平成19年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。
*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
〔問 1〕専有部分及び共用部分に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 区分所有権とは、専有部分及び共用部分の共有持分を目的とする所有権である。 →X 誤。 区分所有権とは、専有部分を目的とする所有権であり、共用部分は入らない。 2 専有部分を共用部分にすることはできるが、共用部分を専有部分にすることはできない。 →X 誤。 共用部分であっても、共有者全員の同意があれば、専有部分にできる。 3 共用部分について規約を定めることができるが、専有部分について規約を定めることはできない。 →X 誤。 専有部分についても、規約は定められる。 4 一棟の建物の各部分は、専有部分か共用部分かのいずれか一方に属し、それ以外のものはない。 →○ 正。 区分所有法第2条4項「この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。」とあり、一棟の建物は、専有部分に属さなければ、共用部分となる。つまり、どちらか一方に属する。なお、通常、共用部分というと、法定共用部分と規約共用部分が含まれた表現であることに注意。 答え:4 なお、区分所有法の解説は、「マンション管理士 香川」の関連した「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。 |
問2 |
〔問 2〕ア〜エの記述のうち、管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者と管理組合法人の理事の両者について当てはまるものの組合せは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 (平成20年12月、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行に伴い、区分所有法の法人関係の条文も改正があったので、変更済) ア 職務又は事務に関し、区分所有者を代理する。 →X 誤。 管理者のみ当てはまる。 イ 任期は2年であるが、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その任期とする。 →X 誤。 理事のみ当てはまる。 ウ 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって解任することができる。 →○ 正。 管理者と理事に当てはまる。 エ 不正な行為その他の職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。 →○ 正。 管理者と理事に当てはまる。 1 アとイ 2 イとウ 3 ウとエ 4 エとア 答え:3 (管理者と理事に当てはまるのは、ウとエ) |
問3 |
〔問 3〕区分所有法第6条の区分所有者の共同の利益に反する行為に該当しないものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 1 自己の専有部分への危険物持ち込み → 該当する。 共同の利益に反する行為の出題は、平成24年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問4」 も参考に。 2 管理者の人格を中傷するビラの配布 → 該当しない。→”該当する”に変更に。 区分所有法第6条で規定する「共同の利益に反する行為」は、複数の人に影響を及ぼす行為であり、管理者の人格を中傷するビラの配布は、特定の個人に関する行為であるため、該当しない。ただし、管理者に対する不法行為(民法第709条)に該当する場合はある。 3 規約で禁止された動物の飼育 → 該当する。 他の区分所有者が被る不利益(鳴き声による騒音、悪臭など)が大きい。規約で禁止されているにもかかわらず、動物を飼うことはできない。 4 ベランダへの無許可の看板の設置 → 該当する。 選択肢1で述べたように、ベランダに、看板を設置すると、落下の危険性、美観の侵害など、他の区分所有者が被る不利益が大きいため、ベランダには、勝手に看板は設置できない。 答え:2 (2017年 3月 21日追記:判例で、2 も該当するに変更になる) |
〔問 4〕区分所有法第7条の先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 この先取特権を有する者は、管理者又は管理組合法人に限られ、区分所有者は含まれない。 →X 誤りである。 区分所有者も含まれる。 2 この先取特権は、債務者が専有部分を賃貸しているときは、物上代位により賃料に行使することができる。 →○ 正しい。 民法第304条(物上代位) 「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。 」とあり、賃貸の賃料にも行使できる。この規定は区分所有法で定める先取特権にも適用される。 3 この先取特権の目的物は、債務者である区分所有者の区分所有権に限られる。 →X 誤りである。 区分所有権だけでなく、共用部分に関する権利や敷地利用権、建物に備え付けた動産なども含む。 4 この先取特権の優先権の順位は、不動産保存の先取特権と同順位である。 →X 誤りである。区分所有法の先取特権(共益費用)は、不動産保存の先取特権に優先する。 答え:2 |
問5 |
