マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

平成21年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

前へ戻る前へ戻る

  謝辞:問題文の作成には、 相川さま、松本さま の協力を得ています

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

〔問 26〕 前理事の解任に伴い管理組合法人の集会で新たに選任された理事Aの職務に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、前理事の解任の登記は行われていないものとする。

1 Aは、規約で定めれば、集会の決議によらないでも、共同利益背反行為の停止等を請求するための訴訟を提起することができる。

X 誤っている。 法人についても、出題は多い。 平成23年 管理業務主任者試験 「問38」 も参考に。
  管理組合法人の理事の事務の執行は、区分所有法第52条(事務の執行)
 「第五十二条  管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、すべて集会の決議によつて行う。ただし、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び
第五十七条第二項に規定する事項を除いて、規約で、理事その他の役員が決するものとすることができる
   2  前項の規定にかかわらず、保存行為は、理事が決することができる。 」とあり、
 特定の行為を除いて、多くのことは規約で定めれば、理事その他の役員が決することもできますが、第五十七条第二項に関することは、規約でも定めることができません。その区分所有法第57条2項とは、義務違反者に対する措置で、共同の利益に反する行為(共同利益背反行為)の停止等の請求がそれです。集会の決議がなければ、この訴訟の提起はできません。参考:区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 「第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
   2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
   3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
   4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。
  (注:この出題は、標準管理規約(単棟型)67条の規定 及び 平成21年管理業務主任者試験 「問34」 選択肢イ との関係で問題がある。)

2 Aは、大規模修繕工事について、集会の決議を経て、Aの名前で第三者と工事請負契約を締結することができる。

○ 正しい。 集会の決議があれば、区分所有法第49条新:3項
 「3  理事は、管理組合法人を代表する。」により、
 理事は管理組合法人を代表しますから、理事Aの名前で第三者と工事請負契約を締結することができます。

3 Aは、規約又は集会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為をマンション管理士に委任することができる。

○ 正しい。 ここは、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、区分所有法第49条旧7項で準用していた旧民法第52条2項から第56条の規定が削除されたことにより、区分所有法に追加・明文化された条項に該当します。新:区分所有法第49条の3 (理事の代理行為の委任)
 「第四十九条の三  理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。」とありますから、この場合、マンション管理士に委任できます。

4 Aは、前理事が、解任後に管理組合を代表して行った取引行為の相手方に対して、その効果が管理組合法人に及ばないことを主張することはできない。

○ 正しい。 マンションの管理組合が法人となると、区分所有法第47条(成立等)
 「第四十七条  第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
   2  前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
   3  この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
   
4  管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。 」とありますように、
 名称や事務所、理事などを登記しなければなりません。解任された前理事の登記が変更されていないと、4項の規定により、第三者に対抗(主張)出来ません。

答え:1 (管理組合法人は改正があったので、出題されると予想していた範囲です。)

問27

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 27〕
 ベランダ等の共用部分での禁煙を細則で定めることを検討している理事会における各理事の発言のうち、標準管理規約の規定によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 禁煙に違反した専有部分の賃借人やその同居人に対しては、理事会の決議を経れば、理事長から警告することができます。

○ 適切である。 規約違反は、平成20年管理業務主任者試験 「問34」 が似ている。
  規約に違反した専有部分の賃借人やその同居人に対しては標準管理規約(単棟型)67条1項(理事長の勧告及び指示等)
 「第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、
理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。」あり、
 理事長は理事会の決議を経て、区分所有者だけでなく、賃借人や同居人に対しても、警告できます。

2 共用部分である管理事務室や集会所も禁煙の対象となりますので、毎月、集会所で開かれる理事会も禁煙となります。

○ 適切である。 管理事務室や集会所も標準管理規約では、共用部分として規約の対象となる範囲です。参考:標準管理規約4条対象物件の範囲)
 「第4条 この規約の対象となる物件の範囲は、別表第1に記載された敷地、建物及び附属施設(以下「対象物件」という。)とする。」
 そして、同規約8条(共用部分の範囲)
 「第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。
  「別表第2共用部分の範囲
   1 玄関ホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、電気室、機械室、パイプスペースメーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、
バルコニー、ベランダ、屋上テラス、車庫等専有部分に属さない「建物の部分」
   2 エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、ガス配管設備、火災警報設備、インターネット通信設備、ケーブルテレビ設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、塔屋、集合郵便受箱、配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   3 
管理事務室、管理用倉庫、集会室及びそれらの附属物」

3 専有部分の賃借人については、賃貸借契約書で、専用使用部分は賃借人が自由に使用できるとされていても、今後、ベランダでは禁煙です。

○ 適切である? 専有部分の賃借人が規約を守らなければならないのは、選択肢1で説明したとおりです。では、次に、ベランダ(またはバルコニー)については、専有部分か共用部分であるかの争いはありますが、選択肢1の標準管理規約では、共用部分としています。
 それでは、ベランダや専用庭などを共用部分として認めて、勝手に区分所有者が改造などはできないとは認めても、そこに専用使用権が設定されている以上、煙草をすう行為が使用上での厳重な制限ができる行為であるとの判断は、一部のレストランなどでも喫煙が許されている現在の状況では非常に困難です。これが、ベランダでなくマンションの廊下での喫煙の禁止なら妥当ですが。
 多分、この設問は、そこまでの検討はされていないと思いますので、一応適切とはしますが。

4 共用部分は禁煙となりますので、マンションの敷地も共用部分として禁煙区域に含まれます。

X 適切でない。 かなり、悪問で引っかけです。今までの設問の流れからすると、適切になりますが、「マンションの敷地も共用部分として」が適切ではありません。共用部分とは、建物の専有部分以外をさす言葉です。参考:区分所有法第2条4項
 「4  
この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。 」。
 マンションの敷地は、共用部分ではありません。

答え:4 (選択肢4 の引っかけにのらないように。)
マンション管理センターの正解: 4

問28

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 28〕
 区分所有者Aが、その専有部分を第三者Bに貸与しようとする場合に関する次の記述のうち、標準管理規約の規定によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 Aは、Bに管理規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。

○ 適切である。 専有部分を第三者に貸与する時には、標準管理規約19条(専有部分の貸与)
 「第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
   2 前項の場合において、
区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。」とあり、
 2項に該当します。

2 Aは、Bとの契約において、管理規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めなければならない。

○ 適切である。 選択肢1で引用した標準管理規約19条2項に該当します。

3 Aは、管理組合と駐車場使用契約を締結しAが使用している駐車場を、引き続きBに使用させることができる。

X 適切でない。 駐車場使用については、標準管理規約15条3項
 「 3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。」とあり、
 以前の区分所有者との駐車場契約は無効です。(実務において、この駐車場契約を引き継がないということは、注意してください。元の区分所有者は、分譲時に、今契約している駐車場がそのまま使えると説明している場合があります。)

4 Aは、Bの同居人が共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、その是正等のために必要な措置を講じなければならない。

○ 適切である。 専有部分の貸与を受けた同居人であっても、標準管理規約67条(理事長の勧告及び指示等)
 「第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
   2 
区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。」とあり、
 2項に該当します。

答え:3 (易しい問題? 標準管理規約67条は前 問27 選択肢1 でも出ている。)

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 29〕
マンションの集会室利用細則の制定につき相談を受けたマンション管理士が、相談に対する回答等として行った次の発言のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 集会室を区分所有者や占有者以外の第三者への使用を予定している場合には、集会室利用細則にあらかじめ第三者の利用を認める旨規定しておくべきです。そのような定めがないと、第三者に使用させるたびごとに総会決議が必要となります。

○ 適切である。 面倒な設問です。 第三者がマンションの敷地や共用部分を使うと、基本となっているのは、標準管理規約16条です。
 (敷地及び共用部分等の第三者の使用)
 「第16条 管理組合は、次に掲げる敷地及び共用部分等の一部を、それぞれ当該各号に掲げる者に使用させることができる。
   一 管理事務室、管理用倉庫、機械室その他対象物件の管理の執行上必要な施設管理事務(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「適正化法」という。)第2条 第六号の「管理事務」をいう。)を受託し、又は請け負った者
   二 電気室○○電力株式会社
   三 ガスガバナー○○ガス株式会社
  2 
前項に掲げるもののほか、管理組合は、総会の決議を経て、敷地及び共用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部について、第三者に使用させることができる。」とあり、
 2項により、集会室の第三者利用が、総会の決議事項となっています。

2 集会室を区分所有者や占有者のみが使用することを予定している場合には、使用料を徴収することはできませんので、集会室利用細則中に使用料の徴収手続等に関する規定を設けることはできません。

X 適切でない。 集会室を区分所有者や占有者のみが使用する場合でも、使用細則を別途定めて、使用料をとることは、可能と考えられています。
 参照:標準管理規約 第18条 関係コメント
    ①使用細則で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制や、駐車場、倉庫等の使用方法、使用料等敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事項等があげられ、このうち専有部分の使用に関するものは、その基本的な事項は規約で定めるべき事項である。なお、使用細則を定める方法としては、これらの事項を一つの使用細則として定める方法と事項ごとに個別の細則として定める方法とがある。
 標準管理規約29条(使用料)
 「第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」

3 集会室利用細則の制定に当たっては、理事会で細則案を作成し、組合員のアンケートを実施したほうがいいでしょう。そうすれば、総会決議事項とする総会での取決めがない限り、理事会の決議のみでも細則を制定することができます。

X 適切でない。 使用細則の制定、変更・廃止は規約と同じように、総会の決議が必要です。理事会だけで勝手に制定されてはこまります。
 参照:標準管理規約48条4号:議決事項)
 「第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
  
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止

4 一部の区分所有者が倉庫代わりに集会室の一部を独占的に使用していた場合でも、集会室利用細則中に、集会室以外での目的の利用を禁止しておかないと、規約違反行為として警告等をすることができません。

X 適切でない? 設問の「独占的に使用」が、管理組合の許可を得ているのかどうかはっきりしませんが、この設問は、多分、「共用部分である集会室を一部の区分所有者が勝手に倉庫として使用」ということで、標準管理規約13条(敷地及び共用部分等の用法)
 「第13条 区分所有者は、敷地及び
共用部分等をそれぞれの通常の用法に従って使用しなければならない。」での解答を想定しているようですから、特に、集会室利用細則中に、集会室以外での目的の利用を禁止しなくても管理規約違反(標準管理規約67条1項参照)として警告できます。

