マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

平成25年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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謝辞:問題文の作成には、 「じゃが ろこぽん」さまの協力を得ています。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

 また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
              2.問題中法令に関する部分は、平成25年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。


解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

〔問1〕 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1  専有部分とは、一棟の建物の構造上区分された数個の部分で独立して住居その他建物としての用途に供することができる区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

○ 正しい。 平成19年 マンション管理士試験 「問1」 、平成18年 マンション管理士試験 「問3」 。
  まず、建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際には設問のような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
 そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
 「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一  
マンション 次に掲げるものをいう。
       イ
 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」
 です。これによれば、「マンション」であるための要件は、
    @2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。


  さて、設問に戻りますが、「専有部分」とは、区分所有法第2条3項に定義されています。
 「(定義)
 第二条 3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 」とあります。
 では、この3項で引用されています、「区分所有権」とは、同じく区分所有法第2条1項に定義されています。
 「第二条 1 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。」とあります。
 この 「区分所有権」とはの文中で引用されています、「前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう」の前条とは、第1条を指します。
 そこで、第1条は、
 「(建物の区分所有)
 第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。 」です。
 これらをまとめますと、「専有部分」とは、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができる、区分所有権の目的たる建物の部分ということができますから、正しい。
 なお、建物の部分で専有部分から除かれる部分(廊下や階段室など)は「共用部分」と呼ばれます。



2  共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び規約により共用部分とされた附属の建物をいう。

○ 正しい。 平成24年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問1」 など。
 「共用部分」とは、区分所有法第2条4項に定義されています。
 「(定義)
 第二条 4  この法律において「共用部分」とは専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 」とあります。
 この文中に引用されています、「第四条第二項の規定」は、
 「(共用部分)
 第四条 2  第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。」です。
 第4条2項は、建物の部分や附属の建物で専有部分ともなり得る部分(集会室や管理事務所など)であっても、規約を設けることによって、共用部分にできるということです。
  そこで、これらをまとめますと、「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び規約により共用部分とされた附属の建物といえますから、正しい。
 なお、建物の共用部分には、@法定共用部分 と呼ばれる廊下や階段室と、A規約により共用部分とされた 規約共用部分 があります。





3  建物の敷地とは、建物が所在する土地並びに規約により建物の敷地とされた建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地をいう。

○ 正しい。 平成21年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問2」
 「建物の敷地」とは、区分所有法第2条5項に定義されています。
 「(定義)
 第二条 5  この法律において「建物の敷地」とは建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。」です。
 建物が所在する土地とは、その土地(地番で表示されます)の上に建物が実存している土地です。この建物の敷地は、法定敷地と呼ばれます。
 そして、この第2条5項の文中に引用されています、 「第五条第一項の規定」は、
 「(規約による建物の敷地)
 第五条  区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。 」です。
 この第5条1項の規定では、建物がその土地の上に建っていない別に登記された土地(地番)であっても、建物がある土地と共に管理や使用をすると規約で定めると、「その建物の敷地」として扱うということです。その例としては、該当の建物の近隣にある庭や駐車場、遊園地などが想定できます。この敷地は「規約敷地」とよばれます。
 そこで、設問の、建物の敷地とは、@建物が所在する土地(法定敷地) 並びに A規約により建物の敷地とされた建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地(規約敷地)は、正しいとなります。




4  敷地利用権とは、専有部分を所有し敷地を利用するための建物の敷地に関する所有権、地上権、賃借権、使用借権又は地役権をいう。

X 誤っている。 地役権は入らない。 平成19年 管理業務主任者試験 「問35」 。
 「敷地利用権」は、区分所有法第2条6項に定義されています。
 「(定義)
 第二条 6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。 」です。
  まず、日本の法律の歴史になりますが、土地の権利や建物の権利を制定している法律には民法があります。この民法では、不動産と呼ばれる土地の権利と建物の権利は別々に存在しており、建物を正当に所有するには、その建物の下の土地(敷地)の権利を何らかの形で有する必要があります。
 そこで、民法で考えられる権利としては、@所有権、A地上権、B賃借権(地上権、賃借権を総称して借地権といいます。参照:借地借家法;第2条1号)、C使用借権(現実にはありえませんが)の4種類をいうことになります。
 設問の地役権とは、民法第280条
 「(地役権の内容)
 第二百八十条  地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。」です。
 このように地役権は、他人の土地を自分の土地の便益のために使用するもので、用水を引いたり、送電線を引いたりするときに利用される権利ですから、通常、区分所有法での敷地利用権には該当しませんから、誤りです。

 なお、土地の権利が数人で所有する敷地利用権となると、建物の専有部分と分離しての処分は禁止されます。(区分所有法第22条参照)


答え:4  平成25年の「問1」は、単に条文を合わせただけか! なお、区分所有法の詳細な解説は、別途に、私の 「超解説 区分所有法」 もありますので、参考にしてください。

問2

〔問2〕 甲マンションの区分所有者Aが管理者Bを誹誘中傷する内容の文書を貼付・配布する等の行為を行い、当該行為が名誉毀損に当たる場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1  Aの行為によって名誉を毀損されたB個人は、Aに対して、名誉毀損による損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復する措置を講ずることを請求することができる。

○ 正しい。 不法行為の出題も多い。 平成24年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問10」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問16」 、同じく 「問17」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 同じく 「問12」 など。
  まず、区分所有法は、例えマンションに住んでいるからといっても、特定の個人(区分所有者)が基本として持っています区分所有権や人格権などの権利が他人によって侵害されたら、民法の不法行為(第709条)に基づいて損害賠償を請求できる権利を除外するものではないということを理解してください。
 そこで、設問の管理者Bが(区分所有者であってもなくても)、名誉毀損に該当する行為をうければ、民法第709条
 「(不法行為による損害賠償)
 第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 」とあり、
 名誉については、同じく民法第710条および第723条
 「(財産以外の損害の賠償)
 第七百十条  他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。 」
 「(名誉毀損における原状回復)
 第七百二十三条  他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。」とあり、
 設問は、正しい。



2  Aの行為によって甲マンションの正常な管理又は使用が阻害される等当該行為が区分所有法第6条第1項の共同の利益に反する行為に該当する場合は、A以外の他の区分所有者の全員は、Aに対して、当該行為の停止を求めることができる。

○ 正しい。 平成24年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問34」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問37」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問10」 など。
 区分所有法第6条1項に規定される「共同の利益に反する行為」に該当する場合においては区分所有法第57条に規定があります。
 なお、区分所有法第6条については、次の 「問3」 も参考にしてください。
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる
  2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
  3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
  4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。」です。
 第57条1項によれば、行為者Aを除いた他の区分所有者の全員は、Aに対して当該行為の停止を求めることができますから、正しい。


3  Aの行為が甲マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の規約に違反する行為である場合は、管理者Bは、Aに対して、規約の定めにより行為の差止め及び、管理組合が被った損害の賠償を請求することができる。

○ 正しい。 平成24年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成21年 マンション管理士 試験 「問9」 。
 
 管理者Bの権限は、区分所有法第26条に規定されています。
 「(権限)
 第二十六条  管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
  2  管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
  3  管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
  4  管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
  5  管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。」です。
  通常第三者である管理者が当事者に代わって行為の差止めや損害賠償の請求はできませんが、第26条1項の規定や2項の代理権により、規約があれば、第三者である管理者であっても、規約違反者Aに対して、その行為の差止め及び、管理組合が被った損害の賠償を請求することができますから、正しい。


4  Aの行為が区分所有法第6条第1項の共同の利益に反する行為に該当し、A以外の他の区分所有者の全員がAの行為の停止を請求することができる場合は、B個人は、Aに対して、名誉毀損による損害の賠償を請求することができない。

X 誤っている。 個人の権利として損害賠償請求ができる。
  
選択肢1でも述べましたが、区分所有法の規定は、元々個人が持っています財産権や人格権に対する侵害があった場合を排斥するものではありませんから、区分所有法第6条の共同の利益に反する行為を行ったAに対して、A以外の他の区分所有者の全員がAの行為の停止を請求していても、管理者B個人は、Aに対して、名誉毀損による損害の賠償を請求することができますから、誤りです。


答え:4  なんとなく、例年の出題と傾向が違った感じです。

問3

〔問3〕 専有部分の占有者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1  マンションの建物の管理又は使用に関して、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない占有者には専有部分の賃借入、転借人及び使用借主のほか、権原なき占有者も含まれる。

○ 正しい。 権限なき占有者も含まれる。  平成25年 管理業務主任者試験 「問38」 、平成16年 マンション管理士試験 「問3」 。
 設問には、区分所有法第6条
 「(区分所有者の権利義務等)
 第六条  区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない
  2  区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
  3  第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。」が該当します。
 この区分所有法第6条3項により、専有部分の占有者も区分所有者と同様に共同の利益に反する行為をしてはならないとなります。
 そこで、この占有者に含まれる範囲ですが、@通常の賃借人、Aまたは転借人、B他に使用借人・同居人、Cそして、権限なき占有者(不法占拠者)が該当しますので、正しい。



2  専有部分の使用借主が敷地内の駐車場を使用している場合、当該使用借主は、駐車場の月額使用料の増額変更に関する議案に対して、集会に出席して意見を述べることができる。

X 誤っている。 駐車場の使用料の増額では利害関係がないとみなされる。
  
専有部分の使用借主とは、選択肢1で述べましたように、区分所有者から無償で専有部分を借りている人で占有者です。
 そこで、占有者が集会に出席して意見を述べるには、区分所有法第44条があります。
 「(占有者の意見陳述権)
 第四十四条  区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。
  2  前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 」です。
 第44条1項により、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができるのですが、この「利害関係を有する場合」の解釈で、通常、ペットの禁止などなどは、占有者にも利害関係があるとみなされますが、会議の目的が管理費の増額などでは占有者には利害関係がないと解釈されています。また、駐車場の月額使用料の増額変更に関する議案は、その影響が利用者全員に対して及ぶため、占有者の立場では特に利害関係を有しているとは判断できがたく、集会に出席して意見を述べることもできないとなり、誤っています。



3  規約により住居専用とされている専有部分を事務所として使用している賃借人に対して、集会の決議により、管理者が当該使用の停止の訴えを提起しようとする場合は、あらかじめ、当該占有者に弁明の機会を与えなければならない。

X 誤っている。 占有者には弁明の機会を与えなくていい。 平成20年 マンション管理士試験 「問17」 。
  規約は占有者である賃借人も守らなければなりません。それは、区分所有法第46条
 「(規約及び集会の決議の効力)
 第四十六条  規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
  2  占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」とあり、
 第46条2項の規定が該当します。

 そして、訴訟となると、区分所有法第57条
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
  2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
  3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
  4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。」とあり、
 第57条3項及び4項により、管理者等は集会の決議により、 占有者にも使用停止の訴えができます。
 そこで、「当該占有者に弁明の機会を与える」必要があるかどうかですか、区分所有法第57条では区分所有者にも、あらかじめ弁明する機会を与える規定がないことから、「当該占有者に弁明の機会を与える」必要はないとなり、誤りです。



4  専有部分について、居住目的以外での使用を禁止する規約に変更しようとする場合において、専有部分を店舗として使用している賃借人がいるときは、当該賃借人の承諾を得なければ、規約を変更することができない。

X 誤っている。 賃借人は意見を述べるだけ。
 専有部分を店舗として使用している占有者(賃借人)にとって、居住目的以外での使用を禁止する規約に変更しようとする場合には、選択肢2で引用しました区分所有法第44条1項での
 「(占有者の意見陳述権)
 第四十四条  区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。」に該当します。
 そこで、占有者(賃借人)は、集会に出席して意見を述べることはできますが、それは意見を述べるだけです。規約の変更に関して賃借人の承諾までは求められていませんから、誤りです。



答え:1  占有者とは、規定の状況に応じて、不法な占有者も含むことがありますので、注意してください。

問4

〔問4〕 甲マンションの101号室は、次のア〜ウのとおり区分所有権が移転されているが、A及びBは、管理費を滞納している。管理組合法人が、平成25年4月に滞納管理費を請求する場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

ア 平成22年4月、Aが101号室を購入
イ 平成23年10月、BがAから101号室を受贈
ウ 平成24年10月、Cが抵当権の実行による競売で101号室を取得

1  Aは、管理費に係る債権の引当てである区分所有権をBに贈与しているので、管理組合法人は、Aに対して、Aの滞納管理費を請求することができない。

X 誤っている。 元の区分所有者は支払い義務がある。 承継人については、平成25年 管理業務主任者試験 「問2」 もある。 
 このような設問に対しては、問題用紙の空白に下のような図を書いてみましょう。
  
  まず管理費は、共用部分に関する負担金として、区分所有者は区分所有法第19条の規定
 「(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条  各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 」により、負担する義務があります。

 その管理費の滞納となると、区分所有法第7条
 「(先取特権)
 第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
  2  前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
  3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する。 」とあり、
 第7条1項の「規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」に該当します。

 この滞納された管理費などの債権は、相続では当然に相続人(包括承継人または一般承継人)に包括承継されますが、民法では、規約などでの合意による取り決めは、その当事者(元の区分所有者)を拘束しますが、売買などで譲り受けた買主のような特定承継人と呼ばれる人は拘束しないという理論があり、滞納管理費などの請求先をめぐって争いがありました。
 そこで、区分所有法では、第8条
 「(特定承継人の責任)
 第八条  前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」として、
 滞納管理費などは、特定承継人にも支払いの請求ができるとしました。



 そこで、区分所有者の特定承継人の範囲ですが、買った人・競売で落とした人、贈与を受けた人となります。
  これを前提に設問の「Aに対して、Aの滞納管理費を請求すること」は、Aは元々滞納をした本人ですから、管理組合法人は、区分所有法第7条1項に基づき「Aに対して、Aの滞納管理費を請求すること」ができますから、誤りです。 


2  Bは、贈与を受けた中間取得者であり、特定承継人ではないので、管理組合法人は、Bに対しては、Bの滞納管理費のみを請求することができる。

X 誤っている。 贈与でも中間取得でも特定承継人である。
  現在は競売で取得したCが区分所有者であり、Bはもう区分所有者ではないので中間取得者となります。なお、選択肢1で述べたように、贈与でも特定承継人に該当します。
  この中間特定承継人は、もうすでに区分所有者でないので、自分が滞納した期間の管理費などだけを支払えばいいという理論もありましたが、現在では、元の区分所有者が滞納した金額もともに負担すると考えられています(不真正連帯債務)から、管理組合法人は、区分所有法第7条1項後段及び第8条により、元のAの滞納分とBの滞納分もBに対して請求できますから、誤りです。



3  Cは、担保権の実行としての競売による買受人であるが、管理組合法人は、Cに対して、A及びBの滞納管理費を請求することができる。


○ 正しい。 競売で取得しても特定承継人である。
  
選択肢1で述べましたように、競売で買受けた人も、区分所有法第8条の特定承継人に入ります。
 すると、元の区分所有者A及び前の区分所有者Bが滞納した管理費の支払い義務がある(不真正連帯債務)と考えられ、管理組合法人は、区分所有法第7条1項後段及び第8条により、Cに対して、A及びBの滞納管理費を請求することができますから、正しい。



4  管理組合法人は、規約に別段の定めがない限り、Cに対して、A及びBの滞納管理費に係る遅延損害金を請求することができない。

X 誤っている。 金銭債務である。
 選択肢3で述べましたように、現在の区分所有者Cは、過去の管理費の滞納者である、A及びBが滞納した管理費も支払い義務があります。
 その滞納管理費の支払いは、金銭の債務となります。
 すると、民法第404条
 「(法定利率)
 第四百四条  利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」とあり、
 規約に別段の定めがないときは、管理組合法人は、A、B分の滞納管理費に係る遅延損害金として、年5%を請求できますから、誤りです。



答え:3  解説は丁寧にしたので、時間がかかったが、正解3 は易しい?

