マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

平成18年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

次へ次へ

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

 ※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

〔問 1〕建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)における共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 建物の構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、法律上当然に共用部分とされる部分である。

→○ 正しい。 まず、区分所有法での建物(敷地ではない)は、イ.専有部分、ロ.共用部分にわけられ、共用部分には、1.法定共用部分、2.規約共用部分 があることを理解しておくこと。
  そして、「法律上当然」の言い方に慣れること。この言い方は必ず出題される。 平成24年 マンション管理士試験 「問1」 、平成21年マンション管理士試験 「問1」平成17年マンション管理士試験 「問2」など。
「法律上当然」とは、法文上に規定され、そのまま認められ、例外がないこと。
  それでは、共用部分が何かと法律上規定されているところは、区分所有法では2箇所ある。
 1つは、定義条項である区分所有法第2条4号「この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 」とあり、前半の「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物」が法定された共用部分である。この規定の後半「及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物」は、規約により「共用部分」となるため、法律上当然には共用部分にならない。
2番目は、区分所有法第4条1項「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他
構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。」の規定により、建物において専有部分(区分所有権の目的となる建物の部分)以外で、構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分が共用部分として法律上規定されている。その例として、「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室」があげられている。
 設問は、2番目に該当する「法律上当然に共用部分とされる部分」である。(平成20年11月 解説変更

2 専有部分以外の建物の部分に附属し、効用上その建物の部分と不可分の関係にあるものは、法律上当然に共用部分とされる。

→○ 正しい。 選択肢1で述べた共用部分の規定の1番目、区分所有法第2条4項「この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。」 の前半により、専有部分以外の建物の部分に附属し、効用上その建物の部分と不可分の関係にあるものは、条文で規定されているので、法律上当然に共用部分となる。例えば、電気の配線、ガス・水道管の配管、消防設備などで専有部分に属さない物が該当する。(しかし、法律上はこのように区分されても、実際の建物での専有部分と共用部分の分岐点は明確にならないことが多い。)
なお、この条文の後半「及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物」は、規約で共用部分となるので、法律上当然には共用部分にならないことに注意。

3 区分所有されている建物に対して従物的な関係にある別個の建物は、規約によって共用部分とすることができる。

→○ 正しい。 区分所有法第4条2項「第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる」の規定により、規約で共用部分とできる。この例としては、別棟の集会所、物置、倉庫などがあげられる。

4 区分所有者全員で共有している建物の敷地は、法律上当然に共用部分とされる。

→X 誤りである。 土地(敷地)と建物の関係を整理しておくこと。このような、規定はない。法定共用部分とは、区分所有法第2条4項「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう」の規定により、共用部分は建物の部分を規定した定義で、敷地(土地)は含まれない

答え:4  なお、区分所有法の解説は、別途「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。

問2

〔問 2〕区分所有法第3条に規定する区分所有者によって構成される団体に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 団体は、法人とならない場合も、規約を定めなければならない。

→X 誤りである。 まず、区分所有法での区分所有者の団体の性格を掴んでおくこと。平成21年マンション管理士試験 「問2」 も参照。
  区分所有法第3条前段「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」の規定により「できる」とあり、規約作成は任意である。定めなくてもいい。ただし、この条文の解釈として、「団体を構成し、」は、ここできれ、「できる」にはかからないので注意のこと。「団体は構成される」。

2 団体は、区分所有関係が成立したときに当然に成立し、その後区分所有者が一人で全部の専有部分を所有することになったときに当然に消滅する。

→○ 正しい。? 区分所有法第3条前段「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成...、」の規定により、団体であるためには当然複数の区分所有者が必要である。

→X(1) ? 団体は、区分所有法第3条前段「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成...」により、区分所有関係が成立したときに当然成立するが、この団体が消滅するのは、区分所有建物の全部の滅失や建物に専有部分がなくなったことで(区分所有法第55条1項: 管理組合が法人の場合は、次の事由によつて解散する。
   一  建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
   二  建物に専有部分がなくなつたこと。
   三  集会の決議  参照)
 ある。
  このときでも、清算手続きが必要である。(区分所有法
旧第55条3項による民法関係の準用あり)
よって、この設問のように、団体が成立した後で区分所有者が一人で全部の専有部分を所有することになっても、清算手続きが必要で、「当然には消滅」しない。
→X(2) ? 誤りである。この設問は、清算を訊いているのではないのでは? 清算手続きの問題ではなく、もっとすっきりとした理由が欲しい。
→X(3)誤りである。 そこで、勉強しました。区分所有者の数については、同じ問題が民法の法人の構成員数として以前から論争があり、一度区分所有関係が成立すれば後で、区分所有者の数が、 1名になっても専有部分が存在する以上、後に増加することが考えられるので、当然には消滅しないと解釈されている。これが、一番妥当な理由と考える。

3 団体は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うため、常に区分所有者全員で構成される。

→X 誤りである。 常に区分所有者全員で構成されないこともある。それは、区分所有法第3条後段「一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする」の規定により、一部の者の団体で構成される場合がある。

→○ 正しい。? 区分所有法第3条前段「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し...」だけを考え、一部の者は考えなければ、正しい。上の説明の後段は考えない

4 団体は、区分所有者の数が30人以上であるものは、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議で法人となることができる。

→X 誤りである。 区分所有法第3条で規定される「団体」は、同法第47条1項「第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる」の規定により、法人となる。この規定は区分所有法の改正があり以前は要件としてあった「区分所有者の数が30人以上」は現在は必要なくなり、かつ登記が必要
(しかし、ここも、単純に設問のとおりに読めば、 30人以上いるのだから法人となれるという解釈が可能? 登記までは必要と考えないで。

答え:2 又は 3 または 4。 (選択肢2のように、解釈がはっきりとしていないのは設問として不適切である。また、選択肢3、4も曖昧。マンション管理センターの正解:3。
 ここだけでなく、マンション管理センターは出題機関として問題がある。参考:平成19年問27の「白紙委任状」
 

問3

〔問 3〕Aは、下図のとおりその所有する甲地、乙地及び丙地の3筆の土地上に、構造上区分され、独立して住居としての用途に供することができる@、A及びBの建物部分がある1棟の建物(いわゆるタウンハウス)を建築し、@を自己用住居として使用し、AをBに、BをCにそれぞれ分譲した。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、Aが乙地をBに、丙地をCにそれぞれ賃貸しているものとする。

1 この1棟の建物は、専有部分のある建物である。

→○ 正しい。 平成25年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問1」 。
設問が入り組んでいるので、図を描いてみるといい。そして、いわゆる、タウン・ハウスは、区分所有法でも土地と建物の権利関係が特別の位置にあることに注意。
    まとめてみよう。建物はつながった1棟であるが、分譲により建物の所有権はA、B、Cがそれぞれ区分してもっている。しかし、全体の土地は、A一人が所有し、B、Cは借りている。

   まず、区分所有法で専有部分のある建物であるには、区分所有法第1条「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる」の規定により、この1棟の建物は区分所有権の目的の建物に該当する。
 それでは、専有部分とは、区分所有法第2条3項「 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう」により、正しい。

2 Bは、Aの建物部分の敷地利用権に抵当権を設定することができない。

→○ 正しい。(1)? 区分所有法だけで考えると、 ABCは、甲乙丙地を敷地とする一棟の建物を区分所有しており、適法に区分所有している場合には各自甲乙丙地に対して敷地利用権を有している。そうすると、区分所有法第22条1項「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない」の規定により、敷地利用権だけに、処分行為(売買、贈与、担保権設定など)である抵当権(民法第369条〜参照)の設定はできない。

→○ 正しい。(2) 民法で定める抵当権の目的にできる物は、@不動産(所有権のある土地と建物)、A地上権、B永小作権に限られる。B(Cも同じであるが)が有している敷地利用権は区分所有法で認められた権利であるが、民法上では賃借権である。不動産の賃借権は、登記はできるが、抵当権は設定できない(民法第369条1項参照)。