答え:1 (選択肢1は少し難?)
マンション管理センターの正解: 1

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 30〕
理事長等が専有部分又は専用使用部分へ立ち入ろうとする場合において、区分所有者が正当な理由がない限りこれを拒否できないものは、標準管理規約の規定によれば、次のうちどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 通常の使用に伴うバルコニーの管理について、理事長がその状況を調査するために専有部分及びバルコニーへの立入りを請求した場合。

拒否できない。 バルコニーは、専用使用権を持つ区分所有者が使用できますが(標準管理規約21条参照)、管理を行う者は、標準管理規約23条(必要箇所への立入り)
 「第23条 前2条(注:21条と22条を指す)により
管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
  2 前項により
立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」により、
 理事長は専有部分又は専用使用部分(バルコニー)への立入りを請求することができ、立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否できません。「通常の使用」で引っかけようとする出題か? その場合は、バルコニーの管理は、専用使用権を有する者が行うため、拒否できますが。

 参照:標準管理規約21条 ただし書き (敷地及び共用部分等の管理)
 「第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。
ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」(2010年2月15日:追記)

2 専有部分のユニットバス設置工事の実施について、理事長の指定するマンション管理士がその状況を調査するために設置工事等の個所への立入りを請求した場合。

拒否できない。 「ユニットバス設置工事」が、新規なのか交換なのかはっきりしませんが、これは、専有部分の修繕等に該当するという設問でしょう。すると、標準管理規約17条(専有部分の修繕等)
 「第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条 に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
   2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
   3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条 に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
   4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
   5 
理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」とあり、
 5項により、理事長が指定したマンション管理士の調査を区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否出来ません。

3 区分所有者が設置した共用部分の設備と関係のない住宅用火災警報器について、理事長がその状況を調査するために専有部分への立入りを請求した場合。

拒否できる。 区分所有者が専有部分に「住宅用火災警報器」を取り付けても、これは、他の区分所有者等に与える影響はなく、選択肢2で引用しました標準管理規約17条の専有部分の修繕等には、該当しないと考えられますから、理事長への申請は不要です。そこで、理事長がその状況を調査するために専有部分への立入りを請求した場合は拒否できます。

4 理事長の是正勧告を受けて区分所有者がピアノへ取り付けた消音装置について、理事長がその状況を調査するために専有部分への立入りを請求した場合。

拒否できない。 是正勧告を受けて行ったピアノへ取り付けた消音装置も、選択肢2で引用しました標準管理規約17条の専有部分の修繕等に該当すると考えられますから、理事長がその状況を調査するために専有部分への立入りを請求した場合には、拒否できません。

拒否できる? ここは、設問を「是正勧告での状況の調査」と狭くとらえて、是正勧告はできても、その後の「立入り」の規定がないことを理由に拒否できると答えさせるのかも。(是正勧告の確認ができないとなると、標準管理規約が曖昧な規約であることの証明になるけど、マンション管理センターは、国土交通省に逆らうのか?)(2010年2月15日:追記)

答え:1,2,4 (設問が実におかしくて、不適切だ。 「拒否出来るもの」の間違いではないか? 何度も出題を読み返したが、「できないもの」だ。)
マンション管理センターの正解: 2 (ここの正解は、疑問が多すぎます。)

問31

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 31〕 理事会に関する次の記述のうち、標準管理規約(電磁的方法が利用可能でない場合とする。)の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 理事の一人が一定数以上の理事の同意を得て理事長に対し、理事会の招集を請求したにもかかわらず、理事長が招集しない場合には、その請求をした理事が理事会を招集できる。

X 適切でない。 区分所有法では、理事会の規定がないことに注意。この設問は、単純に標準管理規約だけの規定となります。似たようなのは、平成21年管理業務主任者試験 「問38」 にもあります。
 理事会の招集については、標準管理規約52条(招集)
 「第52条 理事会は、理事長が招集する。
   
2 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
   3 理事会の招集手続については、
第43条 (建替え決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第7項までを除く。)の規定を準用する。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。」
 とあり、準用されている、43条(招集手続)
 「第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
   2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
   3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
   4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条 第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
   5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
     一 建替えを必要とする理由
     二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
     三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容四建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
   6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
   7 第45条 第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
   
8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」です。
 ここでは、設問のような、52条2項に該当しても、理事長が、理事会を開かないときの規定はありません。(ただし、一般の総会では組合員は出来ます。標準管理規約44条参照)。これとの混同を狙った出題。

  ---------------------------------------------------------------------------------------- 
  (注:ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正に対応すると、「○ 適切である」になるので注意。
    平成28年3月の改正 標準管理規約52条3項が追加されているため。
    (招集)
  第52条  理事会は、理事長が招集する。
   2  理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
  
 3  前項の規定による請求があった日から○日以内に、その請求があった日から○日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。
   4  理事会の招集手続については、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。

  コメント 第52条関係
  各理事は、理事会の開催が必要であると考える場合には、理事長に対し、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を促すこともできる。ただし、理事長が招集しない場合には、第2項の手続により招集を請求することとなる。それでも理事長が招集の通知を発出しない場合には、招集を請求した理事が、理事会を招集できることとなる。 )

  ----------------------------------------------------------------------------------------
    

2 理事会において定める理事会の開催通知に必要な期間は、総会の招集手続きに関する規約の規定が準用されるので、緊急を要する場合であっても、5日間を下回ることはできない。

X 適切でない? 選択肢1で引用しました、標準管理規約52条の準用で43条8項が適用されますから、理事会の開催も原則2週間前の開催通知は、緊急の場合でも5日間を下回ることはできません。ただし、理事会で別段の定めはできます(52条3項)から「5日間を下回ること」も可能です。設問で、「ただし、理事会で別段の定めはないものとする」の文言がないのは、ここをきいているようです。

3 監事から出席する旨の通知があった理事会において、理事の半数以上は出席していたが監事がやむを得ず欠席していた場合には、その日の理事会は成立せず、その理事会でなされた決議は無効である。

X 適切でない。 監事は役員ですが、理事ではありません。
  参考:標準管理規約35条(役員)
 「第35条 管理組合に次の
役員を置く。
    一 理事長
    二 副理事長○名
    三 会計担当理事○名
    四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。)○名
    五 監事○名
  2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
  3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
 そして、理事会の成立条件は、標準管理規約53条(理事会の会議及び議事)
 「第53条 
理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。」とありますから、
 理事の半数以上が出席すれば理事会は成立していますから、監事が欠席でも、成立した理事会での決議も有効です。
(注:標準管理規約35条は、平成23年に改正があったが、ここは、特に、影響がない。)

4 理事長は、理事会の議事録を作成して保管し、組合員から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者から書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。

○ 適切である。 理事会の議事録も、標準管理規約53条2項
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
 
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
  2 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条 第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。

 (イ)電磁的方法が利用可能な場合
  2 議事録については、第49条 (第6項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条 第3項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。 
 とあり、
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕  
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(議事録の作成、保管等)
 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。

   3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる
   4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。

 ついでながら、
 (イ)電磁的方法が利用可能な場合
(議事録の作成、保管等)
 第49条 総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
   3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
   4 第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員が電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律第2条 第1項の「電子署名」をいう。以下同じ。)をしなければならない。

   5 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる
   6 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」です。
 電磁的方法が利用可能な場合でも可能でない場合でも、準用される総会議録と同様に、理事会の議事録も理事長が作成し保管します。
 そして、(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合の49条3項、(イ)電磁的方法が利用可能な場合の5項により、組合員又は利害関係人の書面(又は電磁的方法)による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければなりません。そこで、この「利害関係人」の範囲ですが、第49条 関係のコメント
 「①第3項の
「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。」あり、
 組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者も利害関係人に入っています。

答え:4 (前の「問30」 や この 「問31」 の解説をやっていると、解答が1つだけでないため、出題文が日本語として理解できていないかと、私の頭が混乱しています。)
マンション管理センターの正解:4

問32

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 32〕
 管理組合の運営と総会の普通決議(出席組合員の議決権の過半数で決する決議をいう。この問いにおいて以下同じ。)に関する次の記述のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 各組合員の共用部分の共有持分は同一でないが、管理費の赤字を補填するため、総会の普通決議により、「組合員に各戸一律5万円を負担してもらう。」こととした。

X 適切でない? 「共用部分の共有持分は同一でない」がどの程度の差があるのか不明ですが、管理費の徴収は、総会の決議で、標準管理規約48条(議決事項)
 「第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   六 第28条 第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
   七 第28条 第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
   八 修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条 第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第57条 第2項及び前条 第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
   十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   十二 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
   十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」により、
 3号に該当し総会の普通決議(標準管理規約47条参照)が可能です。
 では、その負担割合ですが、標準管理規約25条(管理費等)
 「第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
   一 管理費
   二 修繕積立金
  
2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」とあり、出題の意図としては、「共有持分が同一でないのに、一律で負担させることを適切でないとする」積りのようです。しかし、「共用部分の共有持分」に余り差が無い時(判断が難しいですが)には、一律も可能と判断されることがあります。
 具体的には、標準管理規約61条 (管理費等の過不足)
 「第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
   2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して
第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」があります(2010年2月15日:追記)

2 理事会の出席率が悪いので、総会の普通決議により、「理事と同居する親族は、理事を代理して理事会に出席することができる。」との理事会運用細則を制定することとした。

X 適切でない。 ここは、注意が必要です。 「理事と同居する親族は、理事を代理して理事会に出席することができる。」は、標準管理規約53条のコメント第53条 関係
 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族に限り、代理出席を認める旨を
規約に定めることもできる。」とあるように、
 理事会運用細則ではなく、規約に定めることを勧めています。規約の制定は、標準管理規約47条(総会の会議及び議事)
 「第47条 総会の会議は、前条 第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
  2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
  
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する
   
一 規約の制定、変更又は廃止
   二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
   三 区分所有法第58条 第1項、第59条 第1項又は第60条 第1項の訴えの提起
   四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
  4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。」の
 3項1号に該当しますから、普通決議では出来ません。組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の決議が必要です。