問5

〔問5〕 次に掲げる事項のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができる事項はいくつあるか。

ア 共用部分の保存行為

○ 規約で別段の定め可。 平成23年 管理業務主任者試験 「問36」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問3」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問25」 など。 
  区分所有法で共用部分の保存行為については、区分所有法第18条
 「(共用部分の管理)
 第十八条  共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
  2  前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない
  3  前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
  4  共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。」が該当します。
 第18条1項及び2項により、規約で別段の定めが許されています。
 なお、保存行為とは、共用部分を維持する程度の行為です。



イ 管理者の選任及び解任方法

○ 規約で別段の定め可。 平成24年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問37」 、平成21年 マンション管理士試験 「問8」 など。
 区分所有法で管理者の選任や解任方法を定めているのは、区分所有法第25条
 「(選任及び解任)
 第二十五条  区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
  2  管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。」が該当します。
 第25条1項によれば、 規約で別段の定めができます。



ウ 集会における議長の選任方法

○ 規約で別段の定め可。 平成22年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問37」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問30」 など。
 区分所有法で集会の議長の選任を定めているのは、区分所有法第41条
 「(議長)
  第四十一条  集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。 」が該当します。
 第41条によれば、規約での別段の定めができます。



エ 解散した管理組合法人の残余財産の帰属

○ 規約で別段の定め可。 平成19年 マンション管理士試験 「問11」 。
 
管理組合法人が解散すると残った財産の行方が問題になります。そこで、区分所有法第56条
 「(残余財産の帰属)
 第五十六条  解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。」とあります。
 第56条によれば、規約で別段の定めができます。
 なお、条文中に引用されています、第14条とは、原則として専有部分の床面積の割合です。


1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ

答え:4 (規約で別段の定めができるのは、ア、イ、ウ、エ の4つ。全部です。)  
 条文のままとは、かなり易しい出題です。”
規約で別段の定めができる”の出題は定番ですから、表などにしてまとめましょう。 「問7」 も参考にしてください。

問6

〔問6〕 マンション分譲会社Aは、マンションの分譲に際し、専有部分の区分所有権及び敷地の共有持分とは別に、一部の区分所有者Bらに、マンションの敷地の一部に設けられた駐車場の専用使用権を分譲し、その代金を受領した。Bらは、所定の駐車場使用料を管理組合Cに毎月支払い、駐車場を専用使用してきたが、Cは、集会決議により規約を変更した上で駐車場使用料を増額する旨の決議をした。ところがBらはこれに応じなかった。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、適切なものはどれか。

1  Cが、規約を変更した上で駐車場使用料を増額したことは、一般的にBらに不利益を及ぼすものであるから、Bらの承諾を得ない限り、許されない。

X 適切でない。 受忍の範囲で、承諾はいらない。  平成20年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問7」 など。
  
 設問の背景説明:新しく区分所有法の勉強をしている人には、設問が何を目的としたものか、こんな勝手な分譲なんて不合理なことをどうして分譲会社ができるのかと思うでしょう。
 でも、現実に昭和の終わり頃(また、最近でも)、マンションの分譲会社は、明らかに区分所有者の共有財産である、敷地の使用権を特定の区分所有者に販売して、利益を得ているのです。
 そこで、分譲後の管理組合がこの不合理さに気がつき各地で裁判を起こしました。
 これらの裁判について、最高裁は、平成10年10月22日には ミリオンコーポラス高峰館事件、平成10年10月30日に シャルム田町事件 と シャルマンコーポ博多事件、平成10年11月20日に 高島平マンション事件、 について判決を出しました。
 設問はこれら一連の事件についてです。

 具体的には、区分所有法第31条に定める「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」に関係します。
 区分所有法第31条
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない
  2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。 」

 第31条1項が定める「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす」とは、論争の起きる箇所で、判例はこの判断として”「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される。」”としています。(平成10年10月30日:シャルマンコーポ博多事件
 そして、設問の駐車場の使用料増額に対しては、”これを使用料の増額についていえば、使用料の増額は一般的に専用使用権に不利益を及ぼすものであるが、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は使用料の増額を受忍すべきであり、使用料の増額に関する規約の設定、変更等は専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものではないというべきである”と判断しました。
 確かに駐車場使用料を増額するのは、該当の利用者にとっては不利益ではありますが、受忍すべき範囲であり、区分所有法第31条1項後段にいう”一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきに該当しないので、その承諾はいらないとしましたから、適切ではありません。

 

2  Bらが訴訟において駐車場使用料増額の効力を争っているような場合に、Cが、Bらの駐車場使用料の増額分の不払を理由に駐車場使用契約を解除し、Bらの駐車場の専用使用権を失わせることは、契約の解除を相当とするに足りる特段の事情がない限り、許されない。

○ 適切である。 訴訟が継続中である。
  設問は、選択肢1で引用しました、最高裁の判決:平成10年10月30日:シャルマンコーポ博多事件 で以下のように判決文があります。
 ”管理組合は、規約の設定、変更等又は規約の定めに基づく集会決議をもって使用料を増額することができ、これが専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものでない限り、専用使用権者は増額された使用料の支払義務を負うことになる。しかし、この「特別の影響」の有無、殊に、増額された使用料が社会通念上相当なものか否かは、裁判所の最終的な判断を待たなければ明らかにならない場合が少なくない。したがって、専用使用権者が訴訟において使用料増額の効力を争っているような場合には、裁判所の判断を待つことなく、専用使用権者が増額された使用料の支払に応じないことを理由に駐車場使用契約を解除し、その専用使用権を失わせることは、契約の解除を相当とするに足りる特段の事情がない限り、許されないものと解するのが相当である。” 
 よって、適切です。



3  AがBらにマンションの敷地の一部に設けられた駐車場の専用使用権を分譲する売買契約は、公序良俗に反するものであるから、無効である。

X 適切でない。 分譲契約は公序良俗に反しない。
  
私なら、このような購入者の無思慮に乗じて、暴利を得る分譲業者の行為は許さないのですが、今度は、最高裁の判決:平成10年10月22日: ミリオンコーポラス高峰館 で以下のような判決文があります。

 ”売買契約書、重要事項説明書、管理規約案の記載に照らすと、本件駐車場の専用使用権は、本件マンションの分譲に伴い、上告人(分譲会社)が特定の区分所有者に分譲したものであるところ、右専用使用権を取得した特定の区分所有者は右駐車場を専用使用し得ることを、右専用使用権を取得しなかった区分所有者は右専用使用を承認すべきことをそれぞれ認識し理解していたことが明らかであり、分譲業者である上告人が、購入者の無思慮に乗じて専用使用権分譲代金の名の下に暴利を得たなど、専用使用権の分譲契約が公序良俗に反すると認めるべき事情も存しない
 なお、本件のように、マンションの分譲に際し分譲業者が専用使用権を分譲して対価を取得する取引形態は、好ましいものとはいえないが、このことのゆえに右契約の私法上の効力を否定することはできない。”
 とあり、不本意ですが、判例によるなら、駐車場の専用使用権を分譲する売買契約は公序良俗に反するものと認められませんから、無効ではないため、選択肢3は適切ではありません。

 なお、公序良俗とは、民法第90条
 「(公序良俗)
 第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」です。



4  Aは、区分所有者全員の委任により、Bらに駐車場の専用使用権を分譲したものであるから、Cは、Aに対して、委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき、AがBらから受領した専用使用権の分譲代金の引渡しを請求することができる。

X 適切でない。 分譲会社の行為は委任には該当しない。
  分譲会社が勝手に受領した専用使用権の分譲代金を何とかして、管理組合のものにできないかと、管理組合から相談を受けた弁護士が苦労して「委任」を持ち出した事件です。 
 これには、最高裁の平成10年10月22日の ミリオンコーポラス高峰館事件 と、同平成10年10月30日判決の シャルム田町事件 が該当します。
 まず、ミリオンコーポラス高峰館事件の判決文は以下のようになっています。

 ”右売買契約書の記載によれば、分譲業者である上告人は、営利の目的に基づき、自己の利益のために専用使用権を分譲し、その対価を受領したものであって、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していたと解されるから、右対価は、売買契約書に基づく専用使用権分譲契約における合意の内容に従って上告人(分譲会社)に帰属するものというべきである。この点に関し、上告人が、区分所有者全員の委任に基づき、その受任者として専用使用権の分譲を行ったと解することは、右専用使用権分譲契約における当事者の意思に反するものであり、前記管理委託契約書の記載も右判断を左右しない。また、具体的な当事者の意思や契約書の文言に関係なく、およそマンションの分譲契約においては分譲業者が専用使用権の分譲を含めて包括的に管理組合ないし区分所有者全員の受任者的地位に立つと解することも、その根拠を欠くものといわなければならない。
  したがって、委任契約における受任者に対する委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき右対価の引渡しを求める被上告人の予備的請求(注:主位的な請求は不当利得返還請求権でした)は、理由がない。
 
 また、シャルム田町事件 では以下がその該当部分です。
 ”分譲業者である上告人A2興産は、営利の目的に基づき、自己の利益のために専用使用権を分譲し、その対価を受領したものであり、さらに、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していたと解されるから、右対価は、右分譲契約における合意の内容に従って同上告人に帰属するものというべきである。この点に関し、上告人A2興産が、区分所有者全員の委任に基づき、その受任者として専用使用権の分譲を行ったと解することは、右分譲契約における当事者の意思に反するものであるといわなければならない。また、ある者が自己のためにする意思の下にした行為が、他の者からの受任によってする行為と外形的に同一であったとしても、そのことだけで、関係者の具体的意思に反して、両者の間に委任契約が成立していたということはできないし、具体的な当事者の意思や契約書の文言に関係なく、およそマンションの分譲契約においては分譲業者が専用使用権の分譲を含めて包括的に管理組合ないし区分所有者全員の受任者的地位に立つと解することも、その根拠を欠くものである。したがって、委任契約における受任者に対する委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき右対価の引渡しを求める被上告人B2の予備的請求(注:主位的な請求は不当利得返還請求権)は、理由がない
 と判断して、「委任」関係を適用して専用使用権の分譲代金の引渡しを請求することはできないとしましたから、適切ではありません。


 なお、委任とは、民法第643条以下にあります。
 「(委任)
 第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」



答え:2  選択肢4の委任関係はわからなくても、多くの人が疑問を感じている、分譲会社によるマンション敷地内の駐車場の専用使用権の分譲が、一応、平成10年での法の解釈では、おかしいが仕方ないという認識であるという判決の概要を読んだ人は多いと思います。
 しかし、おかしいという認識を受け、区分所有法第30条3項
 「3  前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。 」の規定が新しく追加されています。

問7

〔問7〕 次の規約の定めのうち、区分所有法の規定によれば、規約としての効力が生じない定めの組合せはどれか。

ア 一つの専有部分が数人の共有に属するときは、各共有者は、その共有持分の割合に応じて議決権を行使することができる。

規約の効力は生じない。
 「問5」と同様に、規約で別段の定めができるか、どうかをきいています。
 区分所有法では、1つの専有部分が複数の人の共有関係にあるときは、協議をして、共有者から誰か一人を議決権行使者にして、他の共有者には議決権の行使を認めないことになっています。
それが、区分所有法第40条
 「(議決権行使者の指定)
 第四十条  専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。」です。
 第40条は、規約による別段の定めを許していませんから「一つの専有部分が数人の共有に属するときは、各共有者は、その共有持分の割合に応じて議決権を行使することができる」と規約で定めることはできませんから、規約の効力は生じません。





イ 規約及び集会の議事録は、管理者が指名した管理者以外の区分所有者に保管させることができる。

規約の効力は生じない。
  
まず規約の保管については、区分所有法第33条
 「(規約の保管及び閲覧)
 第三十三条  規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
  2  前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
  3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 」とあり、
 第33条1項により、管理者がいれば、@規約は、管理者が保管する。
  管理者がいないときは、A建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管する です。

  この規約の保管では、上記以外での保管は許していませんから、設問の「管理者が指名した管理者以外の区分所有者に保管させることができる」の規約の効力は生じません
 次に集会の議事録の保管ですが、これは、区分所有法第42条
 「(議事録)
 第四十二条  集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
  2  議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
  3  前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。
  4  第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。
  5  第三十三条の規定は、議事録について準用する。 」とあり、

  第42条5項により、議事録の保管にも規約の保管と同じ区分所有法第33条の規定が準用されていますから、集会議事録の保管でも設問の「管理者が指名した管理者以外の区分所有者に保管させることができる」の規約の効力は生じません。





ウ 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで、開くことができる。

規約の効力は生じる。
  設問は、区分所有法第36条
 「(招集手続の省略)
 第三十六条  集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。」とあり、
 区分所有法と同一の規定を規約にしただけですから、規約も有効です。



エ 集会の議長は、集会に出席した区分所有者のうちから管理者が指名した者がなる。

規約の効力は生じる。
 集会の議長については、区分所有法第41条
 「(議長)
 第四十一条  集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。 」とあり、
 規約での別段の定めを認めていますから、「集会の議長は、集会に出席した区分所有者のうちから管理者が指名した者がなる」の規約も有効です。



1  アとイ
2  イとウ
3  ウとエ
4  エとア


答え:1 規約の効力が生じないのは、ア と イ。   かなり易しい出題でした。

問8

〔問8〕 管理組合法人の理事及び監事に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1  理事が数人あるときに、管理組合法人を代表すべき理事の選任は、集会の決議によらなければならず、規約の定めにおいて理事の互選によるとすることはできない。

X 誤っている。 代表理事は、規約があれば、理事の互選にできる。
 管理組合法人の理事については、区分所有法第49条
 「(理事)
 第四十九条  管理組合法人には、理事を置かなければならない。
  2  理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
  3  理事は、管理組合法人を代表する。
  4  理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
  5  前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない
  6  理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
  7  理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
  8  第二十五条の規定(注:管理者は規約がないと集会の決議で選任、解任される)は、理事に準用する。 」とあります。

 第49条4項により、理事が数人あるときは、各自が管理組合法人を代表しますが、それでは面倒なので、同5項により、代表理事を規約によって理事の互選で定めることもできますから、設問は誤りです。



2  辞任により退任した理事は、新たに選任される理事が就任するまでの間、規約で定めた理事の員数が欠ける場合であっても、その職務を行う必要はない。

X 誤っている。 辞任しても、次の理事が就任するまで、その職務を行う。
  選択肢1で引用しました区分所有法第49条7項
 「7  理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。」とあり、
 辞任により退任した理事は、新たに選任される理事が就任するまでの間、規約で定めた理事の員数が欠ける場合であっても、その職務を行わなければなりませんから、誤りです。



3  管理組合法人においては、理事及び監事が置かれなければならず、また、両者を兼ねてはならない。

○ 正しい。
 まず、管理組合法人での理事は、選択肢1で引用しました区分所有法第49条1項
 「管理組合法人には、理事を置かなければならない。」とあり、理事は必須です。
 次に監事は、区分所有法第50条
 「(監事)
 第五十条  管理組合法人には、監事を置かなければならない
  2  監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない
  3  監事の職務は、次のとおりとする。
     一  管理組合法人の財産の状況を監査すること。
     二  理事の業務の執行の状況を監査すること。
     三  財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。
     四  前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。
  4  第二十五条(注:管理者は規約がないと集会の決議で選任、解任される)、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。 」とあり、
 第50条1項により、管理組合法人では監事も理事と同様に必須です。
 また、設問の「両者を兼ねてはならない」は、第50条2項に該当していますから、選択肢3は全体として、正しい。






4  管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、裁判所により選任される仮理事が管理組合法人を代表する。

X 誤っている。 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。
  管理組合法人と理事との利益が相反する事項があれば、区分所有法第51条
 「(監事の代表権)
 第五十一条  管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。」とあり、
 この場合には、監事が管理組合法人を代表し、裁判所により選任される仮理事が管理組合法人を代表しませんから誤りです。



答え:3  かなり易しい出題です。 こんな条文のままを出題されては、解説も力が入らない。

問9

〔問9〕 一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟〜C棟及び戸建て住宅があり、それらの団地建物所有者が土地及び附属施設たる建物である集会所を共有する場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとし、B棟の建替えは他に特別の影響を及ぼさないものとする。

1  A棟の建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したときは、A棟の集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

○ 正しい。
 設問のような形態であれば、戸建てを含んだ区分所有法での団地関係が成立します。それが区分所有法第65条です。
 「(団地建物所有者の団体)
 第六十五条  一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。 」

