平成20年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
謝辞:問題文の作成には、taniyan120さまの協力を得ています。
ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
〔問 1〕 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)の各共有者の持分に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、分譲契約、共有者間及び規約に別段の定めはないものとする。 1 専有部分が共有である場合の各共有者の持分は、相等しい。 ○ 正しい。平成22年 管理業務主任者試験 「問1」 など 多数出題あり。 2 共用部分の各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。 ○ 正しい。 3 建物の敷地の各共有者の持分は、相等しい。 ○ 正しい。これは、平成17年 マンション管理士 試験 「問2」 選択肢4 のまま。 4 共用部分以外の附属施設の各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。 X 誤っている。 答え:4 (引っかけ的な出題は、適切でない。この辺りの出題は、過去にも出ています。) なお、区分所有法の解説は、別途「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。 |
問2 |
〔問 2〕 区分所有法第8条の特定承継人に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているのはどれか。 ○ 正しい。特定承継人は、滞納管理費との請求とも絡めた出題は多い。参考:平成20年 管理業務主任者 試験 「問10」 選択肢3、平成21年マンション管理士試験 「問3」 など。 2 債務者である区分所有者から賃借人として、専有部分に賃借権の設定を受けた者は、特定承継人ではない。 ○ 正しい。 3 債務者である区分所有者の死亡によって効力を生じる贈与により区分所有権を取得した者は、特定承継人である。 ○ 正しい。 4 強制執行による売却を原因として区分所有権を取得した者は、特定承継人ではない。 X 誤っている。 答え:4 |
問3 |
〔問 3〕 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合における当該敷地利用権に関する次の記述のうち、区分所有法、民法、不動産登記法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 X 誤っている。これも、平成17年 マンション管理士 試験 「問2」を参照。 2 専有部分を単独で所有する者が相続人なくして死亡した場合、敷地利用権の共有持分は、他の区分所有者に帰属する。 X 誤っている。ここは、平成19年 マンション管理士 試験 「問6」 も参照。 3 分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記する前に区分所有者が両者を分離して処分した場合、その無効を善意の相手方に主張することができない。 ○ 正しい。 4 敷地利用権が賃借権である場合、敷地利用権の譲渡につき借地権設定者の承諾もこれに代わる裁判所の許可も必要でない。 X 誤っている。ここは、平成20年 管理業務主任者 試験「問5」と同じ。 答え:3 |
〔問 4〕 マンション業者AがBに設計・工事監理を委託し、Cに施工を請け負わせて建築した甲マンションは、B及びCが必要な注意義務を怠ったため、共用部分に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があることが分譲直後に判明した。その瑕疵のため甲マンションの区分所有者の生命、身体又は財産が侵害された場合における、管理者が区分所有者を代理して行う共用部分の損害賠償請求に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、分譲契約に特約はないものとし、分譲時から区分所有者に変更はないものとする。 ○ 正しい。似たような問題は、平成18年 マンション管理士 試験 「問13」 にある。マンション管理士試験ではよく出題される、民法での不法行為(民法第709条〜)と売主の瑕疵担保責任(民法第570条〜)をきいている。 2 管理者は、Bに対して、不法行為に基づく賠償責任を請求することができない。 X 誤っている。 3 管理者は、Cに対して、不法行為に基づく賠償責任を請求することができる。 ○ 正しい。 4 Aが建物の基本的な安全性を損なう瑕疵があることを知って分譲した場合は、管理者は、Aに対して不法行為に基づく賠償責任を請求することができる。 ○ 正しい。 答え:2 (過去問題をやった人には、簡単な問題か。設問の「分譲時から区分所有者に変更はないものとする」は管理者への代理権の授与の面倒な論争を避けたためか。) |