3 総会での普通決議により、管理会社を変更し、併せて、「変更後の管理会社との委託業務費の決定については、予算の範囲内であれば、理事会に一任する。」こととした。

○ 適切である。 「管理会社の変更」は、選択肢1で引用しました、標準管理規約48条14号に該当し、これは普通決議で可能です。そして、「変更後の管理会社との委託業務費の決定については、予算の範囲内であれば、理事会に一任する。」の決議ですが、これは、厳密にいうと、「あらかじめ通知している事項」に入るかの問題はありますが、「予算内」との条件で、理事会への一任は、総会から付託された事項として適切であると考えます。
 参考:標準管理規約54条(議決事項)
 「第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
    一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
    二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
    三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
    四 その他の総会提出議案
    五 第17条に定める承認又は不承認
    六 第67条に定める勧告又は指示等
    
七 総会から付託された事項」の7号。(2010年2月15日:追記)

4 総会の普通決議事項について、総会において、複数の案から1案を選択すべく決議を行ったが、どの案も過半数に達しなかったので、「比較多数を得た案に決定する。」こととした。

X 適切でない。 総会の決議は、選択肢2で引用しました標準管理規約47条2項にあるように、「2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。」です。過半数に達しなければ、全部否決となります。

答え:3 
マンション管理センターの正解:3

問33

〔問 33〕 管理費等を滞納している組合員(この問において「滞納組合員」という。)に対する督促について、マンション管理業者Aが理事会で行った次の説明のうち、マンション標準委託契約書によれば、適切でないものはどれか。


(注)マンション標準委託契約書は、平成22年(2010年)5月1日施行で、改正があったので、注意のこと。ここの解説は、一部変更を追記した。本旨は変わりない。

1 Aの滞納組合員に対する督促については、組合員異動届等により管理組合から提供を受けた情報の範囲内で、その支払の督促を行うことになります。

○ 適切である。 (余談ながら:マンショシ標準管理委託契約書は、マンション管理組合の修繕積立金等の毀損などの事案に対応するためのマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成21年国土交通省令第35号。)が平成21年5月1日に公布さ れています。施行は平成22年5月1日ですから、本、平成21年と来年平成22年の試験では変更は関係ありませんが、「管理委託契約書」も同コメントも財産の分別管理(第87条第2項関係)を中心に全体的な見直しがされています。平成23年の受験生は、新しい「管理委託契約書」での対応が必要ですよ。追加:平成22年のマンション管理士・管理業務主任者試験では、通常なら、その年の出題に係る法令等については、その年の4月1日において施行されている法令等とする。が変更されて、出題に係る法令等については、平成22年5月1日において施行されている法令等とする。になっています。平成22年の受験生から対応が必要ですよ。)

 まず、管理費等の収納は、マンション標準委託契約書3条(管理事務の内容及び実施方法)
 「第三条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第一から第四に定めるところにより実施する。
   
一 事務管理業務(別表第一に掲げる業務)
   二 管理員業務(別表第二に掲げる業務)
   三 清掃業務(別表第三に掲げる業務)
   四 建物・設備管理業務(別表第四に掲げる業務) 」とあり、
 1号の事務管理に該当し、別表第一に入っています。
 そして、滞納組合員に対する督促については、マンション標準委託契約書10条(管理費等滞納者に対する督促)
 「第十条 乙(業者)は、第三条第一号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲(管理組合)の組合員に対し別表第一1(2)②の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。
  2 前項の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。 」とあり、別表第一1(2)②の督促は、
 「一 毎月、甲の組合員の管理費等の滞納状況を、甲に報告する。
  二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、支払期限後○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。
  三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙はその業務を終了する。 」とあり、
 適切です。

2 Aの滞納組合員に対する督促については、支払期限後一定の期間内、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行います。

○ 適切である。 選択肢1で引用しました、別表第一1(2)②の督促
 「二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、支払期限後○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。」に該当します。
 
注:2011年2月4日追記:ここは、改正があった。 改正文:二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、最初の支払期限から起算して○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。)


3 Aが契約書に基づく督促を行ったにもかかわらず、支払期限後一定の期間内に滞納組合員が滞納管理費等を支払わない場合は、Aはその責めを免れます。

○ 適切である。 選択肢1で引用しました、別表第一1(2)②の督促
 「三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙はその業務を終了する。 」および、同じく選択肢1で引用しましたマンション標準委託契約書10条1項 
 「第十条 乙は、第三条第一号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の組合員に対し別表第一1(2)②の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。」に該当します。

4 管理組合名義による配達証明付内容証明郵便による督促は、事前協議の有無にかかわらずAが行います。

X 適切でない。 配達証明付内容証明郵便による督促となるとこれは事前協議が必要となります。選択肢1で引用しましたマンション標準委託契約書10条2項に該当し、これについてはコメント 第十条関係
 「第二項のマンション管理業者の協力について、事前に協議が整っている場合は、協力内容(甲の名義による配達証明付内容証明郵便による督促等)、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。 」

注:2011年2月4日追記:ここは、改正があった。 改正文:10 第10 条関係 弁護士法第72 条の規定を踏まえ、債権回収はあくまで管理組合が行うものであることに留意し、第2項のマンション管理業者の協力について、事前に協議が整っている場合は、協力内容(甲の名義による配達証明付内容証明郵便による督促等)、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。

答え:4 

問34

〔問 34〕 総会において、会計担当理事が平成20年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)決算の管理費会計の収支報告書又は貸借対照表に関して行った次の説明のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。

1 収支報告書の管理費収入が当初予定より多かったのは、年度途中で管理費を値上げしたことが主な要因ですが、管理費の前受金が増加したことも一因です。

X 適切でない。 まず、毎年、マンション管理士試験・管理業務主任者試験で会計の出題方法が、各方面から非難されています。平成20年マンション管理士試験 「問34」 など。
  それは、マンションの管理組合の会計システムが、明確になっていないせいです。 原則として企業のように営利を目的としていない管理組合の会計は、公益法人会計に近い会計処理をするのが望まれていますが、実態は、管理業務を委託された業者が採用している、パソコンの「マンションの会計システム」を使用しています。業者の会計システムですから、極端な話、各マンションごとに、違いがあります。それでも、継続してやっていれば、それで正しいとなっているのが現状です。
 また、多くのマンションの居住者は、企業の損益計算書や貸借対照表は見慣れているものの、公益法人の会計システムなんて知りません。年一度報告される「貸借対照表」「収支報告書」があれば、全内容はチェックしないし、また会計を知らないため、チェックできず数字を正しいと思って認めているでしょう。監査の人も、専門家ではないため実態として厳密な監査は出来ていません。
 そんな、あやふやな状況にあるのが、マンション管理士・管理業務主任者試験で出される会計であることを知っておいてください。

 さらに、毎年説明してますが、「発生主義の原則」も大切なワードです。

   ★発生主義ということ

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 さらに、「資金の範囲」にも注意してください。資金の範囲外であれば、収支報告書には、計上されないという原則もあります。

  ここで、設問の解説ですが、前半の、「収支報告書の管理費収入が当初予定より多かったのは、年度途中で管理費を値上げしたこと」は、管理費が値上げされたので、管理費収入は増えますから、適切ですが、後半の「管理費の前受金が増加したこと」は、前受金は、貸借対照表には反映されますが、収支報告書の収入には反映されません。よって適切ではありません。

2 現金預金が増加しているのは、管理費の前受金が増加していることによります。この結果、次期繰越収支差額は増加しております。

X 適切でない。 現金預金は、前受金が増加すれば増えますが、貸借対照表上での処理で、収支報告書には、反映されていません。次期繰越収支差額の増加には影響していません

3 当年度において、来年度分を含めて2年分の保険料を支払っていますが、当年度の収支報告書では当年度分のみを計上し、来年度分の保険料については、貸借対照表に計上しております。

○ 適切である。 ここが、発生主義と云われている部分です。 来年度分の支払は、今期には発生していませんから、貸借対照表での前払金として処理します。なお、当年度分は、収支報告書の支払として処理されます。

当期の仕訳の例
(借方) (貸方)
損害保険料(当期分)(費用の発生) 普通預金(資産の減少)
前払金(来年度分)(資産の増加)  

 なお、前払金として処理された、来年度分は、次の年度には、振替仕訳がなされます。

次年度の仕訳の例
(借方) (貸方)
損害保険料(当期分)(費用の発生) 前払金(資産の減少)

4 収支報告書の次期繰越収支差額と貸借対照表の正味財産金額は前年度まで一致していましたが、本年度は来年度分の損害保険料を貸借対照表に資産計上しているため一致していません。

X 適切でない? 通常、貸借対照表での正味財産は、
  正味財産=資産 - 負債 となり、これは、収支報告書の次期繰越収支差額と一致するようになっています。 
  この設問は、平成20年マンション管理士試験 「問34」 選択肢3 では、資金外の「積立保険料」が、入っている場合には、収支報告書の次期繰越収支差額と貸借対照表の正味財産金額は一致していないとしてます。 本年の設問では、来年度分の損害保険料とあり、前払金としての処理だけをきいているようです、「積立保険料」ではない点が、ひっかかりますが、通常の会計処理としては、資金の範囲内での処理なので一致します。 

答え:3  会計については、本当に解説が難しい。 公益法人やNPO法人の会計についての本もかなり読んだが、「正味財産の増減」が、設問と結びつかない。もっとすっきりと解説を出来る方がいたら、http://tk4982.at.webry.info/ に連絡をお願いします。
マンション管理センターの正解:3

問35

〔問 35〕 甲マンション管理組合の理事会において、会計担当理事が平成20年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)決算の管理費会計の比較貸借対照表について行った説明のうち、収支報告書又は貸借対照表に関する説明として適切でないものは、次のうちどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。

1 負債項目である前受金が200,000円増加していますが、管理組合の財産状況としては問題ありません。

○ 適切である。 発生主義の重要性は、前「問34」の説明を参照。
  前受金は、次期会計年度には、振替処理で収入になりますから、管理組合の財産状況としては問題ありません。