 区分所有法での団地となると、区分所有法第66条の規定により、1棟の規定の以下内容が準用されます。
 「(建物の区分所有に関する規定の準用)
 第六十六条  第七条、第八条、第十七条から第十九条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条、第二十九条、第三十条第一項及び第三項から第五項まで、第三十一条第一項並びに第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する。この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。)中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、第七条第一項中「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設」とあるのは「第六十五条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第十七条、第十八条第一項及び第四項並びに第十九条中「共用部分」とあり、第二十六条第一項中「共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設」とあり、並びに第二十九条第一項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第十七条第二項、第三十五条第二項及び第三項、第四十条並びに第四十四条第一項中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と、第二十九条第一項、第三十八条、第五十三条第一項及び第五十六条中「第十四条に定める」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)の持分の」と、第三十条第一項及び第四十六条第二項中「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第六十八条第一項各号に掲げる物」と、第三十条第三項中「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)」とあるのは「建物若しくは専有部分若しくは土地等(土地等に関する権利を含む。)又は第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地若しくは附属施設(これらに関する権利を含む。)若しくは同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第三十三条第三項、第三十五条第四項及び第四十四条第二項中「建物内」とあるのは「団地内」と、第三十五条第五項中「第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項」とあるのは「第六十九条第一項又は第七十条第一項」と、第四十六条第二項中「占有者」とあるのは「建物又は専有部分を占有する者で第六十五条に規定する団地建物所有者でないもの」と、第四十七条第一項中「第三条」とあるのは「第六十五条」と、第五十五条第一項第一号中「建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)」と、同項第二号中「建物に専有部分が」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。」

 こんな、準用と面倒な読み替えでの文章では暇な人と受験生しか読まない条文ですが、 設問の「A棟の建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したときは、A棟の集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる」の規定は、区分所有法第61条に該当します。
 「(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
 第六十一条  建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
  2  前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
  3  第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
  4  前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
  5  第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
  6  前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。
  7  第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  8  第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。
  9  買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
  10  第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。
  11  前項に規定する催告を受けた区分所有者は、前項の規定により定められた期間を経過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない。
  12  第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  13  第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。」です。

 第66条の団地の規定では、この「A棟の建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したとき」の第61条は、入っていないため、A棟の集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることはできますから、正しい。
 復旧(第61条)は、大規模・小規模滅失に関係なく、各棟で決める方がいい。棟を超えてまで介入する権利はないということです。



2  B棟の建替えについては、B棟の集会において建替え決議をし、A棟〜C棟及び戸建て住宅の団地建物所有者の団体の集会において議決権の3/4以上の多数による承認の決議を得て、建替えを行うことができる。

○ 正しい。
 選択肢1の復旧と異なり、建替えとなると団地としても関係する必要がありますから、これは、区分所有法第69条
 「(団地内の建物の建替え承認決議)
 第六十九条  一団地内にある数棟の建物(以下この条及び次条において「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(以下この条において「特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の第六十五条に規定する団地建物所有者(以下この条において単に「団地建物所有者」という。)の共有に属する場合においては、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める要件に該当する場合であつて当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者で構成される同条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において議決権の四分の三以上の多数による承認の決議(以下「建替え承認決議」という。)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができる。
     一  当該特定建物が専有部分のある建物である場合 その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること
     二  当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 その所有者の同意があること。
  2  前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。
  3  第一項各号に定める要件に該当する場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。ただし、同項第一号に規定する場合において、当該特定建物の区分所有者が団地内建物のうち当該特定建物以外の建物の敷地利用権に基づいて有する議決権の行使については、この限りでない。
  4  第一項の集会を招集するときは、第六十六条において準用する第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に、同条第五項に規定する議案の要領のほか、新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の当該団地内における位置を含む。)をも示して発しなければならない。ただし、この期間は、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約で伸長することができる。
  5  第一項の場合において、建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下この項において「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
     一  当該他の建物が専有部分のある建物である場合 第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者
     二  当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該他の建物の所有者
  6  第一項の場合において、当該特定建物が二以上あるときは、当該二以上の特定建物の団地建物所有者は、各特定建物の団地建物所有者の合意により、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付することができる。
  7  前項の場合において、当該特定建物が専有部分のある建物であるときは、当該特定建物の建替えを会議の目的とする第六十二条第一項の集会において、当該特定建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。この場合において、その決議があつたときは、当該特定建物の団地建物所有者(区分所有者に限る。)の前項に規定する合意があつたものとみなす。」とあります。

 そこで、B棟の建替えについては、第69条1項1号により、B棟の集会において建替え決議をし、1項で定めるように、A棟〜C棟及び戸建て住宅の団地建物所有者の団体の集会において議決権の3/4以上の多数による承認の決議を得て、建替えを行うことができますから、正しい。



3  C棟の区分所有者全員の共有に属し、その共用に供されるべきことが明らかなC棟のエレベーター(EV) は、一部共用部分である。

X 誤っている。 このようなエレベーターは、共用部分です。
 一部共用部分とは、区分所有法第3条
 「(区分所有者の団体)
 第三条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」とあります。
 第3条によりますと、 「一部共用部分」とは、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分ですから、設問のような、「区分所有者全員の共有に属し、その共用に供されるべきことが明らかなC棟のエレベーター(EV)」は、一部共用部分ではありませんから、誤りです。通常の、共用部分です。

 また、設問が分かり難いのですが、ここでは設問を、「C棟のエレベーターを(団地)の一部共用部分とする」と、団地の共用部分を定めた、区分所有法第67条3項
 「(団地共用部分)
 第六十七条  一団地内の附属施設たる建物(第一条に規定する建物の部分を含む。)は、前条において準用する第三十条第一項の規約により団地共用部分とすることができる。この場合においては、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
   2  一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、前項の規約を設定することができる。
   3  第十一条第一項本文及び第三項並びに第十三条から第十五条までの規定は、団地共用部分に準用する。この場合において、第十一条第一項本文中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、第十四条第一項及び第十五条中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と読み替えるものとする。」とあり、
 第67条3項で引用されています、「第11条1項」は、
 「(共用部分の共有関係)
 第十一条  共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する
   2  前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
   3  民法第百七十七条 の規定は、共用部分には適用しない。」とあり、
 第11条1項の本文だけが準用されていて、但し書きの「 ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する」と「一部共用部分」は団地では認めていませんから、この点においても、誤りです。(2014年 2月18日:追記)



4  A棟〜C棟、戸建て住宅及び集会所の全部を分譲前に所有する者は、公正証書により、集会所を団地共用部分とする規約を設定することができる。

○ 正しい。
 団地の共用部分は、区分所有法第67条2項
 「(団地共用部分)
 第六十七条  一団地内の附属施設たる建物(第一条に規定する建物の部分を含む。)は、前条において準用する第三十条第一項の規約により団地共用部分とすることができる。この場合においては、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
  2  一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、前項の規約を設定することができる。
  3  第十一条第一項本文及び第三項並びに第十三条から第十五条までの規定は、団地共用部分に準用する。この場合において、第十一条第一項本文中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、第十四条第一項及び第十五条中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と読み替えるものとする。 」とあり、
 集会所は、第67条1項により、団地共用部分とすることができます。
 また、同2項により、A棟〜C棟、戸建て住宅及び集会所の全部を分譲前に所有する者は、公正証書により、集会所を団地共用部分とする規約を設定することができますから、正しい。


答え:3  この出題もただ条文のままとは、解説も速い。 
     でも、私の解説で引用しています条文が長いと読み飛ばす人が多いのは残念です。出題は、過去問題から出るのではなく、条文からでます。
     必ず条文に戻って、出題されている条文だけでなく前後の規定も記憶してください。

問10

〔問10〕 甲マンションの管理組合は、自ら居住しない組合員(この問いにおいて「不在組合員」という。)に対して、組合費のほかに住民活動協力金を負担させる旨の規約の変更を行った。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものは次のうちどれか。

1  規約の変更の効力は、規約の変更の必要性及び合理性とこれによって不在組合員が受ける不利益とを比較衡量し、実態に照らし、その不利益が不在組合員の受忍すべき限度を超えると認められるかどうかによって判断すべきである。

○ 正しい。 平成24年 マンション管理士試験 「問4」 選択肢4 。
  規約の変更となると、基本となるのは、区分所有法第31条の規定です。
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
  2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。」

 設問の事件は、古い団地で、不在組合員が多くなり、マンションの管理組合である上告人が、その組合員である亡A(原審口頭弁論終結後に死亡)の相続人である被上告人らに対し、集会決議により変更された規約に基づき、同規約上、自らその専有部分に居住しない組合員が負担すべきものとされた月額2500円の「住民活動協力金」及び遅延損害金の支払を求めたものです。
 これに対して、被上告人らは、上記の規約の変更は、区分所有法第31条1項後段にいう「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」に該当し、亡Aの承諾がないから無効であるなどと主張して、上告人の請求を争ったものです。

 この判例は、平成22年1月26日の最高裁です。:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100126141312.pdf
 判決文では、”区分所有法法第66条(注:団地関係)が準用する区分所有法第31条1項後段の「規約の設定,変更又は廃止が一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」とは,規約の設定,変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の団地建物所有者が受ける不利益とを比較衡量し,当該団地建物所有関係の実態に照らして,その不利益が一部の団地建物所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいう(最高裁:平成10年10月30日)”とあり、ここでの「一部の団地建物所有者」とは不在組合員を指していますから、正しい。



2  規約の変更によって不在組合員が受ける不利益についての判断に当たっては、組合費と住民活動協力金とを合計した不在組合員の金銭的負担と居住組合員が負担する組合費とを比較衡量する必要はない。

X 誤っている。 比較は必要。
 選択肢1で引用しました、平成22年1月26日の最高裁の判決では、
 ”そして,本件規約変更により不在組合員が受ける不利益は,月額2500円の住民活動協力金の支払義務の負担であるところ,住民活動協力金は,全組合員から一律に徴収されている組合費と共に上告人の一般会計に組み入れられており,組合費と住民活動協力金とを合計した不在組合員の金銭的負担は,居住組合員が負担する組合費が月額1万7500円であるのに対し,その約15%増しの月額2万円にすぎない”と「不在組合員の金銭的負担と居住組合員が.負担する組合費」も比較して判断の1つとしていますから、誤りです。


3  管理組合の運営業務及びその費用は、本来、組合員が平等に負担すべきであり、不在組合員が占める割合が大きく、それらが管理組合活動等に参加することが期待し得ない場合は、規約を変更し、不在組合員のみを対象として金銭的負担を求めることは合理性を欠くものと見ることはできない。

○ 正しい。
 選択肢1で引用しました、平成22年1月26日の最高裁の判決では、”いわゆるマンションの管理組合を運営するに当たって必要となる業務及びその費用は,本来,その構成員である組合員全員が平等にこれを負担すべきものであって,上記のような状況の下(注:不在組合員が多くて,不在組合員は利益だけを享受していること)上告人(注:管理組合)が,その業務を分担することが一般的に困難な不在組合員に対し,本件規約変更により一定の金銭的負担を求め,本件マンションにおいて生じている不在組合員と居住組合員との間の上記の不公平を是正しようとしたことには,その必要性と合理性が認められないものではないというべきである。”と二重否定で述べていますから、正しい。


4  規約の変更の効力を判断するに当たっては、不在組合員のうち住民活動協力金の支払を拒否する者の数及び不在組合員全体に対するその割合を考慮する必要がある。

○ 正しい。
 選択肢1で引用しました、平成22年1月26日の最高裁の判決では、”本件規約変更の必要性及び合理性と不在組合員が受ける不利益の程度を比較衡量し,加えて,上記不利益を受ける多数の不在組合員のうち,現在,住民活動協力金の趣旨に反対してその支払を拒んでいるのは,不在組合員が所有する専有部分約180戸のうち12戸を所有する5名の不在組合員にすぎないことも考慮すれば,本件規約変更は,住民活動協力金の額も含め,不在組合員において受忍すべき限度を超えるとまではいうことができず,本件規約変更は,法66条,31条1項後段にいう「一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」に該当しないというべきである”と述べており、「支払を拒否する者の数及び不在組合員全体に対するその割合を考慮」していますから、正しい。


答え:2  これも、「問6」と同様に、有名な判例。 しかし、昨年も出た判例がまた出題されるとは、出題のネタがないのか。私の「超解説 区分所有法」第31条を読んでた人には、簡単な問題だった?

問11

〔問11〕 管理者の行為が、区分所有法第71条の規定により20万円以下の過料に処せられることのないものは、次のうちどれか。

1  区分所有者の会計帳簿の閲覧請求に対して、正当な理由がないのに、それを拒んだとき。

過料に処せられない。 会計帳簿は入っていない。
 区分所有法第71条の規定とは以下の内容です。
 「第七十一条  次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
     一  第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される第三十三条第一項本文の規定に違反して、規約、議事録又は第四十五条第四項(第六十六条において準用する場合を含む。)の書面若しくは電磁的記録の保管をしなかつたとき。
     二  第三十三条第二項(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がないのに、前号に規定する書類又は電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧を拒んだとき
     三  第四十二条第一項から第四項まで(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、又は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
     四  第四十三条(第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される場合及び第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
     五  第四十七条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき。
     六  第四十八条の二第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載若しくは記録をしたとき。
     七  理事若しくは監事が欠けた場合又は規約で定めたその員数が欠けた場合において、その選任手続を怠つたとき。
     八  第五十五条の七第一項又は第五十五条の九第一項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
     九  第五十五条の九第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
     十  第五十六条の二第二項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による検査を妨げたとき。」

 設問の閲覧拒否は、2号ですが、
  第33条1項は、「規約」、 第42条5項は「集会の議事録」 、第45条4項は「書面または電磁的方法に係わる書面」、第47条12項は、管理組合法人での「読み替え」で、この中には、「会計帳簿の閲覧請求」は入っていませんから、管理者は区分所有者の会計帳簿の閲覧請求に対して、正当な理由がないのに、それを拒んでも過料には処せられません。


 参考:区分所有法第33条2項
 「(規約の保管及び閲覧)
 第三十三条  規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
  2  前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
  3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」
 法務省令は、
 「建物の区分所有等に関する法律施行規則
 (電磁的記録)
 第一条  建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「法」という。)第三十条第五項 に規定する法務省令で定める電磁的記録は、磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。
 「(電磁的記録に記録された情報の内容を表示する方法)
 第二条  法第三十三条第二項 に規定する法務省令で定める方法は、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法とする。 」です。

  なお、標準管理規約63条では、
 「第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」となっています。


◎まとめ

◎ 過 料 内 容 と 罰 対 象 者
番号 条文(71条) 内容 罰 対象者 過料金額
1号 規約、議事録の保管義務違反 管理組合の管理者または管理組合法人の理事 ¥200,000以下
2号 規約、議事録の閲覧義務違反 管理組合の管理者、管理者が居ないときの保管者と定められた者、または管理組合法人の理事
3号 議事録不作成、不記載、虚偽の記載 集会の議長
4号 事務不報告、虚偽報告 管理組合の管理者および管理組合法人の理事
5号 管理組合法人の不登記 管理組合法人の理事・解散は清算人
6号 財産目録不作成、不正記載 管理組合法人の理事
7号 管理組合法人の理事・監事の定数を欠いた場合の不選任 管理組合法人の理事
8号 清算時において債権申し出の公告または破産申立ての公告を怠ったとき 管理組合法人の清算人
9号 清算時に債務超過が判明した場合の破産の申立てを怠ったとき 管理組合法人の清算人
10 10号 清算時の裁判所の検査を妨げたとき 検査を妨害した清算人だけ?
11 72条 管理組合法人でない組合が「管理組合法人」の名称を用いたとき 使用した者 ¥100,000以下


2  議長が作成した集会の議事録を保管しなかったとき。

過料に処せられる。
  議長が、作成した集会の議事録を保管しなかったときは、選択肢1で引用しました第71条1号
 「一  第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される第三十三条第一項本文の規定に違反して、規約、議事録又は第四十五条第四項(第六十六条において準用する場合を含む。)の書面若しくは電磁的記録の保管をしなかつたとき。」とありますから、過料に処せられます。(2014年 1月17日:引用条文変更した。)

 参考:区分所有法第42条、
 「(議事録)
 第四十二条  集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
  2  議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
  3  前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。
  4  第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。
  5  第三十三条の規定は、議事録について準用する。」
 区分所有法第33条
 「(規約の保管及び閲覧)
 第三十三条  規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
   2  前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
   3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」 