問5 |
〔問 5〕 規約の特別な定めにより共用部分を所有する管理者(以下この問において「管理所有者」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、誤っているのはどれか。 ○ 正しい。 区分所有法での特異な存在「管理所有」からの出題傾向は高い。平成21年マンション管理士試験 「問5」 選択肢3 など。 2 管理所有者は、規約に定めがあるときは、当該共用部分の形状又は効用の著しい変更をすることができる。 X 誤っている。 これは、平成15年 マンション管理士 試験 「問4」 選択肢3 と同じ。 3 管理所有者は、当該共用部分に係る損害保険契約の締結について、集会の決議を得る必要がない。 ○ 正しい? 損害保険契約の締結行為が、管理所有者に許されている、「共用部分の保存・管理」の中に含まれているかどうかである。(調査中です。) 4 管理所有者は、当該共用部分に係る修繕のための請負契約の締結をする場合、自己の名においてすることができる。 ○ 正しい。 修繕は保存行為に該当しますから、選択肢2で引用した、区分所有法第20条1項の規定により、保存行為は管理所有者の義務に入ります。そこで、管理所有者は自己の名において、当該共用部分に係る修繕のための請負契約の締結ができます。また、区分所有法第18条1項も参照のこと。(共用部分の管理) 答え:2 |
〔問 7〕 議決権の行使に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び民事執行法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 X 誤っている。 よく、他の資格試験でも出題される「未成年者の行為能力」です。 2 専有部分が民事執行法の規定により差し押さえられて強制執行が開始された場合、当該専有部分の所有者は議決権を行使することができる。 ○ 正しい。 差し押さえについては、平成16年 マンション管理士 試験 「問9」 、 平成20年 管理業務主任者 試験 「問33」 もある。 3 各区分所有者の議決権の割合を、住戸一戸につき各一個の議決権とすることについて、集会において区分所有者及び議決権の各過半数で決議することができる。 X 誤っている。 議決権の割合は、選択肢2で引用した区分所有法第38条により、原則として、持っている専有部分の床面積の割合(同第14条)となりますが、規約で別段の定めも可能です。(第38条参照) 4 専有部分が持分割合の異なる2人の共有に属している場合、持分割合の大きい者を議決権を行使すべき者と定めなければならない。 X 誤っている。 よくでる問題。 たとえば、平成15年 マンション管理士 試験 「問27」。 答え:2 |
〔問 8〕 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (注:区分所有法での法人については、平成20年12月の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行に伴い改正がありました。そこで、区分所有法第47条と第49条等は注意が必要です。法の改正があると、平成21年度には出題されやすいですよ。なお、ここ問8の出題は、改正に左右されません。) 1 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生じる。 ○ 正しい。 これは、平成14年 管理業務主任者 試験 「問36」 でも出ている。 2 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理し、理事は、管理組合法人を代表する。 ○ 正しい。 区分所有法第47条6項 3 管理組合法人は、その行為に基づいて成立する法律関係に係る訴訟について、法人自身がその名において追行することができる。 ○ 正しい。 区分所有法第47条8項 4 管理組合法人は、規約に別段の定めがあるときは、共用部分について、区分所有法第27条の管理所有をすることができる。 X 誤っている。 管理組合が法人化されても、多くの規定が準用されているが、区分所有法第47条11項 答え:4 |