3 Aの建物部分の敷地利用権は、B及びCが準共有する賃借権である。

→X 誤りである。  設問では、「Aが乙地をBに、丙地をCにそれぞれ賃貸しているものとする」とあり、ABCの建物がつながった1棟であっても、専有部分は各々独立して乙地と丙地上にあるので対する敷地利用権は、BCが単独に有する賃借権となる。
           *参考;共有....1個の所有権を数人が持つ。準共有...所有権以外の権利を数人で持つ
。*

4 Cは、Bの建物部分を第三者に譲渡しようとする場合、丙地の賃借権については、Aの承諾を得て譲渡することができる。

→○ 正しい。 敷地利用権が賃借権になっていると、民法第612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」 の規定により、賃貸人であるA(地主)の承諾があれば譲渡できる。(敷地利用権が賃借権の場合の、この規定は、マンションでは重要ですが、現実には、地主の承諾がなくても、室(専有部分)の売買があり、トラブルの元になっていますよ。)

答え:3 (タウンハウスとは、かなり難問。抵当権と賃借権の関係は整理が必要です。)

問4

〔問 4〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)についての共有物分割請求権の行使に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 1個の専有部分を共有する区分所有者は、その専有部分について、共有物分割請求権を行使することができない。

→X 誤りである。 共有はよく出題されるので出題文に注意のこと。平成21年 管理業務主任者試験 「問4」 や 平成19年 管理業務主任者試験 「問5」 もある。
  まず、民法とその特別法である区分所有法との共有関係を明確にしておくこと。また、区分所有法では「マンション」の用語の規定はないため、
マンションの管理の適正化の推進に関する法律で定義されることに注意。
  区分所有法で定める共用部分(廊下、階段室など)は建物の存在に不可欠なため、原則、区分所有者全員の共有とし(区分所有法第11条1項参照)、共用部分が共有関係にあると、民法の共有に関する規定ではなく、区分所有法第13条から第19条までの規定に従い(区分所有法第12条)、また、専有部分と分離して処分ができない(区分所有法第15条参照)としてあるが、設問は専有部分(平たくいうと自分の室)の共有関係で、これは、区分所有法には規定がなく、民法の適用となる。すると、民法第256条1項「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない」 の規定により、可能。

2 専有部分以外の建物の部分を共有する区分所有者は、その建物の部分について、共有物分割請求権を行使することができない。

→○ 正しい。 この設問は、民法の適用ではなく、区分所有法の適用となる。
    専有部分以外の建物の部分は「共用部分」(区分所有法第2条4項参照)となり、これは、区分所有法の適用となる。選択肢1でも述べたように、区分所有建物にとって、廊下や階段など共用部分は建物の存在に不可欠なため、共用部分の共有では民法で規定する「分割請求」の規定がなく、認められない。
  区分所有法第15条2項「共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない」の規定により、原則、共用部分の持分の処分(移転、売買、分割など)が禁止され、共有物分割請求権はない。区分所有法第12条参照。


3 専有部分に属しない建物の附属物を共有する区分所有者は、その建物の附属物について、共有物分割請求権を行使することができない。

→○ 正しい。 専有部分に属しない建物の附属物(雑排水本管、昇降機など)も「共用部分」(区分所有法第2条4項参照)となり、これは、区分所有法の適用となる。選択肢2と同様に共有物分割請求権はない。

4 規約により共用部分とされた附属の建物を共有する区分所有者は、その附属の建物について、共有物分割請求権を行使することができない。

→○ 正しい。 規約により共用部分とされた附属の建物(別棟の集会所、物置など)も「規約共用部分」(区分所有法第4条2項参照)となり、規約共用部分も、区分所有法ではまとめて「共用部分」として適用される(区分所有法第4条2項)。選択肢2と同様に共有物分割請求権はない。

答え:1

問5

〔問 5〕敷地利用権が区分所有者の賃借権の準共有持分である場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 区分所有者がその専有部分を第三者に譲渡するには、その敷地利用権の譲渡について他の敷地利用権者の同意を得なければならない。

→X 誤りである。 民法第612条からの出題は多い。 平成20年 管理業務主任者 試験 「問5」、 平成19年 管理業務主任者 試験 「問6」 など。また、ここは、「問3」も参考に。
  まず、マンションの土地は、所有権により、所有(共有)するのが一般であるが、マンションが借地の上に建てられて賃借権(準共有)によることもあることを理解しておくこと。
  区分所有者が自己の建物の専有部分を第三者に譲渡することは、自由に出来る。そして、その敷地利用権の譲渡について
他の敷地利用権者(他のマンション・オーナー)の同意は不要である。
 ただし、 敷地利用権が賃借権であるので、民法第612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」 の規定により、賃貸人(地主)の承諾が必要とはなる。(しかし、現実のマンションの売買では、敷地利用権が賃借権であっても、地主の承諾を得ることなく売買されて、紛争になっているので注意のこと。)

2 区分所有者がその専有部分に債権担保のため抵当権を設定するには、その敷地の賃貸人の承諾を得なければならない。

→X 誤りである。 これは、建物の専有部分は自分の物だけど、土地の利用権が賃借である時に、地主の承諾が必要かどうかをきいている。
    敷地利用権は賃借権でも、建物の専有部分は区分所有者の所有物であり、別途、所有権を有している。土地と建物はそれぞれ独立した不動産である。民法第206条「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」 の規定により、区分所有者は、敷地の賃貸人(地主)の承諾がなくても、自由に抵当権を設定できる。不要である。

3 区分所有者がその専有部分を第三者に賃貸したときは、その敷地利用権についても転貸したことになる。

→X  誤りである。 これは、自分の物は勝手に賃貸できるが、それに伴って借りている土地の権利も一緒に動くかどうかをきいている。
    区分所有者はその専有部分を第三者に賃貸できる。(民法第601条「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」)。しかし、通常の賃借権は民法第612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」により、賃貸人(地主)の承諾を必要とされるが、 大判昭和8.12.11の判例、「借地上の建物を第三者に賃貸する場合、借家人は借地権者から独立して土地を使用するわけではないので、土地賃貸借の転貸にはあたらず、そのことについて地主の承諾は不要である」により、建物の場合には、転貸でないとされている。敷地利用権は転貸したことにならない。

  *かなり、高度な設問。民法では転貸としているが、判例で解釈が修正されている。マンション管理の知識3訂版には「たとえ、賃借人が賃貸人に無断で第三者に使用させても、背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合には、その第三者は、転借権に基づく使用又は賃借権の譲受を賃貸人に対抗することができる、とされている」とある。*

4 区分所有者が死亡し、その専有部分を相続人が承継取得したときは、その敷地利用権も承継取得したことになる。

→○ 正しい。  民法第896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」により、専有部分を承継取得したときは、その敷地利用権は、区分所有法第22条1項「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」により、専有部分と敷地利用権は原則分離処分が禁止されており承継取得となる。
  * これは、所有者のない不動産の国庫帰属(民法第239条)と、敷地利用権が共有の場合のほかの共有者への帰属(民法第255条)を区分所有法第24条で適用しないと規定してある部分の混同を狙った設問。*

答え:4  (かなり、高度な設問です。ここの敷地利用権が賃借権の場合は、区分所有法第22条での「専有部分と敷地利用権との分離処分の禁止」と絡んで、更なる検討も必要な箇所です。)

問6

〔問 6〕マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の集会において区分所有者及び議決権の各4/5の多数によっても決議をすることができないものは、区分所有法及び民法の規定によれば、次のうちどれか。

1 老朽化したマンションを取り壊して、平面駐車場にする旨の決議

→X  決議できない。 ここも、民法と区分所有法の限度を理解しておくこと。また、区分所有法では「管理組合」という定義はなく、「区分所有者の団体」であることに注意。
  老朽化したマンションを取り壊す行為は、区分所有法での「建替えの決議」が参考になる。
  建替えは(区分所有法第62条1項参照「集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。」とあり、要件として、「建物」が建築されないといけない。設問の、マンションを壊して平面駐車場にするは、区分所有法の規定から外れて、民法の共有物の変更に該当する。すると、民法第251条「共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない」により、区分所有者全員の同意が必要。集会において区分所有者及び議決権の各4/5の多数によっても決議をすることができない。