3  集会において、毎年1回一定の時期に、事務に関する報告をしなかったとき。

過料に処せられる。
 管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、事務に関する報告をしなければなりません。それをしないと、選択肢1で引用しました、区分所有法第71条4号
 「四  第四十三条(第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される場合及び第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。」に該当して、過料に処せられます。

 参考:区分所有法第43条
 「(事務の報告)
 第四十三条  管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。」





4  利害関係人の集会の議事録の閲覧請求に対して、正当な理由がないのに、それを拒んだとき。

過料に処せられる
  管理人が、利害関係人の集会の議事録の閲覧請求に対して、正当な理由がないのに、それを拒むと、選択肢1で引用しました、区分所有法第71条2号、及び1号
 「一  第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は第四十七条第十二項(第六十六条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される第三十三条第一項本文の規定に違反して、規約、議事録又は第四十五条第四項(第六十六条において準用する場合を含む。)の書面若しくは電磁的記録の保管をしなかつたとき。
     二  第三十三条第二項(第四十二条第五項及び第四十五条第四項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)並びに第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がないのに、前号に規定する書類又は電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧を拒んだとき。」に該当し、過料に処せられます。

 参考:区分所有法第42条
 (議事録)
 第四十二条  集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
  2  議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
  3  前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。
  4  第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。
  5  第三十三条の規定は、議事録について準用する。



答え:1  特にコメントはありません。 区分所有法での罰則は、この「問11」 で出題されましたが、マンション管理適正化法での罰則は、「問48」 と 「問49」 にもあります。
 平成25年の出題者は、罰則が好きなようです。

問12

〔問12〕 Aは、Bとの間で、Aの所有する甲マンションの301号室の売買契約を締結した。Aは、その後、301号室について、Cとの聞でも売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1  AC間の売買契約は無効であり、Cが301号室の所有権を取得することはない。

X 誤っている。 先に登記をすれば、室の所有権を取得する。 平成25年 管理業務主任者試験 「問4」 にも似たような出題がある。

 古くから「二重譲渡」と呼ばれている民法でもよく問題とされる箇所です。
 マンション管理士や管理業務主任者を目指している善良な人にとって、1つの物を二重に売るなんてことは考えられないことですが、昔から悪い奴は存在しています。悪い奴を罰するのは刑法に任せて、民法では、1つの物を買ってしまった後の人たちの権利をどう処理するのかに苦労してきています。
 まず、売買契約は、契約した時に成立し、事実上の支配がなくてもその所有権(物権の1つです)は移転していると民法第176条は規定しています。
 「(物権の設定及び移転)
 第百七十六条  物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。 」
 しかし、この規定によりますと、設問のように1つの不動産が二重に売買されると、1つの物にも係わらず同じ権利を持つ者が2人もいるという事態になり、民法が原則としています、1つの物には、同じ内容の権利は1つしか成立しないという一物一権主義に反しておかしな状況となります。

 それでは2つある権利をどちらか1つだけを有効にするには何らかの形で優先順位を付けたらどうかという発想から、「先に登記をした方に権利を認めよう」としたのが、民法第177条です。
 「(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」
 この民法第177条の規定により、二重譲渡は有効ですが、その権利を第三者に対して主張する(対抗するです)なら、登記がないとだめですよとしました。
 そこで、設問の検討ですが、AC間の売買契約は有効で、Bより後から買ったCであっても、室の登記をBより先にすれば、室の所有権を取得することも可能ですから、誤りです。



2  Cが、Aとの売買契約締結時に、301号室を既にBがAから買い受けていることを知り得た場合には、Cが301号室の所有権を取得することはない。

X 誤っている。 知っていても(悪意でも)いい。
 選択肢1でも述べましたように、Bより後から該当の室を二重に買受けたCであっても、Bより先に登記をすれば、その室の所有権を取得します。この場合、Cは既にBがAから買ったことを知っていても(悪意といいます)、かまわないと解されていますから、誤りです。


3  Bが先に301号室の引渡しを受けていても、CがBより先に売買代金全額をAに支払ったときには、Cは、Bに対して自分が301号室の所有権者であることを主張することができる。

X 誤っている。 登記を先にした方が主張できる。
  選択肢1でも説明しましたように、民法第177条では、
 「 (不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」です。
 CがBに対して室の所有権者であることを主張するには、登記をしないとできませんから、誤りです。引渡しや、売買代金の前後は関係がありません。



4  Cが先に301号室の引渡しを受けていても、Bが所有権者として登記されたときには、Bは、Cに対して自分が301号室の所有権者であることを主張することができる。

○ 正しい。 登記を先にすれば、主張(対抗)できる。
 選択肢1でも述べましたように、民法第177条では、二重譲渡だけでなくトラブルの解決策をとにかく「登記」をした人を優先して扱っていますから、登記をしたBは、室の所有者であることをCに対して主張できますから、正しい。引渡しや、売買代金の前後は関係がありません。


答え:4  二重譲渡からの出題とは、新しい。宅地建物取扱主任者の試験かと思った。

問13

〔問13〕 Aが、平成24年4月に、甲マンションの301号室の購入に際してB銀行から融資を受け、同室にBの抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bの抵当権設定後にAから301号室を賃借した者は、その賃貸借契約が3年を超えないときに限り、賃借権をBに対抗することができる。

X 誤っている。 対抗することはできない。 このような規定はなくなった。
 

 2003年に民法が改正される前には、設問のような条文が民法第395条に抵当権が設定された後の短期賃貸借の保護としてありましたが、悪用されたため改正されてなくなりましたから、誤りです。
 参考:現在の民法第395条
 「(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
 第三百九十五条  抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
     一  競売手続の開始前から使用又は収益をする者
     二  強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
  2  前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。」



2  301号室の一部が火災により損傷し、Aが火災保険金を受け取ることができる場合、Bは、当該火災保険金請求権を差し押さえてこれを行使することができる。

○ 正しい。 物上代位の制度がある。 平成19年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問4」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問13」 。
 抵当権の効力として民法第372条があります。
 「(留置権等の規定の準用)
 第三百七十二条  第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。」
 ここで準用されています民法第304条
 「(物上代位
 第三百四条  先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
  2  債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。 」
 により、抵当権の目的物となっている室の一部が損傷すれば、目的物の所有者が受け取るべき金銭やその他のものについて、抵当権者として代位できますから、室の一部が火災により損傷し、Aが火災保険金を受け取ることができる場合、Bは、当該火災保険金請求権を差し押さえてこれを行使することができ、正しい。



3  AのBに対する債務について、Cが連帯保証人になっている場合、CはBからの請求に対して、抵当権の実行を先に行うべきことを抗弁することができる。

X 誤っている。 連帯保証人には、催告の抗弁は(また検索の抗弁も)ない。 平成24年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問6」 。
  債務を連帯保証すると、民法第454条
 「(連帯保証の場合の特則)
 第四百五十四条  保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。 」とあり、
 引用されています、前二条は、民法第452条と第453条です。
 「(催告の抗弁)
 第四百五十二条  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。」
 「(検索の抗弁)
 第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。 」
 設問の、「CはBからの請求に対して、抵当権の実行を先に行うべきことを抗弁すること」は第452条の催告の抗弁に該当し、通常の保証人ならできますが、連帯保証人には認められていませんから、誤りです。



4  Bが抵当権の被担保債権をD社に譲渡しようとするときは、Aの承諾が必要であり、Aが承諾しないときは、被担保債権及び抵当権はD社に移転するが、そのことをAに対抗することができない。

X 誤っている。 通知すれば、承諾は不要。 平成19年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成14年 管理業務主任者試験 「問5」 。
 抵当権は、譲渡できます。
 それは、民法第376条、
 「(抵当権の処分)
 第三百七十六条  抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる
  2  前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。 」です。

 この抵当権処分にあたっては、第377条があります。
 「(抵当権の処分の対抗要件)
 第三百七十七条  前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない
  2  主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。 」です。

 この規定で引用されています、第467条は、
 「(指名債権の譲渡の対抗要件)
 第四百六十七条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
  2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」です。
 これらによりますと、抵当権の被担保債権の譲渡にあたっては、主たる債務者に通知すればよく、債務者の承諾までは必要とされていませんので、債務者Aに対しても対抗できますから、誤りです。(”又は”に注意)



答え:2  これも、以前に宅地建物取引主任者試験を受験した時を思い出させる出題です。


*2013年 12月 5日:平成25年のマンション管理士試験では、資格校の解答速報で判断が分かれている問題はないのですが、管理業務主任者試験では、「問30」 と 「問35」 で判断が分かれていますので、とりあえず、マンション管理士試験の解説はおいといて、管理業務主任者試験の方を先に解説します。


*2013年 12月 6日:管理業務主任者試験の解説から、戻ってきました。そこで、気分から、設備関係の解説を先にやります。
 「問36」、「問40」〜「問45」 です。

問14

〔問14〕 Aが所有し、居住する甲マンションの501号室を1,000万円で売り渡す旨の契約をBとの間で締結し、手付金として100万円をBより受領した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、AB聞の売買契約には、手付に関する特約はないものとする。

1  Aは、Bが売買代金の融資申込みをした場合には、Bに対して200万円を現実に提供しても、売買契約を解除することはできない。

X 誤っている。 融資申込みでは、まだ「履行の着手」とはならないため、倍返しで、契約は解除できる。
 
 手付けの倍返しとなると、民法第557条
 「(手付)
 第五百五十七条  買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる
   2  第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。 」とあり、
 第557条2項で引用しています民法第545条3項は、
 「(解除の効果)
 第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
   2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
   3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」です。

 基本的には、手付け金をもらっていても、手付けを払った買主ならばその手付けを放棄し、受け取った売主ではその手付金の倍額を払えば、契約の解除ができ、その場合には、債務不履行としての損害賠償ができないということです。
 そこで、問題になるのが、民法第557条の規定 「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」の解釈で、一体どのような状態をいうのかということは、判例になります。

  最高裁、平成 5年 3月16日 の判決文 では、「解約手付が交付された場合において、債務者が履行期前に債務の履行のためにした行為が、民法五五七条一項にいう「履行ノ著手」に当たるか否かについては、”当該行為の態様、債務の内容、履行期が定められた趣旨・目的等諸般の事情を総合勘案して決すべきである。(中略)履行の着手の有無を判定する際には、履行期が定められた趣旨・目的及びこれとの関連で債務者が履行期前に行った行為の時期等もまた、右事情の重要な要素として考慮されるべきである”。」と例示しています。
 そこで、設問の「売買代金の融資申込みをした場合」が「履行の着手」に該当するかどうかどうかですが、一般には、「売買代金の融資申込みをした場合」は、まだ履行の準備にすぎず、「履行の着手」には至っていないと解され、A(売主)は規定の手付金 100万円の倍の 200万円をB(買主)に、口頭の提供でなく、現実に提供すれば、売買契約を解除できますから、誤りです。



2  Aは、Bが代金支払期日に代金を支払わないため売買契約を解除した場合には、Bに対して100万円の手付の返還義務が生じるとともにBの債務不履行により発生した損害全額の賠償を請求することができる。

○ 正しい。 平成20年 管理業務主任者試験 「問3」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問2」 。
 「代金支払期日に代金を支払わない」となると、これは債務不履行となり、Aは契約を解除できます。すると、民法第543条
 「(履行不能による解除権)
 第五百四十三条  履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」
 そして、解除した効果として、民法第545条があります、
 「(解除の効果)
 第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
   2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
   3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 」
 第545条1項の「各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う」とは、その契約がなかったと仮定した状態に戻すことですから、A(売主)は、受け取った手付けの100万円をB(買主)に返さなければなりません。しかし、Aは第545条3項により、損害賠償の請求ができますから、選択肢2は、正しいとなります。



3  Aは、Bが100万円の手付を放棄して契約の解除をしても、Bの解除により100万円を超える損害がAに発生しているときには、Bに対して100万円を超える損害について賠償を請求することができる。

X 誤っている。 損害について賠償を請求することはできない。
 買主Bは、選択肢1でも引用しました、民法第557条
 「(手付)
 第五百五十七条  買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
   2  第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。」の
 第557条1項により、 その手付である100万円を放棄して、契約の解除ができます。
 しかし、第557条2項で引用されています、適用されないとされる民法第545条3項の規定です。
 「(解除の効果)
 第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
   2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
   3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」とあり、
 債務不履行が理由であれば、損害賠償請求もできますが、手付けによる解除では損害賠償の請求は適用がなく、できませんから、誤りです。



4  Aは、Bに501号室を引き渡すために同室から退去した場合には、Bに対して200万円を現実に提供しても、売買契約を解除することはできない。

X 誤っている。 自らが履行に着手していても、相手が履行の着手前なら、解除できる。
 A(売主)がB(買主)に室を引き渡すために同室から退去した場合は、確かに「履行の着手」に該当しますが、ここで、最高裁の昭和40年11月24日 の判例があります。
 趣旨としては「解約手附の授受された売買契約において、当事者の一方は、自ら履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、民法第五五七条第一項に定める解除権を行使することができるものと解するのを相当とする。」とあり、買主のBがまだ履行に着手していないため、選択肢1でも引用しました、民法第557条
 「(手付)
 第五百五十七条  買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
   2  第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。」
 の1項により、売主Aは、買主Bから受け取った手付けの 100万円 の倍額である 200万円を、口頭でなく、現実に提供すれば、売買契約を解除することはできますから、誤りです。



答え:2  ”倍返しだ”とは、過去の出題から離れた、今年(平成25年)のTBSテレビの番組「半沢直樹」をかなり意識した出題? でも、この出題も、なんとなく、宅地建物取引主任者試験的な出題だ。

問15

〔問15〕 Aが所有する甲マンションの301号室をBが賃借し、B及びCの2人で居住していたところ、Bが死亡した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1  CがBの妻であるときは、Aの承諾がなくても、Cは、Aに対し301号室に居住することを主張することができる。

○ 正しい。

 このような基本的な出題となると、どこから解説していいのか、かえって面倒ですが、
まず、Bが死亡すると妻Cは配偶者として、民法第890条
 「(配偶者の相続権)
 第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。 」とあり、相続人となります。
 相続人となると、相続の効力は、民法第896条
 「(相続の一般的効力)
 第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。 」により
 相続財産として、B名義の賃貸借契約を承継しますから、妻Cは、賃貸人Aに対して、Aの承諾がなくても、居住を主張できますから、正しい。

 なお、内縁であっても、借地借家法第36条
 「(居住用建物の賃貸借の承継)
 第三十六条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
   2  前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。」とあります。



2  CがBの妻であり、Bに子がなく母Dがいるときは、CとDとの遺産分割協議が成立するまでの間、Dの承諾がなくても、Cは、Dに対し301号室に居住することを主張することができる。

○ 正しい。
  
 Bが死亡しますと、子は民法第887条
 「(子及びその代襲者等の相続権)
 第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
   2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
   3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。」 とあり、
 1項によって、被相続人の子は、相続人となるのですが、設問では、子がいないとなっています。
 すると、民法第889条
 「(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
 第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
     一  被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
     二  被相続人の兄弟姉妹
   2  第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。 」とあり、
 第889条1項1号により、被相続人の直系尊属が相続人となり、設問では、母親が該当します。

 妻Cは、配偶者として選択肢1で述べましたように民法第890条
 「(配偶者の相続権)
 第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。 」により、
 常に相続人で、子がいないと、その順位は、Bの母親と同順位になりますから、死亡したBの財産を遺産分割協議が成立するまでは、民法第898条
 「(共同相続の効力)
 第八百九十八条  相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。 」により、
 Bの賃借権は、妻Cと母Dの共有となりますから、民法第249条
 「(共有物の使用)
 第二百四十九条  各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」により、
 母Dの承諾がなくても、妻Cは、母Dに対して、室に居住することを主張できますから、正しい。



