。

1 毎月一定額を支払うこととなっている管理費及び特別修繕費に係る債権のうち、特別修繕費についてだけは、短期消滅時効の適用はなく、一般債権についての10年の消滅時効にかかる。
2 毎月一定額を支払うこととなっている管理費及び特別修繕費に係る債権は、短期消滅時効の適用はなく、一般債権についての10年の消滅時効にかかる。
3 毎月一定額を支払うこととなっている管理費及び特別修繕費に係る債権は、定期給付債権に該当し、5年の消滅時効にかかる。
4 毎月一定額を支払うこととなっている管理費及び特別修繕費に係る債権のうち、管理費についてだけは、定期給付債権に該当し、5年の消滅時効にかかる。

*全体の説明* ここは、平成21年管理業務主任者試験 「問39」 でも出ている。
 管理費や修繕積立金(ここでは特別修繕費といっている)等の時効については、解釈であらそいあったが、平成16年4月23日付最高裁判決が以下のようになされた。
「マンション管理組合が組合員である区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費に係る債権が,管理規約の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものであり,その具体的な額は総会の決議によって確定し,月ごとに支払われるものであるときは,当該債権は民法第169条(定期給付債権の短期消滅時効)「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する」 所定の債権に当たる。
これにより、管理費や特別修繕費は定期給付債権とみなされ、支払期日から5年以内に請求権を行使しないと、時効にかかることになった。

1→× 適切でない。
2→× 適切でない。
3→○ 最も適切。
4→× 適切でない。 

答え:3

問40

【問 40】マンションの売主である宅地建物取引業者が宅地建物取引業法第37条第1項の規定により、当該マンションの買主に交付すべき書面に記載しなければならない事項とされていないものは、次のうちどれか。

1 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容

→○ 記載事項である。 宅地建物取引業法第37条1項「宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
   一  当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所
   二  当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
   三  代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
   四  宅地又は建物の引渡しの時期
   五  移転登記の申請の時期
   六  代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
   七  契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
   八  損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
   九  代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
   十  天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
   十一  当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
   十二  当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容 」とあり、
8号「損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容」の規定のとおり。

2 当該マンションの瑕疵を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容

→○ 記載事項である。 選択肢1でも述べたように、宅地建物取引業法第37条1項11号「当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容」の規定のとおり。

3 当該マンションに係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容

→○ 記載事項である。 選択肢1でも述べたように、宅地建物取引業法第37条1項12号「当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容」の規定のとおり。

4 私道に関する負担に関する事項

→X 記載事項でない。  宅地建物取引業法第35条1項3号「当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項」の規定により、私道負担は第37条の契約成立時の書面記載事項ではなく第35条の重要事項記載事項。

答え:4 (重要事項の記載項目と契約時に交付する書面に記載する内容の違いを明確にしておくこと。)

問41

【問 41】宅地建物取引業者であるA社が、新築の分譲マンションを宅地建物取引業者でない買主Bに売却した場合のアフターサービス及び瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 A社が不動産業者の団体が制定している「アフターサービス規準」に従ったアフターサービスを特約しているときは、瑕疵担保責任を負わない旨の特約をすることができる。

→× 誤りである。 瑕疵担保責任を負わない旨の特約はできない。 瑕疵担保責任は、民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法、そして、アフター・サービス規準において、いつも出題される。平成20年 管理業務主任者 試験 「問41」 平成17年 管理業務主任者 試験 「問41」 、平成14年 管理業務主任者 試験 「問44」 、平成13年 マンション管理士 試験 「問16」 など。
  期間、対象を明確にしておくこと。
  宅地建物取引業法第40条1項「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第三項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。」の規定により、瑕疵担保の特約が許容されるのは期間の点のみで、それ以外は同2項「前項の規定に反する特約は、無効とする。」の規定により無効となる。瑕疵担保は物件全般の欠陥を対象とするのに対してアフターサービス基準は問題となりうる特定の部位を対照としており、その範囲は瑕疵担保>アフターサービス基準の関係にある以上、アフターサービスを特約しているときは。瑕疵担保責任を負わない旨の特約は期間以外の制限に関する特約として無効となる。