2 居住用のマンションを取り壊して、その敷地に新たに区分所有された住居の部分のある商業用ビルを建築する旨の決議

→○ 決議できる。  区分所有法第62条の建替え決議は法改正により従前と同一用途である要件が外れたので決議可能。*改正前の情報との混同を狙った設問。*

3 新たに建築されるマンションの敷地利用権の帰属に関して何らの定めをしない建替え決議

→○ 決議できる。 区分所有法第62条2項「建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
   一  新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
   二  建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
   三  前号に規定する費用の分担に関する事項
   四  再建建物の区分所有権の帰属に関する事項」とあり、
   4号の区分所有権(建物)の帰属は定める事が必要だが、敷地利用権(土地)については建替え決議の要件ではない

4 単棟のマンションを取り壊して、その敷地に新たに2棟のマンションを建築する旨の決議

→○ 決議できる。  区分所有法第62条の建替え決議で再建建物の棟数に制限は無い。

答え:1

問7

〔問 7〕区分所有法第30条の規定により、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設につき規約を定める場合は、これらの形状、面積、位置関係、使用目的、利用状況等を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるよう定めなければならないとされているが、これらに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 形状、面積とは、床面積や容積その他の外形的要素を指す。

→○  正しい。 ここは、具体的な条文の解釈となる。区分所有法第30条には、回答がないが、解釈はある。また、どうして、このような規定があるのかは、私の「超解説 区分所有法」を参考にしてください。
  区分所有法第30条3項の規定「前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。」とあり、
形状や面積は、専有部分の床面積、階数、容積など、その外形的要素である。また、これは、共用部分の持分割合(区分所有法第14条)や負担割合(区分所有法第19条)に関係する。

2 位置関係とは、区分所有者の利便に係る周辺施設等との位置関係を指す。

→X 誤りである。 位置関係とは、一棟の建物内又は敷地内での専有部分と共用部分(集会場など)との位置関係や、各々の専有部分の位置関係(階数など)を指し、周辺施設との利便の位置関係ではない。

3 使用目的とは、専有部分を商業用や居住用に定める場合における用途の定め等を指す。

→○ 正しい。 使用目的とは、専有部分を商業用(店舗用・事務所用など)や居住用に定めた、用途に関する項目である。ここは、共用部分の管理費の負担割合(区分所有法第29条1項ただしがき)にも関係する。

4 利用状況とは、共用部分等の具体的な利用方法やその頻度等を指す。

→○ 正しい。 利用状況とは、共用部分などの利用状況である。ここは、共用部分の維持・管理に要する費用負担に関わる。

答え:2  (この解釈は、立法者の審議会での答弁による。このような個所からの出題とは、設問が悪い例です。)

問8

〔問 8〕区分所有法第32条の規定に基づき公正証書による規約を設定することができない者は、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。

1 既存のマンションの専有部分をすべて購入し、その専有部分の全部を分譲する予定のマンション業者

→X できない。 ここは、区分所有法第32条で規定する「最初に」は何を指すかをきいている。
   区分所有法第32条「最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる」の規定がある。
  ここでの、「最初に建物の専有部分の全部を所有する者」とは、区分所有関係が成立したが、専有部分がまだ他の人に別れて属していない状態、つまり、専有部分が一人の所有関係にある場合です。
例えば、分譲業者がまだ専有部分を1つも分譲していない状態のときです。設問の、一度専有部分が複数の区分所有者に帰属したあとから、専有部分を全部買ったのでは、最初の全部所有者ではないので、できない。

2 相続した共有名義の土地に相続人が全員で専有部分のある建物を建築し、その専有部分の全部を最初に共有している共有者

→○ 正しい。 「最初に建物の専有部分の全部を所有する者」は、一人でなくてもいい。共有者も可能。最初に建物の全部所有者に該当するので、できる。

3 自己所有の賃貸用の建物を区分することによってその専有部分の全部を区分所有者として所有することになった不動産業者

→○正しい。 賃貸用の建物(非区分建物)を区分建物に変える場合でも、最初の建物の全部所有者に該当するので、できる。

4 建物を新築することによってその建物の専有部分の全部を最初に取得した建築業者

→○ 正しい。 最初の建物の全部所有者に該当するので、できる。

答え:1

問9

〔問 9〕建物の価格の1/2に相当する部分が滅失した場合における当該部分の復旧に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 区分所有者は、滅失した自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議があった場合は、その専有部分の復旧の工事を行うことはできない。

→X 誤りである。 できる。建物の価格の1/2に相当する部分の滅失は、「小規模滅失」とよばれ、建物の価格の1/2を超える「大規模滅失」と復旧の扱いが異なることに注意。
  区分所有法第61条1項「建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない」の但書の規定により、自主復旧が制限されるのは共用部分のみであり、専有部分は各自負担であるため、できる。

2 集会において滅失した共用部分を復旧する旨の決議をする場合は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により決議しなければならない。

→X 誤りである。 建物価格の1/2に相当の「小規模滅失」の復旧決議は過半数の決議でいい。区分所有法第61条3項「第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる」 の規定により、集会で決議していいが、建物の価格の1/2以下に相当する部分の滅失は、個人でも復旧ができる(区分所有法第61条1項参照)軽微滅失であり、普通決議(区分所有法第39条参照)の過半数の決議で復旧可能。
 
  *ここは、建物価格の1/2を越えた時(大規模滅失)の区分所有法第61条5項「第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる」との混同を狙った設問。*

3 区分所有者は、建物の一部が滅失した日から6ヵ月以内に単独で滅失した共用部分の復旧を行った場合に限り、他の区分所有者に対して、その復旧に要した金額を、共用部分の共有持分の割合に応じて償還すべきことを請求することができる。

→X 誤りである。 区分所有法では、「建物の一部が滅失した日から6ヵ月以内に単独で滅失した共用部分の復旧を行った場合に限り」のような規定がない。区分所有法第61条2項「前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる」とあり、償還請求に期限は付されていないため時効にならない限り請求可能。

4 集会において減失した共用部分を復旧する旨の決議があった場合には、区分所有者は、その復旧に要する費用の支払について、裁判所に相当の期限の許与を請求することはできない。

→○ 正しい。 区分所有法第61条13項「第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる」 の規定では、集会による決議(区分所有法第61条3項)は入っていない。

答え:4 (かなりの難問。選択肢3を整理していないと、間違える。)

問10

〔問 10〕区分所有者Aは、ぺットとしての犬の飼育が規約で禁止されているにもかかわらず、ペットとして小型犬の飼育を始めた。甲マンション管理組合の管理者が再三にわたり中止するよう申し入れたが、Aは、その申入れを無視して犬の飼育を継続している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 ペットとしての犬の飼育が専有部分内で行われる場合であっても、飼育を禁止するとする規約は、有効である。

→○ 正しい。 規約の改正が一部の区分所有者の権利にどの程度の影響があるかを問題にしている。当初、動物の飼育を禁止する規約は定められていなかったマンションにおいて、後に規約を改正し、犬、猫、小鳥等のペットを飼うことを禁止したマンション管理組合の管理者が、規約改正前から犬を飼育していた区分所有者に対し、犬の飼育禁止を求めた事例において、東京高裁平成6年8月4日は次のように判示した。すなわち、「区分所有者は管理規約で共同の利益に反する行為の具体的内容、範囲を定めることができる。よって、マンション内で動物の飼育を一律に禁止することもできる。本件規約については、その規約が買主の権利に特別の影響を与えるものでない。」として、管理者の請求を認めた。有効である。

2 Aの犬の飼育が他の居住者に具体的に実害を発生させ、あるいは発生させる蓋然性はないとしても、Aの犬を飼育する行為は、規約に違反する行為である。

→○ 正しい。 規約の禁止規定に反する行為は、具体的な実害がなくても規約違反である。(判例:東京高裁:平成6年8月4日))