3  CがBの内縁の妻であり、Bに前妻との子Eがいるときは、EがBの賃借入の地位を相続するので、Cは、Aに対し301号室に居住することを主張することができない。

X 誤っている。 相続はできないが、大家に対しては主張できる。

 まったく、面倒な出題です。
 民法は正式な婚姻届を出していない内縁関係に対しては、大変に冷たく、選択肢2でも述べましたように、Bが死亡したら、この場合には、前妻の子EがBの財産権を相続します。内縁の妻Cは賃借権を相続できません。
 しかし、それでは、内縁の妻は追い出しをうける?
 そこで、最高裁 昭和42年 2月21日 の判例があります。
 その趣旨は、「家屋賃借人の内縁の妻は、賃借人が死亡した場合には、相続人の賃借権を”援用”して賃貸人に対し当該家屋に居住する権利を主張することができるが、相続人とともに共同賃借人となるものではない。」です。
 これによれば、内縁の妻Cは、相続人ではありませんが、賃貸人Aに対して、居住することを主張できますから、誤っています。援用とは、最高裁も、また洒落た解釈をしたものです。



4  CがBの内縁の妻であり、Bに相続人がいないときは、Cは、Bの賃借入の地位を承継することができるので、Aに対し301号室に居住することを主張することができる。

○ 正しい。
 おっと、先走って、選択肢1で引用してしまいましたが、内縁関係で、なお相続人がいないとなると、借地借家法第36条
 「(居住用建物の賃貸借の承継)
 第三十六条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
   2  前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。」とあり、
 内縁関係で同居していれば、Cは死亡した借主Bに相続人もいないので、建物の賃借人の権利義務を承継しますから、正しい。



答え:3  ここも、過去問題にはない、新しい出題です。相続の基本から説明とは、面倒でした。

問16

〔問16〕 Aは、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)について、借地借家法が定める定期建物賃貸借の契約をすることとし、平成15年4月1日、Bに対して、期間を10年とし、契約の更新がないこととする旨を定めて賃貸し、引き渡した。この場合における次の記述のうち、借地借家法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1  Aが、Bとの建物賃貸借契約を公正証書以外の書面によって締結した場合、Aは、期間満了の際、借地借家法の定める正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸借契約の更新を拒絶することができない。

X 誤っている。 公正証書以外の書面でも可能。 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 。
 借地借家法が定める定期建物賃貸借の契約となると、借地借家法第38条
 「(定期建物賃貸借)
 第三十八条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
   2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
   3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
   4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
   5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
   6  前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
   7  第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。」です。

  借地借家法は、以前は契約自由の原則により大家に有利な契約が横行していたため、平成4年に新しく施行され、借主の保護として「正当な事由」がなければ追い出されないなどの規定もあります。
 しかし、それではあまりも借主の権利が保護されているという批判もあり、設問の「定期建物賃貸借契約」では、公正証書等の書面で存続期間を1年でも20年でも定め、その契約にあたって、賃貸人(大家)が、契約の期間が満了すれば、もうこの契約の更新はないですよと書面を渡して説明をすれば、「正当な事由」の有無とは関係なく、契約期間が満了すれば、その賃貸借契約は終わるという契約方法です。
 そこで、1項の「公正証書による”等書面によって”契約をするときに限り」の解釈ですが、ここでの「公正証書」は例示であり、特に公正証書でなくても、なんらかの書面であればいいと解釈されていますので、この「定期建物賃貸借契約」は有効となり、借地借家法の定める正当の事由がなくても、契約の期間が満了すれば、定期建物賃貸借契約も終わり、賃貸人Aは更新を拒絶することができますから、誤りです。



2  Aが、Bとの建物賃貸借契約に先立ち、Bに対し、当該建物賃貸借は更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明をしなかった場合、Aは、期間満了の際、借地借家法の定める正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸借契約の更新を拒絶することができない。

○ 正しい。
 選択肢1で引用しました、借地借家法第38条2項
 「2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない」とあり、
 設問の、「A(賃貸人)が、B(賃借人)との建物賃貸借契約に先立ち、Bに対し、当該建物賃貸借は更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明をしなかった場合」には、定期建物賃貸借契約が有効に成立していませんから、契約の更新がないという定めは次の同条3項により、無効となります。
 「3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
 すると、賃貸人Aからの賃貸借契約の更新は、通常の借地借家法第28条
 「(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
 第二十八条  建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。 」により、
 「正当な事由」がないと、更新の拒絶はできませんから、正しい。



3  Aが、Bに対し、平成24年12月1日に期間満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、平成25年5月31日を経過するまでAは契約の終了をBに主張することができない。

○ 正しい。
 定期建物賃貸借契約であっても、期間が満了すると契約が終わりますという通知を賃借人に対してしなさいという規定が選択肢1で引用しました借地借家法第38条4項
 「4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。」です。
 設問では、平成15年4月1日から契約期間が10年の定期建物賃貸借契約ですから、契約の満了時は、平成25年3月31日となります。
 そこで、平成24年12月1日に該当の通知を出すということは、もう規定の「期間の満了の一年前から六月前までの間」に出すという最低の6ヶ月前を過ぎた行為です。すると、4項の「ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない」に該当して、
平成24年12月1日から6ヵ月後の平成25年5月31日が過ぎるなら、賃貸人Aは賃借人Bに対して、契約の終了を主張できます(対抗できます)から、正しい。



4  Bは、建物賃貸借契約において、期間中の解約ができるという特約をしないかぎり、解約の申入れをすることはできない。

○ 正しい。 定期建物賃貸借契約でも賃借人Bに有利であれば、特約もできます。
 それが、選択肢1で引用しました借地借家法第38条6項
 「6  前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。」です。
 前の二項とは、選択肢1で引用しています借地借家法第38条4項と5項です。
 「4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
  5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。」
 定期建物賃貸借契約においては、通常、期間中の解約は、賃貸人も賃借人もできませんが、賃借人であるBから、期間中の解約ができるという特約は、賃借人にとって不利ではありませんから有効で、その特約があれば、賃借人であるBは解約の申入れをできますから、正しい。



答え:1  かなり易しい。 定期建物賃貸借契約の基本。 よくある”など”の解釈でした。

問17

〔問17〕 新築の住宅店舗複合用途型マンションの売買契約における売主の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1  マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から5年と定め、引渡しを受けた4年6月後に、当該マンションの店舗部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、引渡しを受けた時から5年以内に損害賠償を請求しなければ、売主は、その責任を負わない。

X 誤っている。 住宅の構造耐力上主要な部分”等”の瑕疵担保責任は、引渡しから、10年間は、請求できる。 平成23年 マンション管理士試験 「問18」
 新築の住宅での売主の瑕疵担保責任に関する規定は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」といいます)第95条
 「(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
 第九十五条  新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等(注:雨水の侵入を防止する部分も入る。参照第94条)の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第一項 並びに同法第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項 及び第二項 前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項 中「請負人」とあるのは「売主」とする。
   2  前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
   3  第一項の場合における民法第五百六十六条第三項 の規定の適用については、同項 中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。 」とあり、

 引用されています、民法第570条及び第566条、第634条1項及び2項は、読み替えを入れると、
 「(売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」
 (地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 「第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
   2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
   3  前二項(注:住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項)の場合において、契約の解除又は(注:瑕疵修補又は)損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。 」
 「(請負人の担保責任)
 第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者(注:買主)は、請負人(注:売主)に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
   2  注文者(注:買主)は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。〔この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。]」です。

 この規定は、新築マンションの売買でも適用されますから、売主は、買主に引渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から10年間は、住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱など)や雨水の侵入を防止する部分に通常の注意を払っても発見できない、「隠れたる瑕疵」がある場合には、売主に故意や過失がなくても責任をとらせるものです(無過失責任)。通常、売主の瑕疵担保責任と呼ばれます。
 まず法律の関係として、品確法は民法の特別法として、同じような規定があれば、品確法の方が優先する関係にあります。
 設問の、「建物の”すべての部分”につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から5年と定め」となると、品確法で定める、売主の10年間の担保責任を定めた「住宅の構造耐力上主要な部分等」も含まれるため、これは、品確法第95条2項の
 「2  前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。」に該当し無効となります。
 そこで、「当該マンションの店舗部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合」は、「住宅の構造耐力上主要な部分等」での瑕疵ですから、売主には引渡しから10年間は、無過失の責任がありますから、設問は、誤りです。



2  マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から5年と定め、引渡しを受けた8年後に、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、売主に損害賠償の請求をすることができない。

X 誤っている。 住宅の構造耐力上主要な部分”等”の瑕疵担保は、引渡しから、10年間は、請求できる。 
 選択肢1でも述べましたように、品確法第95条により、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱など)に該当しますから、売主は引渡しから10年間は、瑕疵担保責任を負います。
 そして、その瑕疵担保責任の内容としては、品確法第95条で準用されています、民法第570条(→民法第566条)では、@契約の解除と A損害賠償 ですが、さらに読み換えによって、民法では規定のない B瑕疵の修補 もできると定めました。
 これにより、建物の”すべての部分”につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から5年と定めても、引渡しを受けた8年後に、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、10年間は、売主に損害賠償の請求をすることができますから、誤りです。



3  マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から10年と定め、引渡しを受けた8年後に、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、売主に瑕疵修補の請求をすることができる。

○ 正しい。 品確法では、民法にない売主に”瑕疵修補”の請求をすることができる。
  建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から10年と定めたのであれば、その規定は、選択肢1及び2で述べました品確法第95条の規定によるまでもなく、有効です。
 そして、引渡しを受けた8年後に、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、正しく、品確法第95条の規定に該当し、民法で定める、@契約の解除と A損害賠償 とさらに読み換えによって、民法では規定のない B瑕疵の修補 もできるとなっていますから、正しい。



4  マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から15年と定め、引渡しを受けた12年後に、当該マンションの住宅部分の納戸に隠れた瑕疵が発見された場合には、売主に損害賠償の請求をすることができない。

X 誤りである。 特約は有効。
 設問の「建物の、住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱など)や雨水の侵入を防止する部分を含めて”すべての部分”につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から15年と定めること」は、品確法第95条2項
 「2  前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。」の10年を超えた瑕疵担保責任の期間で、買主にとって不利ではありませんから、有効です。
 当該マンションの”住宅部分の納戸”の隠れた瑕疵は、品確法第95条で規定する”住宅の構造耐力上主要な部分等”ではありませんが、特約での「建物の”すべての部分”につき瑕疵担保責任」を負うに該当しますから、民法で認めるように、売主に損害賠償の請求をすることができますから、誤りです。
 また、同法第97条
 「(瑕疵担保責任の期間の伸長等の特例)
 第九十七条  住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約においては、請負人が第九十四条第一項に規定する瑕疵その他の住宅の瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間又は売主が第九十五条第一項に規定する瑕疵その他の住宅の隠れた瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間は、注文者又は買主に引き渡した時から二十年以内とすることができる。」により、
  住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱など)や雨水の侵入を防止する部分についての瑕疵担保責任期間の10年間を20年以内に延長もできるとしています。



答え:3  ここも、民法と品確法の売主の瑕疵担保責任のテキストに書いてあるままの出題です。 過去の出題では、瑕疵担保責任は、宅地建物取引業法も絡めたものだったのですが、平成25年は出題が簡単です。 なお、売主の瑕疵担保責任については、よく出題されるため、別途まとめていますから、ご利用ください。 http://www20.tok2.com/home/tk4982/kashi-tanpo.htm

問18

〔問18〕 敷地権付き区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

1  敷地権付き区分建物及びその敷地権の目的である土地の所有者が、当該区分建物について表題登記を申請するときは、同時に当該区分建物の敷地権の目的である土地の登記記録について、当該登記記録中の所有権が敷地権である旨の登記を申請しなければならない。


X 誤りである。 敷地権の目的となった土地の登記は登記官の職権で行う。
 まず、マンションのような区分所有建物は、1つの敷地の上に複数の建物に対する権利があるため、従来の民法で定めてきた戸建ての土地と建物の理論が適用できなくなり、区分所有法として独立した法律が創生され、土地の権利(敷地利用権)と建物の権利(区分所有権)は原則として分離の処分が禁止されました。それに伴い、登記簿上でも「敷地権」の大幅な変更が要求され、平成16年に不動産登記法も改正されています。このような、背景を踏まえて、不動産登記法を考えてください。
 また、表題登記とは、その建物に対して初めてする登記で、人なら出生届にあたります。これにより、建物の戸籍が開始され、なお、マンションのような敷地権付き区分建物なら、建物の権利を登記すると同時に土地の権利ももう建物の権利と分離処分できないことも登記される必要があります。
 そこで、建物の表示登記では、不動産登記法第44条において以下のような内容が必要とされます。特に1項9号の「敷地権」に注意してください。
 不動産登記法第44条
 「(建物の表示に関する登記の登記事項)
 第四十四条  建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
     一  建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
     二  家屋番号
     三  建物の種類、構造及び床面積
     四  建物の名称があるときは、その名称
     五  附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
     六  建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
     七  建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
     八  建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
     九  建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権
   2  前項第三号、第五号及び第七号の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める。」

 そこで、区分建物の表題登記の申請人は、不動産登記法第48条
 「(区分建物についての建物の表題登記の申請方法)
 第四十八条  区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない
   2  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。
   3  表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。
   4  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、当該表題登記がある建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。 」とあり、

 通常、建てた人(分譲会社など)が、1棟の全部の室(区分建物=専有部分)に対して表題登記の申請をします(一括申請)。
 すると、その建物の敷地権の対象(目的)となった”土地”の登記記録は、不動産登記法第46条
 「(敷地権である旨の登記
 第四十六条  登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。」とあり、
 敷地権となった土地に対しては、区分建物の申請があれば、建物の申請によって、登記官がその職権で登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならなりませんから、敷地権の目的である土地の所有者からの所有権が敷地権であるなどの申請は不要ですから、誤りです。



2  区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならないが、この場合に当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって当該他の区分建物についての表題登記の申請をすることはできない。

X 誤っている。 一括申請ができる。
 選択肢1で引用しました、不動産登記法第48条
 「(区分建物についての建物の表題登記の申請方法)
 第四十八条  区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。
   2  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる
   3  表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。」とあり、
 設問の前半「区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない」は第48条1項に該当して、正しい。
 しかし、後半の「この場合に当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって当該他の区分建物についての表題登記の申請をすることはできない」は、 第48条2項によれば、できますから、誤りです。
 設問は、後半が誤りです。



3  敷地権付き区分建物についてされた抵当権の設定の登記は、当該区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたものであっても、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。

X 誤っている。 登記前なら、土地には及ばない。
  敷地権付き区分建物と登記されれば、建物の区分所有権(専有部分)に設定された抵当権の効力が、土地にも及びますが、登記簿上に、敷地権の登記をする前に登記されていれば、取引の安全の面から、当然ながら別の話です。
 そこで、不動産登記法第73条
 「(敷地権付き区分建物に関する登記等)
 第七十三条  敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない
     一  敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
     二  敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
     三  敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
     四  敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)
   2  第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
   3  敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。」とあり、

 第73条1項1号により、敷地権付き区分建物についての担保権が、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されていると、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権については、効力がありませんから、誤りです



4  敷地権付き区分建物については、当該建物のみを目的とする抵当権の設定の登記をすることはできないが、その抵当権の設定登記の登記原因が当該建物の敷地権が生ずる前に生じたものであるときは、当該建物のみを目的とする抵当権の設定の登記をすることができる。

○ 正しい。
 選択肢3で引用しました、不動産登記法第73条3項
 「3  敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。」とあり、
 正しい。



答え:4  ここは、初めて不動産登記法に触れた人も想定して、かなり詳しく説明しました。 また、不動産登記法についての解説も私の 「超解説 区分所有法」 の中の 「不動産登記法の概要」 でも解説していますから、ご利用ください。

問19

〔問19〕 マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1  建替組合の設立の認可を申請しようとする者は、組合の設立について、建替え合意者の3/4以上の同意を得るほか、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)の同意を得なければならない。