2 積立保険料は、3年後に返戻されますが、支出が当年度ですので、平成20年度の収支報告書には計上されています。

○ 適切である? 積立保険料は、出題の「資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする」とした時に「資金の外」にあります。この場合に、どう処理をするのか、正味財産での増減にどう影響をするのか、会計に詳しい方の解説をお願いします。参考:平成20年マンション管理士試験 「問34」 及び、 平成19年マンション管理士試験 「問34」 選択肢4 も参照。これによると、適切? しかし、ここで云っている、積立保険料が、すでに当期の掛捨て部分を除いた部分であれば、当期:平成20年度の収支計算書には計上されないが。

X 適切でない? 上で述べたように、ここで云っている、積立保険料が、すでに当期の掛捨て部分を除いた部分であれば、当期:平成20年度の収支計算書には計上されません。また、資金の範囲外にあると、通常の会計処理でなく、正味財産の増減計算書には記載されるが、収支報告書には記載されない。 の解釈もあります。選択肢4 も参照。

3 平成20年度の収支報告書の前期繰越収支差額は700,000円です。

○ 適切である。 平成19年度には、満期払戻積立保険の発生は無いようですから、この場合には、収支報告書の繰越収支差額が貸借対照表の正味財産と一致します。平成19年度の正味財産が 700千円となっていますから、収支報告書の前期繰越収支差額は700、000円です。

4 平成20年度の収支報告書の当期収支差額は100,000円のプラスでした。 

X 適切でない? 正味財産は、[資産 - 負債] で算出されます。通常、正味財産は、収支報告書の次期繰越収支差額に一致しますが、満期払戻積立保険が入ると、一致しないようです。
  そこで、正味財産の平成20年(800千円)と平成19年(700千円)の増減(100千円)には、ならないようです。参考:平成20年マンション管理士試験 「問34」 選択肢3 の出題意図。これと上の選択肢2 も絡めると解説ができない!

  参考:平成20年度の正味財産 ¥800,000 から 積立保険の ¥300,000 を引き、 ¥500,000 となります。これが、平成20年度の次期繰越収支差額となる? そこで、平成19年の収支差額 ¥700,000 と比較すると、 マイナス -¥200,000 が正しいのか?

答え:4? 本当に、マンションの会計は難しい。というか、根拠がでたらめだ。 一体どこの会計本を参考にすればいいのか分からない。図書館でいろいろと会計関係の本を時間をかけて読んだが、資金の範囲外と収支報告書の適切な参考書がない! どなたか、解説をお願いします。 
        連絡は、http://tk4982.at.webry.info/ にお願いします。

マンション管理センターの正解:4

問36

〔問 36〕国土交通省策定の「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 新築マンションの長期修繕計画の計画期間は30年以上としているが、これは、修繕周期が長い建築設備関係の修繕を含むことを想定したものである。

○ 適切である。 ここは、平成22年 マンション管理士試験 「問39」 でも出た。
まず、国土交通省策定の「長期修繕計画作成ガイドライン」は平成20年6月17日に発表されています。
  ガイドラインの目的は、
 このガイドラインは、マンションにおける長期修繕計画の作成又は見直し(以下「作成」という。)及び修繕積立金の額の設定に関して、基本的な考え方等と長期修繕計画標準様式(以下「標準様式」という。)を使用しての作成方法を示すことにより、適切な内容の長期修繕計画の作成及びこれに基づいた修繕積立金の額の設定を促し、マンションの計画修繕工事の適時適切かつ円滑な実施を図ることを目的としています。
 そして、設問の解答としては、(3)計画期間の設定
 【新築マンションの場合】
  30年としています。(およそ30年目の設備関係の修繕を含んだ期間

 【既存マンションの場合】
  25年としています。(大規模修繕(周期12年程度)が2回含まれる期間)
 となっています。

2 長期修繕計画の作成、見直しに当たっては、マンションを適切に維持していくことを前提としているが、高経年のマンションの場合は、必要に応じて建替えも視野に入れて検討を行うことが望ましい。

○ 適切である。 これは、ガイドラインを見るまでもないことですが、
 第2節に 「5 マンションのビジョンの検討
   マンションの現状の性能・機能、調査・診断の結果等を踏まえて、計画期間においてどのような生活環境を望むのか、そのために必要とする建物及び設備の性能・機能等について十分に検討することが必要です。
 また、現状の耐震性、区分所有者の要望等から、必要に応じて「マンション耐震化マニュアル(国土交通省)」、「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(国土交通省)」等を参考とし、建物及び設備の耐震性、断熱性等の性能向上を図る改修工事の実施検討を行います。
 
高経年のマンションの場合は、必要に応じて「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル(国土交通省)」等を参考とし、建替えも視野に入れて検討を行うことが望まれます

3 修繕積立金の積立方法における均等積立方式は、計画期間中の修繕積立金の額が均等となるように設定する方式であり、長期修繕計画の見直しによる修繕積立金の額の変更は生じない。

X 適切でない。 均等積立方式の説明は、計画期間中の修繕積立金の額が均等となるように設定する方式で適切ですが、長期修繕計画の見直しは5年程度ごとに行い、それにより変更があれば、当然修繕積立金の額も変更が必要となります。
 参考:第2節 修繕積立金の額の設定方法
  1 修繕積立金の積立方法
  修繕積立金の積立ては、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式(以下「
均等積立方式」という。)を基本とします。
 なお、
均等積立方式による場合でも5年程度ごとの計画の見直しにより、計画期間の推定修繕工事費の累計額の増加に伴って必要とする修繕積立金の額が増加しますので留意が必要です。また、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を段階的に増額する積立方式とする場合は、計画の見直しにより計画の作成当初において推定した増加の額からさらに増加しますので特に留意が必要です。
 分譲事業者は購入予定者に対して、また、専門家は業務を依頼された管理組合に対して、修繕積立金の積立方法について十分に説明することが必要です。

4 機械式駐車場の維持管理に多額の費用を要することが想定される場合は、管理費会計及び修繕積立金会計とは区分して駐車場使用料会計を設けることが望ましい。

○ 適切である。 平置き駐車場と異なり、機械式駐車場の維持管理には多額の費用がかかります。そこで、管理費会計及び修繕積立金会計とは区分して、独立した駐車場使用料会計を設けることも検討します。
 参考:9 収支計画の検討
 計画期間に見込まれる推定修繕工事費(借入金がある場合はその償還金を含む。以下同じ。)の累計額が示され、その額を修繕積立金(修繕積立基金、一時金、専用庭等の専用使用料及び駐車場等の使用料からの繰入れ並びに修繕積立金の運用益を含む。以下同じ。)の累計額が下回らないように計画することが必要です。
 また、推定修繕工事項目に建物及び設備の性能向上を図る改修工事を設定する場合は、これに要する費用を含めた収支計画とすることが必要です。
 
なお、機械式駐車場があり、維持管理に多額の費用を要することが想定される場合は、管理費会計及び修繕積立金会計とは区分して駐車場使用料金会計を設けることが望まれます。

答え:3 (ここは、特に「長期修繕計画作成ガイドライン」を知らなくても、易しく解答ができる?)

問37

〔問 37〕建築基準法の特殊建築物に該当するマンションの同法第12条に基づく定期報告に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。


注:建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、未対応。


1 建築物を適切に維持管理するとともに、定期的に調査し、その結果を特定行政庁に報告を行うことは、建築物の所有者あるいは管理者の義務である。

○ 適切である。 建築基準法の定期報告は、過去も昇降機で出題が多い。平成19年マンション管理士試験 「問20」 、平成18年管理業務主任者試験 「問18」 など。
   特に、平成18年6月に都内で起きた、マンションでのエレベーター事故の反省から、平成20年4月から、エレベーターだけでなく、選択肢3のような、外装仕上げ材の劣化・損傷や吹付け石綿等も見直しの対象となった。
   まず、「特殊建築物とは、建築基準法第2条2号
 「二  
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。」とあり、共同住宅として、マンションが入ります。
 そして、定期報告は、建築基準法第12条1項(報告、検査等)
 「第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの
所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。 」とあり、所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)が特定行政庁に報告しなければなりません。

2 建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期報告のための調査は、一級建築士又は二級建築士でなければ実施できない。

X 適切でない。 選択肢1で引用しました、建築基準法第12条1項には、調査は、「一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者」とあり、①一級建築士・②二級建築士の他にも、③有資格者(建築基準適合判定資格者・特殊建築物等調査資格者)もできます。

3 外装タイル(乾式工法によるものを除く。)の劣化及び損傷の状況の調査は、外壁改修後10年を超え、かつ3年以内に落下により歩行者等に被害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンンマーによる打診等を実施していない場合には、原則として、当該打診等により確認しなければならない。

○ 適切である。 こんな根拠は探すのが面倒。平成20年国土交通省告示第282号 
 「タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況
 開口隅部、水平打継部、斜壁部等のうち手の届く範囲をテストハンマーによる打診等により確認し、その他の部分は必要に応じて双眼鏡等を使用し目視により確認し、異常が認められた場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する。ただし、竣工後、外壁改修後若しくは落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施した後10年を超え、かつ3年以内に落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施していない場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する(3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合又は別途歩行者等の安全を確保するための対策を講じている場合を除く)。

具体的な見直し事項の例
 *外装仕上げ材の劣化・損傷
   これまでは、手の届く範囲を打診、その他を目視で確認し、異常があれば所有者等に対して精密調査が促されていましたが、タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷については、調査者の手の届く範囲のテストハンマーによる打診等により異常が認められた場合及び竣工、外壁改修等の後10年を超えてから最初の調査である場合は、歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は全面的なテストハンマーによる打診等(以下「全面打診等」という。)により確認することとされました。ただし、当該調査の実施後3年以内に外壁改修若しくは全面打診等が行われることが確実である場合又は別途歩行者等の安全を確保するための対策が講じられている場合は、全面打診等を行わなくても差し支えないとされました。

4 防火設備である防火戸の閉鎖又は作動の状況の調査は、3年以内に実施した点検の記録の有無を調べ、記録による確認ができない場合には、閉鎖又は作動を確認しなければならない。

○ 適切である。 これも、平成20年国土交通省告示第282号
 防火設備の閉鎖又は作動の状況 
 各階の主要な防火設備の閉鎖又は作動を確認する。ただし、3年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することで足りる。

答え:2 (ここの、選択肢2 は、他を知らなくても、過去問題をやっていた人はすぐにできた?)