3 甲がAの犬の飼育の差止めの訴訟を提起する集会の決議をする場合、あらかじめ、Aに弁明する機会を与える必要がある。

→X 必要がない。 犬の飼育の差止めの訴訟は、区分所有法第57条「1項 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
   2項  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。」とあり、
共同の利益に反する行為の停止等の請求」により行うが、この訴訟の提起には集会の普通決議が必要であるが、行為をした区分所有者へ弁明の機会を与える規定は無い。ただし、区分所有法第58条(使用禁止の請求、同法第59条(競売の請求)、同法第60条(占有者に対する引き渡し請求)には、弁明の機会をあたえること。

4 甲がAの犬の飼育の差止めの訴訟を提起する場合の集会の議事は、区分所有者及び議決権の各過半数で決することができる。

→○ 正しい。 選択肢3でも述べたように、犬の飼育の差止めの訴訟は、区分所有法第57条2項「前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない」とあり、こ の訴訟は、普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数)で可能。

答え:3

問11

〔問 11〕一団地内に、下図のとおり専有部分のあるA及びBの建物があって、甲地はAの区分所有者、乙地はBの区分所有者がそれぞれ共有しており、また、中央の通路部分をA及びBの各区分所有者が共有している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 A及びBの区分所有者全員で構成する団体(以下この問いにおいて「団地管理組合」という。)は、通路の管理を行うことができる。

→○ 正しい。 できる。 団地関係は、平成23年 管理業務主任者試験 「問38」 、平成21年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問36」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問12」 など、 ここらも必ず出題される。

区分所有法での団地関係は、一般、単棟の規定の準用が多くあるが、一部は準用されていない。そこらが、よく出題されている。注意のこと。
 区分所有法第65条「一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」の規定により、通路の共有につきABの団地管理組合が成立するので、AB全体で構成する団地管理組合は共通管理対象の通路の管理を行える。


2 団地管理組合は、甲地及び乙地について規約を定めなければ、その管理を行うことができない。

→○ 正しい。 できない。 区分所有法第68条1項「次の物につき第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。
  一  一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属するものを除く。)」 の規定により、団地管理組合の非本来的な管理対象である土地の管理は規約の定めが必要


3 団地管理組合は、共同の利益に反する行為をしているAの区分所有者に対し、集会の決議により、その行為の停止を請求する訴訟を提起することができる。

→X できない。 区分所有法の団地では、通常の区分所有法の単棟の規定が多く準用されている。しかし、区分所有法第66条その他団地の2章には、1章第七節 義務違反者に対する措置の規定の準用(区分所有法第57条)はない。義務違反者に対する措置を行うのは各棟の組合で団地管理組合ではできない。これは、義務違反者の行為は、その棟の人達がよく知っているから、団地全体の問題としないと、立法者が考えたからです。
 (参考:平成21年マンション管理士試験 「問11」選択肢3。)

4 団地管理組合は、A及びBを一括して建て替える旨の集会の決議をすることができない。

→○ 正しい。 できない。団地の一括建替えは、区分所有法第70条1項により、一括建替の決議の条件は、@団地内の建物の全部が区分所有建物であること(戸建などが入っているときはだめ)、A敷地が団地内建物の区分所有者の共有に属していること、B団地管理規約が定められていること、であるが、該当の団地は、Aの敷地が甲地はAの共有、乙地はBの共有と別々になっているため、条件を満たさない。通路だけが共有では「一括建替え決議」はできない。
  

答え:3  (かなり難問。団地まで細かく勉強していないと難しい。特に団地関係で、準用されている条文とされていない条文は整理しておくこと。)) 

問12

〔問 12〕Aが甲マンションの101号室の購入に際してB銀行から融資を受け、同室に抵当権の設定登記がされた場合に関する次の記述のうち、民法及び不動産登記法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが融資の残額を一括繰上げ返済した場合、抵当権の抹消登記の登記権利者は、Bである。

→X 誤りである。 似たような出題は、平成20年 マンション管理士 試験 「問14」にもある。
   まず、不動産の登記申請には、@登記の目的(所有権移転とか、抵当権設定とか)、A原因(売買とか相続とか)、B登記権利者、C登記義務者、D添付書類(登記原因証明情報、印鑑証明書、住所証明書など)、E課税税額(建物と敷地権)、F登録免許税(建物と敷地権)、G不動産の表示(所在地、家屋番号、床面積、敷地権の表示など)が必要である。
そして、 不動産登記法第2条12号「登記権利者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く」の規定により、この設問では、抵当権の抹消登記で利益を受けるのは抵当権の負担が外れるA(区分所有者)であるから、登記権利者はAであり、B銀行は登記義務者となる。
なお、登記義務者とは、同法第2条13号:登記義務者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。 」である。

2 Aの連帯保証人Cは、その融資の残額の全額をAに代わって弁済した場合、BがAに対して有していた債権及び抵当権を行使することができる。

→○正しい。  民法第500条(弁済者の法定代位)「弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。 」
、同法第501条(代位の範囲・代位者相互間の関係)「前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない」により、連帯保証人Cは、弁済をするについて正当な利益を持つ者(他に保証人や抵当権のついた不動産を買った者なども該当する)であり、Aの債務の代位弁済により債権者Bに代位してBの権利を行使できる。


3 Aが101号室に抵当権の設定登記をした後に第三者Dに同室を賃貸した場合において、その抵当権が実行されたときは、Dは、直ちに、買受人に対し同室を明け渡さなければならない。

→X 誤りである。 民法第395条1項「抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」の規定により、買受人の買受時から6ヶ月間は明け渡しが猶予される。直ちに明け渡さなくてよい。(注:民法の改正が平成16年度にあった。以前の規定とも注意のこと)

4 Aは、101号室を担保としてE銀行から融資を受ける場合、Bの承諾を得なければ、その抵当権の設定登記をすることができない。

→X 誤りである。 抵当権設定者(A)は、抵当権者等の同意がなくても、抵当不動産を使用収益し、処分(譲渡・抵当権の設定など)ができる。つまり、抵当権者(B銀行)の承諾はなくても、別の抵当権をいくつでも設定登記できる。また抵当権の実行は、民法第373条「同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による」 。これが、抵当権のいいところ。

答え:2

問13

〔問 13〕Aが、マンション業者Bが一級建築士Cに設計を依頼し、建築業者Dに新築させたマンションの1室をBから購入したところ、その直後、耐震強度が著しく低く建替えをせざるを得ないことが判明した。この場合のAに対する不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bは、債務不履行責任及び瑕疵担保責任を負うほか、耐震強度が著しく低いことを知って分譲した場合は、不法行為責任も負う。

→○ 正しい。 不法行為(民法第709条〜)と瑕疵担保責任(民法第570条)に関する出題は、必ずといっていいほどあるので注意のこと。 (参照:平成20年 マンション管理士 試験 「問4」 、ここは、平成22年 マンション管理士試験 「問13」 でも出た。)
  まず、 マンション販売業者Bは、売買物件に必要とされる性能が無かった瑕疵につき、
  民法第570条「(売主の瑕疵担保責任) 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。 」 の規定による準用の
  民法第566条「(地上権等がある場合等における売主の担保責任) 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
   2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
   3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。 」
の瑕疵担保責任を負うほか、設計の履行補助者Cの故意・過失は履行責任者Bの過失と同視されるから、
  民法第415条(債務不履行による損害賠償)「 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」
の規定により不完全な物件を引き渡した不完全履行の債務不履行責任も負う。
更にBが耐震強度が著しく低いことを知っていたことは「故意・過失」となり、
  民法第709条「(不法行為による損害賠償) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
の規定による不法行為責任も負う。なお、債務不履行での責任と瑕疵担保責任、そして、不法行為での責任の関係は絡み合うので注意の事。