〔問 9〕 ア〜エの記述のうち、集会において区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数で決議しなければならないものの組合せは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 X 該当しない。 この買取指定者については、次の「問10」でも出ている。 イ 専有部分の使用の禁止を請求する訴訟の提起 ○ 該当する。 区分所有法では、マンションという特殊な共同生活の場であることから、共同の利益に反する区分所有者には訴えをもって、共同生活から排除することができます。専有部分の使用の禁止を請求する訴訟の提起も区分所有法第58条1項によって集会の決議があれば認められています。この場合には、区分所有法第58条2項 ウ 管理組合法人の解散 ○ 該当する。 管理組合法人は、区分所有法第55条1項3号の規定により、集会の決議により解散ができます。この場合 同法第55条2項 エ 管理者の解任 X 該当しない。 管理者の解任は、区分所有法第25条1項 1 アとイ 答え:2 (イとウ。集会において区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数で決議しなければならないもの。) |
〔問 10〕 次の記述の下線の期間のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (注:試験の本文では□(四角の中)となっていますが、WEB上では、文章を四角で囲む表現ができないので下線に変更しています。) 1 マンションの建物価格の1/2を超える部分が滅失したために復旧決議がなされた場合において、買取指定者が指定されるときには、その指定は、復旧決議の日から 2月 以内になされる必要がある。 X 誤っている。 期日での出題パターンとしては、新しいけど、この辺りは、過去にもよく出ている。 2 マンションの建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合において、建物の一部が滅失した日から 6月 以内に、復旧又は建替えの決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。 ○ 正しい。 参照:平成14年 マンション管理士 試験 「問10」 選択肢4。 3 マンションの建替え決議を会議の目的とする集会を招集するときは、その招集通知は、当該集会の会日より少なくとも 2月 前に発しなければならない。 ○ 正しい。 参照:平成15年 管理業務主任者 試験 「問38」 選択肢4。
4 マンションの建替え決議を会議の目的とする集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも 1月 前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対して説明を行うための説明会を開催しなければならない。 ○ 正しい。 区分所有法第62条6項 答え:1 |
〔問 11〕 一団地内の数棟の建物の全部を所有する者が、当該団地内のア〜エについて、公正証書により規約を設定し団地共用部分とすることができるものの組合せは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 ○ できる。 過去問では「団地」は面倒な一括建替えなどがでていたが、今年の団地は、平易な設問になった。参照:平成14年 管理業務主任者 試験 「問31」 イ 建物の共用部分 X できない。 選択肢1で述べたように、建物の共用部分は区分所有法第67条に入っていません。(注:この設問は、少し問題がある。専有部分と共用部分の区分(さかいめ)は解釈上も曖昧であるため、共用部分として、明確でない場合には、トラブルを回避するために、規約で共用部分と設定するこは可能ではないか。) ウ 建物の敷地 X できない。 区分所有法で定めている「共用部分」とは、建物での専有部分以外を指しています。(区分所有法第4条)。 敷地(土地)は、団地でも一棟のマンションでも、共用部分には、規約をもってしてもできません。 エ 建物の専有部分 ○ できる。 選択肢1で述べたように、建物の所有権の目的たる部分は、専有部分であり、これを、規約で団地共用部分とすることができます。 1 アとイ 答え:4 (アとエ=エとア) |
〔問 12〕 管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の集会における、滞納管理費等の遅延損害金の利率に関する規約の定めについての区分所有者A〜Dの次の発言のうち、民法、利息制限法及び消費者契約法の規定によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 新しい設問。 2 B ---- 原始規約は分譲業者が作成したわけですから、消費者契約法第9条第2号の適用があると思いますよ。したがって、利率は年14.6%以下に変更すべきではないでしょうか。 X 誤っている。 こんどは、消費者契約法の勉強。消費者契約法は、平成18年 管理業務主任者 試験 「問43」 と 平成17年 管理業務主任者 試験 「問44」 で出ている。 