問38

〔問 38〕マンションの建物の劣化状況の調査・診断に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 金属製の手すりの点検においては、手すりの上部の錆の状況だけなく、支柱の埋込部の腐食の状況の確認が重要である。

○ 適切である。 金属製の手すりなどでは、表面の錆の状況だけでなく、支柱が埋め込まれている躯体との接合部の点検が欠かせません。ここから水の影響などで腐食が始まり、手すりが、崩れ落ちることもあります。

2 赤外線法によって晴天の昼間(温度上昇時)にタイルの浮きを調査した結果、周辺よりも低温の部分が確認されたので、タイルの浮きがあると判断した。

X 適切でない。 赤外線法はよく出る。 赤外線による外壁タイルの浮きの調査は、温度差の大きな日中に行い、浮いている個所と健常部とを熱伝導の差で調査します。この場合、浮いている部分は、周辺よりも高温になります。  参考:平成18年マンション管理士試験 「問37」 、平成15年マンション管理士試験 「問39」 

3 コンクリートは中性化するとコンクリートの強度が低下することから、中性化の進行が著しい場合は構造安全性の検証を行うことが望ましい。

X 適切でない。 これも、よく出題される。 コンクリートが空気中の炭酸ガスなどで中性化しても、コンクリートそのものの強度は低下しません。コンクリートの中性化が進むとコンクリートが保護している中の鉄筋が腐食しやすくなるために、調査・診断をします。平成19年管理業務主任者試験 「問26」 選択肢3 

4 鉄筋のかぶり厚さを非破壊検査によって調査するために、はつりによる調査を行った。

X 適切でない。 まず、非破壊検査とは、赤外線や超音波、電磁波レーダー等を用いた対象物を損傷せずに検査する方法です。一方「はつり」とは、のみ・たがねやグランダーで削ることです。はつりは非破壊検査ではありません。

答え:1 (易しすぎる問題?)

問39

〔問 39〕 マンションの外壁の改修工法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 ひび割れの改修を行う場合のUカットシール材充てん工法では、ひび割れの動きが小さい場合には可とう性エボキシ樹脂をシール材として選択することが一般的である。

○ 適切である。 ここは、平成20年マンション管理士試験 「問37」 選択肢3 のまま。また、平成16年マンション管理士試験 「問39」 もある。
   可とう性とは、可撓性=柔軟性があり曲げても折れないことです。外壁にひび割れが入ると、その部分をU字に削りとって、シール材(ひび割れ充填材)で埋めます。通常、可とう性エボキシ樹脂が使用されているようです。

2 鉄筋の腐食を抑制するための改修工法の一つに、浸透性の吸水防止材を塗布し水の侵入や塩化物イオンの浸透を抑制する工法がある。

○ 適切である。 この出題は新しい。 鉄はそのままでは錆びるために、鉄筋の腐食を抑制する方法としては、表面に塗装などをして錆を防ぎます。そのほかに、出題のようにコンクリート表面に塗布するだけで塩化物イオン等の侵入を抑制する吸水防止層を形成する方法があります。その成分が深く浸透し、鉄筋の酸化皮膜を再生・強化し、腐食を抑制するそうです。

3 タイル張り仕上げ外壁の改修工法の一つに、外壁の剥落(はくらく)防止を意図してアンカーピンと繊維ネットを併用した工法がある。

○ 適切である。 外壁の剥落防止のために、アンカーピンでタイルをコンクリートまで打ちつけますが、そのさいにアンカーピンとタイルの間にネットを挟む工法があります。ピンネット工法と云うようです。

4 塗り仕上げ外壁の改修工法における既存塗膜の除去方法の一つに、塗膜剥離剤工法があり、上塗りのみの塗り替えを行う場合などに適した工法である。

X 適切でない。 劣化した既存の塗膜を除去する方法には、高圧洗浄、超音波、サンダーなどを使う方法がありますが、剥離剤を使う方法もあります。この剥離剤は、下地を含めた既存の塗膜を全部除去するようで、設問のような、上塗りのみを塗り替える場合には、適していないようです。

答え:4 (新しい分野からの出題もあるが、選択肢4 は何となく分かる?)

問40

〔問 40〕 マンションの室内における冬季の結露対策に関する次に記述のうち、適切でないものはどれか。

1 一般に、外断熱工法のほうが内断熱工法より、熱を伝えやすい熱的短絡部である熱橋(ヒートブリッジ)が形成されにくく、結露発生のリスクは小さくなる。

○ 適切である。 結露は、マンションの居住で大きな問題となっています。気密性が高いために、建築家は仕方ないと云いますが、もう何十年も解決されていません。 平成16年マンション管理士試験 「問42」 、 平成17年マンション管理士試験 「問42」 、平成20年マンション管理士試験 「問40」 など。また、平成21年管理業務主任者試験 「問28」 でも断熱として出ている。
   熱橋(ヒートブリッジ)とは...熱を橋渡しすることです。例えば、断熱材があっても、鉄材が断熱材を貫通していると、鉄材を伝わって熱が逃げていきます。これがあると、そこから、夏は外から室内に熱が侵入しやすくなり、冬は逆に室内の熱が外に逃げて、その部分は、他の室内に比べて温度が低くなり、結露が生じやすくなります。
 外断熱工法は建物の外側を断熱材で覆う工法です。内断熱工法と比べて室内に結露の発生を抑えられます。外断熱工法は内断熱工法に比べてコストが2割程度高くなるようで、今まで内断熱工法が多く採用されてきました。しかし、今後は、外断熱工法が採用される傾向にはあります。

2 窓のカーテンを設置することによって窓の熱貫流率が小さくなるので、ガラス面の結露は減少する。

X 適切ではない。 まず、熱貫流率とは...壁、床、屋根等を通して熱が逃げたり、入ってきたりすることです。建築物壁面の熱の伝わりやすさを数値として表したものです。この数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性が高いことになります。

  カーテンは、空気の移動を防ぎますが、設問の「窓の熱貫流率」の計算式には、関係しません。また、カーテンの影響でガラス面の結露は増加するようです。

3 低放射複層ガラス(Low-Eガラス)は、一般の複層ガラスや単板ガラスより熱貫流率が小さいので、結露が発生しにくい。

○ 適切である。 技術の進歩で、新しいガラスが開発されています。低放射複層ガラス(Low-Eガラス=Low Emissivity=低放射)は、一般の複層ガラスや単板ガラスより熱貫流率が小さいので、結露が発生しにくい。
   Low-Eガラスは一般的な1枚ガラスが放射率0.85程度なのに対し、Low-Eガラスでは放射率が0.1 以下になるのが普通。この放射率が低ければ低いほど赤外線を反射させ、熱を通しません。ですから、断熱性が高いガラスとなり、結露が発生しにくくなります。
 このLow-Eガラスは、ガラス面に金属膜をコーティングすることでつくられます。金属膜といっても、薄く色が付く程度のコーティングです。内側に夏場の太陽熱を遮断し、冬場には室内の保温効果を高める特殊金属膜があります。そのため少ないエネルギーで冷暖房がよく効き、CO排出量の削減にもつながります。またエコガラスは外気の冷たさが伝わりにくく、結露の防止に高い効果を発揮します。

4 単板ガラスの厚さを2倍にしても、断熱性能の改善はわずかなので、結露の量は大きく減少しない。

○ 適切である。 単板ガラスの厚さを2倍にしても、断熱性能の改善はわずかのようです。

答え:2 (ここは、熱貫流を知っていればできた?)

問41

〔問 41〕 マンションの建物の耐震改修工法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 1階ピロティ(自転車置場や通路)では、耐震壁の増設、枠付き鉄骨ブレースの設置が行われることが多い。

○ 適切である。 耐震改修も、出題は多い。 平成17年マンション管理士試験 「問41」 など。平成22年 管理業務主任者試験 「問26」
   ここは、平成16年マンション管理士試験 「問40」 での私の解説のまま。
  1階がピロティ形式(建物を柱だけで支え、壁のない階をもつ建物のこと。ピロティ形式の建物の多くは、その部分を駐車場や駐輪場として利用する。また、1階部分が自由に通り抜けできるようになった建築スタイルのことも「ピロティ」という。なお、ピロティとはフランス語で「杭(くい)」の意。1階部がピロティになっていると、揺れに弱い。そこで、耐震壁や補強ブレース(ななめの筋交い)で強化する。

2 外付けフレームの設置は、専有面積の減少を生じないが、バルコニー面積の増減、専用庭や駐車場等の面積の減少を生じる場合がある。

○ 適切である。 外付けフレームとは...既存鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造建物の耐震補強技術で、既存建物の外側に、プレキャスト・プレストレスト部材によるフレームを伝達ブロックと呼ぶプレキャスト部材を介して新たに設置する工法です。建物の窓や出入り口は変えずに、また、内部での工事が少ないため、建物を使用しながらの耐震補強工事を行うことができるのが大きな特徴です。
  設置しても居室内には影響しませんから、専有部分の面積は、減少しませんが、外側には影響しますので、バルコニーや専用庭などの面積は少なくなることがあります。

3 制震構造は、建物の骨組みにダンパー等の制震装置を設置したもので、地震による揺れを小さくする構造である。

○ 適切である。 制震構造は、建築物の骨組みなど、建物内部にダンパーなどの減衰装置を組み込み、建築物のゆれを抑える構造です。地震に対しては他に、耐震構造、免震構造もあります。

4 免震構造は、基礎と上部構造の間などに免震装置を設置したもので、建物への地震による外力を無くする構造である。

X 適切でない? 免震構造は、建物の土台に積層ゴムやダンパー等の免震装置を設けて、地震力が建築物に伝わらないようにする。しかし、建物への地震による外力をなるべく少なくすることはできても、無くすることは、出来ないようです。 

答え:4? (言葉遊びか? 適切でない出題だ。)
マンション管理センターの正解: 4

問42

〔問 42] マンションの遮音対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 重量床衝撃音に対する遮音性能は、コンクリート床の厚さ、密度、剛性等によって決まり、床仕上げ材による遮音効果は小さい。