X 誤りである。 設立の認可の申請なら、建替え合意者の3/4以上の同意だけでいい。  平成24年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問42」 、平成20年 マンション管理士試験 「問19」 、平成15年 マンション管理士試験 「問18」 など。
 マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下、「建替円滑化法」といいます)も必ず出ますから、勉強しておいてください。
 建替組合の設立の認可の申請は、建替円滑化法第9条
 「(設立の認可)
 第九条  区分所有法第六十四条 の規定により区分所有法第六十二条第一項 に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の認可を受けて組合を設立することができる。
   2  前項の規定による認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、建替え合意者の同条 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない
   3  区分所有法第七十条第四項 において準用する区分所有法第六十四条 の規定により一括建替え決議の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該一括建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「一括建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、第一項の規定による認可を受けて組合を設立することができる。
   4  第一項の規定による認可を申請しようとする一括建替え合意者は、組合の設立について、一括建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第七十条第二項 において準用する区分所有法第六十九条第二項 の議決権の合計が、一括建替え合意者の同項 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)及び一括建替え決議マンション群(一括建替え決議に係る団地内の二以上のマンションをいう。以下同じ。)を構成する各マンションごとのその区分所有権を有する一括建替え合意者の三分の二以上の同意(各マンションごとに、同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、それぞれその区分所有権を有する一括建替え合意者の同条 の議決権の合計の三分の二以上となる場合に限る。)を得なければならない。
   5  前各項の場合において、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の建替え合意者又は一括建替え合意者(以下「建替え合意者等」という。)とみなす。
   6  二以上の建替え決議マンション(建替え決議に係るマンションであって一括建替え決議マンション群に属さないものをいう。以下同じ。)若しくは一括建替え決議マンション群又は一以上の建替え決議マンション及び一括建替え決議マンション群に係る建替え合意者等は、五人以上共同して、第一項の規定による認可を申請することができる。この場合において、第二項の規定は建替え決議マンションごとに、第四項の規定は一括建替え決議マンション群ごとに、適用する。
   7  第一項の規定による認可の申請は、施行マンションとなるべきマンションの所在地が町村の区域内にあるときは、当該町村の長を経由して行わなければならない。 」とあり、

 第9条2項により、建替え合意者の四分の三以上の同意を得れば設立の認可申請ができますから、誤りです。なお、権利変換計画の決定に当たっては、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)の同意も必要です(建替円滑化法第57条)。



2  建替組合は、権利変換計画の認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合員全員の同意を得なければならない。

X 誤りである。 全員の同意まではいらない。総会の多数決議(ただし、4/5以上)でいい。 平成24年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問19」 。
 まず、権利変換計画の認可を申請しようとするときは、建替円滑化法第57条
 「(権利変換計画の決定及び認可)
 第五十七条  施行者は、前条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、権利変換計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けなければならない。
   2  施行者は、前項後段の規定による認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得、個人施行者にあっては施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)について権利を有する者の同意を得なければならない。ただし、次に掲げる者については、この限りでない。
     一  区分所有法第六十九条 の規定により同条第一項 に規定する特定建物である施行マンションの建替えを行うことができるときは、当該施行マンションの所在する土地(これに関する権利を含む。)の共有者である団地内建物の区分所有法第六十五条 に規定する団地建物所有者(以下単に「団地建物所有者」という。)
     二  その権利をもって施行者に対抗することができない者
   3  前項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないときは、その同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる。
   4  第二項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者を確知することができないときは、その確知することができない理由を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる。」とあり、
 第57条2項により、総会の決議が必要です。

 そこで、総会の決議は、建替円滑化法第27条
 「(総会の決議事項)
 第二十七条  次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない
     一  定款の変更
     二  事業計画の変更
     三  借入金の借入れ及びその方法並びに借入金の利率及び償還方法
     四  経費の収支予算
     五  予算をもって定めるものを除くほか、組合の負担となるべき契約
     六  賦課金の額及び賦課徴収の方法
     七  権利変換計画及びその変更
     八  第九十四条第一項又は第三項の管理規約
     九  組合の解散
     十  その他定款で定める事項」とあり、

 第27条7号により、確かに、総会の決議事項です。
 では、どの程度の議決権が必要かというと、建替円滑化法第30条
 「(特別の議決)
 第三十条  第二十七条第一号及び第二号に掲げる事項のうち政令で定める重要な事項並びに同条第八号及び第九号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合(組合の専有部分が存しないものとして算定した施行マンションについての区分所有法第十四条 に定める割合(一括建替え合意者のみにより設立された組合にあっては、組合の持分が存しないものとして算定した施行マンションの敷地(これに関する権利を含む。)の持分の割合)をいう。第三項において同じ。)の各四分の三以上で決する。
   2  権利変換期日以後における前項の規定の適用については、同項中「組合の」とあるのは「組合及び参加組合員の」と、「施行マンション」とあるのは「施行再建マンション」とする。
   3  第二十七条第七号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決する。」とあり、

 第30条3項により、権利変換計画については、他の議決要件よりも厳しい、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決することができます。しかし、組合員全員の同意までは不要で、誤りです。



3  施行マンションを占有していた者は、定められた権利変換期日においてその権限を失い、直ちに建替組合に明け渡さなければならない。

X 誤りである。 明け渡しは直ちにではない。
  設問の前半、「施行マンションを占有していた者は、定められた権利変換期日においてその権限を失い」は、建替円滑化法第71条
 「(施行マンションに関する権利の変換)
 第七十一条  権利変換期日において、施行マンションは、施行者に帰属し、施行マンションを目的とする区分所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する
   2  施行再建マンションの区分所有権は、第八十一条の建築工事の完了の公告の日に、権利変換計画の定めるところに従い、新たに施行再建マンションの区分所有権を与えられるべき者が取得する。
   3  施行マンションについて借家権を有していた者(その者が更に借家権を設定していたときは、その借家権の設定を受けた者)は、第八十一条の建築工事の完了の公告の日に、権利変換計画の定めるところに従い、施行再建マンションの部分について借家権を取得する。」とあり、
 第71条1項により、正しい。

 設問の後半、 「直ちに建替組合に明け渡さなければならない」は、建替円滑化法第80条
 「(施行マンション等の明渡し)
 第八十条  施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる
   2  前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない
   3  第五十八条第三項の規定は、同項の相当の期限を許与された区分所有者に対する第一項の規定による明渡しの期限について準用する。
   4  第一項の規定による明渡しの請求があった者は、明渡しの期限までに、施行者に明け渡さなければならない。ただし、第七十五条の補償金の支払を受けるべき者について同条の規定による支払若しくは第七十六条の規定による供託がないとき、第十五条第一項(第三十四条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第六十四条第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)若しくは区分所有法第六十三条第四項 (区分所有法第七十条第四項 において準用する場合を含む。)の規定による請求を受けた者について当該請求を行った者による代金の支払若しくは提供がないとき、又は第六十四条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による請求を行った者について当該請求を受けた者による代金の支払若しくは提供がないときは、この限りでない。 」とあり、

 第80条1項によれば、「マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる」とあり、全ての占有者が直ちに、明け渡すものではないため、誤りです。
 また同条2項の「明渡しの期限は、請求をした日の翌日から起算して30日を経過した後の日でなければならない」も参考にしてください。



4  権利変換手続開始の登記があった後においては、当該登記に係る施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する建替組合の組合員は、これらの権利を処分するときは、建替組合の承認を得なければならない。

○ 正しい。 平成22年 マンション管理士試験 「問19」 。
 権利変換手続開始の登記は、不動産取引の安全と権利変換手続きを円滑に進めるために行います。これは、建替円滑化法第55条
 「(権利変換手続開始の登記)
 第五十五条  施行者は、次に掲げる公告があったときは、遅滞なく、登記所に、施行マンションの区分所有権及び敷地利用権(既登記のものに限る。)並びに隣接施行敷地の所有権及び借地権(既登記のものに限る。)について、権利変換手続開始の登記を申請しなければならない。
     一  組合が施行するマンション建替事業にあっては、第十四条第一項の公告又は新たな施行マンションの追加に係る事業計画の変更の認可の公告
     二  個人施行者が施行するマンション建替事業にあっては、その施行についての認可の公告又は新たな施行マンションの追加に係る事業計画の変更の認可の公告
   2  前項の登記があった後においては、当該登記に係る施行マンションの区分所有権若しくは敷地利用権を有する者(組合が施行するマンション建替事業にあっては、組合員に限る。)又は当該登記に係る隣接施行敷地の所有権若しくは借地権を有する者は、これらの権利を処分するときは、国土交通省令で定めるところにより、施行者の承認を得なければならない
   3  施行者は、事業の遂行に重大な支障が生ずることその他正当な理由がなければ、前項の承認を拒むことができない。
   4  第二項の承認を得ないでした処分は、施行者に対抗することができない。
   5  権利変換期日前において第三十八条第六項、前条第三項において準用する第四十九条第一項又は第九十九条第三項の公告があったときは、施行者(組合にあっては、その清算人)は、遅滞なく、登記所に、権利変換手続開始の登記の抹消を申請しなければならない。」とあり、

 第55条2項により、 当該登記に係る施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する建替組合の組合員は、これらの権利を処分するときは、建替組合の承認を得なければならなりませんから、正しい。



答え:4  ここも、過去問題をやっていれば、易しい。 なお、マンションの建替えの円滑化等に関する法律についても、別途 「マンションの建替えの円滑化等に関する法律 の 概要」 がありますから、ご利用ください。

問20

〔問20〕 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  準防火地域内にある共同住宅に高さ4mの看板を設ける場合には、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。

X 誤っている。 準防火地域内は入っていない。 平成24年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 
 設問に近いのは、建築基準法第66条
 「(看板等の防火措置)
  第六十六条  防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ三メートルをこえるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。」とあり、
 防火地域内であれば、該当しますが、準防火地域内であれば該当しないため、誤りです。





2  準防火地域内にある地階を除く階数が4で延べ面積が1,200uの共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

○ 正しい。 平成19年 マンション管理士試験 「問21」 。

 

 準防火地域内にある建築なら、建築基準法第62条
 「(準防火地域内の建築物)
 第六十二条  準防火地域内においては、地階を除く階数が四以上である建築物又は延べ面積が千五百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、延べ面積が五百平方メートルを超え千五百平方メートル以下の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物とし、地階を除く階数が三である建築物は耐火建築物、準耐火建築物又は外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物としなければならない。ただし、前条第二号に該当するものは、この限りでない。
   2  準防火地域内にある木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、これに附属する高さ二メートルを超える門又は塀で当該門又は塀が建築物の一階であるとした場合に延焼のおそれのある部分に該当する部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。 」とあり、
 第62条1項により、準防火地域内にある地階を除く階数が4以上となると、耐火建築物にしなければなりませんから、正しい。



3  防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

○ 正しい。 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 
 隣地境界線に接する外壁なら、建築基準法第65条
 「(隣地境界線に接する外壁)
 第六十五条  防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」とあり、
 正しい。



4  防火地域及び準防火地域にわたる共同住宅が、防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

○ 正しい。
 建築物が、防火地域及び準防火地域の内外にわたる場合の措置は、それぞれ、防火地域または準防火地域内の建築物に関する規定が適用されますが、建築基準法第67条
「(建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置)
 第六十七条  建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。
   2  建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。」とあり、
 第67条2項により、正しい。



答え:1   全く、条文のままの出題では、解説のしようがない。 なお、建築基準法 につては、別途 「要約 建築基準法」 もありますから、ご利用ください。
 また、過去問題の解説でも、 建築基準法  だけを取り出していますから、こちらも、参考にしてください。

問21

〔問21〕 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、正しいものはどれか。

1  特別用途地区は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地区の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地区とする。

X 誤りである。 特定用途制限地域の規定である。  平成23年 マンション管理士試験 「問21」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問19」 。
 都市計画法からも1問はでますから、勉強しておいてください。過去では、地域地区からの出題が中心でした。 
  特別用途地区となると、都市計画法第9条13項
 「13 特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区とする。 」とあり、該当しませんから、誤りです。
 設問は、都市計画法第9条14項
 「14  特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。」とあり、特定用途制限地域に該当しています。



2  第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域においては、特例容積率適用地区を定めることができない。

○ 正しい。 平成19年 マンション管理士試験 「問22」 
 特例容積率適用地区を定めるのなら、都市計画法第9条15項
 「15  特例容積率適用地区は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法第五十二条第一項から第九項 までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となつている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする。」とあり、
 よく読むと、第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域は入っていませんから、正しい。
用途地域は、もうお馴染みでしょうが、念のために、図解付です。





3  第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域においては、高層住居誘導地区を定めることができる。

X 誤っている。 第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域は入っていない。 平成19年 マンション管理士試験 「問22」 。 
 高層住居誘導地区を定めることができるのは、都市計画法第9条16項
 「16 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第五十二条第一項第二号に規定する建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。」とあり、
 第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域は入っていませんから、誤りです。



4  準都市計画区域においては、都市計画に用途地域を定めることができない。

X 誤っている。 準都市計画区域においても、都市計画に用途地域を定めることはできる。
 準都市計画区域については、都道府県が都市計画区域外に指定できます。それは、都市計画法第5条の2、
 「(準都市計画区域)
 第五条の二  都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の建築若しくは建設又はこれらの敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる区域を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)その他の法令による土地利用の規制の状況その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、そのまま土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、準都市計画区域として指定することができる
   2  都道府県は、前項の規定により準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない。
   3  準都市計画区域の指定は、国土交通省令で定めるところにより、公告することによつて行う。
   4  前三項の規定は、準都市計画区域の変更又は廃止について準用する。
   5  準都市計画区域の全部又は一部について都市計画区域が指定されたときは、当該準都市計画区域は、前項の規定にかかわらず、廃止され、又は当該都市計画区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。」です。


 そして、 準都市計画区域なら、第8条2項
 「2  準都市計画区域については、都市計画に、前項第一号から第二号の二まで、第三号(高度地区に係る部分に限る。)、第六号、第七号、第十二号(都市緑地法第五条 の規定による緑地保全地域に係る部分に限る。)又は第十五号に掲げる地域又は地区を定めることができる。」とあり、
 引用されています、 前項第一号から第二号の二まで、第三号(高度地区に係る部分に限る。)、第六号、第七号、第十二号は、
 「一  第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)
   二  特別用途地区
   二の二  特定用途制限地域
   三  高度地区又は高度利用地区
   六  景観法 (平成十六年法律第百十号)第六十一条第一項 の規定による景観地区
   七  風致地区
   十二  都市緑地法 (昭和四十八年法律第七十二号)第五条 の規定による緑地保全地域、同法第十二条 の規定による特別緑地保全地区又は同法第三十四条第一項 の規定による緑化地域 」です。 
 設問の「用途地域」は、第8条2項1号に該当していますから、誤りです。



答え:2  平成24年の「問21」の出題がひどかったので、また特にクレームが付かない条文だけの出題にしたようです。 なお、 都市計画法 についても、 過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

問22

〔問22〕 簡易専用水道の管理に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1  簡易専用水道の設置者が、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けない場合、100万円以下の罰金に処される。

○ 正しい。 平成23年 マンション管理士 「問22」選択肢3 、平成22年 マンション管理士試験 「問22」 など。
 罰則からの出題とは、意外だが、過去問題があった。
 簡易専用水道とは、東京都水道局などの水道事業者から水の供給を受けるための水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えるものです。管理の責任が、受水槽から先は、設置者(管理組合など)となり、設置者には、定期に登録を受けた者が行う清掃や水質の検査を受けなければなりません。



 それが、水道法第34条の2  
 「第三十四条の二
 簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
   2 簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期(注:1年以内ごとに1回)に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。」とあります。

 そして、これに違反すると、罰則が水道法第54条
 「第五十四条  次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する
     一  第九条第一項(第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により認可に附せられた条件に違反した者
     二  第十三条第一項(第三十一条及び第三十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して水質検査又は施設検査を行わなかつた者
     三  第二十条第一項(第三十一条及び第三十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
     四  第二十一条第一項(第三十一条及び第三十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
     五  第二十二条(第三十一条及び第三十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
     六  第二十九条第一項(第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により認可に附せられた条件に違反した者
     七  第三十二条の規定による確認を受けないで専用水道の布設工事に着手した者
     八  第三十四条の二第二項の規定に違反した者」とあり、
 第54条8号に該当していますから、正しい。



2  地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者による検査の項目には、給水栓における水質の検査及び書類の整理等に関する検査が含まれる。

○ 正しい。 
 まず、選択肢1で引用しました水道法第34条の2 を受けて、登録を受けた者による検査の項目は、水道法施行規則第55条
 「(管理基準)
 第五十五条  法第三十四条の二第一項 に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。
     一  水槽の掃除を一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。
     二  水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。
     三  給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令 の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと
     四  供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。」とあり、
 第55条3号に、 「給水栓における水質の検査」が定められていますから、この部分は正しい。