2 Cは、自ら故意により違法設計をしたときは不法行為責任を負うが、Bの指示により行ったときは不法行為責任を負わない。

→X  誤りである。 建築士Cが単独で故意に違法設計をすれば、民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」 の規定に該当する。それが第三者Bの指示による場合には、民法第719条(共同不法行為者の責任)「 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
  2  行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。」とあり、マンション業者Bと建築士Cは共同して不法行為責任を負う。(平成20年11月解説 追加)

3 Dは、自ら手抜き工事をしたときは不法行為責任を負うが、Cの違法設計について過失がないときは不法行為責任を負わない。

→○ 正しい。 選択肢2でも述べたように、民法第709条の規定によれば、不法行為責任が成立するには、故意・過失が要件とされる。故意・過失がない場合は不法行為責任を負わない。

4 Cの違法設計とDの手抜き工事の両方が相まって、初めて耐震強度が著しく低いマンションが建築されたときは、C及びDは、共同して不法行為責任を負う。

→○ 正しい。 民法第719条「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
  2  行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する」 の規定によれば、CDが共同して他人に損害を与えれば共同して不法行為責任を負う。なお、共同不法行為は「問15」にもある。

答え:2 (社会問題化した、姉歯元1級建築士がらみの設問です。)

問14

〔問 14〕Aは、B法人所有の中古マンションの1室を購入したが、その際、Bの役員C(マンション管理担当)から管理費等の滞納の事実について説明されていなかった。このため、Aが管理組合Dから管理費等の滞納分を請求されることになった場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが滞納管理費等の全額をDに支払った場合は、Aは、その全額について、Bに対して損害賠償を請求することができる。

→○ 正しい。 滞納管理費の支払責任は本来は滞納した元の所有者であるB法人にあるが、区分所有法第8条「前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」の規定により、特定承継人として購入したAにも、滞納管理費支払の義務がある。
 ここまではいいのだが、元の区分所有者と特定承継人の関係を法的にどう捉えるかで解釈が分かれる。
 1つは、連帯債務(不真正の)として捉えると、滞納管理費を支払ったAは、主たる債務者である元の所有者B法人に代わって弁済をしたことになり、
 民法第442条
 「(連帯債務者間の求償権)
  連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
   2  前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。 」により、
 支払った特定承継人Aは、元の所有者Bに全額請求できる。
 また、別の解釈として、「債務保証」から、滞納管理費を支払ったAは、主たる債務者である元の所有者B法人に代わって弁済をしたことになり、
 民法第459条
 「(委託を受けた保証人の求償権)
 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
  2  第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。」
により、Bに対して保証債務の履行による償還請求ができる。
 いずれにせよ、支払った特定承継人Aは、元の所有者Bに全額請求できる。
 また無瑕疵の物件を移転する義務に反した債務不履行やAに損害を与えた不法行為としての民法第709条「(不法行為による損害賠償) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 」 の損害賠償請求もできる。(2011年2月23日:追記)


2 Bの管理費等の滞納の事実を知らないことについてAに過失がない場合、Aは、Dに対する債務を免れる。

→X  誤りである。 選択肢1で述べた区分所有法第8条の責任は無過失の法定責任のため、Aは過失の有無を問わず責任を免れない。

3 Cの着服によりBの管理費等の滞納が生じたものであった場合は、Aは、Bに対して損害賠償を請求することができない。

→X 誤りである。 選択肢1でも述べたように、役員Cが着服したことが原因でも管理組合に所有者Bが滞納した以上、Bは肩代わりしたAに対する責任を免れない。(参照:民法第709条)

4 DのAに対する滞納管理費等に係る債権の消滅時効期間は、Aが購入してから5年間である。

→X 誤りである。 滞納管理費の消滅時効は、10年間か5年かで争いがあったが、判例により、定期給付債権にあたり「5年」となっている。(H16年4月23日:最高裁)。そして、消滅時効は、民法第166条1項「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する」により、「権利を行使するとき」から始まるため、Bの弁済期(支払期日)から始まる。民法第169条「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する」 により 5年で、Aの購入日が起算日とはならない。

答え:1 (滞納管理費等の消滅時効期間の「5年」は、重要です。)

問15

〔問 15〕Aが運転する営業用貨物自動車(Aの使用者Bの所有)とCが運転する自家用車が衝突し、Cの自家用車が甲マンションの塀を破損したことにより、1OO万円の損害が生じた。甲マンション管理組合の管理者Dは、事故の原因はAの一時停止違反とCの脇見運転であったとして損害賠償の請求をしようとしている。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bは、Dに対して100万円の賠償をした場合、Cに対して求償することができる。

→○  正しい。 不法行為の出題は、多いのでマークしておくこと。平成22年 マンション管理士試験 「問16」 、平成21年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問3」 など。
    また、登場人物も多いので、このような出題は、問題用紙の空白にでも図を描いて整理するといい。共同不法行為は「問13」でも出ている。
    実際に運転していたAと衝突したCの過失により他人に損害を与えた場合に、Aの使用者Bが損害賠償をした時に、同じく衝突したCにその金を請求できるかである。
  まず、実際に運転していたAと衝突したCの過失により他人に損害を与えたのであるから、ACは共同不法行為責任を負う。
  民法第719条1項「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする」 の共同不法行為がAとCに成立する。
 さらに、BもAの使用者として、民法第715条(使用者等の責任)
   「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
   2  使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
   3  前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。」
の規定による使用者責任を負い、結局ABCが連帯して賠償責任を負う。
 そして、使用者Bが支払った場合、 この責任は不真正連帯とされるが公平のため過失の割合に応じて負担割合が認められ、一部の者が賠償して他の者を免責させるとその負担部分を越える金額につき求償ができる(最判:昭和41年11月18日)。よって、使用者Bは衝突事故を起こしたCに対しても求償できる。


2 Cは、Dに対して100万円の賠償をした場合、Aに対して求償することはできないが、Bに対して求償することはできる。

→X 誤りである。 今度は、選択肢1の逆をきいている。
   被用者Bと使用者A、そして衝突したCの立場である。
   Cは、被用者Aおよびその使用者責任を負うBと共同不法行為者として連帯債務を負うから選択肢1の解説のように、賠償すれば、Aに対しても求償でき、使用者Bに対してもAの負担部分の求償ができる。

3 Dは、A、B及びCに対して、それぞれ100万円を損害賠償金として請求することができる。

→○  正しい。 今度は、被害者がだれに、いくらの損害賠償を請求できるかである。
    まず、マンションの第三者である管理者Dが請求ができるかであるが、管理者は区分所有法第26条2項「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする」により、区分所有者を代理しているので、損害賠償の請求ができる。また選択肢1の解説のように民法第719条によりABが連帯して賠償責任を負い、またBにも使用者責任を追及できる。この際の負担額は、各自が、全額を賠償する義務があるとされているから、管理者Dは全員に、それぞれ100万円の請求が可能。


4 CD間で、Cが50万円をDに支払い、DがCに対しては残余の請求権を放棄することで和解した場合、Dは、残額の50万円について、Bに対して損害賠償の請求をすることができる。

→○  正しい。 これは、債務の一部が免除になった時の、他の連帯債務者への効果をきいている。
    この共同不法行為の責任は不真正連帯債務とされ、連帯債務を定める民法第437条「連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる」の規定(連帯債務における一部の免除)の適用はないとされる(最判H6.11.24)。したがって、CD間での和解(免除)による
残余の請求権の放棄はあっても、その効力は他の共同不法行為には及ばず、管理者Dは、残りの50万について、他の共同不法行為者Bに請求できる。

答え:2 (かなり設問が面倒である。解説にも時間がかかる。)

問16

〔問 16〕区分所有者Aがその所有する301号室に居住していて死亡した場合における同室の帰属等に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aに相続人はいないが、Aと生計を同じくしていた特別縁故者Bがいるときは、Bに当然に帰属する。

