平成24年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
「マンション管理士 香川事務所」より 謝辞:当問題の作成にあたっては、舘野様、高木様、武崎様、および佐々木様のご協力を戴いております。
皆様の助力を感謝いたします。
ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
(出題者からの注意)
1. 答は、各問題とも1つだけです。
2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
2. 問題中法令に関する部分は、平成24年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。
解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
〔問 1〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 マンションの建物に対して従物的な関係にある別個の建物は、法律上当然には共用部分とならない。 ○ 正しい。 似たような出題は、平成18年 マンション管理士試験 「問1」 にある。他には、平成21年 マンション管理士試験 「問1」 、「問2」 も参考に。 まず、建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、区分所有法といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、マンション管理適正化法といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際には設問のような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。 そこで、マンション管理適正化法第2条とは、 「(定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。 一 マンション 次に掲げるものをいう。 イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」 です。これによれば、「マンション」であるための要件は、 @2人以上の区分所有者 がいて、 A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。 また、用語「法律上当然」とは、過去からよく出題されている用語です。この「法律上当然」とは、法文上に規定され、そのまま変更なく認められることですが、区分所有法では条文があいまいであることを反省してか、平成23年や平成22年では、この言葉「法律上当然」は使用されていませんでいたが、平成24年では久しぶりに復活です。 出題の「共用部分」に関係する条文は、区分所有法では2ヶ所あります。その1番目は、区分所有法第2条4項 「(定義) 第二条 4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。」 とあり、また、2番目に共用部分に関係するのは、同法第4条で、廊下・階段室等が例示されています。 「(共用部分) 第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。 2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。 」 です。 これを踏まえ、設問の「マンションの建物に対して従物的な関係にある別個の建物」とは、区分所有法第4条2項に該当しますから、法律上当然には共用部分にはならず、共用部分とするには「規約」が必要です なお、これらの例としては、別棟の集会所、物置、倉庫などがあげられます。 2 マンションの建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にある建物の附属物は、法律上当然に共用部分となる。 X 誤っている。 専有部分であることもある。 「マンションの建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にある建物の附属物」とは、例えば、電気の配線、ガス・水道管の配管等が考えられます。これらは、専有部分内にあれば、専有部分となりますし、共用部分にある場合は共用部分となりますから、法律上当然に共用部分とはなりません。これら、電気の配線、ガス・水道管の配管等は実際の建物で専有部分にあるのか共用部分にあるのかの分岐点が明確にならないことが多いので、管理面においても注意が必要です。 3 マンションである建物全体の基本的構造部分及びその構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供される建物の部分は、法律上当然に共用部分となる。 ○ 正しい。 「建物全体の基本的構造部分」とは、数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室や、エレベーター室、基礎・土台、屋根、屋上、外壁等です。これらは、選択肢1で引用しました、区分所有法第4条1項の 「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分」に該当していますから、法律上当然に共用部分となります。 4 区分所有権の目的とすることができるマンションの建物の部分は、法律上当然には共用部分とならない。 ○ 正しい。 「区分所有権の目的とすることができるマンションの建物の部分」とは、区分所有法では「専有部分」ともなり得る建物の部分です。それは、区分所有法第2条 「(定義) 第二条 3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 」 とあります。 そして、区分所有権の目的とすることのできるのは、区分所有法第1条 「(建物の区分所有) 第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。 」とあり、 選択肢1で引用しました、区分所有法第4条2項 「(共用部分) 第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。 2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。 」 により、法律上当然に共用部分にはなれず、共用部分とするには「規約」が必要です。この例としては、建物内の集会室があります。 答え:2 (「法律上当然」がまた出題されるとは。 区分所有法では、条文が明確でないので、過去の出題にはあったこの「法律上当然」は、もう使用をやめたと思っていたのに。) なお、区分所有法の解説は、別途に、私の 「超解説 区分所有法」 もありますので、参考にしてください。 |
問2 |
〔問 2〕区分所有法第6条第1項の区分所有者の共同の利益に反する行為に該当しないものは、次のうちどれか。 |
問3 |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 |
〔問 4〕管理費等の負担に関する規約の設定についての次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているのはどれか。ただし、各区分所有者の専有部分の床面積は同じものとする。 |
問5 |
〔問 5〕管理者に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
問6 |
〔問 6〕管理所有に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
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〔問 7〕管理組合、団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団地建物所有者の団体をいう。)及び管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 |