○ 適切である。 遮音についての出題は、平成15年マンション管理士試験 「問40」 や 平成18年マンション管理士試験 「問42」 などがある。また、今年、平成21年管理業務主任者試験 「問23」 選択肢2、3 でも出ている。
   床の衝撃音には、 ①重量床衝撃音 と、 ②軽量床衝撃音 があります。
   ①重量床衝撃音は、子供が飛び跳ねるときに生じる音にように、大きく下の階に伝わる鈍くて低い音です。床の材質が固くて重いほど遮音効果は高くなります。マンションでは床のコンクリートスラブが厚いほど遮音性はよく、また、梁で囲まれたスラブ面積の広さも関係します。なお、遮音等級は「LH-45」「LH-50」(Hは「Heavy-Weight」を意味する)という形で表し、数値が少ないほうが遮音性能は高くなります。
   ②軽量床衝撃音は、スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するように、比較的軽めで高音域の音です。軽量衝撃音の遮音性能は、床の構造や表面仕上げによって変わります。構造は直床よりも二重床、仕上げ材はカーペットのように吸音性が高いものほど良くなります。遮音等級は「LL-45」「LL-50」(Lは「Light-Weight」を意味する)などと表し、数値が少ないほうが遮音性能は高くなります。  
 重量床衝撃音に対する遮音性能は、コンクリート床の厚さ、密度、剛性等によって決まります。軽量床衝撃音と異なり、床仕上げ材による遮音効果は小さいです。

2 床仕上げをカーペットから木質フローリングに改良する際に、軽量床衝撃音に配慮して、JIS(日本工業規格、以下同じ。)による遮音等級がL-40に該当するものを使用した。

○ 適切である。 いままでの、遮音等級がL-40なら改良にはなりませんが、床衝撃音についてJISでは、以下のような等級を定めています。

床の遮音等級  L-40  L-45  L-50  L-55 L-60
人の飛び跳ね 歩行音
(重量衝撃音 LH)
かすかに聞こえるが、遠くから聞こえる感じ。   聞こえるが意識することはない。  小さく聞こえる。  聞こえる。 よく聞こえる。
物の落下音、イスの移動音
(軽量衝撃音 LL)
 ほとんど聞こえない。  小さく聞こえる。  聞こえる。  気になる。
かなり聞こえる。
生活実感  気配は感じるが気にならない。  スプーンを落とすとかなり聞こえる。  イスを引きずる音は聞こえる。  イスを引きずる音がうるさく感じる。 スリッパ歩行音が良く聞こえる。

 L-40 なら、問題はないでしょう。

3 外部騒音による生活への影響を低減するためには、遮音型サッシ、遮音ドア、消音タイプの換気スリーブの採用等が有効である。

○ 適切である。 外部騒音は開口部(窓・玄関など)での遮音が有効です。そこで、遮音型サッシ、遮音ドア、消音タイプの換気スリーブの採用等が有効です。

4 JISによる界壁の遮音等級のD-40は、隣の住戸に伝わる音がほとんど気にならないレベルである。

X 適切でない。 界壁の遮音は、主に壁の密度と厚さによって決まります。その遮音等級は、D(Differrence of Sound Level=音圧レベル差)で表し、床の衝撃音では、L-40のように、L値の少ない方が優れていましたが、界壁の遮音では、反対に等級の大きい(D-65~)ほど優れています。D-40 では、L-60 に相当し、うるさく感じます。 せめて、D-55 ぐらいは必要です。

界壁の遮音等級

D-65

D-60

D-55

D-50

D-45

D-40

D-35

D-30

D-25

D-20

D-15

ピアノ、ステレオ等の大きい音

通常では聞こえない

ほとんど聞こえない

かすかに聞こえる

小さく聞こえる

かなり聞こえる

曲がはっきり分かる

よく聞こえる

大変よく聞こえる

うるさい

かなりうるさい

大変うるさい

答え:4 (これは、過去問題をやっていると簡単。)

問43

〔問 43] マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 水栓を閉める際に生じるウォーターハンマーを防止するためには、給水管内の流速を2.5~3.0m/sとすることが有効である。

X 適切でない。 まず、ウォーターハンマー(水撃)現象とは、水圧管内水流を急に締め切ったときに、水流の慣性で管内に衝撃・振動水圧が発生する現象です。現象自体は水に限らず液体全般で生じます。この現象を防止するには、給水管内の流速は、1.5~2.0m/S以内に抑え、ウォーターハンマー防止装置を水栓などの近くに設置します。流速が2.5~3.0m/S では速すぎます。
  キッチン、浴室、洗面所等で「ドン!」、「ガン!」、「コン!」あるいは「ゴン!」、「パシッ!」、と聞こえる「原因不明の異音や衝撃音」の経験はありませんか。また、原因不明の漏水や、シャワーの温度が急に変化したり、給湯器のセンサーが破損し修理を依頼されたことはありませんか。
これらは全てウォーターハンマー(水撃)現象により発生する音や現象で、シングルレバー水栓器具や大型全自動洗濯機、食器洗浄器等の快適さや利便性を追求した水・湯の急閉止を伴う水栓器具や電磁弁を内蔵した家電製品が急速に普及したことが原因として上げられます。更に近年、建築物の高層化、高台への建築、3階建て住宅の普及、住居密度の増加等により、各自治体は給水圧力・給水量を増やさざるを得なくなりつつあり、今後ますます増加する問題です。
*ウォーターハンマー現象発生メカニズム
  ウォーターハンマー現象はこれら機器の急閉止により、配管内の水や湯が瞬間的に停止させられることによって、流体の運動エネルギーが逃げ場を失い、圧力エネルギーに変換され、配管内に急激な圧力上昇(水圧変動)を招き「過大圧力波」(衝撃波)が発生します。この圧力波は配管や流体を通して瞬間的に遠方に伝播される為(水の場合、秒速千四百メートル以上)、原因不明の異音が原因となる機器以外の場所で発生し、戸建住宅での酷い場合ですと道を隔てた隣家に及ぶこともあります。(でも、流速 1.5~2.0/秒 と 2.5~3.0m/秒 の違いが実感として分からない?)

2 専有部分の給水管の給水圧力の上限値は、一般に300~400kPaに設定する。

○ 適切である。 似たような出題は、平成20年マンション管理士試験 「問43」 選択肢3 にある。 また、水圧は、平成22年 マンション管理士試験 「問43」 選択肢4 でもでた。
  kPa は、キロ・パスカルと読みます。パスカルとは、圧力の大きさを表します。マンションでは、一般的に住戸内の給水管の給水圧力の上限値は、300~400kPa に設定します。(ここも、300キロパスカルがどの程度か分からない? その時は、自分で解答を探してください。)

3 給水方式において、水道直結増圧方式は、受水槽や高置水槽が不要であるので、機械室や屋上での省スペース化が図れる。

○ 適切である。 マンションでの給水方式は、よく出題される。 ここに近いのは、平成13年管理業務主任者 「問21」
  ①水道直結方式...上水道から直接つながっている方式 と、
  ②受水槽方式...一度、受水槽に受けてから給水する方式 があります。水道直結増圧方式は、①水道直結方式の1つで、水道本管から引き込んだ水を、増圧ポンプを使って各戸に直接給水します。そのため、受水槽や高置水槽が不要であるので、機械室や屋上での省スペース化が図れます。

4 飲料水での受水槽には、槽の内部の保守点検が容易に行えるように有効内径60㎝以上のマンホールを設置する。

○ 適切である。 これも、過去によく出題されている。平成19年管理業務主任者試験 「問23」 や、 平成18年マンション管理士試験 「問43」 など。
   昭和50年12月20日建告第1597号(最終改正:平成12年建設省告示第1406号)
   「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件」
   (4)  
内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置に、次に定める構造としたマンホールを設けること。ただし、給水タンク等の天井がふたを兼ねる場合においては、この限りでない。
       (い)  内部が常時加圧される構造の給水タンク等(以下「圧力タンク等」という。)に設lける場合を除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らないように有効に立ち上げること。
       (ろ)  
直径60cm以上の円が内接することができるものとすること。ただし、外部から内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる小規模な給水タンク等にあつては、この限りでない。 」
   とあり、点検用マンホールの内接の円の直径は60cm以上です。

答え:1 (しかし、給水管内の流速は、1.5~2.0m/S以内までは知らない。)

問44

〔問 44〕 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 高層マンションで用いられる結合通気管は、通気立て管と排水立て管を一定の間隔ごとに接続する配管で、排水管内の正圧と負圧を緩和する効果がある。

○ 適切である。 結合通気管は、高層建築物で一定の間隔(10階間隔程度)で排水立て管・通気立て管を相互接続するもの。下層階で生じた正圧を逃がすだけでなく、上層階で生じた負圧を緩和する効果があります。

2 台所に設置された食器洗い乾燥機の排水管には、高温の排水にも耐えうるように耐熱性硬質塩化ビニル管(HTVP)を用いる。

○ 適切である。 この出題は新しい。食器洗い乾燥機からの排水温度は最高80℃あります。通常使用される硬質塩化ビニル管(VP管)の耐熱温度は60℃以下です。そこで、耐熱性硬質塩化ビニル管(HTVP)を使用します。これだと耐熱90℃程度まで可能です。

3 専有部分の排水横引管の径管が75㎜の場合、円滑に排水を行うために最少勾配は1/150とする。

X 適切でない。 ここも、平成18年マンション管理士試験 「問44」  でも出ている。
  排水の横引管の勾配がゆるいと、汚物が流れ難くなる。勾配は、管の太さ(管径)との関係が深くなり、管径が大きいほど(例えば、管径150mm~300mmは、最小 1/200。65mm以下は、最小 1/50)勾配はゆるくていい。排水横引管の管径と勾配の関係は下のとおり。

管径(mm) 勾配
65以下 最小 1/50
75、100 最小 1/100
125 最小 1/150
150以上 最小 1/200

 管径が75mmでは、最小の勾配は1/100 です。 1/150 ではない。

4 排水立て管には、最上階又は屋上、最下階、及び3階以内おきの中間階又は15m以内ごとに、掃除口を設けることが望ましい。

○ 適切である? 排水立て管には、最上階又は屋上、最下階に掃除口を設けることが望ましいのは、分かったが、「3階以内おきの中間階又は15m以内ごと」に設置の根拠が探せない。でも、多分、適切でしょう。