→X  誤りである。 相続関係も出題傾向は高いので、注意のこと。参考:平成19年 マンション管理士 試験 「問6」 など。
    相続人が不在では、民法第959条「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する」の規定により相続人の無い財産は国庫に帰属するが、被相続人と特別の縁故にあった者は、
  民法第958条の3「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる」により、家庭裁判所の審判によりその全部又は一部を取得することができるであり、特別縁故者Bは、故人が所有していた室を無条件では所有できない。つまり、当然には帰属しない

2 Aの相続人の生死が明らかでないときは、その遺産について相続財産法人が当然に成立し、相続財産管理人が管理する。

→X  誤りである。 民法第951条「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」の規定により、相続財産は法人とされ、その場合民法第952条の規定により管理人が選任されるが、相続人の生死が明らかでないときは、生存を前提に財産の管理が開始される(民法第953条「不在者の財産の管理人に関する規定の準用」参照)ので、当然には相続財産法人は成立しない。紛らわしい設問に注意のこと。

3 Aに相続人はいないが、その遺産全部についての包括受遺者Cがいるときは、Cが当然に承継取得する。

→○ 正しい。 包括受遺者は被相続人の一切を受け継ぐ者として相続人と同視でき、包括受遺者が存在する場合は、相続人の有無が不明の場合とはいえない(最判H9.9.12)。包括受遺者は民法第990条「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」ので、民法第896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」により、Aに相続人がいない時には、包括受遺者Cが当然に承継取得する。

4 Aに相続人があることが明らかでなく、相続人としての権利を主張する者がないときは、国庫に当然に帰属する。

→X  誤りである。 相続人のあることが明らかでないときには、民法第951条以下の規定により相続財産法人の成立、相続人の捜索の公告、相続債権者・受遺者への弁済、特別縁故者への分与を経て、処分されなかった相続財産が国庫に帰属する。相続人の全財産が当然に国庫に帰属するわけではない。

答え:3 (少し、難問。相続の規定も勉強のこと。)

問17

〔問 17〕甲マンション(管理組合の管理者A)は、請負人Bから注文者Cに平成17年4月1日に引き渡された新築マンションで、売主Cから専有部分の全部が同年10月1日に買主に引き渡されたものである。この場合における当該マンションの構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵(以下「当該瑕疵」という。)に関する次の記述のうち、住宅の品質確保の促進等に関する法律、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、当該瑕疵について、Cに対し平成17年10月1日から10年間瑕疵修補の請求をすることができる。

→X 誤りである。  この瑕疵担保責任は、民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)、そして、宅地建物取引業法やアフターサービスも絡めて、よく、適用の年数、適用の範囲が出題されているので、纏めておくこと。
  また、これも登場人物も多く、引き渡しの日付が6か月の差があるなどするので、図を書いてみるといい。
  設問は、マンションの売り主から、専有部分を引き渡しを受けた日が、住宅の品質確保の促進等に関する法律で規定する引き渡し日かどうかをきいている。
  住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条1項「新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、担保の責任を負う。」の規定によれば、10年の起算日は、引渡しの日であるが、このマンションは、新築での請負契約であるから、カッコ書きの適用となり、起算日は請負人Bから売主Cに引き渡された日の平成17年4月1日から10年間である。平成17年10月1日ではない。


2 Aが、平成18年3月31日に当該瑕疵があることを知った場合におけるCに対する瑕疵修補の請求は、平成19年3月31日までに行わなければならない。

→○ 正しい。 住宅の品質確保の促進等に関する法律と民法の重複適用があり、この場合売主の瑕疵担保責任は、民法第570条で準用する民法第566条3項「前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない」 の規定によれば、瑕疵を知ったときから1年以内に行使しなければならないので、平成18年3月31日に知ったなら、1年後の平成19年3月31日までにする。なお、民法第140条により、初日は算入しない。

3 Aが当該瑕疵により平成18年6月30日に発生した損傷について、同日、Cに対し瑕疵修補を請求した場合、CのBに対する瑕疵修補の請求は、平成19年6月30日までに行わなければならない。

→○  正しい。 注文者のC(マンションの売主でもある)も請負人Bに対しては、民法第638条2項「工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六百三十四条の規定による権利を行使しなければならない」の規定により、管理者Aから、平成18年6月30日に瑕疵修補が請求されたので、請負人に対する瑕疵修補も1年以内の平成19年6月30日までに行使しなければならない。

4 甲マンションの専有部分の売買契約において、Cが当該瑕疵についての担保の責任を負うべき期間は、買主に引き渡した時から20年以内とすることができる。

→○ 正しい。 民法第167条1項「債権は、十年間行使しないときは、消滅する」 の規定により契約に基づいて発生する債権は10年で時効にかかるが、住宅の品質確保の促進等に関する法律第97条「住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約においては、請負人が第九十四条第一項に規定する瑕疵その他の住宅の瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間又は売主が第九十五条第一項に規定する瑕疵その他の住宅の隠れた瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間は、注文者又は買主に引き渡した時から二十年以内とすることができる」の規定により、売主Cは責任期間を20年に伸長できる。

答え:1  参考:瑕疵担保責任のまとめ

問18

〔問 18〕マンションの敷地権の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 自己の所有する土地に新築したマンションの表題登記をした場合、区分建物の表題部に敷地権の表示がされる。

→○ 正しい。 不動産登記法は平成16年12月に大幅な改正があったので、登記事項として、表題部、権利部など基本的な登記簿は必ず見ておくこと。
  不動産登記法第44条(建物の表示に関する登記の登記事項)1項「(建物の表示に関する登記の登記事項)
 第四十四条  建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
   一  建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
   二  家屋番号
   三  建物の種類、構造及び床面積
   四  建物の名称があるときは、その名称
   五  附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
   六  建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
   七  建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
   八  建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
   九  建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権 」とあり、 9号の規定によれば、敷地権は表題部に表示される。
 また、 不動産登記規則118条参照。(表題部にする敷地権の記録方法)
  第百十八条  登記官は、区分建物である建物の登記記録の表題部に法第四十四条第一項第九号 に掲げる敷地権を記録するときは、敷地権の登記原因及びその日付のほか、次に掲げる事項を記録しなければならない。
  一  敷地権の目的である土地に関する次に掲げる事項
    イ 当該土地を記録する順序に従って付した符号
    ロ 当該土地の不動産所在事項
    ハ 地目
    ニ 地積
  二  敷地権の種類
  三  敷地権の割合」

2 マンションの近傍にある駐車場を規約により敷地とした場合、これを敷地権の目的である土地として登記することはできない。

→X 誤りである。  まず、マンションの近傍にある駐車場をマンションの敷地にできるかどうかであるが、これは区分所有法第5条1項「(規約による建物の敷地) 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。」
 とあり、マンションの近傍にある駐車場も規約により建物の敷地に出来る。
そして、区分所有法第2条5項及び同条6項
  「5項  この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
  6項 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。」により、
規約により建物の敷地となった土地(規約敷地という)も、敷地利用権として、建物が所在する土地(法定敷地という)と同様に不動産登記法第44条9号に該当し登記ができる。選択肢1の解説参照。
この規定により、専有部分と敷地利用権との分離処分の禁止などが、法定敷地と同様に規約敷地にも及びます。

3 マンションの専有部分を所有するための敷地利用権が賃借権である場合、これを敷地権として登記することができる。

→○ 正しい。 まず、どうして、賃借権が問題になるかというと、賃借権は物権ではなく債権であることである。登記簿は原則として不動産をめぐる物権の権利変動(売買、相続など)を公示して不動産の取引の安全と円滑をはかることを目的としている。
 しかし、賃借権は登記をすることによって第三者に対抗することができるため(民法第605条:不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。 )とあるため、不動産登記法でも登記が認められている。また、敷地利用権は多くの場合所有権であるが、定期借地権によるなど賃借権の時もある。
  不動産登記法第44条1項9号「建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権」 とあり、敷地権は登記された敷地利用権でなければならないが、不動産登記法第3条「 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
  一  所有権
  二  地上権
  三  永小作権
  四  地役権
  五  先取特権
  六  質権
  七  抵当権
  八  賃借権
  九  採石権」
  の八号によれば賃借権は登記可能な権利であり、敷地権となりうる。