3 C ---- 消費者契約法というより、むしろ、対等の個人間の契約として利息制限法第4条第1項が適用され、同法第1条の利率の1.46倍まで許されるので年29.2%以下の利率にしておけば問題ないはずですよ。 X 誤っている。 マンションの管理規約は共同でマンションの管理を行う区分所有者の団体(管理組合)と組合員(区分所有者)との契約であり、対等の個人間の契約には該当しない。また、選択肢1ででも述べたように、利息制限法の対象とするのは、金銭消費貸借上での利息についてであるため、管理組合の滞納管理費等の遅延損害金の利率については適用がない。なお、利息制限法第4条は (賠償額予定の制限) ○ 正しい。 上の各選択肢で述べたように、管理組合の規約の滞納管理費等の遅延損害金の利率については、利息制限法も消費者契約法も適用されません。そして、規約で遅延損害金の利率を定めていないときは、民法第404条 (法定利率) 答え:4 (設問としては、新しいが、利息制限法や消費者契約法を知らなくても、正解は4と分かった人は多い? でも、解説には、時間がかかった!) |
〔問 13〕 甲マンションの一室に1人で住んでいる区分所有者Aは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり、管理費を滞納している。この場合において、家庭裁判所にAの後見開始の審判を請求することができない者は、民法の規定によれば、次のうちどれか。 X できない。 平成26年マンション管理士試験 「問13」。 2 A本人 ○ できる。 選択肢1で引用した、民法第7条に該当する。 3 Aの4親等の親族 ○ できる。 選択肢1で引用した、民法第7条に該当する。 4 検察官 ○ できる。 選択肢1で引用した、民法第7条に該当する。 答え:1 (出題が簡単で、裏を考えた人がいるかも? 4の検察官とした人もかなりいるようだ。) |
〔問 14〕 Aが甲マンションの101号室を購入するに際してB銀行から融資を受け、AがBのために同室に抵当権を設定しその登記がなされていた場合に関する次の記述のうち、民法及び不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 抵当権についても、パターンは違うが出題は多い。参照:平成18年 マンション管理士 試験 「問12」) 2 AのBに対する債務が消滅した場合、Bの抵当権の登記が抹消されていないときでも、Aは、当該抵当権の消滅を第三者に対抗することができる。 ○ 正しい。 抵当権が弁済や免除などで消滅したときには、抵当権の附従性(肝心の債権がなければ抵当権は成立しない)により、その登記が残っていても、実体の無い無効の登記となり、第三者に対抗できます。これは、法律が、登記制度を認めていながら、登記簿に公信力を認めていないためです。 3 AのBに対する債務について連帯保証をしたDの保証債務は、Bから、AのBに対する債務が消滅した旨の通知がDに到着したときに消滅する。 X 誤っている。 連帯保証では、誰かが弁済・代物弁済などをして債務を消滅させれば、その時点で他の連帯保証人にも債務は消滅します。これも、抵当権や質権と同じように、主たる債務に対する附従性です。B銀行からの債務消滅の通知が連帯保証人Dに到着したときではありません。
○ 正しい。 選択肢1で述べたように、民法第206条により、所有権者Aは、抵当権者Bの承諾なく、第三者に賃貸でき、賃借権は不動産登記法第3条 (登記することができる権利等) 答え:3 |
〔問 15〕 A及びその弟Bが、甲マンションの301号室の区分所有権を各1/2の割合で共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、共有者間及び賃貸借契約において別段の定めはないものとする。 ○ 正しい。 共有関係で、共有物の変更と管理については、、民法第251条(共有物の変更) 2 甲マンションの管理者は、A又はBのいずれに対しても、301号室の管理費の全額を請求することができる。 ○ 正しい。 3 301号室をA及びBからC及びDが共同で購入した場合、Dは、単独では同室の引渡しを請求することができない。 X 誤っている。 これは、共同で購入した一人が単独で、不可分債権の全体を請求できるかです。明渡しの請求は保存行為に該当し、各共有者は単独でできます。(大審院;大正10年7月18日。妨害の排除も保存行為として、単独でできます。) 4 301号室を共同賃借人であるE及びFに貸した場合、A及びBは共同で、Eに対し、賃料の全額を請求することができる。 ○ 正しい。賃貸借での賃料請求は管理行為であるため、持分の過半数で行わなければいけない。(最高裁;昭和39年2月25日。これは、貸借契約の解除だけど。) 答え:3 (かなりの難問。共有関係の変更、管理、保存は分かるが、選択肢1の判例は知らなかった。調べるのに、時間がかった!) |