 また、「書類の整理等に関する検査」は、水道法施行規則第56条
 「(検査)
 第五十六条  法第三十四条の二第二項 の規定による検査は、一年以内ごとに一回とする。
   2  検査の方法その他必要な事項については、厚生労働大臣が定めるところによるものとする。」とあり、
 第56条2項を受けた告示は、
 ○厚生労働省告示第二百六十二号 水道法施行規則(昭和三十二年厚生省令第四十五号)第五十六条第二項の規定に基づき、簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項を次のように定め、平成十五年十月一日から適用する。   平成十五年七月二十三日  厚生労働大臣 坂口力
 簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項
 第一 総則的事項
     一水道法( 昭和三十二年法律第百七十七号) 第三十四条の二第二項の規定に基づく簡易専用水道の管理に係る検査は、当該簡易専用水道の設置者( 以下「設置者」という。) の依頼に基づき実施すること。
    二検査は、清潔な作業衣を着用する等の衛生的な配慮の下に行うこと。
    三検査に際しては、検査者は別記様式による身分証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があったときは、これを提示すること。
 第二 検査項目
  検査項目は、原則として、簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査、給水栓における水質の検査及び書類の整理等に関する検査とする。
 第三 簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査
    一簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査は、簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態が、当該簡易専用水道の水質に害を及ぼすおそれのあるものであるか否かを検査するものであり、当該簡易専用水道に設置された水槽(以下「水槽」という。)の水を抜かずに、次に掲げる検査を行うものとする。
     1 水槽その他当該簡易専用水道に係る施設の中に汚水等の衛生上有害なものが混入するおそれの有無についての検査
     2 水槽及びその周辺の清潔の保持についての検査
     3 水槽内における沈積物、浮遊物質等の異常な物の有無についての検査
   二一に関して必要な検査事項及び判定基準は、別表第一に定めるところによる。
 第四 給水栓における水質の検査
   一給水栓における水質について、次に掲げる検査を行うものとする。
     1 臭気、味、色及び濁りに関する検査
     2 残留塩素に関する検査
   二一に関して必要な検査事項及び判定基準は、別表第二に定めるところによる。
 第五 書類の整理等に関する検査
   一次に掲げる書類の整理及び保存の状況について、検査を行うものとする。
     1 簡易専用水道の設備の配置及び系統を明らかにした図面
     2 受水槽の周囲の構造物の配置を明らかにした平面図
     3 水槽の掃除の記録
     4 その他の管理についての記録
   二一に関して必要な検査事項及び判定基準は、別表第三に定めるところによる。
 第六 建築物における衛生的環境の確保に関する法律の適用がある簡易専用水道の検査
    建築物における衛生的環境の確保に関する法律( 昭和四十五年法律第二十号。以下「建築物衛生法」という。)の適用がある簡易専用水道については、第二の規定にかかわらず、水道法第三十四条の二第二項の規定に基づく簡易専用水道の管理に係る検査の検査項目は、書類検査とすることができる。この場合において、当該書類検査に係る書類は、設置者が別表第一から別表第三までに掲げる検査事項がこれらの表に掲げる判定基準を満たすか否かについて作成するものとし、建築物衛生法第十条に規定する帳簿書類を添えて、検査者に提出するものとする。
 第七 検査後の措置
   一検査者は、検査終了後、次に掲げる措置を行うものとする。
     1 設置者に検査済みを証する書類を交付すること。この場合において、当該書類には次に掲げる事項を記載すること。
       ・検査機関の名称及び所在地
       ・検査員の氏名
       ・簡易専用水道を有する施設の名称及び所在地
       ・設置者の氏名又は名称
       ・簡易専用水道を有する施設の概要
       ・水槽の数、有効容量、形状、設置場所及び材質
       ・検査の結果
       ・その他必要な事項
   2 検査の結果、別表第一から別表第三までに掲げる判定基準に適合しなかった事項がある場合には、設置者に対し、当該事項について速やかに対策を講じるよう助言を行うこと。
   3 検査の結果、水の供給について特に衛生上問題があるとして次のいずれかに該当すると認められた場合には、設置者に対し、2に掲げるもののほか、直ちに当該簡易専用水道の所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)にその旨を報告するよう助言を行うこと。ただし、当該簡易専用水道が国の設置するものである場合にあっては、厚生労働大臣に報告するよう助言を行うこと。
       ・汚水槽その他排水設備から水槽に汚水若しくは排水が流入し、又はそのおそれがある場合
       ・水槽内に動物等の死骸がある場合
       ・給水栓における水質の検査において、異常が認められる場合
       ・水槽の上部が清潔に保たれず、又はマンホール面が槽上面から衛生上有効に立ち上がっていないため、汚水等が水槽に流入するおそれがある場合
       ・マンホール、通気管等が著しく破損し、又は汚水若しくは雨水が水槽に流入するおそれがある場合
       ・その他検査者が水の供給について特に衛生上問題があると認める場合
  (表は省略)」とあり、

 「第四 給水栓における水質の検査」、及び 「第五 書類の整理等に関する検査」 が含まれていますから、正しい。



3  水道法第34条の2第1項に定める簡易専用水道の設置者による水槽の点検等が実施されていることをもって、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の定期の検査に代えることができる。

X 誤りである。 こんな規定はない? 平成24年 マンション管理士試験 「問22」選択肢3 。
 昨年(平成24年)のマンション管理士試験 「問22」選択肢3 でも、根拠がわからず、苦労したのですが、選択肢1でも引用しましたように、水道法第34条の2 2項 
 「2 簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期(注:1年以内ごとに1回)に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。」とあります。
 これによると、「簡易専用水道の設置者による水槽の点検等の実施」は許されておらず、必ず、「地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査」が必要で彼らに定期検査を委託していますから、誤りです。
 なお、似たような「代行報告」は、
 健水発0325第5号 平成22年 3月25日 厚生労働省健康局水道課長 
 「2. 登録簡易専用水道検査機関の検査結果の活用について
  「簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項」(平成15 年厚生労働省告示第262 号。以下「検査方法告示」という。)第7の3において、法定検査の結果、特に衛生上問題がある状況が認められる場合において、設置者から行政庁へその旨報告することとされている。この規定に関連して、設置者の了解を得た上で検査を実施した登録簡易専用水道検査機関が代行して行政庁に報告すること(以下「代行報告」という。)を妨げるものではない。」です。



4  都道府県知事(市又は特別区の区域においては市長又は区長)は、簡易専用水道の管理が厚生労働省令で定める基準に適合していないと認めるときは、当該簡易専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該簡易専用水道の管理に関し、清掃その他の必要な措置を採るべき旨を指示することができる。

○ 正しい。
 該当の規定は、水道法第36条
 「(改善の指示等)
 第三十六条  厚生労働大臣は水道事業又は水道用水供給事業について、都道府県知事は専用水道について、当該水道施設が第五条の規定による施設基準に適合しなくなつたと認め、かつ、国民の健康を守るため緊急に必要があると認めるときは、当該水道事業者若しくは水道用水供給事業者又は専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該施設を改善すべき旨を指示することができる。
   2 厚生労働大臣は水道事業又は水道用水供給事業について、都道府県知事は専用水道について、水道技術管理者がその職務を怠り、警告を発したにもかかわらずなお継続して職務を怠つたときは、当該水道事業者若しくは水道用水供給事業者又は専用水道の設置者に対して、水道技術管理者を変更すべきことを勧告することができる。
   3 都道府県知事は、簡易専用水道の管理が第三十四条の二第一項の厚生労働省令で定める基準に適合していないと認めるときは、当該簡易専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該簡易専用水道の管理に関し、清掃その他の必要な措置を採るべき旨を指示することができる。」とあり、
 第36条3項に該当し、正しい。

 なお、特別区に関しては、水道法第48条によって読み替えがあります。
 「(市又は特別区に関する読替え等)
 第四十八条の二  市又は特別区の区域においては、第三十二条、第三十三条第一項、第三項及び第五項、第三十四条第一項の規定により読み替えて準用される第十三条第一項及び第二十四条の三第二項、第三十六条、第三十七条並びに第三十九条第二項及び第三項中「都道府県知事」とあるのは、「市長」又は「区長」と読み替えるものとする
   2  前項の規定により読み替えられた場合における前条の規定の適用については、市長又は特別区の区長を都道府県知事と、市又は特別区を都道府県とみなす。」



答え:3  昨年(平成24年)の出題といい、出題の根拠が分からない。新しい「マンション管理の知識」 にこのあたりは、あるのかな? なお、 水道法 についても、 過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

問23

〔問23〕 マンションにおける消防用設備等に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1  マンションの11階以上の階には、総務省令で定める部分を除き、スプリンクラー設備を設置しなければならない。

○ 正しい。 
 まず、消防法で規定される消防用設備で、マンションは共同住宅として、「消防法施行令:別表第一(五)項ロ」 に該当することを記憶しておいてください。


 そこで、設問のスプリンクラーの設置は、消防法施行令第7条
 「(消防用設備等の種類)
 第七条  法第十七条第一項 の政令で定める消防の用に供する設備は、消火設備、警報設備及び避難設備とする。
   2  前項の消火設備は、水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
     一  消火器及び次に掲げる簡易消火用具
       イ 水バケツ
       ロ 水槽
       ハ 乾燥砂
       ニ 膨張ひる石又は膨張真珠岩
     二  屋内消火栓設備
     三  スプリンクラー設備
     四  水噴霧消火設備
     五  泡消火設備
     六  不活性ガス消火設備
     七  ハロゲン化物消火設備
     八  粉末消火設備
     九  屋外消火栓設備
     十  動力消防ポンプ設備
   3  第一項の警報設備は、火災の発生を報知する機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
     一  自動火災報知設備
     一の二  ガス漏れ火災警報設備(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律 (昭和四十二年法律第百四十九号)第二条第三項 に規定する液化石油ガス販売事業によりその販売がされる液化石油ガスの漏れを検知するためのものを除く。以下同じ。)
     二  漏電火災警報器
     三  消防機関へ通報する火災報知設備
     四  警鐘、携帯用拡声器、手動式サイレンその他の非常警報器具及び次に掲げる非常警報設備
       イ 非常ベル
       ロ 自動式サイレン
       ハ 放送設備
   4  第一項の避難設備は、火災が発生した場合において避難するために用いる機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
     一  すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋その他の避難器具
     二  誘導灯及び誘導標識
   5  法第十七条第一項 の政令で定める消防用水は、防火水槽又はこれに代わる貯水池その他の用水とする。
   6  法第十七条第一項 の政令で定める消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする。
   7  第一項及び前二項に規定するもののほか、第二十九条の四第一項に規定する必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等は、法第十七条第一項 に規定する政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設とする。」 とあり、
 スプリンクラーは、消火設備です。


 スプリンクラーの設置基準は、上であげた、別表第一によって細かく定められています。それが、消防法施行令第12条
 「(スプリンクラー設備に関する基準)
 第十二条  スプリンクラー設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
     一  別表第一(六)項ロに掲げる防火対象物(第三号及び第四号に掲げるものを除く。)で延べ面積が二百七十五平方メートル以上のもののうち、火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するもの以外のもの
     二  別表第一(一)項に掲げる防火対象物(次号及び第四号に掲げるものを除く。)で、舞台部(舞台並びにこれに接続して設けられた大道具室及び小道具室をいう。以下同じ。)の床面積が、当該舞台が、地階、無窓階又は四階以上の階にあるものにあつては三百平方メートル以上、その他の階にあるものにあつては五百平方メートル以上のもの
     三  別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ及び(十六)項イに掲げる防火対象物で、地階を除く階数が十一以上のもの(総務省令で定める部分を除く。)
     四  別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物(前号に掲げるものを除く。)のうち、平屋建以外の防火対象物で、総務省令で定める部分以外の部分の床面積の合計が、同表(四)項に掲げる防火対象物及び同表(六)項イに掲げる防火対象物のうち病院にあつては三千平方メートル以上、その他の防火対象物にあつては六千平方メートル以上のもの
     五  別表第一(十四)項に掲げる防火対象物のうち、天井(天井のない場合にあつては、屋根の下面。次項において同じ。)の高さが十メートルを超え、かつ、延べ面積が七百平方メートル以上のラック式倉庫(棚又はこれに類するものを設け、昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫をいう。)
     六  別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
     七  別表第一(十六の三)項に掲げる防火対象物のうち、延べ面積が千平方メートル以上で、かつ、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計が五百平方メートル以上のもの
     八  前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を危険物の規制に関する政令 別表第四で定める数量の千倍以上貯蔵し、又は取り扱うもの
     九  別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物(第六号に掲げるものを除く。)の部分のうち、同表(六)項ロに掲げる防火対象物の用途に供されるもの(火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く。)
     十  別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物(第三号に掲げるものを除く。)で、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分(総務省令で定める部分を除く。)の床面積の合計が三千平方メートル以上のものの階のうち、当該部分が存する階
    十一  前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の地階、無窓階又は四階以上十階以下の階(総務省令で定める部分を除く。)で、次に掲げるもの
       イ 別表第一(一)項、(三)項、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物の階で、その床面積が、地階又は無窓階にあつては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあつては千五百平方メートル以上のもの
       ロ 別表第一(二)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階で、その床面積が千平方メートル以上のもの
       ハ 別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物の階のうち、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する階で、当該部分の床面積が、地階又は無窓階にあつては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあつては千五百平方メートル(同表(二)項又は(四)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する階にあつては、千平方メートル)以上のもの
     十二  前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の十一階以上の階(総務省令で定める部分を除く。) 」です。

 これによりますと、共同住宅であるマンションは、別表第一(五)項ロ で消防法施行令第12条12号に該当し、スプリンクラー設備は「11階以上の階」に設置しますから、正しい。



2  マンションの地階、無窓階及び6階以上の部分には、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものを除き、避難口誘導灯及び通路誘導灯を設置しなければならない。

X 誤っている。 地階、無窓階及び11階以上の部分でいい。 平成16年 マンション管理士試験 「問25」 。
 避難設備である誘導灯及び誘導標識の設置基準は、消防法施行令第26条
 「誘導灯及び誘導標識に関する基準)
 第二十六条  誘導灯及び誘導標識は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置するものとする。ただし、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものについては、この限りでない。
     一  避難口誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
     二  通路誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
     三  客席誘導灯 別表第一(一)項に掲げる防火対象物並びに同表(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物の部分で、同表(一)項に掲げる防火対象物の用途に供されるもの
     四  誘導標識 別表第一(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物
   2  前項に規定するもののほか、誘導灯及び誘導標識の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
     一  避難口誘導灯は、避難口である旨を表示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の避難口に、避難上有効なものとなるように設けること。
     二  通路誘導灯は、避難の方向を明示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の廊下、階段、通路その他避難上の設備がある場所に、避難上有効なものとなるように設けること。ただし、階段に設けるものにあつては、避難の方向を明示したものとすることを要しない。
     三  客席誘導灯は、客席に、総務省令で定めるところにより計つた客席の照度が〇・二ルクス以上となるように設けること。
     四  誘導灯には、非常電源を附置すること。
     五  誘導標識は、避難口である旨又は避難の方向を明示した緑色の標識とし、多数の者の目に触れやすい箇所に、避難上有効なものとなるように設けること。
   3  第一項第四号に掲げる防火対象物又はその部分に避難口誘導灯又は通路誘導灯を前項に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、第一項の規定にかかわらず、これらの誘導灯の有効範囲内の部分について誘導標識を設置しないことができる。 」です。

 共同住宅は、消防法施行令:別表第一(五)項ロ に該当しますから、避難口誘導灯は消防法施行令第26条1項1号により、地階、無窓階及び11階以上の部分に、また、通路誘導灯は同1項2号により、地階、無窓階及び11階以上の部分に設置しますから、6階以上の部分に設置しなければならないは、誤りです。



3  延べ面積が1,000u以上のマンションには、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にあるものを除き、消防機関へ通報する火災報知設備を設置しなければならない。