〔問 5〕規約で定めることも集会の決議で決することもできる事項は、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 1 管理者又は管理組合法人が、その職務又は事務に関し、区分所有者のために訴訟の当事者となること。 →○ 規約で定めることも集会の決議で決することもできる。 2 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)の決議について、区分所有者の定数を3/4以上から過半数に減ずること。 →X 規約でしかできない。 3 集会の招集の通知を各区分所有者に発する期間について、会日よりもすくなくとも1週間前とする区分所有法の定めよりも伸縮すること。 →X 規約でしかできない。 4 区分所有者の共同の利益に反する行為をしている区分所有者に対して、管理者が、その行為の停止を請求する訴訟を提起すること。 →X 集会の決議でしかできない。 ま 答え:1 (なかなか、良い設問です。規約で決めておく事項、毎回集会の決議が必要な事項を纏めておきましょう。参考:平成16年 マンション管理士試験 「問4」) |
問6 |
〔問 6〕敷地利用権が数人で有する所有権である場合において、区分所有者が死亡したときの専有部分及び当該専有部分に係わる敷地利用権の帰属等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているのはどれか。ただし、受遺者はいないものとし、また、規約に別段の定めはないものとする。 1 相続人も特別縁故者もいない場合においては、国に帰属する。 →○ 正。 区分所有法での共有の敷地利用権なら、区分所有者が死亡しても他の共有者には帰属しない。 2 特別縁故者がいる場合においては、相続人が確定し、相続財産の清算手続きが終了したときに、当該特別縁故者への財産分与の対象となる。 →○ 正。 3 特別縁故者がいないが相続人がいる場合において、相続人の全員が相続を放棄したときは、国に帰属する。 →○ 正。 →X 誤。特別縁故者に分与されることもある。 答え:4 (ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問3」 も参照) |
〔問 7〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)の住戸と駐車場をそれぞれ専有部分として所有していたAが死亡し、住戸は妻が相続し、駐車場は子Bが相続した。駐車場部分の区分所有者の修繕積立金(以下この問において「修繕積立金」という。)及び議決権については、規約に何らの定めがされておらず、Aは修繕積立金を負担していなかった。この場合における、修繕積立金を負担させる規約の改正を決議する集会での管理者の説明について、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 駐車場部分の区分所有者の議決権については、規約には何も規定されていないので、Bには集会の開催通知をしていません。 →X 誤。 駐車場が専有部分なら、議決権もある。 この設問では、駐車場は専有部分となっています。そこで、区分所有法で定める議決権は、同法第38条(議決権)「 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。」とあり、同法第14条では、「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。 」とある。これにより、規約で定めがなくても、専有部分である駐車場の区分所有者となった子Bには議決権がある。よって、同法第35条1項「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。」により、駐車場部分の区分所有者の議決権については、規約には何も規定されていなくても、Bには集会の通知をしなければいけない。(しかし、このあと、集会で駐車場だけの区分所有者Bをどう扱うのか? この酷い出題を暇な時に検討してください。) 2 修繕積立金を負担させる規約の改正を決議するに当たって、Bの承諾は必要ありません。 →○ 正。修繕積立金の負担は受忍の範囲で、承諾は不要。 この「特別の影響受ける区分所有者」については、「平成19年管理業務主任者試験 問33」の選択肢1とあわせて、検討すると、悩む。 3 Bは、議決権を行使することはできませんが、集会で意見を述べることはできるので、その旨掲示しました。 →X 誤。 議決権を行使できるし、当然に集会で意見も述べられる。 4 今後も、駐車場部分の区分所有者の議決権については、規約で定めないこととし、当該議決権は認めません。 →X 誤。 この場合、駐車場が専有部分なので、議決権もある。 答え:2 (難しい! 関係のない相続で時間を取らされる。最初の議決権とは、何かが分かれば問題ないが、3も候補に上がる。) |
〔問 8〕会議の目的たる事項について利害関係を有するとして、区分所有法第44条第1項の規定により、集会に出席して意見を述べることができる者に該当するものは、次のうちどれか。 1 管理費を増額する規約の変更に係わる集会の決議を行う場合における専有部分の賃借人 →X できない。 管理費の増額なら、賃借人は利害関係者ではない。 2 駐車場の専用使用料を値上げする集会の決議を行う場合における駐車場の専用使用権者 →X できない。 駐車場の専用使用者は、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者ではない。 3 ペットの飼育を禁止する規約を定める集会の決議を行う場合におけるペットを飼育している専有部分の賃借人 →○ できる。 利害関係がある。 4 店舗の営業時間を制限する集会の決議を行う場合における営業者から専有部分である店舗について担保権の設定を受けている抵当権者 →X できない。抵当権者は、占有していない。 答え:3 (設問が悪い。) |