2 A社は、アフターサービスの内容として、瑕疵又は欠陥の補修のみを行い、損害賠償請求はできないと定めることができる。

→○ 正しい。できる。 アフターサービスは、契約の一種であり、強行法規に反しない限り、当事者間でいかようにも定めることができる。なお、アフターサービスと民法の瑕疵担保責任は並存するので買主に不利益はない。

3 A社が、引渡しの日から1年間に限り、瑕疵担保責任を負う旨の特約をBとした場合、アフターサービスの特約も無効となる。

→× 誤りである。 アフターサービスの特約は有効である。 宅地建物取引業法第40条の規定により瑕疵担保期間を1年と制限した条項は無効となり、民法どおりの期間(解釈上引渡しから10年最判平成13年11月27日平成10(オ)773損害賠償請求事件)となる。しかし、アフターサービスの特約は瑕疵担保責任とは別個のもので、内容は当事者が自由に定めていい。

4 A社は、天災地変等の不可抗力による欠陥についてはアフターサービスを行わないとすることも、A社に過失がない瑕疵については瑕疵担保責任を負わないとすることも、Bが認める場合は有効である。

→× 誤りである。 無効である。アフターサービスでの契約内容は自由に定められる。また民法第570条の瑕疵担保責任は任意規定であり、民法第572条の制限に反しない限り放棄も可能であるが、宅地建物取引業法第40条の規定により宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の場合の瑕疵担保責任は買主が放棄しても無効となる。

答え:2  参考:瑕疵担保責任のまとめ  (設問が入り組んでいるので注意のこと。)

問42

【問 42】売主Aと買主Bがともに宅地建物取引業者でない中古マンションの売買契約における売主の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bは、売買契約締結当時に知っていた瑕疵又は通常の注意をすれば知ることができた瑕疵については、Aに対し瑕疵担保責任を追及することができない。

→○ 正しい。 瑕疵担保責任は、民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法、そして、アフター・サービス規準において、いつも出題される。期間、対象を明確にしておくこと。
  売買契約締結当時に知っていた瑕疵又は通常の注意をすれば知ることができた瑕疵については、「隠れたる瑕疵にあたらず」と解され民法第570条「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条(3項 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない)の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」 の適用はない。

2 AB間において、Aが瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合、Aが知りながら告げなかった事実についても瑕疵担保責任を負うことはない。

→× 誤りである。 平成23年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問41」 など。
  売主Aと買主Bが共に宅地建物取引業者でなければ、特約で、瑕疵担保責任を負わないことを定めればそれは有効であるが、民法第572条「売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない」の規定により、知りながら告げなかった事実については瑕疵担保責任を負う。

3 Aが瑕疵担保責任を負うべき期間を特約しなかった場合、中古マンションの引渡しの時から10年を経過しても、Bがその瑕疵を知った時から1年以内であれば、Aに対し瑕疵担保に基づく損害賠償請求権を行使できる。

→× 誤りである。 最高裁の判例(平成13年11月27日)によると、瑕疵担保責任による損害賠償請求権も、一般債権と同じ消滅時効の規定、民法第167条1項「債権は、十年間行使しないときは、消滅する」として、目的物の引渡しの時から10年の経過で消滅する。買主Bが瑕疵を知っても10年が経過していれば損害賠償請求権はない。ここは、平成21年管理業務主任者試験 「問42」 選択肢3、 平成23年管理業務主任者試験 「問42」 選択肢4 でも出た。

4 AB間において、「瑕疵の補修請求はできるが、損害賠償請求はできない」旨の特約をしても無効である。

→×誤りである。 民法第570条の瑕疵担保責任は任意法規であり、条文と異なる定めも強行法規に反しない限り有効。売主が宅地建物取引業者であるときに、宅地建物取引業法第40条の瑕疵担保責任が適用されるのであって、当事者が宅地建物取引業者でなければ、当事者間で自由に特約をしていい。

答え:1   参考:瑕疵担保責任のまとめ

問43

【問 43】消費者契約法(平成12年法律第61号)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 売主が消費者の場合であっても、買主が事業者である売買契約において、売主の瑕疵担保による損害賠償責任の全部を免除する条項は無効である。

→× 誤りである。 消費者契約法なんて、出題の範囲かと疑問だけど、平成17年にも出題されている。平成17年 管理業務主任者 試験 「問44」。また、平成20年 マンション管理士 試験 「問12」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問43」 でも出た。
 売主の「事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効」を定めた 消費者契約法第8条1項5号「消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項は、無効とする。」の規定によれば、売主が事業者の場合には、無効となるが、売主が消費者である売買契約の規定がなく有効である