4 敷地権付き区分建物について相続を原因とする所有権の移転の登記をする場合、敷地権の移転の登記をする必要はない。

→○ 正しい。 不動産登記法第73条1項「敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。」の規定により、建物の登記が敷地権たる土地の登記の効力も有するので、敷地権移転の登記は不必要。

答え:2

問19

〔問 19〕マンション建替事業における建替え合意者に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 建替え決議に合意しなかった区分所有権を有する者は、その後に決議の内容により建替えを行う旨の同意をしたとしても、建替え合意者に含まれることはない。

→X 誤りである。  マンションの建替えの円滑化等に関する法律も必ず1問は出題されるので、条文を読んでおくこと。(参考:平成20年 マンション管理士 試験 「19」 選択肢1 はこのままの設問。)
  マンションの建替えの円滑化等に関する法律第9条1項「 区分所有法第六十四条 の規定により区分所有法第六十二条第一項 に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる」の規定によれば、その後の同意者も建替え合意者に含まれる。


2 建替え合意者は、5人以上共同して、定款及び事業計画を定め、都道府県知事又は指定都市等の長の認可を受けてマンション建替組合を設立することができる。

→○ 正しい。 マンションの建替えの円滑化等に関する法律第9条1項「五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる。」の規定どおり。
また、大都市等の特例として、指定都市等の長が認可する。(同法第128条)

3 マンション建替組合の設立の認可の手続において、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の建替え合意者とみなす。

→○ 正しい。 マンションの建替えの円滑化等に関する法律第9条5項「前各項の場合において、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の建替え合意者又は一括建替え合意者(以下「建替え合意者等」という。)とみなす 」の規定どおり。

4 マンション建替組合が設立されたときは、建替え合意者は、その加入の意思の有無にかかわらず、すべてマンション建替組合の組合員となる。

→○ 正しい。 マンションの建替えの円滑化等に関する法律第16条1項「施行マンションの建替え合意者等(その承継人(組合を除く。)を含む。)は、すべて組合の組合員とする」の規定どおり。

答え:1

問20

〔問 20〕建築基準法第52条に定める建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下この問いにおいて「容積率」という。)に関する次の記述のうち、同法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 用途地域の指定のない区域内の建築物の容積率は、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定める一定の数値以下でなければならない。

→○ 正しい。 建築基準法第52条1項6号「用途地域の指定のない区域内の建築物  十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの 」の規定どおり。

2 前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、建築物の所在する地域等の区分に従い、それぞれ一定の数値を乗じたもの以下に制限される。

→○ 正しい。 建築基準法第52条2項「前項に定めるもののほか、前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない」の規定どおり。(例えば、住居系の用途地域では、原則 4/10、その他の地域では原則 6/10に前面道路の幅員のメートルの数値を乗じたもの以下になる。)

3 建築物の敷地が建築物の容積率に関する制限を受ける2以上の地域にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、最も低い地域の容積率が適用される。

→X 誤りである。 建築基準法第52条7項「建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない」の規定によれば、最低の地域の容積率にはならず、該当の部分の面積比となる。

4 敷地の周囲に広場等一定の空地を有する建築物で、特定行政庁が安全上、防火上等支障がないと認めて許可したものの容積率は、その許可の範囲内において、一定の限度を超えることができる。

→○ 正しい。 建築基準法第52条14項「次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
   一  同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物
   二  その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物
   の2号の規定どおり。

答え:3  (建築基準法からの出題もあるので、別途「要約 建築基準法」として作成しました。 勉強の助けにしてください。)

問21

〔問 21〕共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 避難階段から屋外に通ずる出口の戸には、かぎを使用すれば屋外に自由かつ容易に出ることができる施錠装置を設けなければならない。

→X 誤りである。 建築基準法施行令第125条の2、1項「次の各号に掲げる出口に設ける戸の施錠装置は、当該建築物が法令の規定により人を拘禁する目的に供せられるものである場合を除き、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。
   一  屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口
   二  避難階段から屋外に通ずる出口
   三  前二号に掲げる出口以外の出口のうち、維持管理上常時鎖錠状態にある出口で、火災その他の非常の場合に避難の用に供すべきもの」
   の規定によれば、屋内からはかぎを用いなくても出られるようにすること。(非常時に鍵が必要では、出るのに時間がかかる。屋外からではありませんよ。)


2 高さ31mを超える共同住宅には、高さ31mを超える部分を階段室の用途に供するもの等一定のものを除き、非常用の昇降機を設けなければならない。

→○ 正しい。 エレベーター、換気、避雷設備の出題傾向は高いので、注意のこと。
  建築基準法第34条2項「高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。」の規定と建築基準法施行令129条の13の2「法第三十四条第二項 の規定により政令で定める建築物は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
   一  高さ三十一メートルを超える部分を階段室、昇降機その他の建築設備の機械室、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する用途に供する建築物 」
  の規定どおり。


3 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならないが、一定の技術的基準に従って換気設備を設けた場合は、その必要はない。

→○ 正しい。 エレベーター、換気、避雷設備の出題傾向は高いので、注意のこと。
 建築基準法第28条2項「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない」の規定どおり。換気が必要な理由も理解の事。


4 高さ20mの共同住宅には、避雷設備を設けなくてもよい。

→○ 正しい。 エレベーター、換気、避雷設備の出題傾向は高いので、注意のこと。避雷設備は、 平成20年 管理業務主任者 試験 「問21」 でも出た。
 建築基準法第33条「高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない」の規定により、高さが20mをこえると避雷設備は設けるが、20m丁度の時には、いらない。

答え:1  (私のホームページで「過去問題」の下の方に、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法 だけを取り出していますので、これも参考にしてください。)

問22

〔問 22〕地区計画に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域についてのみ定めることができる。

→X 誤りである。 都市計画法も必ず出題されるので、注意のこと。また、よく改正があるので、最新の条文に備えること。
    都市計画法第12条の5、1項「地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画とし、次の各号のいずれかに該当する土地の区域について定めるものとする。
   一  
用途地域が定められている土地の区域
   二  用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの」
   の規定により用途地域外もありうる。

2 地区計画の区域内においては、土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行った者は、当該行為を完了した後速やかに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

→X 誤りである。 都市計画法第58条の2、1項「地区計画の区域(第十二条の五第四項第二号に規定する施設の配置及び規模が定められている再開発等促進区又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない」の規定により、行為の完了後ではなく、行為に着手する前に届出ること。

3 地区整備計画においては、建築物等の用途の制限などは定めることができるが、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限を定めることはできない。

→X 誤りである。 都市計画法第12条の5、6項2号「建築物等の用途の制限、建築物の容積率の最高限度又は最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、壁面後退区域(壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域をいう。以下同じ。)における工作物の設置の制限、建築物等の高さの最高限度又は最低限度、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限、建築物の緑化率(都市緑地法第三十四条第二項 に規定する緑化率をいう。)の最低限度その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの」の規定により、形態等の規制もできる。

4 地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。

→○ 正しい。  原則として、地区整備計画は定めなければいけないが、都市計画法第12条の5、7項「地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない」の規定どおり。

答え:4  (私のホームページで「過去問題」の下の方に、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法 だけを取り出していますので、これも参考にしてください。)

問23

〔問 23〕簡易専用水道の設置者の義務に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 水槽を管理する者について、おおむね6ヵ月ごとに健康診断を行わなければならない。

→X 誤りである。 まず、簡易専用水道とは、水源を上水道からうけ、貯水槽の有効容量が10立方メーター超をいう。
  上水道事業(水道事業者は、水道法第21条1項「水道事業者は、水道の取水場、浄水場又は配水池において業務に従事している者及びこれらの施設の設置場所の構内に居住している者について、厚生労働省令の定めるところにより、定期(*水道法施行規則16条参照;おおむね6ヶ月ごと)及び臨時の健康診断を行わなければならない」により、健康診断を行わなければならないが、この規定は「専用水道の設置者には準用されているが(水道法第34条参照)、簡易専用水道の設置者には準用されていない(水道法第34条の4参照)。