〔問 9〕甲マンションの建物価格の1/2を超える部分が滅失したために、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた。その決議において、区分所有者全員10名のうち、A、Bら8名は決議に賛成し、C及びDの2名は決議に賛成しなかった。この場合におけるC及びDが買取請求権を行使する場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から、2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。 1 C及びDは、決議賛成者全員に対し、買取請求権を行使することができる。 →○ 正。 反対者は、賛成者の全員または一部に買取請求ができる。 2 CがAに対し買取請求権を行使したときは、DはA以外の決議賛成者に対し買取請求権を行使しなければならない。 →X 誤。 反対者は、同じ賛成者に重ねて買取請求ができる。 3 CがAに対し買取請求権を行使したときに、Aは、Cの建物等の権利の全部をBに対して買い取るべきことを請求することができる。 →X 誤。 権利の全部ではない。算定した共用部分の持分の割合。 4 DがBに対し買取請求権を行使したときに、Bは,他の決議賛成者全員に対し、Dの建物等の権利を共有持分の割合で買い取るべきことを請求することはできない。 →X 誤。 賛成者は、算定した共用部分の持分の割合で、他の賛成者に買取請求ができる。 答え:1 (少し、難しいかも。 選択肢1で確信があれば、あとは X にできるが。) |
〔問 10〕甲マンションには、下図のとおり区分所有者A〜Dが居住している。この場合におけるA〜D等の行為が区分所有者の共同の利益に反する行為であるとして、 区分所有法第57条の規定に基づき、管理者が集会の決議により行為の停止等の請求を行うことができるものは、次のうちどれか。 l Aの妻の行為-----Aの妻が101号室でPTAの集会を開く際に、参加者が階段付近へ数台の自転車を乱雑に置いている場合 →X 誤。 行為の停止を求めるには、該当しづらい。 ★共同の利益に反する行為としては、 設問の場合、自室でPTAの集会を開くことは、参加者も区分所有者以外が想定され、自転車が乱雑に置かれていても、それは、一時的であり、集会が終われば、解決するため管理者が集会の決議により行為の停止等の請求を行うまでの行為ではない。また、区分所有法の第57条の「行為の停止等の請求」が対象としているのは、区分所有者と専有部分の占有者であり外部の人は入らない。 2 Bの子供の行為-----Bの3人の幼い子供達が一日中ドタバタと走りまわる床 (フローリング)騒音にAが悩まされている場合 →X 誤。 上下階の問題で、管理組合では行為の停止まで求めにくい。 3 Cの行為-----Cが301号室のベランダを温室に改造し、直接大量の土を盛り草花を植え付けてガーデニングを行っている場合 →○ 正。 ベランダは勝手に改造できない。 4 Dの行為-----夜間勤務に従事しているDが早朝に帰宅しシャワーを使うため、排水の流水音でCがうるさいと感じている場合 →X 誤。 当事者間合で解決すべき問題。 答え: 3 |
〔問 11〕 管理組合法人が解散する場合の残余財産の帰属に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 1 建物に専有部分がなくなったことにより解散した管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。 →X 誤。 法人が建物に専有部分がなくなったことにより解散すると、団体もなくなり、その場合、管理組合法人の残余財産は、各区分所有者に帰属する。 2 建物の全部の滅失により解散した管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。 →○ 正。 3 集会の決議により解散する管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。 →○ 正。 ? →X 誤 ? 厳密に、区分所有法第56条だけを考えると、「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。 」とあるので、規約がない以上間違いである。 4 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。 →○ 正。 答え:1 (ただし、解釈で 3 にもなり得る。難問というか、設問が悪い!) マンション管理センターの正解:1 |
〔問 12〕下図のとおり、専有部分のあるA〜Dの建物がある。この場合においてA、B、C及びDの区分所有者で構成される団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。以下この問いにおいて同じ。)の成立に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 甲地をAとBの、乙地をCとDの区分所有者が共有する場合は、それぞれ団地管理組合が成立する。 →○ 正。 2 駐車場をA〜Dの区分所有者で共有している場合は、A〜Dの団地管理組合が成立する。 →○ 正。 3 甲地をAとBの、乙地をCとDの区分所有者が共有していても、それだけでは、A〜D全体の団地管理組合が成立することはない。 →○ 正。 4 甲地をAとBの、乙地をCとDの、駐車場をA〜Dの、それぞれの区分所有者が共有している場合、A〜Dにおいて、複数の団地管理組合が重層的に成立することはない。 →X 誤。 複数の団地組合が成立する。 答え: 4 |