2 消費者契約法において「事業者」とは、会社等の法人その他の団体をいい、個人が「事業者」に該当することはない。

→× 誤りである。 消費者契約法第2条2項「この法律において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。」の規定によれば、個人も事業者に該当することがある

3 株式会社が株式会社にマンションの1室を売却する契約は、それが居住用のものであっても消費者契約法は適用されない。

→○ 正しい。  消費者契約法第2条3項「この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。」。そして消費者とは同法2条1項により「この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう」ので、法人間の契約は消費者契約ではなく消費者契約法は適用されない。

4 消費者契約法が適用される売買契約には、宅地建物取引業法の規定のうち、宅地建物取引業者自らが売主となる場合にのみ適用される規定は適用されない。

→× 誤りである。 消費者契約法第11条2項「消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる」の規定によれば、宅地建物取引業法の規定は同条項の別段の定めとして適用される

答え:3  参考:瑕疵担保責任のまとめ (これも、消費者契約法を知らないと少し難しい。

問44

【問 44】区分所有者Aが、自已所有のマンションの専有部分をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、借地借家法(平成3年法律第90号)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の賃貸借契約の存続期間を1年未満の期間として定めたときは、その契約は無効である。

→× 誤りである。 借地借家法からの出題は、時々ある。平成20年 管理業務主任者 試験 「問43」 、や 平成15年 管理業務主任者 試験 「問4」 など。ここの出題は、平成21年管理業務主任者試験 「問45」 に近い。
    借地借家法第29条1項「期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。」の規定によれば、期間の制限は無効となるが契約自体は無効とはならない。

2 AB間の賃貸借を定期建物賃貸借契約とするときは、契約を公正証書による等何らかの書面でしなければならない。

→○ 正しい。 借地借家法第38条1項「期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。」の規定により、定期建物賃貸借契約とするときは、契約を公正証書による等何らかの書面でしなければならない。

3 Bは、専有部分の引渡しを受けても、賃借権の登記をしなければ、Aから区分所有権を譲り受けた者に対し、賃借権を対抗することができない。

→× 誤りである。 借地借家法第31条1項「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」の規定により、賃借権の登記をしなくとも引渡しで対抗できる。

4 AB間の賃貸借契約の存続期間を定めなかったときは、2年の存続期間の契約と推定される。

→× 誤りである。 借地借家法の規定には、契約期間の推定はない

答え:2

問45

【問 45】平成17年3月7目に施行された不動産登記法の改正内容(以下本問において「改正法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 改正法は、登記申請手続について、出頭主義を廃止し、オンラインを利用した申請ができることとした。

→○ 正しい。 改正後の不動産登記法は、平成23年 管理業務主任者試験 「問45」 にも出ている。
   不動産登記法は、大幅に改正があったので、注意のこと。改正後の概要も、私の「超解説 区分所有法」にあるので参考のこと。
  不動産登記法第18条「登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
   一  法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
   二  申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法
」となり、@電子申請と A書面申請として、出頭主義を廃止した。

2 改正法は、登記済証がない場合の保証書制度を廃止し、従来より厳格な「事前通知制度」と資格者代理人による「本人確認情報提供制度」を設けた。

→○ 正しい。 登記済証(権利書)がない場合の保証書制度を廃止し不動産登記法第23条1項「登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。」の規定による事前通知制度、同4項1号「当該申請が登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってされた場合であって、登記官が当該代理人から法務省令で定めるところにより当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な情報の提供を受け、かつ、その内容を相当と認めるとき。」の規定による本人確認情報提供制度が導入された。

3 改正法は、権利に関する登記を申請する場合において、登記原因証書がない場合の申請書副本制度を廃止した。

→○ 正しい。 不動産登記法第61条「権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない」の規定により、登記原因証明情報を要求して登記原因証書がない場合の申請書副本制度を廃止した。