〔問 8〕管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 9〕区分所有者の管理費の滞納が共同利益背反行為に該当する場合において、当該区分所有者を被告(以下「被告」という。)として、管理者が、区分所有法第59条の区分所有権及び敷地利用権の競売(以下「競売」という。)を請求する場合の訴訟に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 10〕Aマンションが、甲地及び乙地の2筆にまたがって所在していたが、地震によってAの一部が滅失し、乙地上には建物が所在しなくなった。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲地及び乙地は、Aの区分所有者全員の共有に属するものとする。 |
〔問 11〕一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟及びB棟並びに団地建物所有者の共有に属するごみ集積所、平面駐車場、管理事務所及び集会所がある場合、規約により団地共用部分とすることができるものの組合せは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 |
〔問 12〕Aが死亡し、その子B、C及びDが、各1/3の割合でAの財産を相続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 13〕夫Aと妻Bは、甲マンションの301号室の区分所有権を各1/2の持分で共有し、同室で生活をしているが、管理費及び修繕積立金を滞納している場合に関する次の記述のうち、民法及び破産法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 14〕Aは、Bに対して、平成12年4月1日に、瑕疵担保責任期間を引渡しの日から1年間とする特約をして中古マンションの一室を売却し、同年5月1日にこれを引き渡した後、Bが浴室設備に瑕疵を発見した場合におけるAの瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 15〕Aは、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)を、Bに対し賃貸し、Bは、引渡しを受けた後に、これをCに転貸し引き渡した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。 |
〔問 16〕マンションで生じた事故の責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 17〕甲マンションの401号室の区分所有者Aが多額の債務をかかえたまま死亡し、Aに子B及び子Cの相続人がいた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 18〕敷地権付き区分建物についての登記申請に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。 2012年 2月27日:選択肢4 について: 回答:本月4日付けのメールを拝見いたしました。 これを受け、実務として、どう処理するかの確認を、登記所にしました。 その回答;、現在は、解釈として、敷地権付き区分建物の表題部所有者が死亡したときは、相続により当該敷地権付き区分建物の所有権を取得した者は、被相続人名義で保存登記をすることなく、直接自己名義の所有権保存登記を申請もできるという説もある。 ★このように、争いがあり、まだ現実的に、判断に任されている個所からの出題は、実に「不適切な」出題です。 2015年 2月10日 追記: 選択肢4について、栗栖 屯 さんから、以下のメールが来ましたので、ご紹介させていただきます。 栗栖 屯さん有難うございます。 *選択肢4について、 ある人が自分の土地に敷地権付きのマンションを建てて表題登記を済ませた後、所有権保存登記をしないまま死去、マンションを建てた人の相続人(設問では、相続人は1人らしい‥)が、所有権保存登記をしようとした場合、どうも司法書士さんが言うには、こんなややこしい手続きをすると言っています。 http://www.konaka-dolls.com/01/004.html http://shihoshoshi-yamaguchi.com/staffblog/%E6%9B%B8%E5%BC%8F/%E6%95%B7%E5%9C%B0%E6%A8%A9%E4%BB%98%E3%81%8D%E5%8C%BA%E5%88%86%E5%BB%BA%E7%89%A9%E3%81%AE%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BF%9D%E5%AD%98%E7%99%BB%E8%A8%98 1.不登法74条1項1号後段の相続人による保存登記 2.敷地権を抹消する登記 3.敷地利用権の相続による移転登記 4.被相続人名義の敷地権の設定登記 加えて、書いてあったのが、手続きが煩雑なので、直接相続人名義での所有権保存登記が出来る様になりつつあるとも言っています。 要は、 登記所にて相談すれば、(手続きを簡略して)直接相続人名義での所有権保存登記が可能な場合もあるし、登記所が駄目と言えば、厳密に上記四段階の手続きをする必要があると言う事らしいです。 故に、「直接自己…申請することができない」が回答になりそうです。 ご参考迄。 |
〔問 19〕マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 20〕共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
〔問 21〕都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 |
〔問 22〕貯水槽水道及び簡易専用水道の管理に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか。 |
〔問 23〕高さ31mを超えるマンション(この問いにおいて「高層マンション」という。)の防火管理及び共同防火管理に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 ★2013年 3月19日 追記。 「第四条の二の二 法第八条の二の二第一項 の政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物であつて、次に掲げるものとする。 一 収容人員が三百人以上のもの 二 前号に掲げるもののほか、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階(建築基準法施行令 (昭和二十五年政令第三百三十八号)第十三条第一号 に規定する避難階をいう。以下同じ。)以外の階(一階及び二階を除くものとし、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分とする。以下この号、第二十一条第一項第七号、第三十五条第一項第四号及び第三十六条第二項第三号において「避難階以外の階」という。)に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段(建築基準法施行令第二十六条 に規定する傾斜路を含む。以下同じ。)が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの 単純に、消防法第8条の2の2 の適用があるかどうかというと、消防法第8条の2の2 の適用はありませんが、高さに関係なく、収容人員によって防火管理者を定めることは必要です。 ということで、設問が単純に、消防法第8条の2の2 の高層建築物に共同住宅が入るかどうかというだけと捉えて、ここは、「誤っている」 とします。 |
〔問 24〕マンションにおける防犯に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。 しかし、これだけの文章を、解答欄:http://www.mankan.org/pdf/H24_answer.pdf の下の方に記載するだけでは、財団法人:マンション管理士センターは出題元としての責任を果たしていません。 |
〔問 25〕「機械式駐車場の一部撤去に関する件」という議題で招集された集会における区分所有者の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、機械式駐車場は区分所有者全員の共有に属するものとする。 |
ここまで、問25 |
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