問13 |
〔問 13〕甲マンションの管理組合(管理者A)に対し、管理費を滞納したまま不在者となった区分所有者Bの財産に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 l Bが、財産の管理人(以下この問いにおいて「財産管理人」という。)を置かなかったとき、Aは、家庭裁判所に対し、Bの財産管理人の選任を請求することができる。 →○ 正? 2 家庭裁判所が選任したBの財産管理人は、家庭裁判所の許可を得なければ、滞納管理費をAに支払うことができない。 →X 誤。 保存行為として、財産管理人が、家庭裁判所の許可なく、滞納管理費は払える。 3 Bが住所地に戻ってきた場合は、Bの財産管理人が選任されているときでも、Aは、Bに対し、滞納管理費を請求することができる。 →○ 正。 4 Bが失踪宣告を受けた場合は、Aは、Bの包括承継人に対し、滞納管理費を請求することができる。 →○ 正。 そして、失踪宣告は、民法第30条(失踪の宣告) 答え:2? (何という設問。ついに、民法の「失踪」まで、出題範囲が広がってきたとは。とほほ、難しい。ここまで、勉強していない。) マンション管理センターの正解:2 |
〔問 14〕Aは、甲マンションのA所有の301号室の改装工事を内装業者Bに発注し、改装工事の終了後同室をCに売却したところ、当該改装工事に瑕疵があることが判明したため、当該瑕疵についてCからAに苦情があった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、AB間及びAC間には、特約はないものとする。 l AのBに対する当該暇疵の修補請求権は、AC間の売買契約による301号室の所有権の移転に伴ってはCに移転しない。 →○ 正。 2 AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権は、Bの承諾を得なければ、Aは、Cに譲渡することができない。 →X 誤 ? 債務者Bの承諾なしに、譲渡できる? 3 AがBに対して請負代金を支払っていない場合は、Aは、AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権をもって当該請負代金債権と相殺することができない。 →X 誤。この場合には、相殺できる。 4 当該瑕疵がAの指示によって生じたものである場合において、Bは、Aの指示が不適当なことを知っていたときでも、瑕疵担保責任を負うことはない。 →X 誤。 請負人が知っていながら告げないと、瑕疵担保責任を負う。 答え:1 ? (判例で、何かあるのか?) マンション管理センターの正解:1 |
〔問 15〕甲マンションのA所有の201号室で火災が発生し、当該火災により、同室及びその直下のB所有の101号室にそれぞれ損害が生じた。この場合に関する次の記述のうち、民法及び失火ノ責任二関スル法律の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 1 当該火災がAの子(9歳)の火遊びによる場合において、Aに当該子の監督について軽過失があるとき、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができる。 →X 誤。 未成年者の監督者は、監督に「重過失」が無ければ責任はない。 2 当該火災が事業執行中におけるAの従業員の重過失による場合において、Aに当該従業員の監督について重過失がないとき、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができない。 →X 誤。 使用者の責任は、被用者について判断する。 3 当該火災が201号室をAから賃借している者の軽過失による場合、当該賃借人に対し、Bは損害賠償を請求することができないが、Aは債務不履行による損害賠償を請求することができる。 →○ 正。 出火者には、軽過失なら下の階の者は責任を問えないが、債務不履行として、賃貸人は、賃借人に損害賠償請求ができる。 4 当該火災がAの行為による場合、Bは、Aの過失の程度のいかんを問わず、Aに対し、損害賠償を請求することができない。 →X 誤。 出火者の重過失なら、損害賠償請求ができる。過失の程度による。 答え:3 (なんと、難解な設問! 「失火ノ責任二関スル法律」も絡められるとは。 他に、判例もあるようだ。マンション管理士になるのは大変だ。参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ356〜) |
問16 |
〔問 16〕甲マンションの区分所有者Aが「理事長Bが修繕積立金の不正流用により管理組合に損害を与えたので、その損害の弁償と理事長の辞任を要求する」旨の文書を各戸に配付した。これに対してBは、事実無根の名誉毀損であるとして、Aに対して不法行為に基づく損害賠償と謝罪を請求した。この場合において、ア〜エについてAが立証すれば名誉毀損が成立しないものとされる組合せは、民法の規定及び判例によれば、次のうちどれか。 ア 配付した行為が違法行為の摘発という社会全体の利益に係るものであること。 → 立証すれば成立しない。 まず、名誉毀損というと、刑法第230条(名誉毀損) これらを踏まえて、設問を検討すると、この選択肢1は、要件のア(事実の公共性)に該当するので、Aが立証すれば、名誉毀損にはならない。 イ 配付の目的がもっぱら修繕積立金の適正な管理を図るためのものであること。 → 立証すれば成立しない。 これも、選択肢アで述べたように、要件のイ(目的の公益性) に該当するので、Aが立証すれば、名誉毀損にはならない。 ウ 文書に記載された事実が真実であると信じるについて相当の理由があること。 → 立証すれば成立しない。 これも、選択肢アで述べたように、要件のウ(事実の真実性)に該当するので、Aが立証すれば、名誉毀損にはならない。 工 文書の各戸への配付によらなければBの行為を阻止できないものであること。 → これは、要件にはない。 選択肢アで述べたように、名誉毀損が成立しない要件は、アからウまでの、3要件だけである。配布方法は該当しない。 1 アとイとウ 答え: 1 (アとイとウ) (本当に難しい! 答えの方からア〜エまでの内、どれか3つが正解とはわかるが、正確にエが該当しないとは、分からない。上の「問15」といい、ここまでマンション管理士の勉強範囲が広がるとは。刑法まで勉強した。参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ357) |
〔問 17〕区分所有者Aは、甲マンション管理組合(管理者B)に対し、管理費(20万円)を滞納したまま死亡した。Aに、妻C並びにAC間の子D及びEがいる場合の滞納管理費の請求等に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、C、D及びEはいずれも単純承認をし、また、相続人間における20万円の負担の合意についてBの同意はなかったものとする。 1 Bは、遺産分割前の場合、C、D又はEのいずれかに対し、20万円を請求することができる。 →X 誤。 →X 誤。 (2) 単純に、民法第899条により、区分所有者Aが債務を残して死亡した場合には、単純承認をした相続人は、相続の開始時期から債務を各相続分に応じて分割相続している(つまり妻は10万円、子供たちは5万円づつ)ので、いずれかに対し、全体の20万円を請求することはできない、という説明がいいようだ。(参考:大審院 S5・12・4)。また、可分債務として、各相続人の相続分に応じて分割される(最高裁:昭和29年4月8日)もあるようだ。 2 Bは、相続人間で20万円をCが負担するとの合意がなされた場合でも、Cに対し10万円、D及びEに対し各5万円を請求することができる。 →○ 正。 3 Bは、相続人間で20万円を法定相続分どおり負担するとの合意がなされた場合でも、C、D又はEのいずれかに対し、20万円を請求することができる。 →X 誤。 4 20万円に係る債権の消滅時効は、遺産分割が行われた時から進行する。 →X 誤。 答え:2 |
〔問 18〕区分建物の敷地権の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法によれば、正しいものはどれか。 1 一棟の建物の表題部の敷地権の目的たる土地の表示には、敷地権の種類、敷地権の割合、原因及びその日付、登記の日付が記載される。 →X 誤。 これを、踏まえ、不動産登記法第44条1項(建物の表示に関する登記の登記事項) そして、不動産登記規則4条3項
とあり、実例としては、
一棟の建物の表題部の敷地権の目的たる土地の表示には、土地の表示として、所在地、地目、地積、登記の日付が記載されるだけで、敷地権の種類、敷地権の割合、原因及びその日付、は記載されない。この設問は、選択肢2の、区分建物(専有部分)の表題部に記載される内容である。 2 区分建物の表題部の敷地権の表示には、所在地及び地番、地目、地積、登記の日付が記載される。 →X 誤。 3 区分建物の敷地権の表示を登記する場合の敷地権の種類は、土地所有権又は登記された地上権に限られる。 →X 誤。 4 申請により区分建物の登記記録に敷地権の表示登記がなされると、敷地権の目的である土地の登記記録には、職権で敷地権である旨の登記がなされる。 →○ 正。 答え: 4 (選択肢1と2が混同していても、4を知っていれば解答できる。) |
問19 |
〔問 19〕マンション建替事業の権利変換に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。 1 施行者は、保留敷地の所有権又は借地権を、自己に帰属するよう権利変換計画で定めることはできない。 →X 誤。 2 施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる。 →○ 正。 3 施行者は、施行マンションの区分所有権の上に存する登記された担保権等について、権利変換計画に基づき、補償金を支払って、これらの権利を消滅させることになる。 →X 誤。 4 施行者は、権利変換計画に基づき補償金を支払う必要がある者に対して、施行再建マンションの建築工事完了の公告の日までに、当該補償金を支払わなければならない。 →X 誤。 答え:2 |
〔問 20〕共同住宅の共用のエレベーターの検査及び報告に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。 注:建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、未対応。 1 エレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。以下この間いにおいて同じ。)は、一級建築士、二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者(以下一級建築士等」という。)におおむね2年ごとに検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。 →X 誤。 2 特定行政庁は、所有者が提出した定期検査報告概要書について閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させなければならない。 →○ 正。 3 特定行政庁は、エレベーターを検査した一級建築士等に対して、当該エレベーターに関する報告を求めることができる。