4 改正法は、仮登記について、仮登記権利者と仮登記義務者が共同申請したものに限り、本登記と同じ第三者対抗力を付与することとした。

→× 誤りである。 まず、仮登記とは、すぐに本登記をするには、実体法上または、手続法上の要件が完備しないときに、とりあえず仮に登記しておき、将来必要な条件が備わったときにする本登記のために、あらかじめその順位を確保するための登記である。この仮登記は、将来本登記がなされる可能性のあることを警告する作用をもっている。
  不動産登記法第106条「仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。」の規定によれば、仮登記には本登記の順位保全の効力はあるが、本登記ではないため、第三者には対抗力はない。
 なお、以前あった「予告登記」は、改正により無くなっているので注意のこと。

答え:4

問46

【問 46】マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年国土交通省告示第1288号)に関する次の記述のうち、(1)、(2)に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。


◎毎年、「問46」から「問50」は、マンション管理士試験か管理業務主任者試験に合格した場合には免除される「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」及び本問の「マンションの管理の適正化に関する指針」から出題される。ここは、ほとんど過去にも、同じ問題がでているので、過去の年の「問46」から「問50」はやっておくと楽。


(マンションの管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本的事項)
  管理組合は、マンションの管理の主体は管理組合自身であることを認識したうえで、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、その委託内容を十分に検討し、書面をもって管理委託契約を締結することが重要である。
  なお、管理委託契約先を選定する場合には、管理組合の管理者等は、事前に必要な資料を収集し、マンションの区分所有者等にその情報を公開するとともに、(1)を活用し、適正な選定がなされるように努める必要がある。
  また、管理委託契約先が選定されたときは、管理組合の管理者等は、当該契約内容を周知するとともに、(2)を活用し、管理事務の適正化が図られるよう努める必要がある。
  万一、マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、管理組合は、当該マンション管理業者にその解決を求めるとともに、必要に応じ、マンション管理業者の所属する団体にその解決を求める等の措置を講じることが必要である。

*管理業務主任者試験では、「マンションの管理の適正化に関する指針」からの出題も必ずあるので、入手して読んでおくこと。
  「マンションの管理の適正化に関する指針」の 四 管理委託に関する基本的事項の内容
 「管理組合は、マンションの管理の主体は管理組合自身であることを認識したうえで、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、その委託内容を十分に検討し、書面をもって管理委託契約を締結することが重要である。

なお、管理委託契約先を選定する場合には、管理組合の管理者等は、事前に必要な資料を収集し、マンションの区分所有者等にその情報を公開するとともに、(1 マンション管理業者の行う説明会)を活用し、適正な選定がなされるように努める必要がある。

また、管理委託契約先が選定されたときは、管理組合の管理者等は、当該契約内容を周知するとともに、(2 マンション管理業者の行う管理事務の報告等)を活用し、管理事務の適正化が図られるよう努める必要がある。

万一、マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、管理組合は、当該マンション管理業者にその解決を求めるとともに、必要に応じ、マンション管理業者の所属する団体にその解決を求める等の措置を講じることが必要である。」

によれば、( 1 ) は、マンション管理業者の行う説明会( 2 ) は、マンション管理業者の行う管理事務の報告等

答え:2

問47

【問 47】管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンション管理業者は、特定の場合を除き、その事務所ごとに、管理事務の委託を受けた管理組合の数を30で除したもの以上の数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。

→○ 正しい。 マンション管理適正化法第56条1項「マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない」の規定に基づくマンション管理適正化法施行規則61条「法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする」の規定のとおり。

2 管理業務主任者は、その事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、管理業務主任者証を提示しなければならない。

→○ 正しい。 マンション管理適正化法第63条「管理業務主任者は、その事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、管理業務主任者証を提示しなければならない」の規定のとおり。

3 管理業務主任者登録簿に登録された者のうち、管理業務主任者証の交付を受けていないものが、管理業務主任者としてすべき事務を行った場合(マンション管理業者の事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。)であって、情状が特に重いときは、その登録が取り消される。

→○ 正しい。 マンション管理適正化法第65条2項3号「国土交通大臣は、第五十九条第一項の登録を受けている者で管理業務主任者証の交付を受けていないものが次の各号(3管理業務主任者としてすべき事務を行った場合(第七十八条の規定により事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。)であって、情状が特に重いとき。)のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない」の規定のとおり。

4 マンション管理業者は、管理組合の管理者等に対し交付すべき書面(重要事項を記載した書面、契約の成立時の書面、管理事務の報告に関する書面)のいずれにも管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