〔問 16〕 マンションの取得者の担保責任の追及に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 担保責任とは、契約の当事者が給付した目的物またはその権利に欠陥(瑕疵)がある場合に負担する損害賠償その他の責任です。 2 担保権の実行として競売による502号室の取得者は、同室に権利の瑕疵があった場合でも、債務者である同室の前所有者に対し、担保責任を追及することができない。 X 誤っている。 ここの設問は、実に難しい。 3 強制競売による503号室の取得者は、同室に隠れた瑕疵があった場合でも、同室の前所有者に対し、担保責任を追及することができない。 ○ 正しい。 設問が強制競売での権利の瑕疵となると、民法第570条の類推適用が可能かどうかの論争がありますが、ここでは、単純に「同室に隠れた瑕疵」となっています。これは、民法第570条 (売主の瑕疵担保責任) 4 遺産分割による504号室の取得者は、同室に隠れた瑕疵があった場合、他の共同相続人に対し、その相続分に応じて、売主と同様の担保責任を追及することができる。 ○ 正しい。 これも難しい。この場合には、民法第911条 (共同相続人間の担保責任) 答え:2 (何となく、正解は2と分かったが、根拠を探すのに、これも時間がかかった!) |
〔問 17〕 甲マンションの201号室の区分所有者Aは、甲マンション管理組合が規約でペットの飼育を禁止していたにもかかわらず、同室をBに賃貸するに際してペットの飼育もできると虚偽の説明をした。このため、賃借人Bは、当該規約でペットの飼育が禁止されていることを知らないまま同室で犬を飼うに至った。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 規約でペットの飼育が禁止されていると、区分所有者と賃借人(占有者)は、区分所有法第46条 (規約及び集会の決議の効力) 2 B飼育の犬がエレベーターを汚したため清掃費用を要した場合、甲マンション管理組合の管理者は、Aに対し、そのことによる損害賠償を請求することができるが、Bに対してはできない。 X 誤っている。 管理者は区分所有法第26条(省略)により、規約で定めた行為として、規約違反者に損害賠償ができます。その相手方としては、民法第718条 (動物の占有者等の責任) 3 Aを除く甲マンションの区分所有者全員が、当該規約違反を理由に犬の飼育の停止の訴えを提起する場合、Aを被告とすることができるが、Bを被告とすることができない。 X 誤っている。 区分所有者または占有者が、共同の利益に反する行為をした時には、区分所有法第57条 (共同の利益に反する行為の停止等の請求) 4 Bが入居後規約に従って犬の飼育を止めざるを得なくなったことによって損害が発生した場合、Bは、Aに対し、Aが虚偽の説明をしたことを理由として損害賠償を請求することができる。 ○ 正しい。 賃貸人であるAの行為は、民法第709条 (不法行為による損害賠償) 答え:4 (これも、動物の占有者等の責任は知らなくても正解はできる?) |
〔問 18〕 マンションの登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、正しいのはどれか。 ○ 正しい。 区分所有法では、共用部分には、@法定共用部分(廊下、階段室など)と、A専有部分や附属の建物でも規約によって共用部分にすることができる規約共用部分があります。 2 所有権の登記がある専有部分を規約共用部分とし、共用部分である旨の登記をする場合、当該専有部分に係る権利に関する登記は抹消されない。 X 誤っている。 マンションンの建物で規約共用部分として、登記をすると、不動産登記法第58条4項 3 共用部分である旨の登記を申請する場合、共用部分である建物に所有権以外の権利に関する登記のあるときでも、当該権利の登記名義人の承諾は必要でない。 X 誤っている。 どんな法律でも既存の正当な権利を侵す行為は認めていません。不動産登記法でも、第58条3項 4 専有部分の譲渡に伴う共用部分の共有持分の移転は、その持分の移転の登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 X 誤っている。 マンションの建物の廊下や階段などの共用部分は、だれがみてもはっきりと共用部分と分かるため、区分所有法第11条3項 答え:1 (特に不動産登記法を知らなくても、選択肢1で解答はできる。) |