2 簡易専用水道の管理について、2年以内ごとに1回、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。

→X 誤りである。 水道法第34条の2、2項「簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない」の規定および、水道法施行規則56条1項「法第三十四条の二第二項 の規定による検査は、一年以内ごとに一回とする。」の規定により、2年以内ごとではなく一年ごとにする。

3 定期の水質検査として、おおむね1ヵ月に1回以上行う項目と、3ヵ月に1回以上行う項目とに分けて検査を行わなければならない。

→X 誤りである。 水道事業者は、水道法第20条1項「水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない」の規定により、定期の検査(1日1回以上行う事項、おおむね1ヶ月に1回以上行う事項、おおむね3ヶ月に1回以上行う事項がある(水道法施行規則15条参照)が、この規定は「専用水道の設置者には準用されているが(水道法第34条参照)、簡易専用水道の設置者には準用されていない(水道法第34条の4参照)。

4 水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期に行わなければならない。

→○ 正しい。  簡易水道の設置者は水道法第34条の2、1項「簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない」の規定により、水道管理が必要で、 水道法施行規則55条「法第三十四条の二第一項 に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。
   一  水槽の掃除を一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。
   二  水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。
   三  給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令 の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。
   四  供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。」
  の規定どおり。

答え:4  (私のホームページで「過去問題」の下の方に、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法 だけを取り出していますので、これも参考にしてください。)

問24

〔問 24〕共同住宅の管理について権原を有する者(以下この問いにおいて「管理権原者」という。)が、第三者に防火管理者の業務を委託することができる要件に該当しないものは、消防法の規定によれば、次のうちどれか。

1 共同住宅における管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが遠隔の地に勤務していることその他の事由により防火管理上必要な業務を適切に遂行することができないと消防長等が認めていること。

→○ 該当する。 まず、原則として、マンションなどの防災はそこの居住者が主体となって、防火管理者を定めて行うのですが、リゾートマンションのように、管理的または監督的な地位にある理事長がそのマンションにいないこともあります。その場合、防火管理者を管理業者に委託することもあります。このような前提を理解してください。
   消防法施行令3条2項「共同住宅その他総務省令で定める防火対象物で、管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが遠隔の地に勤務していることその他の事由により防火管理上必要な業務を適切に遂行することができないと消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長が認めるものの管理について権原を有する者が、当該防火対象物に係る防火管理者を定める場合における前項の規定の適用については、同項中「防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるもの」とあるのは、「防火管理上必要な業務を適切に遂行するために必要な権限が付与されていることその他総務省令で定める要件を満たすもの」とする。」の規定どおり。

2 受託者が、管理権原者から、当該共同住宅における防火管理上必要な業務を適切に遂行するために必要な一定の権限が付与されていること。

→○ 該当する。 選択肢1と同じように、消防法施行令3条2項の規定どおり。

3 受託者が、管理権原者から、当該共同住宅における防火管理上必要な業務の内容について口頭で説明を受け、かつ、当該内容について十分な知識を有していること。

→X 該当しない。  消防法施行令3条2項、消防法施行規則2条の2、2項1号「防火管理上必要な業務を行う防火対象物の管理について権原を有する者から、防火管理上必要な業務の内容を明らかにした文書を交付されており、かつ、当該内容について十分な知識を有していること」の規定により、口頭の説明はだめ。文書の交付が必要

4 受託者が、管理権原者から、当該共同住宅における防火対象物の位置、構造及び設備の状況その他防火管理上必要な事項について説明を受けており、かつ、当該事項について十分な知識を有していること。

→○ 該当する。 消防法施行令3条2項、消防法施行規則2条の2、2項2号「防火管理上必要な業務を行う防火対象物の管理について権原を有する者から、当該防火対象物の位置、構造及び設備の状況その他防火管理上必要な事項について説明を受けており、かつ、当該事項について十分な知識を有していること」の規定どおり。

答え:3  (私のホームページで「過去問題」の下の方に、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法 だけを取り出していますので、これも参考にしてください。)

問25

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 25〕甲マンションでは、共用部分である排水管の清掃について理事会に諮った結果、専有部分である枝管も含め一体として実施することとなった。この場合における清掃の費用等の支出に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 総会の決議を経れば、その費用の全部を管理費から支出することができる。

→○ 適切である。 似たような出題は、多い。 平成22年 管理業務主任者試験 「問33」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問29」 など。
    通常マンションの管理費は、共用部分の費用にのみ充当されるが、専有部分の設備は、標準管理規約21条2項「 
専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」により、管理組合として行うことができるが、その管理の実施については総会の決議が必要である。(標準管理規約48条9号)
 標準管理規約48条  次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
  一 収支決算及び事業報告
  二 収支予算及び事業計画
  三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
  四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
  五 長期修繕計画の作成又は変更
  六 第28条 第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
  七 第28条 第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
  八 修繕積立金の保管及び運用方法
  
九 第21条 第2項に定める管理の実施
  十 区分所有法第57条 第2項及び前条 第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
  十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  十二 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
  十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
  十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
  十五 その他管理組合の業務に関する重要事項
 また管理規約コメント第21条関係D「配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。」によれば、清掃は取替えまで含んでいないので、管理費からの支出が可能。
これにより、専有部分の枝管でも、総会の決議があれば、その清掃費を全部管理費からもだせる。(平成20年11月 変更。)


2 枝管の清掃費用相当分は、規約で定めれば管理費から支出することができる。

→○  適切である。 管理費からの支出項目は、標準管理規約27条「管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
   一 管理員人件費
   二 公租公課
   三 共用設備の保守維持費及び運転費
   四 備品費、通信費その他の事務費
   五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
   六 経常的な補修費
   七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
   八 委託業務費
   九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
   十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
   十一 管理組合の運営に要する費用
   十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」とあり、
7号により、清掃費、消毒費及びごみ処理費は管理費からの支出ができる。

  選択肢1でも述べたように、管理規約コメント第21条関係Dによれば、管理費からの支出が可能。規約で定めれば、専有部分の枝管までも管理費からの支出はできる。


3 排水管の一部の修繕が必要であることが判明した場合、総会の決議を経れば、その修繕費用を修繕積立金から支出することができる。

→○ 適切である。 修繕積立金の取り崩しは、標準管理規約28条「 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
   一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
   二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
   三 敷地及び共用部分等の変更
   四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
   五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理」とあり、
排水管の修繕は、2号「不測の事故その他特別の事由による必要となる修繕」と考えられるので、修繕積立金から支出可能。そして、修繕積立金からの取り崩しは、選択肢1で引用した、標準管理規約48条6号に該当するため、総会の決議が必要。


4 一部の区分所有者について枝管の取替えが必要であることが判明した場合、その取替え費用を修繕積立金から支出することができる。

→X 適切でない。  マンションの管理組合は管理規約21条「 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。」とあるように、全体の管理が目的である。一部の区分所有者だけについての修理は、管理規約コメント第21条関係D後段によれば、「配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである」ので、清掃費と異なり、一部の区分所有者が負担すべきである。

答え:4

ここまで、問25


次へ次へ

最終更新日:
2018年 8月20日:リンク先を「higuchi」へ変更
2012年 4月29日:正解肢をピンク・太字に統一。平成23年の標準管理規約の改正コメントを「問25」に入。
2011年2月22日:「問14」に追記
2009年2月27日

ホームへ戻る

*総合ページへ*映画・演劇評論へ*日記へ*楽しいゴルフへ*投稿者のページへ*写真集へ*目指せ!マンション管理士・管理業務主任者へ*「超解説 区分所有法」へ*ヨーロッパ旅行記へ*ヨーロッパ 写真集へ*ヴェトナム、アンコール・ワット旅行記へ*スリランカとインド旅行記へ*「讃岐 広島へ帰る」へ 、*金町団地の建替闘争の記録へ ★「マンション管理士 香川事務所」へ