4 建築主事は、使用制限その他保安上必要な措置の勧告等のため、必要な限度において、共同住宅に立ち入り、エレベーターを検査することができる。 →○ 正。 答え:1 (ここは、1がXと分かれば、後は知らなくてもOKか。) ★建築基準法、都市計画法、水道法、消防法は出題傾向が高いので、 そこで、受験生の便宜を図って、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法は、別途、マンション管理士 香川 が、「過去問題」 から、取り出して、いますので、ご利用ください。本当に、至れり尽くせりのサイトでしょう! |
〔問 21〕耐火建築物としなくてもよい共同住宅は、建築基準法の規定によれば、次のうちどれか。ただし、地階はないものとする。 1 防火地域内にあって、階数が2で延べ面積が400uの共同住宅 →X 誤。 2 準防火地域内にあって、階数が3で延べ面積が1,800uの共同住宅 →X 誤。 3 準防火地域内にあって、階数が3で延べ面積が900uの一定の技術的基準に適合している共同住宅 →○ 正。 4 階数が4で延べ面積が1,200uの共同住宅 →X 誤。 答え:3 |
〔問 22〕建築物の容積率の最高限度及び最低限度を都市計画に定めるものとされている地域地区は、都市計画法の規定によれば、次のうちどれか。 1 高度地区 →X 誤。 2 高層住居誘導地区 →X 誤。 3 特例容積率適用地区 →X 誤。 4 高度利用地区 →○ 正。 答え:4 |
〔問 23〕警備業に関する次の記述のうち、警備業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約をするまでに、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。 →○ 正。 2 警備業者は、警備業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。 →○ 正。 3 警備業者は、常に、その行う警備業務について、依頼者からの苦情の適切な解決に努めなければならない。 →○ 正。 4 警備業を営もうとする者は、一定の要件に該当しないことについて都道府県知事の認定を受けなければならない。 →X 誤。 答え:4 (ここは、警備業法の詳細を知らなくても、ガードマン会社に天下りしているのは警察=公安委員会の推定ができれば、4になる。) |
〔問 24〕高さ31mを超えるマンション(以下この問いにおいて「高層マンション」という。)における防炎対象物品の防炎性能に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 高層マンションで使用するカーテン等は、一定基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。 →○ 正。 2 寝具は、高層マンションで使用する防炎性能が必要な対象物品の一つである。 →X 誤。 3 使用する防炎対象物品は、一定基準以上の防炎性能を有するものである旨の表示を附することができる。 →○ 正。 4 高層マンションの関係者は、防炎性能を有していないカーテン等を購入し、業者等に委託して一定基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは、その旨を明らかにしておかなければならない。 →○ 正。 答え:2 (ここまでやるか! 本当にマンション管理士試験は範囲が広い! 消防法は過去には防火管理者が中心だったが、出題を変えてきた。「マンション管理の知識 平成20年版 ページ436参照) |
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。 (注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。 1 署名押印のみで各議案について賛否の記載がない議決権行使書が提出されたが、各議案のいずれについても賛成票とした。 →X 適切でない。 2 複数住戸を所有する組合員から、1住戸分のみを反対票とし残りの住戸分は賛成票として欲しいと要求されたので、そのように賛否を分けて取り扱った。 →X 適切でない。 3 提出された委任状が隣接組合員の住戸の賃借人を代理人とするものだったの で、「委任状による出席」にも数えなかった。 →○ 適切である? 4 総会の招集通知に添付した委任状及び議決権行使書を使用せず、組合員から「すべての議案に反対する」と記載した書面が提出されたが、これを無効票として取り扱った。 →X 適切でない。 答え:3 (ここを単純に回答して、{問 27}の委任状をやると、疑問点が増す。) |
ここまで、問25 |
最終更新日:
2018年 9月 4日:「問7」 にコメントを追加した。
2018年 8月20日:リンク先を「higuchi」へ変更
2018年 3月17日:建築基準法第12条の改正を入れた。
2012年 5月 4日:正解肢をピンク・太字に統一。「問24」の消防法に追記、「問25」に平成23年の標準管理規約の改正入。
2011年10月30日:「問5」 に標準管理規約67条との関係の曖昧さを指摘。
2011年 1月14日:「問14」 選択肢3 に追記。
2009年2月26日