〔問 19〕 マンション建替組合(以下この問いにおいて「建替組合」という。)に関する次の記述のうち、マンションの建替え円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている。 マンションの建替え円滑化等に関する法律(以下、円滑化法といいます。)も必ず、1問は出ますので、読んでおいてください。(参考:概説:マンションの建替え円滑化等に関する法律) 2 建替組合の認可を申請しようとする者は、建替組合の設立について、建替え合意者の2/3以上の同意を得なければならない。 X 誤っている。 ここも、平成15年 マンション管理士 試験 「問18」 選択肢1 で出ている。 3 建替組合は、設立認可の公示があった場合、権利変換期日前でも、施工マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる。 X 誤っている。 このパターンは、新しい出題。 4 建替組合が施行するマンション建替事業に参加することを希望し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものは、参加組合員として、建替組合の組合員となる。 ○ 正しい。 ここも、平成15年 マンション管理士 試験 「問18」 選択肢2 で出ている。 答え:4 |
〔問 20〕 各階における各居室の床面積の合計が150uの4階建て共同住宅(高さ15mで、主要構造物が耐火構造である耐火建築物)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。 X 誤っている。 ここは、平成20年 管理業務主任者 試験 「問18」 の解説の方が詳しい。 2 各居室の壁(床面からの高さが1.2m以下の部分を除く。)及び天井の室内に面する部分を難燃材料で仕上げなくてもよい。 ○ 正しい? こんな規定は知らない。ここのカギは、「4階、150u、高さ15m」。調べると、建築基準法施行令129条が該当する。(特殊建築物等の内装) 3 各住戸において非常用の照明装置を設けなくてもよい。 ○ 正しい。 これは、過去もでている。平成19年管理業務主任者 試験 「問21」、 平成15年マンション管理士 試験 「問20」。また、平成21年管理業務主任者試験 「24」 でも出た。 4 敷地内には、屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m以上の通路を設けなければならない。 ○ 正しい。 ここも、平成20年 管理業務主任者 試験 「問18」 選択肢4 のまま。 答え:1 (選択肢2も候補にあがる。) |
〔問 21〕 共同住宅の界壁に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 建築基準法施行令114条1項(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁) 2 給水管、配電管その他の管が共同住宅の各戸の界壁を貫通する場合においては、当該管と界壁のすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。 ○ 正しい。 建築基準法施行令114条5項 3 換気、暖房又は冷房の設備の風道が共同住宅の各戸の界壁を貫通する場合においては、当該管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に1.5m以内の距離にある部分を不燃材料で造らなければならない。 X 誤っている? 選択肢2で引用した建築基準法施行令114条5項での、「同条第十六項の規定は換気、暖房又は冷房の設備の風道がこれらの界壁、間仕切壁又は隔壁を貫通する場合に準用するにより、準用される建築基準法施行令112条16項とは、 4 給水管、配電管その他の管が共同住宅の各戸の界壁を貫通する場合においては、当該管界壁の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に1m以内の距離にある部分を不燃材料で造らなければならない。 ○ 正しい。 選択肢2で不燃材料で終わりかと思ったら、まだ、建築基準法施行令129条の2の5 1項7号に、この規定があった。 答え:3 (何と細かく、知らない問題。共同住宅の界壁には、遮音性能が求められのは知っていたが。まだマニアックな出題をする出題者が残っている?) |
〔問 22〕 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 都市計画法からは、地域地区に関する出題が多い。参考:平成19年 マンション管理士 試験 「問22」、 平成13年 マンション管理士 試験 「問27」など。なお、管理業務主任者 試験では都市計画法からは過去出題がありません。 2 第二種住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域である。 X 誤りである。 都市計画法第9条6項 3 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るための地区である。 ○ 正しい。 都市計画法第9条17項 4 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るための地区である ○ 正しい。 都市計画法第9条18項 答え:2 |