→× 誤りである。 マンション管理適正化法第72条5項「マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない」の規定による@重要事項説明書、第73条2項「マンション管理業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない」の規定によるA契約成立時の書面には管理業務主任者の記名押印が要求されているが、第77条のB管理事務の報告には、管理業務主任者が報告をするが、記名押印は要求されていない

答え:4 (選択肢4は引っかけでよくない。)

問48

【問 48】マンショシ管理業者の登録に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しないものは、マンション管理業者の登録を受けることができない。

→○ 正しい。 マンション管理適正化法第47条7号「マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの」、同5号「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」の規定のとおり。なお、刑の種類は、軽い順から、@科料、A拘留、B罰金、C禁錮、D懲役、E死刑である。

2 マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者でない場合において、成年者である専任の管理業務主任者を設置しない者は、管理事務を受託するマンションの人の居住の用に供する独立部分の数にかかわらず、マンション管理業者の登録を受けることができない。

→× 誤りである。 マンション管理適正化法第47条9号「事務所について第五十六条に規定する要件を欠く者」は登録を受けられないが、同法第56条1項但書「ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。」、同法施行規則62条「法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数は、六とする」の規定によれば、5戸以内の住居のマンション管理組合の業務には主任者は不要で登録に主任者の設置も不要。

3 マンション管理業者が法人である場合において、その役員の氏名に変更があったときは、その日から30日以内に、当該マンション管理業者は、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

→○ 正しい。 マンション管理適正化法第48条1項「マンション管理業者は、第四十五条第一項各号(3 法人である場合においては、その役員の氏名)に掲げる事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」の規定のとおり。なお、違反は、罰金 30万円以下となります。(マンション管理適正化法第109条)

4 直前1年の各事業年度の貸借対照表に計上された資産の総額から負債の総額に相当する金額を控除した額が100万円である法人は、マンション管理業者の登録を受けることができない。

→○ 正しい。 基準資産額は、300万円以上要。 平成26年マンション管理士試験 「問49」
  マンション管理適正化法第47条10号「マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者」、同法施行規則54条「法第四十七条第十号 の国土交通省令で定める基準は、次条に定めるところにより算定した資産額(以下「基準資産額」という。)が、三百万円以上であることとする」の規定によれば、基準資産額は300万円以上が要求され、100万円では登録を受けられない。

答え:2

問49

【問 49】マンション管理業者の行う重要事項説明及び契約成立時の書面の交付に関する次のアからエまでの記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、適切なものはいくつあるか。

ア マンション管理業者は、従前の管理受託契約に比して、管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大すること以外の条件を変えずに、管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、重要事項説明会を開催する必要はない。

→○ 適切である。 ここは、従前の管理受託契約と同一の条件の範囲をきいている。
    マンション管理適正化法第72条2項「マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない」となっていて、重要事項説明会の開催は要求されていない。
 また、平成14年2月28日国交省総合政策局不動産業課長通達、マンション管理適正化法72条に規定する重要事項の説明等について(国総動309号)第1重説について の  5同一条件について(2)によれば、従前の管理受託契約に比して、管理事務の内容及び実施する方法の範囲を拡大すること以外の条件を変えずに、管理受託契約を更新しようとするときは、72条2項の既定する同一条件での契約となり説明会は必要ない、とされている。

イ マンション管理業者は、新たに建設されたマンションの当該建設工事完了の日から1年を経過する日までの間に契約期間が満了する管理受託契約を締結しようとするときは、あらかじめ、重要事項について説明する必要はない。

→○ 適切である。 マンション管理適正化法第72条1項括弧書き「新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。」、同法施行規則82条「法第七十二条第一項 の国土交通省令で定める期間は、一年とする。」の規定のとおり。これは、マンションの新規分譲時には、入居者がバラバラで管理組合は機能していないが、マンション管理は必要なため、新規の1年に限って重要事項の説明がなくても管理受託契約を締結できるようにしてある。(注:新たに建設されたマンションの当該”建設工事の完了の日”から1年間で、”分譲開始”からではありません。)

ウ マンション管理業者は、管理者等が置かれていない管理組合との管理受託契約を締結したときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、遅滞なく、契約の成立時の書面を交付しなければならない。