答え:3 (選択肢4 の根拠をネットで1時間ほど探したが、不明だ。 分かる人は、http://tk4982.at.webry.info/まで連絡ください。)
マンション管理センターの正解: 3


*2016年9月27日追記:選択肢4の根拠について、高木様より以下の情報を頂きました

 高木様より:ネット検索すると、国土交通省が「住宅性能表示制度の概要」について触れているHP
 (http://www.mlit.go.jp/common/001007986.pdf )の6 ページに関係しそうな記述が見つかりました。
  **
   (6) 共用排水管の横主管の掃除口間隔の取り扱い
    4‐2 維持管理対策等級(共用配管)
   10m以内とされている掃除口間隔について、一定の条件下の場合にあっては、15m以内でも可とする。
  **
 
 この情報を元に詳細を調べると、 平成 13 年 国土交通省告示 第 1347 号、最終改正 平成 21 年 国土交通省告示 第 354 号 の
 「評価方法基準 」がありました。
 この63ページ及び64ページに 
 4-2 維持管理対策等級(共用配管)
   (1) 適用範囲 新築住宅及び既存住宅(評価住宅に限る。)のうち、共同住宅等について適用する
   (2) 基本原則 (略)
   (3) 評価基準(新築住宅)
    イ 等級3
     次に掲げる基準に適合していること。
     ① 共用配管が、壁、床、柱、はり又は基礎の立上り部分を貫通する場合を除き、コンク リート内に埋め込まれていないこと。
     ② 共用の地中埋設管の上にコンクリートが打設されていないこと。ただし、当該コンクリートが評価対象建築物の外部に存する土間床コンクリートその他構造く 躯体に影響を及 ぼすことが想定されないものである場合及び他の法令(条例を含む。)の規定により、 凍結のおそれがあるとして配管を地中に埋設する場合については、この限りでない。
    
③ 共用の排水管には、共用立管にあっては最上階又は屋上、最下階及び3階以内おきの 中間階又は 15m以内ごとに、横主管にあっては 10m以内ごとに掃除口が設けられてい ること。
    ④ 専用配管と共用配管の接合部及び共用配管のバルブ(以下④において「主要接合部等」という。)又は排水管の掃除口が仕上げ材等により隠ぺい 蔽されている場合には、主要接合 部等を点検するために必要な開口又は掃除口による清掃を行うために必要な開口が設け られていること。
    ⑤ 共用の排水管(継手及びヘッダーを含む。)の内面が、清掃に支障を及ぼさないよう に平滑であり、かつ、当該排水管が清掃に支障を及ぼすようなたわみ、抜けその他変形 が生じないように設置されていること。
    ⑥ 横主管が設置されている場合においては、当該配管がピット若しくは1階床下空間内 又はピロティ等の共用部分に設けられ、かつ、人通孔その他当該配管に人が到達できる 経路(専用部分に立ち入らないで到達できるものに限る。)が設けられていること。
    ⑦ 共用配管が、専用部分に立ち入らないで補修できる位置(共用部分、住棟外周部、バ ルコニーその他これに類する部分をいう。)に露出しているか、又は専用部分に立ち入 らないで補修が行える開口を持つパイプスペース内に設けられていること。
     (以下、略)

  とあります。
  これが、選択肢4の根拠です。
   高木様、情報有り難うございます。参考になりました。

問45

〔問 45〕 マンションの設備計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 シックハウス対策として第3種換気設備を設置する場合、台所レンジフードファン又は浴室・洗面所・便所などのサニタリーファンに常時換気用の低風量モードを用いる方式がある。

○ 適切である。 まず、換気の方式には、①自然換気、 ②機械換気があります。 
   そして、機械換気には、次の3種があります。詳細は、平成15年マンション管理士試験 「問44」 の 分野別の解説にあります。
   ①第1種換気...給気と排気を共に機械で行う。 
   ②第2種換気...給気は機械で行う。排気は自然で行う。 
   ③第3種換気...排気は機械で行う。給気は自然で行う。

   そして、建築基準法第28条の2 3号(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
 「第二十八条の二  建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
   三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。 」とあり、
 シックハウス症候群が大きな社会問題になったことから、居室のある建築物を対象として、疾病の原因であるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物を放散する建材を規制するとともに、原則として全ての建築物に機械換気設備を義務化するものです。そして、住宅の居室には、24時間常時運転可能なもので、換気回数0.5回/h以上(2時間で住宅の気積(容積)を入れ替える能力)の換気設備を設置することが、義務付けられました。 また、台所レンジフードファン又は浴室・洗面所・便所などのサニタリーファンに常時換気用の低風量モードを用いる方式もあります。

2 消防設備において、設置後10年を経過した連結送水管については、原則として、2年ごとに耐用性能試験を行わなければならない。

X 適切でない。 こんな規則までは知らない。あちらこちら探したが、ヒットしない。 やっと、見つけた。
  設置後10年を経過した連結送水管の配管や、製造後10年以上を経過した消防用ホースは原則として、
3年に1回の耐圧性能試験を行う。根拠は、「マンション管理の知識 平成20年版 ページ755」。 2年ごとではなく、3年ごとです。

3 エレベーターのいわゆるPOG契約は、定期点検及び管理仕様範囲内の消耗品の交換を含み、それ以外の部品の取替え及び修理は、原則として含まない。

○ 適切である。 ここは、平成17年管理業務主任者試験 「問21」 に出ている。
   エレベーターの保守契約には、 主に次の4通りの方式があります。
   (1)FM(フルメンテナンス)方式:一定の保守料金の中で、エレベーターを定期的に点検、清掃、注油、調整をするほか、予防保全的に経年劣化を踏まえた機械部品、電気部品の取替修理、消耗品の交換まで行う総合的な保守契約。但し、主要機器の修繕や使用者の故意過失による修理などは対象外です。
     保守料金の中には、1.予防保全、2.事後保全までを含み、3.改良保全の費用は含みません。1.予防保全の中には、機能維持工事であるメインロープやガバナーロープ、移動ケーブルの交換、巻き上げ機のオーバーホール(分解点検)なども含まれます。2.事後保全の範囲では、制御盤のリレー類、インジケーターランプやリミットスイッチなどの交換も含まれます。
   (2
)POG(パーツ・オイル・グリス)方式:保守料金の中で行うのは、定期的な点検、清掃、注油、調整、小額の消耗品の補充・交換のみの保守契約です。機械部品、電気部品などの取替、修理が発生した場合は別料金となります。月々の契約金額はFM方式より低く抑えられますが、突発的な故障が発生した場合には、別途修理費がかかります。
     [POG料金に含まれる消耗品] カーボンコンタクト及びフィンガー、カーボンブラシ、ヒューズ、各種ランプ類(照明用、グロー、インジケータ)点検用オイル、補充用オイル、グリス類、ウエス、サンドペーパー、ビス、ナット、ワッシャー (但しランプ類には、スリムライン、ネオン管、インテリア照明、その他特殊な発光体は含まれません。
   (3)RM(リモートメンテナンス)方式:走行速度や回数、扉の開閉状況などの運行状態を24時間遠隔監視し、診断するシステムを取付け、安全性の向上を図った方式です。
   (4)FM方式又はPOG方式+RM方式:FM方式又はPOG方式にRM方式を組合わせ、より一層の安全性の向上を図った方式です。

4 最近の新築マンションでは、エレベーター昇降路内等に機器を設置したマシンルームレス型エレベーターが主流となっている。

○ 適切である。 ここは、平成16年マンション管理士試験 「問38」 選択肢4 。
  マシンルームレス型エレベーターは、エレベーターの巻上機を昇降路のピットに、制御盤を乗場または塔内に配置することで従来の「ロープ式」「油圧式」に不可欠だった機械室を無くした、次世代型のエレベーターです。機械室を無くすことにより、省スペース、省エネルギー、建築コストの削減はもちろんのこと、昇降路の位置を自由に設計できるので建築物の屋根や、外観など意匠設計の自由度が向上します。また、運転性能の向上、走行騒音の低下、廃油処理が必要なくなることにより地球環境に優しい移動環境を構築します。このような特性を持つマシンルームレスエレベーターは建物設計の段階から様々な発想を生み、私たちの生活を、より快適なものへと進化させていきます。これからエレベーターは、徐々にマシンルームレスエレベーターへ移行し、次世代エレベーターの本流となっていきます。

答え:2 (選択肢2 以外は過去問題をやっていれば、適切と分かるけど、明確に 2年ごとが違うとは難しい。)

問46

〔問 46〕 マンションに関する次の記述のうち、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。


  *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。


1 マンションの区分所有者が当該マンションの事務管理を業として行う場合には、マンション管理業に該当しない。

○ 正しい。 マンション管理業とは、マンション管理適正化法第2条7号によると、(定義)
 「第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   七  
マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。 」とあり、マンションの区分所有者が当該マンションの事務管理を業として行う場合には、該当しない。

2 管理組合法人の理事は、管理者等に含まれない。

X 誤りである。 マンション管理適正化法では、管理者等は、同法第2条4号 
 「四  
管理者等 区分所有法第二十五条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。 」とあり、準用される区分所有法第49条1項は、
 「第四十九条  
管理組合法人には、理事を置かなければならない。」とあり、 管理組合法人の理事は、管理者等に含まれる。

3 人の居住の用に供する専有部分がある建物において、区分所有者が一人の場合には、マンションに該当しない。

○ 正しい。 マンション管理適正化法でのマンションとは、同法第2条1号イ(定義) 
 「第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
    一  マンション 次に掲げるものをいう。
      イ 
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」とあり、要件としては、①二人以上(複数)の区分所有者がいて、 ②居住用の専有部分 があること。よって、区分所有者が一人では、マンション管理適正化法でのマンションではない。なお、居住用の専有部分は1つでもかまいません。