○ 正しい。
 警報設備の火災報知設備の設置の基準は、消防法施行令第23条
 「(消防機関へ通報する火災報知設備に関する基準)
 第二十三条  消防機関へ通報する火災報知設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。ただし、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にある防火対象物にあつては、この限りでない。
     一  別表第一(六)項ロ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物
     二  別表第一(一)項、(二)項、(四)項、(五)項イ、(六)項イ、ハ及びニ、(十二)項並びに(十七)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が五百平方メートル以上のもの
     三  別表第一(三)項、(五)項ロ、(七)項から(十一)項まで及び(十三)項から(十五)項までに掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
   2  前項の火災報知設備は、当該火災報知設備の種別に応じ総務省令で定めるところにより、設置するものとする。
   3  第一項各号に掲げる防火対象物(同項第一号に掲げる防火対象物で別表第一(六)項ロに掲げるもの並びに第一項第二号に掲げる防火対象物で同表(五)項イ並びに(六)項イ及びハに掲げるものを除く。)に消防機関へ常時通報することができる電話を設置したときは、第一項の規定にかかわらず、同項の火災報知設備を設置しないことができる。」とあり、

  共同住宅は、消防法施行令:別表第一(五)項ロ に該当しますから、消防法施行令第23条1項3号により、延べ面積が1,000u以上なら、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にあるものを除き、消防機関へ通報する火災報知設備を設置しなければなりませんから、正しい。



4  高さ31mを超えるマンションで使用するカーテンその他の物品で政令で定めるものは、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。

○ 正しい。 平成24年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問24」 
 まず、高さ31m超の共同住宅は、消防法第8条の2 1項によると、
 「第八条の二  高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物をいう。第八条の三第一項において同じ。)その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの又は地下街(地下の工作物内に設けられた店舗、事務所その他これらに類する施設で、連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたものをいう。以下同じ。)でその管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、これらの防火対象物について、消防計画の作成その他の防火管理上必要な業務に関する事項で総務省令で定めるものを、協議して、定めておかなければならない。
   2  前項の権原を有する者は、同項の総務省令で定める事項を定めたときは、遅滞なく、その旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。当該事項を変更したときも、同様とする。
   3  消防長又は消防署長は、第一項の総務省令で定める事項が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により当該事項を定めるべきことを命ずることができる。
   4  第五条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による命令について準用する。」
 とあり、 高層建築物とよばれ、火災上も特別な扱いとなります。

 設問の、防炎性能については、消防法第8条の3
 「第八条の三  高層建築物(注:高さ三十一メートルを超える建築物)若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない
   2  防炎対象物品又はその材料で前項の防炎性能を有するもの(以下この条において「防炎物品」という。)には、総務省令で定めるところにより、同項の防炎性能を有するものである旨の表示を附することができる。
   3  何人も、防炎対象物品又はその材料に、前項の規定により表示を附する場合及び工業標準化法 (昭和二十四年法律第百八十五号)その他政令で定める法律の規定により防炎対象物品又はその材料の防炎性能に関する表示で総務省令で定めるもの(以下この条において「指定表示」という。)を附する場合を除くほか、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。
   4  防炎対象物品又はその材料は、第二項の表示又は指定表示が附されているものでなければ、防炎物品として販売し、又は販売のために陳列してはならない。
   5  第一項の防火対象物の関係者は、当該防火対象物において使用する防炎対象物品について、当該防炎対象物品若しくはその材料に同項の防炎性能を与えるための処理をさせ、又は第二項の表示若しくは指定表示が附されている生地その他の材料からカーテンその他の防炎対象物品を作製させたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。」とあり、

 第8条の3 1項により、防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければなりませんから、正しい。



答え:2  平成24年の出題と異なり、論争のない出題です。なお、 消防法 についても、 過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

問24

〔問24〕 機械警備業務に関する次の記述のうち、警備業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1  警備業務対象施設に各種のセンサー等を設置し、それらの端末機器が感知した情報をその施設内に設けた受信機で受信することで、警備員が対応するシステムは、機械警備業務ではない。

○ 正しい。 その”施設内”に設けた受信機で受信すると、機械警備業務ではない。
 知らない箇所からの出題です。警備業法もしっかり読んでおくことということです。 機械警備業務とは、警備業法第2条
 「(定義)
 第二条 この法律において「警備業務」とは、次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うものをいう。
     一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
     二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
     三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
     四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
   2 この法律において「警備業」とは、警備業務を行なう営業をいう。
   3 この法律において「警備業者」とは、第四条の認定を受けて警備業を営む者をいう。
   4 この法律において「警備員」とは、警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するものをいう。
   5 この法律において「機械警備業務」とは、警備業務用機械装置(警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置で内閣府令で定めるものをいう。)を使用して行う第一項第一号の警備業務をいう。
   6 この法律において「機械警備業」とは、機械警備業務を行う警備業をいう。」とあり、
 第2条5項と6項が該当します。

 そこで、引用されています、内閣府令で定めるものとは、警備業法施行規則第2条
 「(警備業務用機械装置)
 第二条  法第二条第五項 の内閣府令で定める装置は、電話その他送信者の音声を送信し、及び受信するための装置以外の装置とする。 」です。

 よく読まないと、設問は間違っているように思えますが、警備業法第2条5項では、警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を”当該警備業務対象施設以外”の施設に設置する機器に送信」とあります。
 受信機が、警備対象施設の中にあっては、それは、常駐の警備業務になり、機械警備業務を行う警備業ではありませんから、正しい。



2  機械警備業者は、基地局で盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に、速やかに事案の対処が行われるよう、必要な数の警備員、待機所及び車両等を適正に配置する。

○ 正しい。
 この設問は、特に法律を知らなくても、常識的な判断でも可能ですが、機械警備業者は、警備業法第43条
 「(即応体制の整備)
 第四十三条  機械警備業者は、都道府県公安委員会規則で定める基準に従い、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に、速やかに、現場における警備員による事実の確認その他の必要な措置が講じられるようにするため、必要な数の警備員、待機所(警備員の待機する施設をいう。以下同じ。)及び車両その他の装備を適正に配置しておかなければならない。」とあり、
 正しい。



3  機械警備業者は、基地局ごとに警備業務用機械装置の運用等の管理監督を行う機械警備業務管理者を、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。

○ 正しい。
 この設問も、特に法律を知らなくても、常識的な判断でも可能ですが、警備業法第42条
 「(機械警備業務管理者)
 第四十二条  機械警備業者は、基地局ごとに、警備業務用機械装置の運用を監督し、警備員に対する指令業務を統制し、その他機械警備業務を管理する業務で内閣府令で定めるものを行う機械警備業務管理者を、次項の機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。
   2  公安委員会は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、機械警備業務管理者資格者証を交付する。
     一  公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより機械警備業務の管理に関する業務について行う機械警備業務管理者講習を受け、その課程を修了した者
     二  公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより機械警備業務の管理に関する業務に関し前号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
   3  第二十二条第一項ただし書の規定は基地局の機械警備業務管理者として選任した者が欠けるに至つた場合について、同条第四項から第六項までの規定は機械警備業務管理者資格者証の交付、書換え及び再交付について、同条第七項の規定は機械警備業務管理者資格者証の交付を受けた者について準用する。この場合において、同条第四項中「第二項」とあるのは「第四十二条第二項」と、同項第二号中「該当する者」とあるのは「該当する者又は心身の障害により機械警備業務管理者の業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの」と、同項第三号中「第七項第二号」とあるのは「第四十二条第三項において読み替えて準用する第七項第二号」と、「警備員指導教育責任者資格者証の返納」とあるのは「機械警備業務管理者資格者証の返納」と、同条第七項第一号中「いずれか」とあるのは「いずれか又は第四十二条第三項において読み替えて準用する第四項第二号に規定する国家公安委員会規則で定める者」と、同項第三号中「警備員指導教育責任者」とあるのは「機械警備業務管理者」と読み替えるものとする。」とあり、
 第42条1項により、正しい。



4  機械警備業者は、依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするとき、当該契約に係る重要事項等の説明を行っていれば、契約締結後において、依頼者に対し、契約の内容を明らかにする書面の交付は要しない。

X 誤っている。 契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。
 この設問は、特に警備業法を知らなくても、宅地建物取引主任者や管理業務主任者の勉強をしていれば、書面の交付が必要とは、わかる?
 法的な根拠は、警備業法第19条
 「(書面の交付)
 第十九条  警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない
   2  警備業者は、警備業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。
     一  警備業務の内容として内閣府令で定める事項
     二  警備業務の対価その他の当該警備業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額
     三  前号の金銭の支払の時期及び方法
     四  警備業務を行う期間
     五  契約の解除に関する事項
     六  前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
   3  警備業者は、前二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該警備業務の依頼者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該警備業者は、当該書面を交付したものとみなす。」とあり、

 第19条1項及び2項により、 警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければなりませんから、誤りです。

 なお、記載内容は、参考:警備業法施行規則第33条
 「(書面の交付)
 第三十三条  法第十九条第一項 の規定により警備業務の依頼者に対して交付する契約の概要について記載した書面には、当該契約に係る次の事項を明記しなければならない。
     一  法第二条第一項第一号 の警備業務(機械警備業務を除く。)を行う契約にあつては、次に掲げる事項
       イ 警備業者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
       ロ 警備業務を行う日及び時間帯
       ハ 警備業務対象施設の名称及び所在地
       ニ 警備業務に従事させる警備員の人数及び担当業務
       ホ 警備業務に従事させる警備員が有する知識及び技能
       ヘ 警備業務に従事させる警備員が用いる服装
       ト 警備業務を実施するために使用する機器又は各種資機材
       チ 警備業務対象施設の鍵の管理に関する事項
       リ 警備業務対象施設における盗難等の事故発生時の措置
       ヌ 報告の方法、頻度及び時期その他の警備業務の依頼者への報告に関する事項
       ル 警備業務の対価その他の当該警備業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額
       ヲ ルの金銭の支払の時期及び方法
       ワ 警備業務を行う期間
       カ 警備業務の再委託に関する事項
       ヨ 免責に関する事項
       タ 損害賠償の範囲、損害賠償額その他の損害賠償に関する事項
       レ 契約の更新に関する事項
       ソ 契約の変更に関する事項
       ツ 契約の解除に関する事項
       ネ 警備業務に係る苦情を受け付けるための窓口
       ナ 特約があるときは、その内容
     二  法第二条第一項第二号 の警備業務を行う契約にあつては、次に掲げる事項
       イ 警備業務を行うこととする場所
       ロ 警備業務を行うこととする場所における負傷等の事故発生時の措置
       ハ 前号イ、ロ、ニからトまで及びヌからナまでに掲げる事項
     三  法第二条第一項第三号 の警備業務を行う契約にあつては、次に掲げる事項
       イ 運搬されることとなる現金、貴金属、美術品等であつて、警備業務の対象とするもの
       ロ 警備業務を行う路程
       ハ 二以上の車両を使用して警備業務を行うときは、これらの車両の車列の編成
       ニ 運搬されることとなる現金、貴金属、美術品等であつて、警備業務の対象とするものの管理に関する事項
       ホ 運搬されることとなる現金、貴金属、美術品等であつて、警備業務の対象とするものに係る盗難等の事故発生時の措置
       ヘ 第一号イ、ロ、ニからトまで及びヌからナまでに掲げる事項
     四  法第二条第一項第四号 の警備業務を行う契約にあつては、次に掲げる事項
       イ 警備業務の対象となる者の氏名及び住所又は居所
       ロ 警備業務の対象となる者に対する危害が発生するおそれがあり、又は発生したときの措置
       ハ 第一号イ、ロ、ニからトまで及びヌからナまでに掲げる事項
     五  機械警備業務を行う契約にあつては、次に掲げる事項
       イ 基地局及び待機所の所在地
       ロ 盗難等の事故の発生に関する情報を感知する機器の設置場所及び種類その他警備業務用機械装置の概要
       ハ 待機所から警備業務対象施設までの路程(当該路程を記載することが困難な事情があるときは、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合にその受信の時から警備員が現場に到着する時までに通常要する時間)
       ニ 送信機器の維持管理の方法
       ホ 第一号イからナまでに掲げる事項



答え:4  選択肢1 は悩むところですが、選択肢4 との消去法で、正解はできた?

問25

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問25〕 管理組合の総会及び理事会の運営に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(単棟型) (以下「標準管理規約」という。)によれば、適切でないものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。

1  理事長は、専有部分の賃借入の書面による議事録の閲覧請求があったときは、総会議事録については閲覧をさせなければならないが、理事会議事録については閲覧をさせる必要はない。

X 適切でない。 理事会議事録についても閲覧をさせる必要がある。 平成23年 マンション管理士試験 「問28」 。
  マンション標準管理規約「単棟型」(以下、この解説でも「標準管理規約」といいます)によると、
 まず、専有部分の賃借入の書面による”議事録”の閲覧請求があったときは、標準管理規約49条
 「(議事録の作成、保管等)
 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
   3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる
   4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」とあり、
 3項でいう、「利害関係人」には、組合員(区分所有者)、賃借人等の専有部分の占有者、売買等によって区分所有権を取得しようとする者、専有部分を賃借しようとする者、管理組合に対し債権を有し、または管理組合と取引しようとする者、区分所有権または敷地利用権の上に抵当権を有し、または抵当権の設定を受けようとする者、区分所有者から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係のある者などが該当しますから、理事長は、議事録の閲覧請求があれば、閲覧させなければなりませんから、前半は、正しい。

 そこで、後半の「理事会議事録」の閲覧請求ですが、これは、標準管理規約53条
 「(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
  2 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする」とあり、
 53条2項により、49条3項の規定が準用されていますから、理事会議事録についても閲覧をさせる必要があり、後半は、適切ではない、となり、全体では、適切ではありません。



2  管理規約の変更は、総会では組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上で決するが、総会に提案する規約変更案を理事会で決定する場合は、出席理事の過半数で決する。

○ 適切である。
 管理規約の変更となると、総会の決議事項で、標準管理規約47条
 「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
   5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
   6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
   9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」とあり、
 47条3項1号により、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決しますから、前半は、正しい。

 そして、総会に提案する規約変更案を理事会で決定する場合は、標準管理規約54条
 「(議決事項)
 第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
     一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
     二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
     三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
     四 その他の総会提出議案
     五 第17条に定める承認又は不承認
     六 第58条第3項に定める承認又は不承認
     七 第60条第3項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
     八 第67条に定める勧告又は指示等
     九 総会から付託された事項」とあり
 54条2号により、理事会の決議が必要です。

 では、理事会の議事は、標準管理規約53条
 「(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する
   2 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」とあり、
 53条1項により、議事は出席理事の過半数で決しますから、後半も適切で、全体として、適切です。



3  総会では、招集通知によりあらかじめ通知した事項以外を決議することはできないが、理事会ではそのような制限はなく、必要があれば、理事会当日にその場で提案された事項についても決議をすることができる。

○ 適切である。 参考:平成21年 管理業務主任者試験 「問38」 ウ。
 総会で決議するにあたっては、選択肢1で引用しました、標準管理規約47条9項、
 「9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」の規定があり、
 これは、総会に出席しない(できない?)組合員の権利を守るためのもので、招集通知によりあらかじめ通知した事項以外を決議することはできませんから、前半は、適切です。

 理事会での決議は、標準管理規約54条
 「(議決事項)
 第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
     一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
     二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
     三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
     四 その他の総会提出議案
     五 第17条に定める承認又は不承認
     六 第58条第3項に定める承認又は不承認
     七 第60条第3項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
     八 第67条に定める勧告又は指示等
     九 総会から付託された事項」
 とあるだけですから、広く、管理組合の運営に関する事項を検討して、必要があれば、理事会当日にその場で提案された事項についても決議をすることができますから、後半も、適切で、全体として、適切です。



4  監事は、管理組合の業務の執行及び、財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。

○ 適切である。
 監事の業務は、標準管理規約41条
 (監事)
 第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
   2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる
   3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。」とあり、
 41条2項により、監事は、管理組合の業務の執行及び、財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができますから、適切です。



答え:1  標準管理規約からの出題としては、かなり易しい。

ここまで、問25


次へ次へ

2014年 2月18日:再検討した。
2014年 2月 7日:再検討と、リンクを入れた。
2014年 1月25日:解説を再検討した。
「問3」、「問7」に解説の追加。「問11」の図からTABLEへの変更。「問12」「問13」に図の追加。
引用条文が長い箇所には、改行を入れた。

2014年 1月18日:1月10日のマンション管理センターの合格発表を受けて、正解を確認した。
2013年12月15日:「問25」まで第1稿Upした。
解説開始:2013年11月28日

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