→○ 適切である。 マンション管理適正化法第73条1項「マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。」の規定のとおり。

エ マンション管理業者は、管理受託契約の成立時の書面に記名押印した管理業務主任者をして、管理組合の管理者等に対し、当該書面を交付させなければならない。

→× 適切でない。 設問をよく読むこと。マンション管理適正化法第73条2項の規定によれば、契約成立時の書面交付は管理業者の義務であり、管理業務主任者は当該書面に記名押印はするが、交付までを管理業務主任者が行う規定は無い。

1 ーつ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え:3 (適切なのは 三つ ア、イ、ウ)

問50

【問 50】分譲マンションの設計図書の交付に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、最も適切なものはどれか。ただし、本問において、「分譲マンション」とは、人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。)をいい、宅地建物取引業者A及びマンション管理業者Bは管理組合の管理者等ではないものとする。

1 Aは、平成18年6月3日に、自ら売主として分譲マンションを分譲したところ、平成18年12月3日に当該分譲マンションの管理組合がBとの間で管理受託契約を締結したことから、速やかに、Bに対し、マンション管理適正化法施行規則第102条に定める設計図書を交付した。

→× 適切でない。 平成26年マンション管理士試験 「問50」
  マンション管理適正化法第103条1項により、1年以内に設計図書を交付するのはいいが、
当該管理者等に対し、設計図書を交付すべきものとされており、管理者等とは、同法第2条4号「区分所有法第二十五条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう」の規定により、管理業者Bは交付すべき管理者等ではない

2 Aは、平成18年1月3日に、自ら売主として分譲マンションを分譲したところ、平成18年12月3日に当該分譲マンションの管理組合の管理者等が選任されたため、速やかに、当該管理者等に対し、マンション管理適正化法施行規則第102条に定める設計図書を交付した。

→○ 適切である。  マンション管理適正化法第103条1項、同施行規則101条、及び同規則102条の規定のとおり。

3 Aは、平成18年9月3日に、自ら売主として分譲マンションを分譲したところ、平成18年12月3日に当該分譲マンションの区分所有者等全員の入居が完了したため、速やかに、Bの管理業務主任者に対し、マンション管理適正化法施行規則第102条に定める設計図書を交付した。

→× 適切でない。 選択肢1で述べたように、マンション管理適正化法第103条1項、同法第2条4号の規定によれば、管理業者Bの管理業務主任者は交付すべき管理者等に当たらない。

4 Aは、平成17年9月3日に、自ら売主として分譲マンションを分譲したところ、平成18年12月3日に当該分譲マンションの管理組合がBとの間で締結していた管理受託契約を解約し、管理組合による自主管理に切り替えたため、速やかに、当該管理組合のマンションの区分所有者等全員に対し、マンション管理適正化法施行規則第102条に定める設計図書の写しを交付した。

→× 適切でない。 マンション管理適正化法第103条1項、同法第2条4号の規定によれば、管理組合の区分所有者全員に対し設計図書の写しを交付することは規定されていない。

*参考:マンション管理適正化法第103条1項の規定は、
「宅地建物取引業者(宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号 に規定する宅地建物取引業者をいい、同法第七十七条第二項 の規定により宅地建物取引業者とみなされる者(信託業務を兼営する金融機関で政令で定めるもの及び宅地建物取引業法第七十七条第一項 の政令で定める信託会社を含む。)を含む。以下同じ。)は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。」
とあり、これを受けて、
同法施行規則101条「法第百三条第一項 の国土交通省令で定める期間は、一年とする
同法施行規則102条「法第百三条第一項 の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、工事が完了した時点の同項 の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。
   一   付近見取図
   二   配置図
   三   仕様書(仕上げ表を含む。)
   四   各階平面図
   五   二面以上の立面図
   六   断面図又は矩計図
   七   基礎伏図
   八   各階床伏図
   九   小屋伏図
   十   構造詳細図
   十一  構造計算書 」

となっている。

答え:2

終わり


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最終更新日:
2018年 8月20日:リンク先を「higuchi」へ変更
2012年 4月29日:正解肢をピンク・太字に統一。
平成23年の標準管理規約の改正コメントを「問30から「問36」に入。
2011年 3月 5日:再チェックで、ちょろちょろと。
2009年2月28日

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