4 マンションには、当該マンションの敷地及び附属施設が含まれる。

○ 正しい。 選択肢3で引用したマンション管理適正化法第2条1号イ
  「イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの
並びにその敷地及び附属施設」とあり、その敷地及び附属施設もマンションに含まれる。 

答え:2 (この出題は、基本。)

問47

〔問 47〕 マンション管理士に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 マンション管理士の名称を使用し停止を命ぜられた者が、当該停止期間中に名称を使用した場合には、30万円以下の罰金に処せられる。

○ 正しい。 マンション管理士が、信用失墜行為をしたり(マンション管理適正化法第40条)、指定の講習を受けなかったり(同法第41条)、秘密保持義務を守らないと、同法第33条2項
 「2  国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。」により、 マンション管理士の名称の使用の停止を命じられることがあります。それに違反して、マンション管理士の名称を使用すると、同法第109条1号
 「第百九条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
    一  第三十三条第二項の規定により
マンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用したもの」により、罰金30万円以下がかせられます。

2 マンション管理士試験は、禁固以上の刑に処せられその執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者は、受験することができない。

X 誤っている。 マンション管理士の受験資格については、マンション管理適正化法では何も制限がありません。ですから、だれでも受験はできます。ただし、マンション管理士試験に合格して、国土交通大臣の登録を受ける際に、「成年被後見人又は被保佐人 」はだめ、とか「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」は登録できないなどの制限があります。(同法第30条参照)

3 マンション管理士は、マンション管理士の信用を傷つける行為をした場合には、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。

X 誤っている。 罰則の有無は、よく出題がある。
  マンション管理適正化法第40条(信用失墜行為の禁止)
 「第四十条  マンション管理士は、マンション管理士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」とありますが、 直接の罰則はありません。ただし、選択肢1で引用した同法第109条に規定する同法第33条2項に該当し、マンション管理士の名称の使用を禁じられている時にマンション管理士の名称を使うと、罰金30万円以下がありますが、この場合でも、懲役はありません。注:秘密保持義務違反(同法第42条)には、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金があります。(同法第107条)

4 マンション管理士は、5年ごとに登録講習機関が行う講習を受けなければならず、これに違反したときは30万円以下の罰金に処せられる。

X 誤っている。 マンション管理適正化法第41条(講習)
 「第四十一条  マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、次条から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)を受けなければならない。 」とあり、設問前半のマンション管理士として、登録を受けると、5年ごとの講習を受ける義務はありますが、受けないときには、登録の取り消しになることはあっても、後半の罰金に処せられる規定はありません。(同法第33条2項参照)

答え:1 (少し、難しいか?)

問48

〔問 48〕 マンションの管理業者及び管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンション管理業者の登録の有効期間は、5年である。

○ 正しい。 マンション管理適正化法第44条2項
 「2  マンション管理業者の
登録の有効期間は、五年とする。」とあります。

2 法人であるマンション管理業者が合併により消滅した場合、その旨を国土交通大臣に届出をしたときから登録の効力を失う。

X 誤っている。 法人であるマンション管理業者は、合併で消滅すると、マンション管理適正化法第50条1項2号(廃業等の届出)
 「第五十条  マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、その日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
   二  法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であった者 」が届け出なければなりません。
 すると、同法同第50条2項
 「2  マンション管理業者が前項各号の
いずれかに該当するに至ったときは、マンション管理業者の登録は、その効力を失う。」により、マンション管理業者の登録は失効します。この場合、その事実の発生した時:合併があったとき:からの失効となり、届出をしたときからではありません。

3 管理業務主任者試験の合格者で、管理事務に関し2年以上の実務経験を有する者で欠格要件に該当しないものは、管理業務主任者の登録を受けることができる。

○ 正しい。 管理業務主任者試験に合格すると、マンション管理適正化法第59条1項(登録) 
 「第五十九条  試験に合格した者で、
管理事務に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。 」とあり、国土交通省令は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第68条(法第五十九条第一項 の国土交通省令で定める期間)
 「第六十八条  法第五十九条第一項 の国土交通省令で定める期間は、
二年とする。 」とあり、管理事務2年以上の実務経験があり欠格要件に該当しないものは、管理業務主任者の登録を受けることができます。

4 管理業務主任者証の交付を受けようとする者は、受験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする者を除き、交付申請の日前6月以内に行われる講習を受けなければならない。 

○ 正しい。 ここは、マンション管理適正化法第60条2項
 「2  管理業務主任者証の交付を受けようとする者は、第六十一条の二において準用する第四十一条の二から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が
国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)で交付の申請の日前六月以内に行われるものを受けなければならない。ただし、試験に合格した日から一年以内に管理業務主任者証の交付を受けようとする者については、この限りでない。 」とあり、正しい。

答え:2 (なんとなく、2 と分かった人は多いようだ。)

問49

〔問 49〕 管理組合(管理者甲)がマンション管理業者と管理委託契約を締結しようとする場合におけるA又はBについて、マンション管理業者が管理業務主任者をして重要事項の説明をさせなければならない相手方(ア~ウ)に係る次の組合せのうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、管理者甲は、区分所有者でないものとする。

A 従前の管理委託契約と同一条件で管理委託契約を更新しようとするとき
B マンション管理業者を変更して管理委託契約を締結しようとするとき

ア 区分所有者全員
イ 甲
ウ 区分所有者全員及び甲

1 Aとア
2 Bとイ
3 Aとウ
4 Bとウ 

*Aの「従前の管理委託契約と同一条件で管理委託契約を更新しようとするとき」には、マンション管理適正化法第72条2項及び3項
 「2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
  3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、
マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない
」により、 マンション管理業者は管理業務主任者をして、
(イ)管理者:甲 に対して重要事項の説明をさせます。

*Bの「マンション管理業者を変更して管理委託契約を締結しようとするとき」は、新規の委託契約ですから、マンション管理適正化法第72条1項
 「第七十二条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成する
マンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。」に該当しますから、マンション管理業者は、管理業務主任者をして、 (ウ)区分所有者全員と管理者:甲 に対して重要事項の説明をさせます。

1 Aとア...誤っている。 Aの場合、管理者:甲 にします。
2 Bとイ...誤っている。 Bの場合、管理者:甲 だけでなく、区分所有者全員と管理者:甲 に対してします。
3 Aとウ...誤っている。 Aの場合、管理者:甲 にします。区分所有者全員は不要です。
4 Bとウ...正しい。 Bの場合、管理者:甲 だけでなく、区分所有者全員と管理者:甲 に対してします。

答え:4 

問50

〔問 50〕 甲マンションの区分所有者Aとマンション管理士Bに関する次の記述のうち、マンション管理適正法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bは、Aから受けた相談に関し知り得た秘密を漏らしても、Aに不利益とならなければ、マンション管理士の登録を取り消されることはない。

X 誤っている。 マンション管理士Bは、マンション管理適正法第42条(秘密保持義務)
 「第四十二条  マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理士でなくなった後においても、同様とする。 」の規定により、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはいけません。もし漏らすと、同法第107条
 「第百七条  次の各号のいずれかに該当する者は、
一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
  一  第十八条第一項(第三十八条、第五十八条第三項及び第九十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
  二  
第四十二条の規定に違反した者
 2  前項第二号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」の1項2号により罰を受けます。
そして、同法第33条 (登録の取消し等)
 「第三十三条  国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
   一  第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
   二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
  2  国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から
第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。」により、登録の取り消しもあります。
この秘密漏えいについては、区分所有者Aの不利益が要件とはされていません。

2 Bがマンション管理士の登録を取り消された場合であっても、取消し前からAに助言していた事案については、引き続き、マンション管理士として相談に応ずることができる。

X 誤っている。 マンション管理士としての登録が取り消されると云う事は、もう国家資格の「マンション管理士」ではありませんから、引き続き「マンション管理士の名称」では相談に応じることはできません。マンション管理適正法第43条「(名称の使用制限)
 「第四十三条  マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。」に該当し、罰則もあります。
 同法第109条
 「第百九条  次の各号のいずれかに該当する者は、
三十万円以下の罰金に処する。
   一  第三十三条第二項の規定によりマンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用したもの
   
二  第四十三条の規定に違反した者
   三  第四十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
   四  第五十六条第三項の規定に違反した者
   五  第九十八条の規定に違反して契約を締結した者」
 ただし、個人としてなら、可能です。

3 Bは、Aからの依頼により、共用部分に関する管理組合に対するAの要望事項について、Aに対して指導、援助等を行うことができる。

○ 正しい。 マンション管理士の業務としては、マンション管理適正法第2条5号
 「五  マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの
区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。 」とあり、管理組合の管理者等だけでなく、区分所有者Aに対しても、指導、援助等を行うことができます。

4 Bが甲マンションの管理組合と顧問契約を結んだ場合は、Bは、Aからの個別の相談について応ずることができない。

X 誤っている。 選択肢3で引用しました、マンション管理適正法第2条5号では、管理組合と顧問契約を結んでも、一般の区分所有者との個別の相談について応じることを禁じていません。 

答え:3

ここまで、問50


前へ戻る前へ戻る

最終更新日:
2018年 3月17日:建築基準法第12条の改正を入れた。
2017年 11月15日:問31、選択肢2の解答を明確にした。
2016年 9月27日:問44肢4の根拠を入れた。
2016年 8月13日:問31肢1に平成28年3月の標準管理規約の改正を反映させた。
2012年 6月22日:「問27」、「問28」、「問29」、「問30」、「問31」、「問32」に平成23年の標準管理規約の改正入れた。
2011年 2月 4日:マンション標準委託契約書の改正を問33 に入。
2010年7月:問33に法改正のコメント追記。
2010年2月15日:再チェックで加筆
2010年1月30日:問34で追記
2010年1月16日

ホームへ戻る

*総合ページへ*映画・演劇評論へ*日記へ*楽しいゴルフへ*投稿者のページへ*写真集へ*目指せ!マンション管理士・管理業務主任者へ*「超解説 区分所有法」へ*ヨーロッパ旅行記へ*ヨーロッパ 写真集へ*ヴェトナム、アンコール・ワット旅行記へ*スリランカとインド旅行記へ*「讃岐 広島へ帰る」へ 、*金町団地の建替闘争の記録へ ★「マンション管理士 香川事務所」へ