〔問 23〕 貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ○ 正しい。 平成19年には出題のなかった水道法からの出題。参考:平成17年 マンション管理士 試験 「問26」 2 水道事業者は、供給規程に基づき、貯水槽水道の設置者に対して指導、助言及び勧告をすることができる。 ○ 正しい。 これは、平成15年 マンション管理士 試験 「問23」 選択肢4 。 3 自家用の井戸のみを水源としている場合には、貯水槽水道に該当する。 X 誤っている。 これは、平成15年 マンション管理士 試験 「問23」 選択肢2 。 4 水道事業者は、供給規程において、貯水槽水道の設置者の責任に関する事項として、必要に応じて、貯水槽水道の管理責任及び管理の基準を定めなければならない。 ○ 正しい。 選択肢2で引用した水道法施行規則第12条の4 2号イに該当します。 答え:3 (これは、過去問題をやっていれば、即答か。) |
〔問 24〕 マンションにおける防火管理者に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 X 誤っている。 この辺りは、平成14年マンション管理士 試験 「問24」、 平成13年 管理業務主任者 試験 「問19」 と過去にもある。 2 延べ面積が5000uのマンションで防火管理者の選任義務がある場合の防火管理者の資格は、市町村の消防署員で管理的又は監督的な職に1年以上いた者その他政令で定める者であって一定の地位にあるものでなければならない。 ○ 正しい。 収容人員が50人以上で、延べ面積が500u以上となると、甲種防火対象物となり防火管理者の資格も甲種防火管理講習を終了することが必要となり、また、市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に一年以上あつた者はもなれます。消防法施行令3条1項(防火管理者の資格) 3 高さ31メートルを越えるマンションでその管理について権原が分かれているものの管理権原者は、防火管理上必要な業務に関する事項で一定のものを協議して定めなければならない。 ○ 正しい。 この出題は、平成14年 マンション管理士 試験 「問24」 にもある。 4 消防法第8条の2に規定する共同防火管理が必要なマンションにおいて、管理権原者が協議して定めておかなければならない事項は、所轄消防長又は消防署長の許可がなくても定めることができる。 ○ 正しい? ぴったりの条文を探したが、見つからない。 答え:1 (これも、過去問をやっていれば、すぐに解答ができ、次の問題に移れるが、解説は選択肢4で時間がかかった。) |
[問 25〕 甲管理組合では、集会の決議により修繕積立金を取り崩して各戸のバルコニー防水工事を実施した。しかし、801号室については、その部屋の区分所有者Aが故なく妨害したため、当該工事を実施できないままとなり、半年後、801号室は、AからBに譲渡された。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 X 誤っている? 区分所有法では、バルコニー(ベランダ)は、専有部分か共用部分かの論争がある。 2 甲が未了の工事を実施する場合、甲は、個別発注で割高になった金額について、区分所有者でないAに請求できない。 X 誤っている。 Aの故なく工事を妨害した行為は「故意」であるため、民法第709条 (不法行為による損害賠償) 3 甲は、予定していた工事費から、801号室に係る工事未了分相当額の支払いを免れたが、それを個別発注のため支出することはできない。 X 誤っている。 集会の決議により、一度、修繕積立金の取り崩しが許されたのであれば、工事未了分を再度、個別発注のため支出することは、管理組合として可能である。(出題の意図が分からない。集会の決議を再度求めるのか、甲でなく理事会だけで再度発注できるのか、なら議論できるけど。) 4 甲が未了の工事を実施した場合において、甲の請求により、Aの妨害で割高になった金額を甲に支払ったBは、当該金額をAに対して求償することができる。 ○ 正しい。 売主であるAは、民法第570条 (売主の瑕疵担保責任) 答え:4 (設問として、不適当。もっと条件が必要だ。) |
ここまで、問25 |
最終更新日:
2014年 5月27日:問16選択肢2 を変更。
2012年 6月22日:正解肢をピンク・太字で統一。
2011年 2月 7日:再度確認で、問16など、ちょろちょろと。
2010年 1月17日:ちょろちょろと。
2009年3月3日